再構成の新世界 融合世界『インフィニット・エターナル・ギア・ライダー』 作:金宮 来人
『そこの不審者三人!抵抗せずに装備を解除しなさい!!』
不時着したアリーナで三人でお互いを確認していた俺【イチカ・ダインスレイフ】たちはその放送と共に飛び出してきたISに銃を突きつけられて囲まれていた。
「おい、そこのえっと・・『仮面ライダー』?とやら、話はつけるからここはおとなしくしよう。俺もこの機体は解除するから。」
「あぁ・・、そっちはISだもんな。一番危険視されてんのそっちじゃないのか?」
「そうか、一人だけ明らかに全身装甲で顔まで見えないし不審者だな。」
二人してこっちをやり玉にする。
「仮面付けてる貴様らに言われる筋合いではない!!」
そう叫んでISを解除する。スーツはIS用の特殊スーツ、『零式装者強化装備』の状態になる。色はメタリックの青の各部金属パーツに、胸部などにピッタリくっ付いた蒼の被膜が胸板の筋肉や腹筋をしっかり浮き出している。
[マブラヴの零式衛士強化装備の形状]
「「そのスーツはアウトだろ!!」」
「やっかましい!!性能重視だ!正直、作り変えようと思ったが一番性能がいいのがこれなので変えれないんだ。」
そして、周りを囲んでいたIS操縦者は俺のその姿を見てすっごいじっくりと嘗め回すように見ている。目が見開かれて、、・・生唾を飲む音さえ聞こえた、放送用のスピーカーから。
おい、そっちの二人も解除させろよ。俺を辱める状態をやめろ。
「さっさとそっちも解除しろ!!」
『はっ!?そ、そっちの二人も早く解除しなさい。』
「別にこっちは普通だからな。」
「あんなドギツイものは期待しないでくれ。」
一人はベルトからUSBの形状のものを抜いた。するとすぐに姿が男子用なだけのIS学園の制服になる。
もう一人は二つの何かを抜いたら音声と共に変身が解けた。
姿は普通の黒が基調の服。ハイネックなのが印象的なだけだ。
「・・しかし、どういうことだ?」
俺はそうつぶやく。だって、三人の顔はそっくりなのだから。目つきや髪形はそれぞれ違うが、それを抜いてもおかしいほどのそっくりな顔、身長、体系。
『貴方たち、三兄弟なのかしら?』
「「「いや、初対面。」」」
そう声が一緒にかぶっていた。
『というか男の子よね・・。まぁいいわ。私は生徒会長よ。貴方たちを一時拘束します。そこにいる人たちについてきなさい。下手な真似はしないことね。』
「分かったよ。生徒会長・・この声は更識。あぁ、簪ではなく・・楯無の方か。」
『そうよ・・。まったく、どこまで情報を知っているのかしら?聞かせてもらうから。』
そうしてアリーナ内に入って生徒会長に話をして、俺達は生徒会室に招待された。
学園長に会うのかと思ったが今日は出張中で、今、緊急で戻ってきている途中らしい。
「所で・・聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」
「なんだ?お前が生徒会長と知っていたことか?」
「それも気にはなるし、妹・・簪ちゃんのこともだけど・・それ以上に今すぐ聞かなくちゃいけないことが一件あるわ。」
ふむ・・気が付いたようだが、俺は知らんふりをしておこうか。相手の性格を見るためにもなるし・・どの程度、女尊男卑に染まっているかもわかる。それによって世界の危険度も把握できるしな。生徒会長すら染まっているなら俺はひきこもるだろうな。
「なんだ?何か問題があったか?」
「あなた‥気が付いて言ってるんじゃないの?」
「何のことだ?わかるように言ってくれ。」
「・・まぁ、いいわ。それにしても上空で拾った音声から女性がいると思ったのだけど、三人しかいないのかしら?誰かからの通信?」
「何のことだ?俺達はアリーナに三人で降ってきたぞ?」
「それもおかしいのだけどね。」
そう、俺達とは俺の他に【アナザーイチカ】と織斑一夏の『三人』だった。
「そもそも俺たちはこの世界に飛ばされてきたんだからもう少し、疑うとか慎重に扱うとかないのか?普通にお茶と茶菓子が出てきているが、・・ずず・・ふぅ。」
俺は目の前の茶に手を伸ばして、茶と湯飲み自体を錬金術の鑑定で成分の確認して毒物が検出されないことを見てから口に含んだ。鼻から空気を入れて風味をしっかり味わってから飲む。うまみと甘み、それから渋みと苦みがそこそこいいバランスだった。
「・・おそらくは、あなたが特別な存在と言うことだと思うんだけど?」
「知らんな。」
俺は肩をすくめる動作でしらを切る。
「そうですか・・。」
そう言ってため息をつかれる。まぁ、そんなもんだろう。
他の二人はそんな俺を見て驚いていたが、この世界に来てからさらにアップデートされて錬金術の精度が上がり、毒物の検出法はわかるようになった今は怖い事は無い。できることなら前の世界でアップデートをしてほしかったとは思うが・・。
「ふん・・、まぁまぁだな。」
そう言ってもう一度茶を口に含んだ。
それと共に俺はアキレウスを通して、キャロル達に『仮面ライダー』という物を調べさせる。
アップデート共に少しの知識はあるが、詳しい情報がないかこの世界内を調べさせる。
ISネットワーク上に情報が転がっていればいいのだが。
◇
この三人はいったい何者なのか、そう私【更織楯無】は考える。
目の前で一人だけ優雅にお茶を楽しむ余裕があるこの男、それからあと二人もそっくりで全員が同じ名前を持っているというよくわからない状況。
いったい何があってこんなことになったのか分からない。
突如、空が光ったかと思ったらアリーナ周辺に異常なエネルギー反応があると警報が出て、それの対応に向かうとそこには三人の男子。
しかもなぜかこの学園の制服を男子学生用にしたような服を着ている。
一番おかしいのは目の前の少年、『イチカ・ダインスレイフ』くん。
自称で錬金術師と名乗っているし、さっきもいきなり空中によくわからない文字や光が現れたし、・・本当におとぎ話やファンタジーの錬金術師ってやつなの?
並行世界から来たとか言ってたし・・、まだどうなるかもわからない状況で余裕にお茶を飲むほどの気軽さ・・ありえない。
それからあと二人、『織斑一夏』くんと『アナザーイチカ』くん。この二人もおかしい。
【織斑先生には弟はいても、『一夏』と言う名前ではない。】
故に、さっきの話を信じるとしたらの仮定なら、この人たちも他の並行世界同士での同一人物で、何かしらの原因でここに集められたというのが正しいのかもしれない。
今はどうにもできないが、話を聞いておくだけでもした方がいいだろう。
「そっちの・・アナザーくん?だっけ。君はこの二人と同じように織斑一夏君と言う事かな?」
「あぁ?オレは違う。正確には『違った』というべきなのかもしれないが、もとはウィルスの一種であるバグスターと言われる存在だ。【クロノス】・・実際の俺の世界の織斑一夏だった奴だが、そいつが俺を取り込んで体をつけて再構成してオレと言う人間に作り替えたんだ。さっき言ったが、『クロノス』と言うのが正確には俺の世界の織斑一夏だ。昔に姉である織斑千冬に捨てられて、死にかけたところから体を改造し、ドイツで強化した際に遺伝子もいじったそうだ。それでも残っていた織斑一夏の遺伝子や体の生態構成物を受け取った。今の体はその時に造られた体だ。」
「一緒に言っておくが、俺は普通に織斑一夏だ。並行世界の織斑千冬の弟で相棒のパラドと一緒に世界を回っていた。・・そもそも、俺はもう大人だったんだがなぜか若返っているんだ。年は二十五だったはずなんだがな。これもどうしてかはわからん。と言うことで、他の二人と違って俺は普通だから。」
一人は全く普通の人間がいて少しほっとした。一方でアナザー君は訳が分からない。
情報をまとめて通信しようと思ったけど、こんがらがってまともな情報に思えなくなってきた。
「自称、錬金術師と、コンピューターウィルスと、正義の味方とでも言っておけ。」
ダインスレイフ君がそう目をつむったまま言う。
「正義の味方?・・どういう事?」
「そこの一般庶民を気取っている織斑一夏は、ISに並ぶ装備を有していた。それを仮面ライダーと言う。正義の味方として怪物と戦って人を守っていたんだ。何故俺が知っているかと言えば、今さっき、地球の記憶の図書館、世界のアーカイブに潜って探ってきた。目を閉じてお茶を飲んでいたが、その間にすることはしていたぞ?俺からしても謎に人物だからな。クロノスとやらについては‥、まぁ、面白い事になりそうだから黙っておこう。」
「あなた・・一体それはどういう事?何でもわかるってことなの?」
「キーワードさえあればな。錬金術師の基本は【分解と構成】。世界すらもその構成を一度最小まで分解して再構成すらできる。理解さえすれば、何でもできるものだ。」
そう言って目の前にあった湯飲みを逆さに振る。飲み切ったらしく、中身は何もない。
それをテーブルの上に置いた。逆さに置いたので中は見えない。
「空気中の水分の把握、空間内の物質の掌握、移動、固定、原子分解、分子結合、再度固定、液状化のまま形を固定、分子温度低下、凍結、結晶化、・・できたぞ。」
湯飲みを上げた目の前には、
「・・こ、氷でできた像?」
しかもこの氷像・・、何か構えたポーズで・・て、
「簪ちゃんじゃない!?なんでここまで寸分たがわぬ形で出来るの?!」
何か手にクリスタルのような小さな何かを構えてポーズをとっている私の愛する妹、簪ちゃんだった。
「俺の世界の更識簪だ。なかなか面白い性格してたし、上を目指す方向さえ違えば優秀だった。まったく同じ舞台に立とうとするから無理があるだけで、それぞれにあった方面があるのだよ。」
そう言うと湯飲みをまた上に構える。
「掌握、結合液状化、沸騰、温度低下、・・白湯もこうして思いのままだ。」
何もなかった湯飲みからお湯が湯気を上げていた。
「空気中の水素と酸素を結合して水分子を作り上げてそれを液状化するまで集め、分子を動かせば沸騰、止めれば凍結する。それを思いに操れるのは知っているから。この世界で、世界を解き明かし、それの知識を取り入れた俺を敵に回すのは・・不都合だろうな。」
そう言って湯気が上がる白湯を飲み干した。
彼が言う通りなら、おそらくここにいるメンバーは扱いを間違えるととんでもないことになる。そう考えていると、席に座り直して帽子の位置を直しながらダインスレイフ君がこっちに顔を向ける。
「あぁ、そうだ。ここにいる奴ら全員が男でもIS動かせるから。」
「はぁああああ!?そう言えばそうだった!?面倒ごとが増えたわ!?」
そして、とてつもない爆弾を落とされた。
ではまた次回。