再構成の新世界 融合世界『インフィニット・エターナル・ギア・ライダー』 作:金宮 来人
【アナザーライダー】・・。
それは、【実在しなかったはずの、可能性のライダー】。
居るはずがない、この人のはずがない、そういう事をする存在じゃない。
それを秘めたある意味で、あらゆる意味を秘めたライダーと言えるであろう。
「それが、急に現れた。そして、それは【仮面ライダージオウ】の敵たる存在だ。」
「それが・・なんで現れたかって言うなら・・、ジオウがいるからじゃないのか?」
アナザーの名を持つ存在、アナザーイチカがそう質問をする。
「いやぁ、そいつは違う。ジオウが居るからそいつができたのではなく、【そいつの存在があるからジオウが生まれる運命にあった。】と言う事かもしれない。未来確定の過去への逆流事項だ。いわば、タイムパラドックスが起きないように確定した事項は起きることが未来で決まっているパターンだ。例えば、俺は水を飲んだ。それは、さっき軽く運動したからだからだが・・、逆に言えば【水を飲むことが決まっている。なら、その水を飲む理由になる行動を起こすはず。】という事象が決まり、俺は結果的に運動という行動を起こしたのかもしれない。未来が決まっていて、その道中が後から書き足されたようなものだ。」
「はぁ・・。」
「ダメだコイツ!全然全くちっともわかってない!!」
アナザーイチカの顔を見て、エボルトが俺にそう叫んだ。
「面倒な説明は省け。とりあえずだが・・アナザーライダーが存在する。そして、それはジオウによってしか倒せない・・。だが、俺はもう一つ気になることがある。」
「【クロノス・ジオウ・オウマ】の事でか?」
そう言われて俺は指を二本立てた。
「二つある。一つ、【オウマの会社】はどうやって仮面ライダーとISをくみ上げったのか。それができるならほかの機体もできたはずだ。もう一つが大きな疑問だ。」
「それ以上に疑問だと?」
「一個目は束が関与しているなら話はそこで終わる。奇跡的に一個目がコアとライダーシステムがあった。それだけだろう。だが、・・オウマはどうやって【ジオウⅡ】を手に入れたのか・・。」
俺が言うと顔をひきつらせたエボルト。疑問形のアナザー・・。
「あぁ、オレと一夏をぶっ飛ばしたやつな・・。アレがどうかしたのか?」
「・・【ミラーワールド】・・か。」
「なんだそれ?」
本格的に駄目だコイツ。
「ミラーワールドは、仮面ライダー龍騎に出てくる鏡の世界。もう一つの向こう側の世界で、そこにモンスターが存在している世界だ。龍騎たちはそこのモンスターと契約し、最後の一人になるまで戦い残った一人が願いをかなえることができるという世界のライダー。その舞台の世界に行かなければ【ジオウⅡ】は・・もう一人の自分とは会えないはずだ。」
事実、第二の自分は存在する。
それは異世界の自分ともいえる存在。
ある意味ではここに居る【織斑一夏】を元にした存在はそれぞれがアナザーともいえる。
その【中でも一番に本物に近い存在】をここでは【アナザー】と言えるだろう。
しかし、【ジオウⅡ】はミラーワールドのもう一人の自分と会い、お互いを認めて初めて手に入れる力。つまり、
「クロノスは龍騎のライドウォッチを持っているということに成るな。」
「何らかの理由があって、ミラーワールドに行った・・と言う事だろうなぁ。」
それをエボルトと一緒に考えていた。
「それってさ、この世界の【篠ノ之束】が関係しているとかないよな?」
「「!?・・・・ソレだ!!」」
気が付いたのはアナザーだが、確信が持てる。
「【Through the Looking-Glass, and What Alice Found There】・・【鏡の国のアリス】か・・。」
「見事にマッチする。つまり、ミラーワールドが先で、ライダーシステムとISが後と言う事だ!くそ・・。時間軸の話をしたというのに・・根本の話が前後逆だったとは・・。」
「あぁ・・。そうなりゃ、ミラーワールドとジオウⅡの事に、ライダーとISも束博士が関連してつながる。まぁ、そういうこったなぁ・・。」
そう言いながら頭を抱える俺とエボルト。
そして、自分で言っておいて、未だに意味が分からないと言う感じの顔をしたアナザーイチカが非常にむかついたのだった。
「クロノス・・お前、【龍騎】のライドウォッチを持っているのか?」
「龍騎・・?あぁ、あのウォッチの事かな・・。えっと、・・あった。コレかな?」
そう言って取り出したのは紛れもなく【仮面ライダー龍騎】のウォッチだった。
「何故、このウォッチを持っている?」
「話せば長くなるのだけど・・、概略だけでいいかな?」
「あぁ、入手した時の話が分かればいい。細かい話は必要としてはないが・・、疑問があれば聞かせてもらう。」
「分かった。これは、ISに乗る前・・会社の見学に行った時の事だ・・。」
◆
「ん?今、人がいたかな?」
通路を通っていた時に、ふと人の気配を感じた気がした。
でも、そこには誰も居ないはずだった。カードキーで入る認証の部屋。入室記録で誰も居ないのを確認して入ったのだから。
おかしいと思って覗きに行くと、そこには誰も居ない。
しかし、ひとつだけおかしい事がある。
誰も居ないはずの部屋に動いた状態の【チェス】が置いてあり、こけた黒いポーンの駒が揺れていた。それは姿見の大きな鏡が置いてあるすぐ横にある机の上。
どう見てもそれは今までチェスを打っていた人がいるような動き。
揺れる駒を退けて、次の一手を打つ。
「f6にポーンを前進。」
すると、急に盤上の駒が動いた。誰の手もなくe3に白のポーンが動いたのだ。
まるで誰も居ないのに動く機械のチェスの様だ。驚きながらも駒を進め結果として、
「チェックメイトか・・。」
勝つことはできず、完全に詰みの状態になった。
すると、横にあった鏡に映った自分がこちらを見た。自分とは違う動きでこちらへと歩いてきた。そして手を掴み引っ張ると、鏡の中へと引きずり込まれた。
そして、気が付くとそこは今までいた部屋と一緒に見えるが、全ての配置が逆、文字も逆さ、そして、目の前にいる自分の姿をした人物もボタンや服の胸ポケットが逆だった。
「初めまして・・。【もう一人の僕】。」
「君は・・一体・・?」
そう言って習っているボクシングの構えで警戒した。
「そう構える事は無い。別にチェスで負けたからと言ってどうこうする訳じゃない。ただこの世界に呼ぶための鍵なんだ。」
「鍵?」
そう言って見回すと、部屋のあらゆるものが逆だった。
部屋の配置、カレンダーの文字、時計の数字も針の回りも・・。
「ようこそ、鏡の中の世界、【ミラーワールド】へ。ここへ呼んだのは他でもない・・。ある人物を救ってほしいんだ。」
「ミラーワールド?ある人物?話が見えない。」
「大丈夫。順を追って話すよ。ただ・・移動しながら話すことにする。時間が無いんだ。」
そう言ってドアから出て手招きをするもう一人の僕。追いかけて並ぶ。
「先日、この世界へ迷い込んだ人物がいるんだ。だけど、ミラーワールドは反転した別の世界。いわゆる異世界なんだ。そこに生きるには資格が居るし、適合できないと消えてしまう。」
「消える!?それじゃぁ僕は・・」
「それなら大丈夫。君には僕が居る。どちらかが消えない限り、大丈夫だ。だが、普通はそうじゃない。自分になり替わろうとする存在も居れば、自分を消そうとする存在も居る。さらに、鏡の中には不可思議な存在が居ると聞いた事は無い?アレは本当で、それはミラーモンスターと呼ばれるんだ。契約をしていれば問題ないが、基本的には人を襲う。彼女はそれから逃げたが外へと出れなくなっている。その人を助けてほしいんだ。」
そう言いながら少し速足で歩く。そこは駐輪場になっている。一台のバイクを引っ張り出し、エンジンをかける。
「乗って。少し遠いんだ。」
そう言われて後ろに乗りヘルメットをかぶる。
「それじゃ行くよ・・。」
そう言って走り出す。ヘルメットの中にもスピーカーとマイクがあるのか声が聞こえてきた。
「彼女は橋に追い込まれているみたいだ。匿っていた所もモンスターに見つかったみたいだね。急ぐからつかまって。」
「いいけど、僕にどんなことをさせるつもりなんだ?」
「それは君になってもらうのさ・・」
「正義の味方【仮面ライダー】に。」
道路を走っていると前方に橋が見えた。最近できたばかりの大きな橋だ。
だが、町自体も逆らしく道順も逆方向に走ってきたらそこに付いた。本当にすべてが逆なのだろう。
そして、橋の手前でアクセルを吹かして加速する。
見ると前方には動く影が・・。
「それじゃひいちゃう・・」
「アレは、ミラーモンスターだ。むしろ轢いて倒したいが・・効かないんだ。」
そう言ってハンドルをきり、橋の欄干へと向かう。
「しっかりつかまって!」
「え、うん!?」
そしてバイクが飛んでうじゃうじゃと衣類業の化け物の上を飛び超えた。
「間に合った!」
バイクが着地して進むと橋の真ん中に女性が居る。その下の川にも異形の化け物が居た。
「もう・・ダメか・・。」
「大丈夫!間に合ったよ!【束さん】!!」
「えっ!?あ、クロ君・・とクロ君!?クロ君が二人!?」
目の前には白衣を着た上に何故かうさ耳バンドをつけた女性が居た。見たことがある・・たしか・・、
「世界から追われてる、篠ノ之束博士・・ですよね?」
「あ・・うん。でも、この世界に来てどうしよもない無力なのを思い知ったよ・・。」
そう言って落ち込んだ顔をする。
それが初めての出会いだった。