【萌え声クソザコ装者の話 ・三次】   作:米ビーバー

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三次創作はご自由にどうぞ と言われて食指が動かないはずがなかった。

だがビーバーはシンフォギアの登場人物をトレスできるほどループ視聴していないアニメ視聴者である。


なので「シンフォギアと全く関係ない人物」でティンと来た相手がたまたまいたので、掘り下げてみることにした

以上、この作品が出来上がった経緯でした()



** 注意 **

この作品はシンフォギア二次【萌え声クソザコ装者】の三次創作です。先に元となった作品

【萌え声クソザコ装者】https://syosetu.org/novel/166402/(作:青川トーン氏
)を読んでおくことを必須としておきます。


**    **


もしかこのキャラが掘り下げられることになったら本家様困るだろうなと思ったので一応メールでやり取りして「いいですよ」と許可を得たので垂れ流してみる(言い訳&理論武装)




『 ミズクラゲだったわたし / ダンゴムシのわたし 』

『こんばんおりん~』

 

 今日も画面の向こうで声が響く。ネガティブなのかポジティブなのかいまいちわかりにくい声。

「おりんだ!」「おりんりーん!」

コメントがすごい勢いで流れていく。

 

『今日はね、毎度いらっしゃるダンゴムシどものために、お歌を歌って行こうと思います』

「視聴者をダンゴムシ扱いするなww」「嘘だゾ、自分が歌いたいだけだゾ」「ダンゴムシに歌を聴かせるのが趣味の女」

 彼女の配信に出会ったのは、偶然だった。彼女は自他ともに認めるクソザコメンタル(自称)で、「よわよわ」というと「だれがよわよわじゃい!つよつよですよ!」と虚勢を張って、コロコロと変わる表情と、ウォッチャーにケンカを売っていくスタイルでそこそこの人気を博している。

 彼女はよく、自分のファンを「ダンゴムシ」と称している。

自分は日陰の人間で、日陰の人間の傍に寄り集まるのは、石の下の日の当たらないジメジメした場所で生きてるダンゴムシだ という事なのだとか。

 

 ―――だとしたらきっと私はミズクラゲだ。

 

 日向に憧れているけれど、日の当たる場所に居続けたら干からびてしまう。けれど日陰で居たいとも思わないから、日向のみんなに迎合した“振りをして”、日向に居続けている“振りをする”

フワフワで、グニャグニャで、芯がない。そんな私に、彼女の配信はとても新鮮で、鮮烈で、そして優しかった。

 

 彼女もつながりを求めている。でもそれは恒常的なものではなくて、もっと優しくて都合のいいつながり。

 

来るものは拒まない。去る者を追わない。繋がっている間は気にかけてくれている。

 

『よーし気分乗ってきた。BLやりまーす』

「やめろ」「やっぱりおりんはおりんだった」「視聴者に試練を課していく女」「考え直せ」「俺たちを解放しろ」

 

―――気にかけてくれている……のかな?よくわからなくなった。

 

 

******

 

 

 彼女も日向に憧れている。燦燦と輝く太陽、ツヴァイウィング。その片翼、風鳴翼さん。

 

彼女のそれは憧れというよりも、“崇拝”と言っていい。過去に彼女は「救ってもらった」と言っていた。同時に、自分の境遇を、時にシリアスに、時に冗談めかして語っていた。

 笑い飛ばす人もいた、同情する人もいた、慰める人もいたし、罵倒する人―――はIP晒されて通報されてBAN喰らってた(絶句)

 

 彼女に惹かれて、彼女の配信を楽しみにしている顔も知らないみんなは、彼女から「ダンゴムシ」と揶揄されて、それでも笑っている。

 

 ―――心地良いのだ。彼女の声とともにある時間が

 

 わたしはどっちつかずのミズクラゲ。日向に憧れても表にずっとは居られない。苦しくて息が詰まった時、日陰があるから助かっている。

 きっとみんなそんな感じなのだろう。彼女という日陰に、救われているんだ

 

 

******

 

 

 現実(リアル)の私はどっちつかず。コーモリみたいにふらりふらり。

陽キャの方々お疲れ様。愛想笑いで誤魔化して、必死で日向で居続ける。

 

 だって現実(リアル)では陰キャでいるだけで周囲から浮いてしまう。クラスの中でその辺りだけ、どうしても影が生まれている。何処まで行っても暗がりで、陽キャの影で霞んで消える。誰の記憶にも残らない。

 

―――それは嫌で仕方ないから、誰かと繋がっていたいんだ。

 

―――怖いから。ひとりぼっちで居たくないから

 

―――だけど日向に居続けたら、わたしは干からびてしまうから

 

 

『こんばんおりーん』

「おりんだ!」「おりん待ってたよー」「開幕の萌え声で勘違いさせて来る女」「みんな気をつけろ、おりんが開幕優しい時は危ないんだ」

 

―――だから今日も彼女を求めるのだ。

 

 

『はっはっはー。カンのいい視聴者の諸君。残念だったな。今日はBLゲーではない。ゾンビゲーですよ』

「グロ中尉」「おりん大丈夫?前みたいにゲロ吐いたりしない?」「萌え声でゾンビを容赦なく撃ち殺していく女」「おりんのエイム力が試される」

 

―――求めたものが違ってるパッケージ詐欺も割とよくある、よくある……。

 

 

******

 

 

 ツヴァイウィングの一人で、おりんが崇拝する風鳴翼さんの公式アカウントからおりんがフォローされていた。

 

一体何があったというのだろう?あまりの出来事におりんがホットワードになり、ハッシュタグが荒ぶり、コミュメンバーが1万を超える事態に発展していた。

 この事態に誰より動揺してたのが、当のおりんだから、私たちは冷静でいられたけれど―――これは一連の騒動の発端でしかなかった。

 

 

*******

 

 

 彼女を遠くに感じるようになった。

配信の間隔が長くなって、時折彼女がわからなくなる。そんな不思議な感覚を覚えるようになった。

 

―――既視感から来る違和感 というものらしい。

 

それは、長年おりんと付き合ってきた熟練のダンゴムシの皆さんもそうだったようで、おりんスレのコメントログでも、彼女を心配する様子が流れている。

 

風鳴翼さんとやり取りをするようになってから、彼女の周囲に人が増えた。

彼女のリアルの知り合いらしい“うたずきん”もそうだ。

 

ひょっとしたら、彼女は日陰で居られなくなってしまうのだろうか?

 

―――ミズクラゲの私は、蒸発してしまうのだろうか?

 

それはしょうがないことだ。私は日陰が愛おしくて、安堵して、ミズクラゲで居続けることに安心してしまったただの臆病者なのだから―――

 

 

―――でも、彼女は彼女自身が嫌っていた日向に顔を向け続けることが、できるのだろうか……?

 

 

******

 

 

『私は日本政府、特異災害対策機動部所属のシンフォギア装者!加賀美詩織!この事態の収束の為、観客の皆さんは冷静に、迅速に避難してください!』

 

動画サイトでライブ会場に現れた謎の空飛ぶ変身ヒロインが話題になっていた。

 

「これ、おりんじゃないか?」「声が似てる」

 

コメントログに流れた言葉に、私の頭はパニックだった。

 

 

 だってこんなの、彼女と正反対じゃないか。

 

彼女は日陰で、ダンゴムシと会話しているのが性に合っているなんて言う奇特な萌え声闇生主で―――

 

「―――加賀美詩織って、ウチのクラスの加賀美さんと同じ名前だね」

「いやぁ、流石に同姓同名っしょー?」

 

―――何も考えられない。頭が真っ白で、今自分がどうしているのかもわからない。

 

海面をふよふよ漂っているようで―――どこにも染まっていなくて―――

 

 

―――わたしは、結局無色のミズクラゲで―――

 

 

『こんにちは、皆さん。私は特異災害対策機動部に所属するシンフォギア「イカロス」の装者、加賀美詩織と申します』

『私個人の事になるのですが、私は配信者「おりん」としてネット上で活動していました。これは事実です。昨日の事件の現場にも風鳴翼の一人のファンとして居合わせていました』

 

 

―――覚悟を決めた彼女の顔が、眩しすぎた。

 

 

******

 

 

―――おりんはおりんではなくなって、“加賀美詩織”になった。

 

彼女の口から淡々と説明されていく。今までのこと

波乱万丈にも程があるジェットコースターのような数か月間。いつもの配信の裏側で、彼女は様々なことを経験して、時に戦っていたんだ。あの時のライブのように

 

 

―――わたしとは、全然違うなぁ

 

 

 私が感じたのは疎外感。隔絶されてしまったような、どうしようもない、おりん―――加賀美詩織さんとの距離感だった。

 

こうして否応なく日向に引きずり出されてしまった以上、もう彼女は今まで通りではいられない。そういう事なのだろう。

 

 

『こうしてノイズと戦うとやはり目の前で救えなかった命なんてものもあります、私が最初に救えなかったのは同じ機動部の1課の隊員さん達でした。避難通路の確保の為に命を張っていた方々でした。いくらノイズと戦えるとはいえシンフォギアは現状、ごく限られた数しか存在しません。やはり間に合わない時もあります、救えない人も居ます。ですけど、装者の方々を責めるのはやめてください、皆、等しく命を張って戦ってます。不満ややり場の無い怒りは私が受け止めます、それが私の、広報としての、「日陰を作る者」の務めです』

 

 

―――そこには「覚悟」があった。

 

他の実働部隊の方々、名前の公表されていないシンフォギア装着者たちを護るための日陰を作るという自負があった。

 

―――やっぱり彼女は変わっていない。

 

確信した。

彼女は立ち位置を変えただけで、彼女の護りたいものを護ろうとしているだけなんだ。そしてその中にはきっと私たちも含まれている。

 

―――わたしは、彼女に護られるほど、大層な存在なのだろうか?

 

自問する。答えは出ない。

 

 

******

 

 

『明日から学校に復帰するので、ちょぉーっと今日の配信で気合入れようと思います』

 

目を疑った。

現実《リアル》でおりんに、“加賀美詩織”に会える。

鼓動が高鳴った。どうしようもなく興奮していた。

 

 

―――臓器もなんにもないはずのミズクラゲに、心臓が生まれた。

 

 

 

******

 

 

「…あれ、もしかして…」

「加賀美詩織さんだ……」

「復学したんだ……」

 

 一人教室の席で始業時間を待つ加賀美さんを遠巻きに、皆ヒソヒソと話をしている。気にはなるけど、話しかける勇気はないという感じだ。

でもこの空気の中話しかけるのは周囲から浮くことを覚悟しなければならない。 

 

「…話しかけても大丈夫なのかな?」

「ちょっと怖いよねぇ」

「そんな事言っちゃダメだよ、私達の為に戦ってくれてるんだから」

「いやいや加賀美さん自体じゃなくて後ろの政府とか……」

「その前に加賀美さんめっちゃ勉強してるんですけど……話しかけたら迷惑じゃない?」

 

 

―――勇気が出ないわたしは、もう捨てた。今の私はミズクラゲじゃない。心臓の生えたミズクラゲだ。

 

 

「あのっ!加賀美さん!」

 「この間のライブの時は助けてくださってありがとうございます!ノイズが現れた時はもうダメだって……」

「それでも、ありがとうございます!」

 

―――最初の一人目は奪われてしまった。チャンスを目の前にぼーっとしていたらこのザマ。笑えなさすぎて足が勝手に前に踏み込んでいく。

 

「おりんさんのファンです!サインください!」

 

―――やった。

 

―――やってしまった。 何で私色紙とサインペン取り出してるの?サイン強請ってるの?陰キャカミングアウトしてるの?馬鹿なの?死ぬの?

 

 

「ええと、なんて書けばいいんでしょう。サインなんて初めて書きますよ」

 

 

 通じた!!嬉しい!!死んでもいい!やっぱダメ!死んだらおりんの配信聞けなくなる!!

 

 

「ホントですか!?じゃあ私が世界で初めておりんさんのサインを得たファンになるんですか!じゃあ「ファーストダンゴムシさんへ、おりんより」でお願いします!」

「ええ……?」

 

 色紙に可愛いダンゴムシのイラストとサインをもらって、気分は最高だった。

その後、私に続くようにしてクラスの何人か、果ては上級生まで巻き込んで「おりんのファン」がサインや握手を求めて殺到し始めた。

 

―――知らなかった。ダンゴムシって結構いるんだね……。

 

 

 

 今日は記念日。私の記念日。

 

貰ったサインを部屋に飾って、神棚みたくデコレーション。パンパンと手を叩いて拝む、拝む。

 

ミズクラゲは卒業します。今日から私はダンゴムシだ。

 

―――グレードは上がってない気がするけど、彼女の日陰に護られながら、彼女を守れるようになりたい。

 

守り、守られ、そんな関係。カミングアウトしたダンゴムシの皆さんとも、重くつっかえてたナニカを吐き出してスッキリして、改めて友達になれた。

 

このご恩はきっと返して見せる!具体的には考えてないけど。

 

 

 私が、私たちが、彼女が背負っていたとんでもないものを理解するのは、これからさらに暫くの後。

 

 

彼女が―――ウルトラ●ンになって戦うところを見てからになる。

 

 

 

 

―――いや、ウルト●マンだと男なのかな?まぁ、どうでもいいか

 

 

 




支援SSくらいのノリで書いたので今はこれが精一杯(カリオストロ感)
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