デート・ア・オルガ   作:宮本竹輪

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オルガ「前回のあらすじだからよ.......。鉄華団団長のオルガ・イツカと三日月・オーガスは別世界で転生し、第二の人生を送っていた」

十香「そしてオルガは普通の高校生である五河士道とともにせい.....れい?おい、マクギリス。ここの文字はなんと読むのだ?」

マクギリス「ああ、この文字か。これは「せいれい」と読むんだ」

十香「ありがとうだ。精霊を救うために第二の訓練に挑むのだった!」

マクギリス「うむ。よくできたね」

オルガ「ちょっと待て。なんでお前この場にいるんだ?お前まだ本編で十話の最後にしか出てねぇだろ!なんでお前前回のあらすじのこの場にいるんだよ?」

マクギリス「ふん、私の出番が今の所十話の最後しかないからだ。そこで作者が『アグニカ・カイエルの魂』を持つ私の救済処置としてこの場に出ることを許してくれたのだ」

オルガ「お前それ言ったら、石動可愛そうになるだろ!もっと部下のことを考えろ!アグニカのことばっか考えてんじゃなくてよ!」

マクギリス「ふっ、善処しよう」

オルガ「なんか腑に落ちねぇが、それじゃ第十二話スタート」


第十二話 二つ目の訓練

「.....それで、訓練ってのは一体なんだ?俺だけでなく、オルガと三日月に何やらせるつもりだよ」

 

あのあと夕食を終え、リビングのソファに腰掛けた琴里に問うてみた。

今五河家のリビングにいるのは、士道とオルガ、三日月そして琴里だった。

令音はその後〈フラクシナス〉に帰り、十香は

〈フラクシナス〉隔離エリアの部屋で使っていたものの荷解きを客間でしている。

 

「あぁ、それなんだけど、三日月は訓練しないわよ」

 

「「は?」」

 

困惑した声を上げる二人。琴里は食後のチュッパチャプスをくわえながら言う。

 

「最初は三日月も訓練させようと思ってた。だけどね、三日月の行動をモニタリングさせてみたの。そしたら.....ねぇ......」

 

「そしたらなんだよ?」

 

琴里がなんとも言えない表情を浮かべる。

 

「ま、まぁ、これを見てちょうだい」

 

すると琴里がパソコンを取り出し、画面を士道たちに見せる。

 

「「......っ!?」」

 

士道とオルガは画面に映された情報を見た途端硬直した。画面には三日月と同じクラスの鳶一折紙と三日月が映っていた。これだけだったら、女友達と仲良くしているだけで特に異常はない(はず)。しかしそれだけではなかった。

なんとそこには三日月の上に覆い被さる折紙の姿があった。

 

「お、おい!?なんだよ、こいつはぁ!?」

 

「安心しなさい、三日月の体はまだ清いままよ」

 

「そこじゃねぇ!?そう言うことじゃなくて、何で三日月が鳶一と一緒にいて、こんなことになってんだよ!?」

 

「で、どうなのかしら?三日月」

 

「......ん?」

 

三日月はチョコレートを口に放ると、顔を上げる。

 

「_____ああ、これ?」

 

パソコンに映された画像を見て一拍置くと、話し始めた。

 

「......急に折紙に倒されてさ。確かここから退いてほしいのなら、自分のことを名前で呼んでほしいって言ってた」

 

「「「...........」」」

 

無表情のまま何事もなかったかのように話す三日月に思わず士道たちは眉をひそめる。

このようなことがあったというのに、恥じらう素振りも見せず、冷静に話せる三日月にもはや尊敬すら感じてしまうほどだった。

 

「三日月はこの映像のほかにも三日月は鳶一折紙からの猛烈なアプローチを受けているの」

 

と、仕切り直すように琴里が口を開く。

 

「......そのおかげでどんな訓練を行ったとしても、今の彼なら冷静に対応してしまうと私たちは判断してね。そうした上で三日月には今回の訓練に参加させないことにしたんだ」

 

「.....な、なるほどな」

 

「俺は別にやってもやらなくてもいいけど」

 

令音の言葉に士道は首肯する。三日月はあまり気にしていないようだったが。

 

「とまあ、話を戻すけど今回の訓練をするのは士道とオルガの二人だけというわけ」

 

「んじゃあ、もう一度聞くけどよ、訓練って俺たち何をすればいいんだ?」

 

オルガは再度琴里に問う。

 

「別に、何もしなくていいわよ」

 

「は?どういうことだ?」

 

「んー、正確に言うと、普段通りの生活を送ることが今回の課題.......かしらね」

 

「あ?」

 

「基本的に士道の訓練は、これから何人もの精霊とデートすることになったことを想定して、女の子と緊張せずに話せるようになることを目的としてるわけよ」

 

「......ああ、そういえばそんなこと言ってたな」

 

「今回は、女の子と同居というイベントを生かした実戦訓練なの。要は、突然女の子と胸キュン展開になっても、落ち着いて紳士的に振る舞えるようになってほしいわけよ」

 

「......はあ」

 

「だから士道は十香との同居期間中、どんなムフフなスケベイベントが起こっても、焦らずと対応してくれればそれでいいわ」

 

「......なんだそりゃ......」

 

日常生活ではまず聞かないだろう単語に思わず、オルガは眉にしわを寄せる。

 

「あ、そうだオルガ」

 

「どうした?」

 

「トイレの電球を変えてきてくれるかしら?さっきみたところ、切れてて」

 

「?.......おう、分かった」

 

オルガは少し不審に思ったが、予備の電球と椅子を手にするとトイレに向かった。

そして扉を開け______

 

「________________________は?」

 

呆けた声を漏らし、フリーズする。

 

「なっ.......、オルガ!?」

 

パンツを膝元まで下げた十香がにいたのである。

 

「とっ、ととととと十香なんでお前こんなとこにいんだよ!?」

 

「それはこっちの台詞だ!早く閉めんか!!」

 

________どうなっていやがる!?トイレの鍵は閉まってなかったし、電球切れてすらいねぇじゃねぇか!?うぁぁぁあ______

 

「ああああうぅ!!」

 

顔を真っ赤にした十香が力いっぱいに投げたトイレットペーパーがオルガの顔面に当たる。柔らかいトイレットペーパーとは言え、それなりの衝撃となっていた。

それを顔面にヒットしたオルガはそのまま床に倒れ込む。

 

「.......だからよ、止まるんじゃねぇぞ......」

 

「情けないわね。焦らずとちらずと言ったばかりなのに」

 

いつものように団長命令を口走るオルガの前に琴里が現れた。

 

「琴里......お前......」

 

恨めしそうに睨むオルガを気にせず、琴里がチュッパチャプスの棒をピンと立てる。

 

「だ、大丈夫か!?オルガ!おい、琴里これってどういうことだよ!?」

 

「こういうこと。さっきも言ったけど、同居期間中は平常心を乱さずに生活するのが目的。あんた二人の様子は〈フラクシナス〉のモニタでチェックしているわ。______今のは、もちろん、駄目。失敗したのでペナルティとして、オルガの黒歴史である.......」

 

と、琴里は手にしたノートをバッと広げて見せた。

 

「うああぁぁぁああ!?」

 

このノートの内容としては、中学校時代に自分の考えたオリジナルの漫画のキャラの設定が書き記されていた。

 

叫びながら、琴里の手にしたノートを奪い返そうとするが、琴里はそれをひらりと(かわ)す。

 

「と、まぁ、こんな感じに平常心を乱したら、あんたたち二人の黒歴史を流すわよ!ちなみに士道は中学校時代に書いた詩を流すから」

 

「ちょっと待て!?前よりグレードアップしてるじゃねぇか!?」

 

「訓練だからって気軽にやられちゃ困るからね。でも、安心しなさい。全部失敗しない限り、作者名を流すことにはならないから」

 

「「それ全部失敗したら流すって言ってるようなもんじゃねぇか!」」

 

五河家内で二人の悲痛な叫びがこだました。

 

 

結局その後の訓練は地獄のようであり、オルガと士道のされた行いはまさに悪魔の所業だった。

 

 

 

 

「おーう五河、オルガ、三日月。.......て、二人どうした」

 

「.......ああ、ちょっとな」

 

朝、士道とオルガは重たい足を引きずって教室に入るなりかけられたのは、殿町の怪訝そうな声だった。

今の士道とオルガは、身体のあちこちに湿布が貼られ、足取りは今にも倒れそうになっていた。

 

「........なんでもねぇからよ」

 

「そうか.......?なあ三日月、この二人なんかあったのか」

 

「なんもないよ」

 

「そ、そうか。ところでお前らにも訊きたいんだが、ナースと巫女とメイド。どれがいいと思う?」

 

「「「..........は?」」」

 

予想外の言葉に、三人は間の抜けた声を発する。

 

「読者投票で次号のグラビアのコスチュームが決まるらしいんだが........悩むんだよなぁ」

 

「.......ああ、そう」

 

「なんだよ、つれないなぁ。三人とも。で、お前たちはどれがいいと思う?」

 

「そうだな.......んじゃあメイド?」

 

「ふむふむ、それじゃ二人はどうだ?」

 

士道の返答を聞くと、今度はオルガたちに質問をふってくる。

 

「よく分かんないけど.......俺もメイドかな」

 

「俺は、ナースだな……」

 

「ほう、なるほど.......。それじゃオルガ、後でナース好きどうし語り合おうぜ!」

 

そう言うと、殿町は自分の席へと歩いていった。

士道たちも、あまり気にせず、自分の席に鞄を置いた。

その際、既に三日月の隣の席に着き、分厚い技術書を読んでいた折紙が、ちらと三日月に視線を向ける。

 

「おはよう、折紙」

 

「おはよう」

 

そう返すと、折紙が小さく首を傾げてきた。

 

「メイド?」

 

どうやらさっきのやり取りを聞かれていたらしく、手を横に振る。

 

「あーなんでもないから、あんま気にしないで」

 

「そう」

 

それだけ言うと、再び書面に視線を戻した。

 

ふと、士道は先程とある女子生徒の会話を思い出す。

 

_________そういえば、隣のクラスに新しい副担任が来るかもって言ってたな。

 

 

 

 

来禅高校の職員室にて。

 

「隣のクラスに新しい副担任の先生ですか?」

 

「......はい」

 

今にも眠ってしまいそうな大きな隈をした令音が珠恵に話し掛ける。

 

「私聞いてませんけど.......」

 

「.......私の知り合いである教師がとある事情で急遽この学校に赴任することになったんです。......それで隣のクラスの副担任を担当するらしいです」

 

「そうだったんですか、それでその先生が赴任なされるのはいつですか?」

 

「.........三週間後でしょうか。担当教科は英語と彼からは聞きましたが」 

 

眠そうに口を開く令音に珠恵が問う。

 

「それで名前はなんとおっしゃるんですか?」

 

 

「.......『マクギリス・ファリド』です」

 

 

 

 

「シドー!オルガ!昼餉だ!」

 

士道とオルガの机にがっしゃーん!と十香の机がドッキングされる。

 

「ミカも......」

 

「三日月」

 

三日月にも声を掛けようとしたが、どうなら先客がいたらしい。

 

「あ、折紙」

 

「.......ぬ、なんだ、貴様。邪魔だぞ」

 

「それはこちらの台詞」

 

「みんなで食えばいいじゃん」

 

三日月が言うと、渋々と言った様子で十香と折紙は大人しく席についた。そして二人とも、自分の鞄から弁当を取り出し、蓋を開ける。

すると、士道が三日月の弁当を見つめる。

 

「どうしたの?」

 

「いや、オルガと同じ弁当なんだなって」

 

そう。三日月の弁当に入っていたのはオルガのと同じメニューだった。

 

「ああ、いつも違うメニューにしてんだけど、今日は時間がなかったからな。仕方なく、同じメニューにしといた」

 

「三日月、一つもらってもいい?」

 

「み、ミカ!私も頂いてもいいか?」

 

「いいよ」

 

三日月が頷いたそのとき。

 

 

ウウウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥ___________

 

 

街中に、けたましい警報が鳴り響いた。 

瞬間、ざわついていた昼休みの教室が、シーンと静まり返る。

 

_________空間震警報。

 

「.............」

 

折紙は一瞬逡巡のようなものを見せながらも、すぐさま立ち上がり、教室から出て行ってしまった。

 

「士道」

 

「.........ッ、ああ」

 

士道は、複雑な心境で、その背を目で追うことしかできなかった。今彼女は戦場にASTとして赴いた。_________精霊を殺すために。

 

と、そこで教室の入り口から、ぼうっとした様子の声が響いてきた。

 

「........皆、警報だ。すぐ地下シェルターに避難してくれ」

 

白衣を纏った眼鏡の教師______令音が、廊下の方に指を向ける。令音の指示に従い、生徒たちは次々と廊下に出ていく。

 

「ぬ?シドー、一体皆どこへ行くのだ?」

 

「あ、ああ......シェルターだよ。学校の地下にあるんだ」

 

「シェルター?」

 

「ああ。とりあえず説明はあとだ。俺たちも行くぞ、十香」

 

「ぬ、ぬう」

 

十香は手を付けていない弁当に名残惜しそうな視線を残しながらも、士道の指示に従って立ち上がった。

そして、オルガと三日月とともにクラスメートたちのあとについて廊下に出ようとしたところで。

 

「.......シン、オルガ、三日月。君たちはこっちだ」

 

「っ、れ、令音さん?こっちって.......」

 

士道とオルガ(三日月はひらりとかわした)の首根っこを掴まれた。

 

「決まっているだろう、〈フラクシナス〉だ」

 

他の生徒に聞こえないように声をひそめながら、令音が言ってきた。

 

「.......昨日の今日だ。今後のことについて、まだ結論は出ていないかもしれない。だが.......いや、だからこそ、君には見てほしい。精霊と、それを取り巻く現状を」

 

「.......分かりました。行きます」

 

「.......さあ、急ごう。空間震まで、もう間もない」

 

「は、はい。って十香は連れてかなくていいんすか?」

 

十香は次々と避難するクラスメートたちに、戸惑っていた。

 

「.......ああ、そのことか。______うむ、十香は皆と一緒にシェルターに避難させてしまおう」

 

「え?それでいいんですか?」

 

「........ああ。力を封印された状態の十香は人間とそう変わらない。それに、精霊とASTの戦いを見て、自分のことを思い出されても困ってしまう。言っただろう?〈ラタトスク〉としては、できるだけ十香のストレスを蓄積させたくないんだ」

 

「いや、でも......」

 

と、士道が言いかけたところで、廊下の奥の方から、甲高い声が響く。

 

「ほ、ほらっ、五河くんと三日月くんに夜刀神さん、村雨先生までっ!早く避難しないと危ないですよ!」

 

「先生、十香をよろしくお願いします!」

 

「ふぇ?え?あ、は、はい、それはもちろん」

 

「シドー、オルガ、ミカ........?」

 

十香が不安そうに眉を歪めてくるような

 

「十香。いいか?先生と一緒に避難しててくれ」

 

「シドーたちは、シドーたちはどうするのだ?」

 

「あー........俺たちは、ちょっと大事な用があるんだ。先に行っててくれ。な?」

 

「!あ、し、シドー!」

 

「ちょっと皆さん!?一体どこへ!?」

 

心配そうな二人の声を背に聞きながら、士道たちは、校舎の外へと走っていった。

 

 




どーも、宮本竹輪です。今回の「デート・ア・オルガ」いかがでしたか?

今回は更新までの空白期間の記録更新です(シャレにならない)。

今回令音さんとタマちゃんの会話のシーン、文章力なくて、会話の文がおかしくなってんじゃないかって本当に心配になりました........。
私の小説はこうしたひどい文章が多いですが、これからも応援頂けると、幸いです.......。

さて、話は変わりまして、コロナで学校が臨時休校というとんでもない事態になりました。こんな事態だからこそ、できるだけ投稿頑張ります!(多分)

その他にも今月の十九日に『デアラ』の二十二巻が発売しますねぇ。正直言うと終わるのが、めっちゃ悲しいです。でも『デアラ』が終わっても『デアオ』は続きます!

亀更新ですが、次回の『デート・ア・オルガ』お楽しみに~。
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