デート・ア・オルガ   作:宮本竹輪

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どーも、一年以上ぶりの竹輪です。
お久し振りです天々座竹輪です。
唐突な活動の休止、大変申し訳ありませんでした。投稿を休止していた理由については後書きに別に書かせていただきました。どうかそちらをご覧下さい。

それではどうぞ。


第十六話 再開のアグニカ(馬鹿)

「結局、よしのんいなくなっちまったな」

 

作戦が終わり、士道とオルガはフラクシナスの通路を歩いていた。

結局よしのんは反応が消滅(ロスト)し、士道たちはフラクシナスに回収され、今から艦橋に向かおうとしていた。

 

「仕方ねぇよ。今回はASTの横槍が入ってきたんだ。次また頑張りゃいい」

 

オルガはそう言うが、士道は気がかりなことがあった。それは先程の琴里との通信で出た『ガンダムバエル』という言葉を聞いてからオルガの顔があまり浮かないものとなっていたからである。

 

「.......なあ、オルガ」

 

「ん?」

 

「そのさっきからあんまり浮かない顔してるけど、もしかしてさっき琴里が言ってたことを気にしてんのか?」

 

顔を歪めていたオルガに士道はそう尋ねる。

 

「───バエルのことか?」

 

「へ?あ、ああ.......さっき名前聞いたとき大声出して反応してたからさ。何かあったんじゃないかって」

 

「なるほどな。いや前の世界で色々あってだな」

 

前の世界というのはオルガと三日月は恐らくこの世界の人間ではないのだ。オルガたちはかつて「鉄華団」という組織で戦っていた。しかし二人は敵対する組織に討たれその人生を終えたのだった。

 

「バエルと戦って倒されたってことか?」

 

「いやそうじゃなくて.......バエルというより乗ってる奴と色々あってな.......」

 

「『乗ってる奴』?」

 

と、話しているうちに艦橋のドアに辿り着く。扉が開き、中に入っていく。

 

「戻ったぜ────」

 

中に入り、オルガは口に出そうとした言葉を止めた。

オルガたちは視界に入ってきたものはなんとも奇妙なものだったのだ。それを見た瞬間、オルガたちは目を白黒させた。

奇妙なものと言えど、そこまでおかしなことが起きているわけではないのだ。

 

真っ先に目に入ったのは腕を組み、呆れた顔をしている妹────五河琴里の姿。

 

そしてとある人物が琴里の目の前に正座させられていた。しかしオルガたちが白黒させているのはそこではなかった。

男がそこに正座させられている。問題はその人物の格好だった。

 

 

なんとその人物は上に何も羽織っておらず、上半身裸だった。

 

 

そう、上半身裸である。はたから見ればただの不審者である。

 

一瞬「おいおい、神無月さんまた琴里に怒られるようなことしたのか.....?」と思ったが、神無月は琴里の隣に立っていた。それになによりもその人物は金髪ではあったが神無月と比べて髪が短かった。

 

「───あぁ、あなたたち戻ってきたのね」

 

と、ここで琴里がオルガたちが戻ってきたことに気づいて顔を上げた。

その表情を見て士道は仕方なさそうに言う。

 

「.......その琴里。この人が何をしたのか知らないけど、おにーちゃんたちは琴里の味方だからな?」

 

「違うわ!なにと勘違いしてんの!?」

 

士道の言葉に琴里が声を上げる。次に小さくため息を吐き、頭を抱えた。

 

「.........まあいいわ。士道、オルガ、あんたたちにも紹介するわ。ほら、立ちなさい」

 

琴里の言葉でその人物が立ち上がる。オルガたちからの視点では顔が見えなかったが、こちらに顔を向けたことで初めてその顔を伺えた。

 

歳は二十代前半といったところか。翡翠色の瞳に淡い色の金髪。日本人離れした風貌と端整な顔立ちをした美青年だ。恐らく、物語で言う『白馬の王子』とはこのような人物のことをいうのだろう。最も上裸という格好を除けばの話だが。

 

 

「────今日から〈フラクシナス〉に配属されこととなったマクギリス・ファリドだ。よろしく頼むよ、五河士道。そしてオルガ団長」

 

 

流暢な日本語で自己紹介をするとマクギリスと名乗る男は手を差し出してきた。

 

「マクギリスじゃねぇか.......」

 

 

 

 

「それで、なんでチョコレートの人もここにいんの?もしかして俺たちと同じの転生ってやつ?」

 

そう始めに切り出したのは三日月だった。

今、フラクシナスの応接室には士道、オルガ、三日月、琴里、そしてマクギリスがいた。あのあとマクギリスがオルガたちと話がしたいということだったのだ。

 

ちなみに三日月が言った『チョコレートの人』というのはマクギリスの三日月が勝手につけたあだ名である。

 

「相も変わらず本質を見抜くか。凄まじいなこの感覚......」

 

三日月の言葉に感心するかのようにマクギリスが言う。

 

「───そう、彼の言うとおりどういう因果か私も君たちと同じでこの世界に転生したらしいな」

 

彼がいる時点でもしかしたらと思っていたが、やはりオルガの詠みは当たっていた。

 

自分たちが転生しているということはもしかしてと思っていたが、どうやらマクギリスもこの世界に転生していたらしい。しかも、ガンダムバエルとともに。

 

「.......そ、そのマクギリスさん」

 

と、黙っていた士道が自重しながら言う。するとマクギリスが士道の方を向く。

 

「どうかしたかい?イツカ シドウくん」

 

「あ、士道で良いです。それよりオルガから話は少し聞いたんですけど、前の世界でマクギリスさんとオルガってどんな関係だったんですか?」

 

「あぁ、確かにある程度は話して置かなければいけないな」

 

マクギリスがそう言うとかつてのことを話し始めた。

鉄華団はかつてマクギリスと同盟を組み、『ギャラルホルンの変革』という目的のためにギャラルホルンの象徴であったガンダムバエルを手に入れた。

 

『────今、三百年の眠りからマクギリス・ファリドのもとにバエルは蘇ったッ!』

 

だが、そのおかげで鉄華団はギャラルホルンを敵に回すことになり、圧倒的劣勢を強いられて、壊滅的な状況にまで追い込まれることになってしまった。

 

要するに直接的までとはいかなくても、オルガからしてみれば、マクギリスは鉄華団を追い込んだの原因の一つであった。

 

「────正直驚いたわ。あんたもオルガたちと同じだったとは…」

 

琴里がそう言うと、あごに手を置いた。琴里も少しばかり動揺しているようだった。士道も同様に驚いているようだった。

 

「それで、あんたはここ(ラタトスク)で何してんだ。さっき琴里からフラクシナスに配属されたって言ってたが、今度は何が目的だ?」

 

表情を険しくしながら、マクギリスに問いかける。オルガとしても其処が気がかりだった。『ギャラルホルンの革命』をうたったこの男がただ大人しくしているとは思えなかったのだ。

 

オルガに睨まれたマクギリスは、フッと小さく笑う。

 

「別に何か目的があるという訳ではないさ。私も君たちと同じく、精霊を救うためにこうして活動してるんだ」

 

「『精霊を救うため』?それ本気で言ってんのか?」

 

「ああ、信用して貰えないだろうか?」

 

マクギリスの言葉にオルガは怪訝そうに顔を歪める。

 

正直に言うと、納得できないというのが、本心であった。

 

ラタトスクという組織自体も完全に信用したわけではないが、琴里が言うくらいである。それにこの男が腕が立つというのはオルガも充分承知していることだった。

 

しかし、何を考えているのかイマイチよく分からないのがこの男だ。どのような腹の内があるか分からない以上はこの男を完全に信用するわけにはいかないのもまた事実だった。と、ここで─────

 

「────あんたたちの事情は分かったし、オルガの言い分もよく分かる」

 

気難しい表情をしていた琴里が口を動かす。

 

「ここにいる以上はマクギリスのことを信用してあげてちょうだい。別に仲良くしろとまでは言わない。それでも彼は私たちと同じく精霊を救おうとしているの。それは確かよ」

 

オルガの目を観ながら、琴里は声を響かせる。

 

「───だからお願い。今だけは彼のことを信用してあげて」

 

「..............っ」

 

琴里の言葉に息を詰まらせる。血の繋がりはないとはいえ、妹にそこまで言い寄られては信用しないと口にする訳にはいかなかった。

 

「...........ったく」

 

オルガは頭を掻きむしりながら言った。

 

「..........分かった。あんたのことを信用してやる」

 

「ありがとう、オルガ団長」

 

「だが、勘違いすんな。琴里に言われたからだ。あんたが本当に精霊を救うために戦うっていうんなら、これから俺たちにその意志が本当かどうかを見せてくれ」

 

不適な笑みを浮かべ、オルガは手を差し出した。

するとマクギリスはオルガの手を見て少し首を傾げた。

 

「これは?」

 

「あ?信頼の意味を込めての握手に決まってんだろ」

 

当たり前のようにオルガは答えて見せる。すると突然マクギリスは高らかに笑いだした。

 

「……フッ、フフッ、はっはっはっは!はっはっはっは!」

 

「き、急になんだよ!?」

 

「はっはっは────いや、君の方こそ以前と比べたら随分と丸くなったじゃないか!───はっはっはっは!はっはっはっは!」

 

「オイ!テメェ、それどういうことだ!?」

 

マクギリスは笑い、それにつっかかって声を上げているオルガを見て、琴里と士道は眉を潜める。

 

「三日月、こいつって毎回こんな感じなの?」

 

「……ん、チョコの人は大体こんな感じだよ」

 

三日月はあっけらかんとした様子で話す。

 

「そ、そうなのか……なんか色々とすごい人だな」

 

琴里は頭を抱え、士道は苦笑を浮かべた。

 

「ハッハッハッ……そうか、敵でもなく、単なる同盟でもない今回は正真正銘の味方か。だがそうだな。今度は私が君たちをサポートする番か。オルガ団長」

 

ようやく落ち着いたマクギリスはオルガの顔を見ながらそう呟いた。

 

「あ?」

 

「────君の『信頼』に応えられるようにこれからよろしく頼むよ」

 

マクギリスもオルガと同じように手を差し出した。

 

「お、おう。よろしく頼むぜ」

 

少し困惑しながらそう言って、オルガとマクギリスは固く手を握った。

 

 

 

 

〈よしのん〉との邂逅、マクギリスとの再開から一日が経った。

今日は土曜日のためいつもだったら十香や琴里たちがいて少し騒がしいのだが、五河家のリビングには二人の人影があった。

オルガと三日月である。

 

オルガは皿を洗い、三日月は家庭菜園の本を読みながら、二人きりで静かに過ごしていた。

と、ここで三日月が口を開いた。

 

「____ねぇオルガ」

 

「どうした?ミカ」

 

「そういえば士道と十香は??」

 

「あぁ、今日はあの二人なら〈フラクシナス〉の方にいるぜ」

 

皿洗いを終えてタオルで手を拭きながら言う。

 

「〈フラクシナス〉?なんかあったの?」

 

「いや、マクギリスの野郎が昨日メールを寄越したんだよ」

 

実はあの後、十香と合流して家に帰ったところマクギリスから連絡が来たのだ。

 

『明日、夜刀神十香と五河士道の二人と〈フラクシナス〉で話がしたい』と。

 

最初は突然のメールに不審に思ったが、特に用事もなかったため行ってみると士道が言ったのだった。

 

「チョコの人が話すことってなんだろ。やっぱり精霊のことかな」

 

三日月は読んでいた本を閉じる。

 

「どうだろうな、〈フラクシナス〉で話をするらしいから仮に精霊のことを話したとしても、外に漏れるってことは無いだろうな。まぁ、あの野郎が漏らさなければの話だが」

 

「オルガはまだチョコの人のこと許してないの?」

 

「…え?あぁ…そりゃあな」

 

正直に言うと、オルガ自身まだ納得しきれていなかった。

味方と言っても、あの男がまた腹の中でロクでもないことを考えてるようにしか思えないのだ。

最も先の戦いではオルガたちもそれを承知の上でマクギリスと同盟を組んでいたわけなのだが……。

 

「でもオルガ自身、どっかで割り切ってんじゃないの?チョコの人のことは過去のことだって」

 

「そいつは…まぁ否定はしねぇよ」

 

「俺は少なくとも前の世界のことだって思ってる。俺たちの新しい人生は、もう始まってるんだ」

 

オルガの方を真っ直ぐ見ながら三日月は言ってくる。

 

「ここにいるのは士道や十香たちだ。チョコの人とのあの関係は前の世界のものでしょ?」

 

「ミカ……。あぁ、そうだな」

 

三日月の言う通りである。過去は前の世界での話であって今、こうして生きている自分たちには関係のない話だ。三日月の言うとおり水に流すべきなのである。

オルガはそう小さく呟くと視線を手元に落とした。

 

「あ、そうだ、ミカ」

 

「ん?」

 

「今から買い物に行くんだが、お前も行くか?そろそろ冷蔵庫の中身がヤバくてな」

 

昨日下校時に寄ってくるつもりだったのだが、よしのんの件やマクギリスとの再開など色々なことがあったせいでできなかったのである。

オルガの言葉に三日月は小さく唸ると口を開いた。

 

「んー……俺はいいかな。琴里もまだ寝てるし、家族に何かあると困るから」

 

「そうか。てか、アイツは寝てて大丈夫なのか?士道だけならまだしも、十香もいるんだろ?琴里の方からアイツのことを伝えておくべきだったんじゃねぇか?」

 

時刻は午前一〇時を回ったところだが、琴里はまだ眠ったままである。

 

「大丈夫でしょ。何かあっても令音たちが止めてくれるよ」

 

「だったら大丈夫か……んじゃ、行ってくるぜ」

 

そう言うとオルガはリビングから出ていった。

 

 

 

 

「……なぁシドー」

 

「ん、どうした?十香」

 

急に十香に声を掛けられ、足を止める士道。

十香と士道はマクギリスによって〈フラクシナス〉に呼ばれていたのだった。

 

「私と話をしたい人間がいてそいつと話をするためにここにいるのだよな?」

 

「え?あぁ……そうだけど、どうかしたのか?」

 

「いや少し嫌な感じがしたのだ」

 

不安げな表情を浮かべながら、十香は声を発した。

 

「嫌な感じ……?」

 

「あぁ、何というのだろうか……まるでASTと対峙したときのような嫌な感じがするのだ……」

 

「なっ……」

 

士道は言葉を詰まらせた。

 

それもそのはずここはラタトスクの空中艦〈フラクシナス〉の中なのである。

その中で十香の言うASTの気配が本当ならば〈フラクシナス〉内に敵が潜伏してるということになれば一大事だ。いつどこから十香を狙っていてもおかしくない。

 

しかしそんなことがある訳がない。

以前、琴里によると〈フラクシナス〉は四六時中、顕現装置(リアライザ)によってASTから見つかることはないのである。

なのでこの艦内に魔術師(ウィザード)がいるということはイレギュラーなのである。

 

「と、十香!そ、そんなこと無いはずだ!ここにはお前を救いたいと思ってる人達が沢山いるんだ!そんな中にASTのような物騒な連中がいるわけないだろ!?」

 

士道は声を上げながら十香を説得する。士道の言葉を聞くと十香は力強く頷いた。

 

「そ、そうだな!私が考え過ぎだっただけだよな!」

 

「あぁ、言っただろ?ここにはそんなことする人はいないって」

 

そう言ってるうちにマクギリスの待つ談話室に着いた。

 

「失礼します」

 

二人が中に入ると、椅子に座ったマクギリスとその隣に茶髪の男性が立っていた。

 

「昨日ぶりだね、五河士道くん」

 

穏やかな笑みを浮かべながら、マクギリスが声を掛けてくる。

 

「ど、どうも……」

 

士道は自重気味に挨拶を返す。

 

「シドー、こいつは一体誰だ?」

 

「あぁ、この人は……」

 

士道が紹介しようとした途端にマクギリスが言葉を遮った。

 

「始めまして、五河司令から話は聞いてるよ。君が夜刀神十香さんだね」

 

十香に対しても先程の笑みを崩すことなく、マクギリスは続けて自己紹介をしていく。

 

「私はマクギリス・ファリド__精霊〈ハーミット〉に心奪われた男さ」




こんにちは、天々座竹輪です。
前書きにも書きましたが、本当に久しぶりの投稿でございます。

活動を休止していた理由を簡単に言ってしまうと1つ目は受験期を迎えていました。去年、私は受験生ということもあって受験勉強などがあって小説をゆっくりと書くことができた時間が無くなっていきました。

それと同時に2つ目の休止理由であるモチベが低下していきました。今回の話は一年近く前から書いていたものでした。しかし勉強に明け暮れて執筆する時間が減ってきてモチベーションが段々と減っていきました。なので見るに耐えないものだったかもしれません。

「んじゃあなんで急に戻ってきた?」と思う方もいるかもしれません。理由としては私事ではございますがハーメルンで小説を投稿してから2年が経とうとしてます。

そんな中で「一年以上も投稿してないのはマズいんじゃないか?」と思い今回投稿しました。

詳しい休止理由とこれからの活動については活動報告で後で書かせていただきます。

それではありがとうございました。

※10/13 最後のマクギリスのセリフをロリコンに変えました
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