三日月「士道、そんなことあったんだ。あそこにいたのもそう言うこと?」
士道「ま、まぁそうだな」
オルガ「なぁ士道。前回俺本編でノルマ達成できてなかったよな?」
士道「ノルマって『キボウノハナー』って奴のことか?」
オルガ「そうそれだ。なんか本編でしねぇとよ。止まれない気がしねぇんだ。だからもしかしたら今回もそんなことあったりとか.......ピギュ(三日月が無言で胸倉を掴む)。........離しやがれ!!」
カチャ(三日月が銃を構える)
オルガ「......すみませんでした」
三日月「謝ったら許さない(パンパンパン」
キボウノハナー オルガ「......だからよ、止まるんじゃねぇぞ......」
士道「な、なんか怒濤の流れだな.......。ってかまたここでオルガが死んだってことは.......」
三日月「うん、今回もオルガは死なない」
士道「やっぱりそうかよ!ま、まぁ、だ、大丈夫だよな.......?と、とりあえず第十一話をどうぞ!」
「______ただいま」
三日月の傘を借りて家に帰った士道は彼と別れたあと家のドアを開ける。
ぐっしょりと濡れた靴と靴下を脱ぐ。並べられている靴を一瞥すると、琴里とオルガの靴がある。どうやら先に帰ってきていたらしい。
琴里には訊きたいことが沢山あったが、今の士道はずぶ濡れと泥まみれになってしまっている。流石にこのままの状態で、話し合う訳にはいかない。一度体を拭いてからゆっくり話すとしよう。
ズボンの裾を捲ると、急いで風呂場に爪先立ちで駆け込み、慣れた手つきで脱衣所の扉を開いた。すると。
「__________ッ!?」
瞬間、士道は身を凍らせた。
_____本来脱衣所にいるはずのない少女がそこにいたからである。
なんとそこに居たのは、夜刀神十香の姿があった。しかも_______一糸纏わぬ姿で。
「と、十香.......?」
「.......ッ!?」
士道を認識した十香が肩を震わせ、顔をこちらに向ける。
「な.......ッ、し、シドー!?」
「あ、や、ち、違うんだ.......!これは______」
「いッ、いいから出ていけ......っ!」
「ぐぇふッ.......!?」
弁明の隙も与えられず、見事過ぎる右ストレートを鳩尾に食らい、そのまま後方によろめいて、壁に背を、床に尻を預けてへたり込む。
間髪入れず、びしゃん!と、脱衣所の扉が閉められた。
◆
「琴里ぃ!どういうことだッ!」
「おー?おにーちゃん。おかえりー」
「おう、ただいま.......じゃなくて!」
思わず普通に返事をしてしまってから、首をブンブンと振る。
「お前が十香を連れてきたのか......!?」
「まーまー、落ち着いて落ち着いてー」
「落ち着いていられるかっ!」
「まぁ、そうカッカすんなって士道」
パジャマに着替えているオルガが制するように言ってくる(洗濯物をたたみながら)。
「オルガ、いやでも何で十香がうちにいんだよ?今日も、令音さんと一緒に帰ったじゃねぇか」
「______理由があってね、シン」
声のする方に目をやると、目に分厚いクマを作った令音がダイニングテーブルに着いていた。
因みに彼女の恰好は士道の母親のパジャマを着用していた。
「れ、令音さん?何やってるんですか......?」
「......ああ、すまない。砂糖を使いすぎたかな」
「ああ、大丈夫っスよ。後で俺が詰め替えとくんで」
「いや、オルガもそうじゃなくて!」
士道は、たまらず叫んだ。
◆
「.......で?一体どういうこった?」
「今日からしばらくの間、十香がうちに住むことになったのだ!」
士道の質問に琴里がえっへんと胸を反らす。
「だから、どうしてそうなったんだって訊いとるんじゃぁぁぁぁぁぁッ!」
「.......士道、落ち着いて」
士道が叫んだ所で、三日月が声を上げた。三日月は琴里に呼ばれたため、今五河家にいたが、オルガと同じく、パジャマを纏っていた。
「.......理由は大きく分けて二つある」
令音が静かな声で、話始める。
「.......一つは_____十香のアフターケアのためさ」
「アフターケア.......っていうと?」
「.......うん。彼女は君との口づけによって精霊としての力は封印された。......今、シンと十香の間には、目に見えない経路つまりパスのようなものが通っている状態なんだ」
「パス?」
「正直ピンと来ませんねぇ......」
「.......簡単に言うと、十香の精神状態が不安定になると、君の身体に封印してある力が、逆流してしまう恐れがあるということさ」
「な.......ッ」
_______封印された十香の力が逆流した場合それはつまりあの強大なる力をまた彼女が有してしまうということだろう。
「......十香は君たちといるときが最も数値が安定する。」
「は、はあ.......」
「.......と、いうわけで、精霊用の特殊住宅ができるまでの間、十香をこの家に住まわせることになったんだ。」
「なるほどな」
腕を組んだオルガが頷く。
確かにわからなくもない。
それに自分が十香に信頼されるというのは、悪い気はしなかった。
しかし、簡単に許可を出せる問題でもない。
「二つ目の理由だけど、これはあんたたち二人の訓練でもあるわ」
リボンを白から黒に変えた琴里が発する。
「待ってくれ、訓練ってまだやんのかぁ?十香の力は士道が封印して.......」
「.......精霊が十香一人だなんて誰が言ったの?」
「え.......?」
「.......琴里の言う通りさ。空間震を起こす特殊災害指定生物_______通称・精霊は、十香だけではない。十香の他に数種が確認されている。」
「なんだとッ.......!?」
オルガが思わず驚愕の声を漏らす。それは士道も同じであった。
「.......シン、オルガ。君には引き続き、精霊との会話役を任じてもらいたい。」
「.......っ、じょ、冗談じゃ_____」
士道が叫びを発しようとした瞬間。
「_______俺は一向に構わねぇよ」
隣に座していたオルガが口を開く。
「な.....ッ!?」
琴里が小さな声を上げる。
「本当に良いのかしら?」
「……別に気が進まないわけじゃねぇさ。だが精霊を救うって決めたのは俺自身だ。十香と同じような奴がいるってんなら、途中にどんな地獄が待ってようとやってやる。それだけだ」
そう言うと、琴里に向けて不敵な笑みを向ける。
「ふうん、士道はどうかしら?」
「っ、嫌に決まってるだろっ!」
士道が言い放つ。その様子をオルガと三日月はじっと見つめていた。すると琴里は軽く身体を反らしてあごを上げながら口を開く。
「そう。______じゃあ、もうどうしようもないわね」
「.......?」
「空間震によって世界がボロボロになっていくのを黙って眺めるか_______それとも、精霊がASTに殺されるのを待つか。はたまたオルガにずっと頼り切るか。どっちになるんでしょうね」
「.....ッ!」
別に失念していた訳ではない。だが_______改めてその事実を口に出されると、心臓が痛む。
臨界と呼ばれる世界に存在する精霊は、希にこちらに現れる。
破壊の大小はあれど、空間震による被害によって滅茶苦茶に破壊されてしまう。
「_______士道」
先程まで、黙っていた三日月が声を上げる。
「み、三日月」
「士道はどうしたい?」
「そ、それは.......」
思わず言葉を詰まらせる。何をしたいのかいきなり訊かれても、うまく浮かんでこなかった。
「精霊の力を封印できるなんて普通じゃあり得ないって琴里と令音が言ってた。だけど、士道が逃げるって言うんだったら俺たちは止めるつもりもないよ」
そのまま三日月は続ける。
「だから、だからこそ、これは士道のこれからを決める決断だ。これは______士道が、自分で決めなくちゃならないんだ」
「.......ッ」
三日月の言葉は士道の心に深くささる。三日月の言葉はとても真っ直ぐで重かった。言い放った彼の表情も言葉に込められた彼の想いも。
だからこそ自分がこれから背負わなければいけないものの重責を感じ取る。
だが_______そもそもの前提として。
士道には確かめなければならないことが幾つかあった。
「______琴里」
「何かしら?」
「まず聞かせてくれないか。〈ラタトスク〉ってのは、一体なんだ?お前は、いつ、そんな組織に入って、三日月はどうしてバルバトスに乗ることになったんだよ?それに______俺とオルガのこの力のは、一体なんだ?」
士道がずっと訊こうとしていたのは、それだった。
琴里は、三日月の方を一瞥する。三日月は小さく頷く。
「______そうね。丁度いい機会だし、あんたたちにも簡単に話しておきましょうか」
琴里は、ポケットからチュッパチャプスを取り出すと、包装を外し口にくわえながら、話を始めた。
◆
「簡単にまとめると、『士道とオルガには
「それは分かった。だが琴里、お前が司令官に着任したのいつだっけ?」
「五年前よ」
「お前今の年齢だったら、五年前ってまだ八歳じゃねぇか!?」
「ええそうね。ま、数年の間は、研修みたいなものよ。実際に指揮を執りだしたのはここ最近」
「そこは問題じゃねぇだろ.......」
「こ、琴里のこともあるけど、それは三日月だって同じだろ!いくら同い年とはいっても、まだ十二じゃねぇか!」
「まぁそれぐらいね。でも彼も私と同じでバルバトスに乗り始めたのはここ最近。まあオルガの話を聞く限り、前世でもMS操縦の才能があるのは聞いてたしね。それもあってすぐにパイロットとして選ばれたのかも」
「改めてみると凄いんだな、三日月って........」
簡単に今の話をまとめると、
まず一つ目が〈ラタトスク〉の結成理由は精霊を保護し、幸福な生活を送らせること。
空間震を防ぐことでもあるが、それは副次的なものらしい。
もっとも〈ラタトスク〉の上層部である
そして二つ目が精霊の力をキスによって封印できる少年が発見されたそれが士道とオルガなのである。なぜ備わっているかを聞いたら、琴里らしくなくはぐらかされたが。
「とにかく、よ。今必要な情報は『士道とオルガには、精霊をなんとかする力がある』。それだけよ!その上で選んでちょうだい。_____これからも、精霊を口説き落としてくれるかどうかを、ね」
「........っ」
士道は、苦々しく唇を引き結んだ。
士道たち二人にしか、精霊の力を封印することはできない。
士道とオルガが救うと決めた十香と同じ境遇の精霊たちは、一方的に災厄と呼称され、ASTに襲われる。
彼女たちは_____自分たちの意思で世界を壊そうとしているのではないのに。
それに空間震の問題だってある。二人が精霊の力を封印しなければ、もしかしたらユーラシア大空災にも匹敵するレベルの災害が起きたっておかしくない。
例え精霊の問題を全てオルガに押し付けてしまったとしても、オルガに全部の負担がかかってしまう。
「.......も、もう少し、考えさせてくれ」
「_____ま、今はそれでいいわ。それじゃ令音準備を」
「......ああ、任せてくれ。......というか、おおむね終わっているよ」
令音が頭をゆらゆらさせながら、言う。
「さっすが仕事が早いわね」
「......準備?まさか十香のことか?」
士道は、嫌な予感を察し、汗を滲ませながら訊く。
「あら?勘がいいわね。そう、十香の部屋には二階奥の客間を使うわよ」
「ちょ、ちょっと待てっ!少し考えさせろってさっき言っただろうが!」
「別に構わねぇよ」
「オルガぁぁぁぁぁぁっ!?」
士道がオルガの名を叫ぶと、琴里はやれやれと言った様子で耳を塞ぐ。
「うるさいわね。どっちにしろ、十香には特設住宅ができるまでの間、ここにいてもらうしかないの。それに、士道が決断してから訓練してんじゃ遅すぎるしね。」
「……落ち着け、士道。例え特設住宅ができたとしても、どっちみち十香と生活することに変わりはねぇんだ。今のうちに慣れておいても損はねぇだろ?」
「だ、だからって.......」
諭すようにオルガに言われ、士道が食い下がっていると、士道の後方______琴里の部屋の出入り口にあたる扉が開いた。
「......シドー。やはり、駄目か?私は......ここにいては」
「........ッ」
眉を八の字にし、悲しそうな瞳でこちらを見つめてくる十香に、声を詰まらせる。
......あんな顔をされては、否と言えるはずがない。もし言える人間がいたら、みてみたいものである。
「........わ、わかったよ......っ......」
こうして渋々ながらも十香との同居生活が始まったのであった。
どーも、毎度おなじみ宮本竹輪でございます。
自分でも分かりませんが、急に創作意欲がとんでもないことになったので最新話を投稿いたしました!
いやー、最近一ヶ月に一回ペースだったので、創作意欲がとてつもなくたまっていたのですかね-(無知)。
さて話は変わりまして、今回から十香との同居が始まりました。果たして士道くんとオルガは無事に黒歴史を公開されずにすむのでしょうか(原作にて黒歴史がペナルティで公開されてました)。
それでは、次回『第十二話』お楽しみにー。