カードファイトヴァンガード!機械仕掛けの蝶 作:アース(VG)
…地球時間午前6時。ご主人様を起こす為に私は起動する。腰を上げてご主人様の部屋へと向かう。
「ご主人様ー。朝ですよーっ!」
部屋の扉をノックしながら私は声を掛ける。しかし全く返事は無い。
「……失礼します、ご主人様」
私はご主人様の部屋に入ります。……ご主人様はまだ寝ておりました。
ご主人様の名前は光。現役中学生で私を拾ってくださった、私の大切な存在です。……おっと、いけません。ご主人様を起こさなくては……。
「全く……こぉら!ご主人様!起きてください!」
ご主人様の身体を揺さぶりながら起きるように催促します。「ん……」と声をあげると、ご主人様は起きました。
「あぁ……おはようラフィ……」
目を擦りあくびをしながら私の名前を呼ぶご主人様。全く……ふふ、寝坊助さんなんだから。
「はい、おはようございますご主人様。……またヴァンガードですか?」
ご主人様はこくりと頷く。机の方を見てみるとデッキが1つ置かれていた。
「うん。ようやく新しいデッキが完成したんだ……!ラフィ、今日学校から帰ってきたら試して貰えないかな?」
「ふふ、はい!ご主人様!是非私のデッキとファイトしましょう!」
そんな話をしながらご主人様の着替えを手伝い、私はご主人様を見送りました。
「さて……今のうちに家事を済ませましょうか」
愛用の箒を手に取り私は家事に勤しみます。……昔の事を思いだしながら……。
……私は地球とは異なる惑星で生み出されたワーカロイド……地球で言うならロボット、アンドロイドです。惑星クレイではあるクランに所属していましたがそのクランのある兵器の作動に巻き込まれてしまい、この地球へと転移しました。地球でさ迷っていた私を、ご主人様が拾ってくれたのです。それも半年前の話……今では立派な屋敷のメイドとして私は働いています。
「さてと……洗濯物も干しましたし……お買い物に行きましょうか」
私は買い物に使う鞄(もちろんデッキ入り)を持つと自転車でスーパーへと向かいました。
えと……今夜はご主人様の大好きなカレーにしましょうか……お肉は……ありました!えーと後はお野菜ですね……。
「お野菜今日はお安いですね。ふふ」
ご主人様への食材も買い、後は帰って料理するだけです。さぁ帰りましょう!
「ふふ、ご主人様の喜ぶ顔が目に浮かびます!」
買った食材を自転車の籠に乗せて、ご主人様の喜ぶ顔を想像しながら自転車を漕ぐ私。思わず顔がにやけてしまいます。……と、その時でした。
「きゃっ!?」
素早い人影が私の食材を奪っていました。……ど、泥棒です!?
「ま、待ちなさい!」
私は思い切り自転車のペダルを踏み込み、素早い人影を追います!角を曲がり、階段を降り、次第に路地裏に出ます。
「……まぁ、ここならばいいだろう」
人影はそう言うと路地裏で止まりました。私は自転車から降りると、その人影……男性と対峙します。
「やっと追い詰めましたよ!さぁ、私とご主人様への食材を返しなさい!」
「……お前、惑星クレイの住人だろう?」
「なっ……あなた、何者ですか!?」
私の出身を知っている……ただ者では無いですね……!
「食材なら返してやる。ただし……俺とファイトで勝てたらな!」
「ファイト!?……なるほど。そう言う事ですか……」
私は鞄からデッキを取り出します。相手もデッキを取り出しました。
「スタンドアップ!」
「ヴァンガード!」
掛け声と共に、私達は光に包まれます。そして、ファイト空間へと飛ばされました。これは私達惑星クレイの住民のみが行える行為であり、お互いの掛け声と共に特別なファイト空間へと飛ばされるのです。この空間に飛ばされた時点でファイトテーブルが目の前に展開し、デッキもセットされて既にFV(ファーストヴァンガード)がVサークルにスタンドアップしています。手札も5枚手元に用意されます。先行はランダムで決まり、今回は私が先行のようです。
「私のターン!スタンド、ドローします!」
私のFVはマシニング・ワーカーアント、クランはメガコロニーです。相手のFVはメカトレーナー……スパイクブラザーズですか……。
「ライド!ファントム・ブラック!FVのライドされた時の効果で1枚ドローします。ターン終了です」
「俺のターン!ドロー!ワンダーボーイにライド!FV効果でドローしてそのままアタック!」
「……ノーガードです」
まずは様子を伺う為にノーガードします。相手のドライブチェックでトリガーは出ませんでしたが、私は1ダメージ食らいます。
「ううっ!……1ダメージ……トリガー無し……」
この空間ではダメージを食らうたびにファイトしている私達もダメージを受けます。ダメージを受けた際、私の腕の人工皮膚が剥がれ、痛覚を感じました。剥がれた人工皮膚からは機械仕掛けの腕が姿をさらしバチバチと火花が散っています。
「やはりお前は惑星クレイの住人のようだな」
「……私のターン……ライド、マシニング・マンティス!効果でカウンターブラスト1枚!」
相手の言葉を無視して私はマシニング・マンティスにライドします。効果によりデッキの上6枚を見て、そのうちの1枚、無双剣鬼サイクロマトゥースを相手に見せ、手札に加えます。
「コール!マシニング・ホーネット!ヘイタブル・スポット!」
リアガードを整えて、バトルへと入ります。Vサークルのマシニング・マンティスによるアタック、ドライブチェックでクリティカルトリガーを引き、相手にダメージを与えます。相手も傷を負っていました。……どうやら相手の種族は私とは違い、ヒューマンみたいですね。
「や、やってくれたなぁ!」
「まだです、ヘイタブル・スポットをホーネットでブーストしてアタックします」
パワー合計は2万。相手は8千。普通ならこの攻撃は届きますが……。
「クリティカルトリガーでガードだ!ガード値1万5千!」
……手札からのガードで防がれてしまいました。
「次は俺のターンだ!ライド!」
その後もファイトは順調に進行しました。3点まで詰められた私はグレード3のサイクロマトゥースにライドし、イマジナリーギフト・プロテクトⅠを獲得。サイクロマトゥースの効果により相手に大打撃を与えて4点までもって行きましたが……。
「俺のターンだぁ!ライド!バッドエンド・ドラッガー!イマジナリーギフト・フォースⅡを獲得!ヴァンガードに!更にコール!コール!コール!」
相手は続々とユニットをコールしていきます。リアガードを埋めつくし、相手の盤面は整いました。前列にはバッドエンド・ドラッガーが3体、後列にはスナッパー・デビルが2体、リアガードのバッドエンド・ドラッガーの後ろに並んでいます。……これは……。
「ヴァンガードのバッドエンド・ドラッガーのアタック!後列のヒールトリガーをデッキに戻して、パワープラス5千、クリティカルプラス1!」
相手のバッドエンド・ドラッガーはフォースⅡの恩恵と自信の効果でクリティカル3まで上昇しています。ダメージ3まで受けている私はこれを回避しない限りは私は負けてしまうでしょう。
「!……ガードします!ランプリでガード!」
私はガード値2万のランプリでそのアタックを防ぎます。しかしドライブチェックがあります……。
「ドライブチェック……ゲット!クリティカルトリガー!効果は全てデッキ側……右側のリアガードのバッドエンド・ドラッガーへ!セカンドチェック……トリガーは無い」
どうやらこのアタックは凌いだようです。ですが次があります。
「左側のリアガードのバッドエンド・ドラッガーのアタック!ブーストしているスナッパーデビルの効果発動!ブーストしているバッドエンド・ドラッガーにフォースを全て移動させる!パワーは2万だ!」
これにより再びクリティカル3のアタックが襲いかかります。……手札からグレード1、ステルス・ミリピードを出して私はそれをガードします。
「ステルス・ミリピードでガード!ガード値は1万!よって合計2万2千でガード成功です!」
「ぐっ……だが、最後のアタックが残っているぜ!右側のバッドエンド・ドラッガー!スナッパーデビル!両者効果起動!これでプロテクトだけでも削ってやる!」
相手のバッドエンド・ドラッガーの最後のアタックが来ます。私は……。
「手札のプロテクトで完全ガード!コストはラバドラフです」
コストを払いプロテクトで最後のアタックを完全ガードします。
「……ターンエンドだ。とはいえお前の手札は1枚。それで何が出来るというのだ?」
……確かにガードにつかったせいで私の手札は1枚しかありません。……ですが、この1枚さえあればなんとかなります。
「私のターン、スタンド、ドロー。……これが私の切り札!ライド!真魔銃鬼ガンニングコレオ!」
サイクロマトゥースからガンニングコレオにライドした私は効果を宣言する。
「まずはサイクロマトゥースの効果!ライドされた時、あなたは1枚手札を捨てなければならない!あなたの捨てたユニットのグレード1につきガンニングコレオはパワー+5千!」
「ぐぅっ!……ワンダーボーイを捨てるっ!」
ワンダーボーイがドロップに落ちる。それに合わせてガンニングコレオのパワーが上昇した。
「更に!ガンニングコレオ登場時の効果!パワー+5千!ドライブ+1!相手は1枚デッキの上からカードをドロップゾーンに送らなければならない!」
相手のデッキトップからカードがドロップに送られる。グレードは3!
「……グレード3が落ちたわね……ガンニングコレオ!更にパワー+1万!ドライブ+1!」
どんどんガンニングコレオのパワーが上がっていく。でも、それだけでは終わらない。
「ガンニングコレオの第二の効果発動!グレード3をソウルブラスト!相手はデッキトップからカードをドロップに送らなければならない!」
更に送られるカード。ドロップに落ちたカードは……グレード0だった。
「このターン中、あなたはグレード0を手札からガードに出せないわ」
「……ぐ……」
「バトルよ!ガンニングコレオ!ヴァンガードにアタック!」
「の、ノーガード……」
ドライブチェック4!ファーストチェック!クリティカルトリガー!セカンドチェック!クリティカルトリガー!サードチェック!トリガー無し!フォースチェック!クリティカルトリガー!
「4点ダメージを受けて貰うわ!」
相手のダメージが一気に6点になる。このファイトは……私の勝ちだ……。ファイト空間が消滅して先ほどの路地裏に戻る。私の腕の剥がれていた人工皮膚も元に戻っていた。
「ぐっ……俺の負けだ……」
「……食材は返して……ああっ!?いけません!もうこんな時間です!」
私の体内の時計は午後5時30分。もうすぐご主人様が帰ってくる時間です!急いで帰らなければいけません!
「食材は返していただきます!では、さようなら~!」
「あっ!ま、待てっ!まだ話は……」
「聞いている暇はありません!」
彼が何か言っていますが気にしている時間はありません!さっさとご主人様の所へ帰りましょう!
「ただいまぁ。ラフィ?帰ってきたよ」
「お帰りなさいご主人様ぁ~!」
私はご主人様にぎゅっと抱きしめます。すりすりとご主人様を頬擦りです。
「あ、あはは……ただいまラフィ……ご飯はもう出来てる?」
「はい!今夜はご主人様の大好きなカレーですよ!」
「カレー!?やったぁ!」
ふふ、ご主人様ったら晩御飯がカレーとわかった瞬間、目を輝かせましたね。
「じゃあ、ご飯を食べたら明日はおやすみですから、一緒にファイトしましょう!」
ご主人様は「うん!」と頷きます。ふふ、ご主人様、かわいいです。……ご主人様、ずっと一緒ですよ。私があなたを守ってあげますからね……。
「さぁ、召し上がってください!ご主人様!」