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デート・ア・オルガ ~プロローグ~
『団長!車の用意出来ました!』
ライドの声が商会の中で響く。
『おう、じゃあな』
『はい、お気を付けて』
オルガとクーデリアが笑顔で別れの会話を交わす。
別に寂しくない訳ではない。
しばしの別れとなると寂しい気もしないわけではなく、彼らが鉄華団が乗り越えて来た、地獄に比べれば、なんてことはない。
そう思いながら、オルガとライドの二人は、車が用意されている、出口に向かって歩き始める。
すると、ライドがオルガに話しかける。
『なんか静かですね。町の中にはギャラルホルンもいないし、本部とは偉い違いだ』
『火星の戦力も軒並み向こうに回してんのかもな』
『まぁ、そんなのもう関係ないですけどね』
『上機嫌だな?』
『そりゃ、そうですよ!みんな助かるし、タカキも頑張ってたし!俺も頑張らないと!』
上機嫌に話すライドにオルガは『あぁ』と頷く。
確かにそうだ。彼ら鉄華団は地獄のような戦いを何度もくぐり抜けできた。
それがようやく終わろうとしている。
犠牲は出てしまった。
しかし、今まで積み上げてきたことは無駄にならずに済んだ。
だからその犠牲になった仲間の分まで生きていこうとそうオルガは心に決めた。
そして車の待つ出口に向かいドアを出たそのとき____
キキィィィィッ ガチャン
車の急ブレーキ音とドアの開く音が聞こえた。車内から銃を構えた男達が現れ、オルガ達に向けて発砲し始めた。
これに応戦したオルガは仲間を守ったが死んでしまった。
仲間に思いを残して...。
『.....だからよ、止まるんじゃねぇぞ.....』
その後鉄華団は壊滅した。こうして必死に生きるために戦い続けた少年達の物語は終わった。
◇
_____少年は息を呑む。
非現実的過ぎる光景が少年の周りに広がっていた。
消し取られたかのような街並み。
隕石でも落ちてきたかのような、巨大なクレーター。
後ろで倒れ込んでいるオルガ。
たちの悪い白昼夢のような馬鹿げた景色。
だが士道はそれを朧気にしか見ていなかった。
____そんなものより遙かに異常なものが、士道の目の前にあったからだ。
その異常なものは、少女だった。
奇妙なドレスを纏った一人の少女。
その異常な少女が士道の目の前に立っている。
「____ぁ」
呆けたような声を発する。
例え、周りがどれだけ異常な要素でも、不純物に成り下がってしまうくらい、それほどまでに目の前の少女の存在は圧倒的だった。
布のような、金属のような、不思議な素材で構成され、そこから広がる光のスカートは士道の目を引いた。
しかし、少女の姿容は、それすらも脇役に霞ませる。
肩に腰に絡み付くように煙るは、長い闇色の髪。
凛と蒼穹を見上げるは、不思議な宝石のような双眸。
女神にさえ嫉妬を覚えさせるであろう貌を物憂げに歪め、静かに唇を結んでいるその様子は。
視線を、
注意を、
心をも、
_____一瞬にして、奪い去った。
それくらい、
あまりにも、
尋常でなく、
暴力的なまでに、美しい。
「___君、は」
呆然と。
士道は声を発していた。
少女が、ゆっくりと視線を下ろしてくる。
「.....名、か」
心地のいい調べのような声音が、空気を震わせた。
しかし。
「____そんなものは、ない」
どこか悲しげに、少女は言った。
「_____っ」
そのとき二人の目に交わり、___二人の少年と少女の物語が、始まった。
そのとき。
二人の目に交わり、――二人の少年と少女の物語が、始まった。
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