デート・ア・オルガ   作:宮本竹輪

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オルガ「前回までのデート・ア・オルガだぞ。オルガ・イツカは第二の精霊四糸乃の力を無事に封印し、平穏な日々を送っていた。だがそんなある日、オルガたちのクラスに精霊を名乗る謎の少女、時崎狂三が転校してきた。この前書きもだいぶ久しぶりにやるな」

琴里「そもそも3章に突入するまでまた期間空いたからね。ところでなんでその転校生はオルガの名前を知ってるのよ?」

オルガ「そんなの俺が知りてえよ。少なくとも俺には綺麗なお嬢さんの知り合いなんてのはいねえしよ……」

琴里「そうねー確かに中学の頃からオルガ、あんまりモテてるとか女性と付き合ってるみたいな話は聞いたこと無かったわね」

オルガ「やかましいわ!というか、なんでお前がそんなこと知ってんだよ!?」

琴里「あらラタトスクの情報網を舐めないでちょうだい。あんたの交友関係なんてこっちには筒抜けよ。ほらボサっとしてないでそろそろ本編に入るわよ」

オルガ「クソッ、プライバシーってもんはねぇのかよ……とりあえず第二十二話スタート!」




第二十二話 学校案内

 

天宮駐屯地敷地内の一角。南関東県全域の霊波情報を統括する観測室で、AST隊長日下部燎子は、眉根を寄せてうめくような声を上げた。

 

「──間違いないの?これは」

 

コンソールを操作している男──蘆村二曹に視線を向けると、頬に汗を滲ませながら首を縦に振ってきた。

 

「残念ながら。ここの観測機の精度は、国内でも最高クラスです」

 

「……そうよね」

 

画面上には、とある人物のスキャニングデータが表示されている。

 

否、人物、というには少し語弊があるかもしれない。何しろその数値は、対象が世界を殺す災厄であることを示していたのだから。

 

「……高校に、精霊が転入?笑えないジョークだわ」

 

今日の朝九時頃、折紙から基地に精霊を名乗る少女が転校してきたと通信があったのだ。

 

半信半疑ながらも件の少女のスキャニングを行ったのだが、結果は少女が精霊であるということを示していた。

 

高校に転入するということは、戸籍や住民票はもちろん、他にも様々な書類が必要になるということである。

指先一つで街を壊す力を有する危険生物が、こちらの観測をすり抜けて限界したうえ、人間の社会構造を理解・応用するまでの知識を持っているというのである。戦慄するなという方が無理な話だった。

 

「隊長?どうかしやがりましたか?」

 

と、そこで背後から奇妙な敬語が聞こえてくる。そんな特徴的な言葉遣いをする隊員は一人しかいない。ちらと後方に視線を向けると、そこには予想通り真那が立っていた。

 

「……ん?これは……なるほど、やはり出やがりましたか〈ナイトメア〉

 

「〈ナイトメア〉……?」

 

怪訝そうに問う。すると真那が眉根を寄せ、忌々しげに息を吐いた。

 

「識別名〈ナイトメア〉。──私が追っている、最悪の精霊です」

 

「最悪の……精霊」

 

燎子が物々しい言葉におののくように言うと、真那は「ええ」と首肯した。

 

「現在までで一万人以上の死者を出しやがっている精霊です。判明してねー被害者も含めれば、その数はさらに膨れ上がるでしょう」

 

「い、一万人……!?あ、有り得ないわ。避難指示が出ていなかったの?それとも、そこまで規模の大きな空間震が──」

 

「ちげーます」

 

燎子の言葉を遮るように、真那が重苦しい声を発した。

 

「〈ナイトメア〉の起こす空間震の規模は標準程度です。死者もいねーことはねーですが、その数さ一〇〇人にも満たねーです」

 

「じ、じゃあなんで……」

 

「単純な理由ですよ。──()()()()()()()()()()()()()()()()。一万人以上の人間を」

 

「……っ」

 

以前まで天宮市に出現していた〈プリンセス〉や〈ハーミット〉は、空間震被害こそ深刻ではあったものの、自ら人間に襲いかかるようなことはしなかった。

 

だが、もし容易く大地を割る怪物が、己の意思で人を殺そうとしたなら。

AST隊員──否、人間であればそれがどれだけ恐ろしいことか想像に難くなかった。

 

「──さ、じゃあ準備をしましょうか」

 

「え?」

 

「精霊が現れがったんです。ならぶっ殺す以外にすることはねーです」

 

「そりゃあそう……だけど、市民はみんな避難してないのよ?そんな中で一体──」

 

「心配ご無用。私に任せやがってください。アレの処理は、私の専門ですから。それに────いざという時にはこれがありますので」

 

言って、真那はポケットからあるものを取り出す。

 

それは()()()()()()()だった。表面は灰色に塗られており、円の縁をなぞるように赤いラインが怪しく光っていた。

 

「それは……?」

 

怪訝そうな声で真那に訊く。その問いに対し、真那はあっけらかんとした態度で答える。

 

「新型CRユニットの試作品です。私がここに配属される直前に渡されたんでやがりますが、私もこれについてはあまりよく知らなくて──ただどうやら、対精霊用のみではなく、モビルスーツとの戦闘も視野に入れた代物との事です」

 

「あ、ちょ、ちょっと!」

 

リングの説明だけを残してそのまま去っていこうとする真那の腕を、がっしと掴む。

 

「?どうしやがりました。早いに越したことはねーでしょう」

 

「……ッ、まず説明しなさい。隊長は私よ。勝手な行動は許さないわ」

 

「…………」

 

真那はしばし思案を巡らせるように黙ったあと、小さく手を上げてきた。

 

「了解、従います」

 

しかし、すぐに燎子を値踏みするような視線を向けてくる。

 

「でも、くれぐれも忘れねーでください。私は『〈〈会社〉〉』からの出向です。その気になれば陸幕長の公認付きで行動を起こすこともできますので」

 

「……わかってるわよ」

 

燎子は面白くなさそうに顔を歪めると、真那の手を放した。

 

 

 

 

黒板の上に設えられた時計は、もう3時を回っている。

オルガの視界の中では、見慣れた帰りのホームルームが展開されていた。教卓にはタマちゃん教諭が立っており、連絡事項を伝えている。

 

何の変哲もない光景なのだが、オルガは今、異様な緊張に苛まれていた。なぜなら……

 

「…………!」

 

 

狂三が先生の隙をついてオルガの方にちらと視線を寄越し、小さく手を振ってくる。

 

「(何でさっきからこっちのこと見てくんだ……?)」

 

ずっと視線を向けられるのは、慣れないもので妙な心地だった。

 

「連絡事項はこんなところですかね。──あ、それと、最近この近辺で、失踪事件が頻発しているそうです。皆さん、できるだけ複数人で、暗くなる前におうちにかえるようにしてくださいね」

 

「……ん?」

 

そういえば、朝のニュースでそんなことを言っていた気がする。天宮市という名前が出たため、意識の端に引っかかっていたのだ。

 

士道やオルガ、三日月はともかく、琴里には気をつけさせておかねばならないだろう。……まあ、あの妹様の場合、杞憂となる可能性の方が高いだろうけれど。

 

その後は起立の号令とともに礼をすると、タマちゃんは教室から出て行った。周りからは、席を立つ音と生徒たちの談笑が聞こえてくる。

 

時間は既に下校時刻となっている。だがオルガにらまだ仕事が残っているのだった。

 

オルガと士道はポケットから小さなインカムを取りだし、右耳に装着した。

 

『──時間ね。用意はいい?オルガ。それにしても……』

 

琴里の鼻で笑うかのような声が聞こえてくる。

 

『まさか、本当に精霊だなんてね。──正直、オルガの妄言かと思ってたわ』

 

「……おい」

 

琴里の言葉に半眼を作る。

だがそれも無理のない話だった。狂三から学校案内を頼まれたあの後、オルガは琴里に連絡をして狂三が本当に精霊かどうか、調べてもらったのだ。

 

だが実際、オルガたちも琴里に依頼した時点では半信半疑だったのだ。精霊が、転校生として現れるだなんて。

琴里に依頼した狂三の観測の結果は、昼休みにオルガの携帯電話に届けられた。

 

結論から言うと──狂三は、本当に精霊だったのである。

 

『──まあ、でも好都合よ。向こうからお誘いかけてくれるなんてね。警報が鳴ってない以上、ASTもちょっかい出せない出しょうし、願ったり叶ったりじゃないリ今のうちに好感度上げて、デレさせちゃいなさい』

 

「……あぁ、そうだよな……」

 

確かに琴里の言う通りである。だが、あまりに狂三の意図が掴めないためだろうか、オルガの胸には、なにやらモヤモヤとした物がわだかまっていたのである。

 

『何よ、その腑抜けた返事は。まだ精霊もキスするのは嫌だっていうの?』

 

「べ、別にそういう訳じゃねぇよ……いや、やっぱりちょっとな」

 

『なんでもいいけど、あんまり雑談してる暇も無さそうよ』

 

「は?」

 

 

オルガが間の抜けた声を発すると同時、その肩がちょんちょん、と突かれた。

 

「オルガさん、オルガさん」

 

「ウヴゥァァァァァァァ!?」

 

突然のことに驚き、大声を上げてしまった。

 

「あら、ごめんなさい、驚かせてしまいましたか?」

 

いつの間にか背後に立っていた狂三が申し訳なさそうに、言ってくる。

 

「わ、悪ぃ……その、時崎さ……」

 

「狂三で構いませんわ」

 

「あ、ああ……狂三……」

 

オルガが言うと、狂三は楽しそうに微笑んでから言葉を続けてきた。

 

「学校を案内してくださるのでしょう?よろしくお願いしますわ」

 

「お、おう」

 

オルガは、急に鼓動を速めた心臓を押さえるように、胸に手を当てながら首肯した。

 

作り物のように美しい貌。高貴さ漂う仕草。優雅な所作。それらが全てがオルガの感覚を通って、彼女の存在を強烈に印象づけてくる。

 

「それでは士道さん、オルガさんをしばらくお借りしますわね」

 

「あ、ああ……」

 

「……!」

 

狂三の所作に士道も少し落ち着かない様子だった。ただ士道が狂三に見とれてしまったと思ったのだろうか、十香が腕組みをしながら睨んできていた。

 

「あ、あのだな十香……」

 

士道は十香に弁明するような声を発した。その様子を見て狂三はうふふと、微笑んだ。

 

「随分とおふたりは仲がよろしいのですね。──さ!早く参りましょう。ふふ、楽しみですわ」

 

狂三は足取り軽やかに先に廊下に歩いていってしまう。

 

「あ……おい!それじゃ士道、十香またあとでな」

 

「あ、ああ……」

 

「うむ……ではまたな」

 

少しばかり十香が不機嫌そうになったが、士道ならきっと大丈夫だろう。恐らく十香にきなこパンでも買ってけば、すぐに機嫌を直すはずだ。

そう考えて二人に一言残すと、狂三の後を追って廊下に出た。

 

「それで、どこから案内してくださいますの?」

 

教室を出てすぐの所に待ち構えていた狂三が、小さく首を傾げながら言ってくる。

 

「お、おう……そうだな」

 

オルガが決めあぐねていると、右耳に琴里の声が飛んできた。

 

 

 

天宮市上空で浮遊している〈ラタトスク〉の有する空中艦〈フラクシナス〉、そこから琴里はインカムを通してオルガに指示を出している。

今、艦橋にある巨大モニターにはギャルゲーのゲーム画面のような表示と狂三の姿が映し出されていた。

 

と、画面中の狂三が首を傾げると、その可愛らしい唇を小さく動かした。

 

『それで、どこから案内してくださいますの?』

 

『あ、ああ……そうだな』

 

いきなり行く先を委ねられ、オルガは困惑していた。琴里はふうと息を吐きながら通話ボタンを押し、マイクを口に近付けた。

 

「オルガ、ちょっと待ちなさい。こちらでも検討してみるわ」

 

琴里が言った瞬間、メインモニタに校内の見取り図とともに、次の行き先が数パターン表示される。

 

①屋上

 

②保健室

 

③食堂・購買部

 

「──チャンスですね」

 

琴里の座る艦長石の後方から〈フラクシナス〉の副司令、神無月恭平の声が響いてきた。

 

「行く先の順番をこちらの判断に委ねてくれたのはありがたいですね。組み合わせ次第では、良いシチュエーションを作ることも可能でしょう」

 

「まあ、そうね。──各自、選択!五秒以内!」

 

 

 

 

琴里から待つように言われ、しばらく待機していると右耳から琴里の声が聞こえてきた。

 

『オルガ、聞こえる?まずは食堂と購買部で案内してあげなさい』

 

「……そうか、じゃあ食堂と購買に行くか。これから何かと必要になるだろ」

 

「ええ、構いませんわ」

 

狂三が可愛らしい微小を浮かべながら小さく首肯すると、オルガの横に立った。

 

「では、参りましょう」

 

「お、おう」

 

購買部へと向かう道中、下校中の生徒たちから、なにやら意味深な視線が注がれた。

 

──わー、何あの子、かわいー。転校生?隣にいるのって四組のオルガくんだよね、なんで?ああ、なんか直接指名されたんだってさ。え、そういえば五河って同じクラスに彼女持ちの兄弟いなかったか?確か夜刀神さんのダンナだって。確かあいつの友人の三日月も鳶一に囲われてたぞ。そういえば、あの3人いつも一緒だけど、オルガのそういう色気話は聞いたこと無かったな。てことはアイツにもとうとう春が来た……ってコト!?

 

……随分と好き勝手言ってくれる。

 

頬を引きつらせていると、琴里からの叱責が聞こえてきた。

 

『──オルガ、今は狂三に集中しなさい。女の子と歩いてるっていうのに、なんで無言なのよ。』

 

「え?あ……っ」

 

女の子と一緒に歩くという緊張と、周りから注がれる好奇の視線に気を取られ過ぎて、狂三を放置していたのである。

 

「……やべ」

 

口の中でそう呟き、ちらと狂三の方に視線をやる。

瞬間──オルガは心臓がドクンと震えるのを感じた。

 

なぜなら狂三が髪に隠れていない右目で、オルガの方を、ジッと見つめてきていたのだから。

 

自然と狂三と目が合う。その瞬間、狂三は心底嬉しそうにニコッと微笑んだ。まるでオルガが自分のことを見てくれるのを待っていたとでも言わんばかりに。

 

「く、狂三!さっきから俺の顔見てるけど、もしかして俺の顔になんか付いてたか?」

 

オルガが上擦った声でそう言うと、狂三は「ふふ」と小さく笑った。

 

「いえ、別にそういう訳ではありませんわ。ただ、オルガさんの横顔に見とれてしまって」

 

「え!?み、見とれ……ッ!?」

 

狂三の言葉に顔を真っ赤に染めてしまう。琴里が呆れたように言ってきた。

 

『あなたが口説かれてどうするのよ、オルガ』

 

「わ、わりぃ……」

 

『……しかしまあ、今までにないタイプの精霊であることは確かね。人間社会に溶け込んでるのはもちろん──向こうからこんなアプローチをしかけてくるなんて』

 

琴里が「ふぅむ」と考え込むように喉を鳴らす。

 

『興味深い存在だからいろいろと情報を探りたいところね。……まあ、好感度を上げつつ質問も織り交ぜていこうかしら。──と、ちょうどいいところで選択肢が来たわね。ちょっと待ちなさい』

 

 

 

〈フラクシナス〉のメインモニタに、再び選択肢が表示される。

 

①「朝言ってた精霊って、一体何なんだ?

②「狂三は、前はどこの学校にいたんだ?」

③「狂三は今、どんなパンツをはいてるんだ?」

 

「総員、選択!」

 

琴里が叫ぶと、艦橋下のクルーが一斉に手元のキーを押し、すぐさま結果が琴里の専用ディスプレイに表示された。

 

「やっぱり、①かしらね」

 

「妥当だろう。恐らく狂三は、オルガ団長が精霊のことを知っているということまでは把握していないはずだ。ここは一度揺さぶりをかけてみてもいいだろう」

 

神無月同様、琴里の後方に立っているマクギリス・ファリドがそう言ってくる。

 

「そうね。──ちなみにマクギリス。あなたはどれに入れたの」

 

「③だな」

 

「一応理由を訊こうかしら。まさか神無月みたいなろくでもない理由じゃないわよね?」

 

「まさか?私が①を選んだのは決して下心ではない」

 

「じゃあ何かしら?」

 

「オルガ団長が狂三のパンツを目にした時にどんな反応をするのか気になってね」

 

「……あなた人の兄のことなんだと思ってるのよ」

 

愉しそうに笑みを浮かべながら言うマクギリスに琴里は溜息を吐いた。

 

「……『狂三は今、どんなパンツをはいてるんだ?』……何なのこの選択肢」

 

と、そこで琴里はぴくりと眉を揺らした。

 

「あ」

 

姿勢を変えた時だろうか、いつの間にかマイクのスイッチが入っていた。つまり───

 

『な、なあ……狂三は今、どんなパンツをはいてるんだ?』

 

それを指示だと勘違いしたオルガが、琴里が先刻発した言葉を恥ずかしげに口にしていた。

 

 

 

「ぱんつ……ですの?」

 

「…………」

 

狂三がキョトンと訊き返してくるのをみて、オルガはその場で固まってしまった。

 

『馬鹿、今のは指示じゃないわ!本当は①よ。「朝言ってた精霊って、一体なんなんだ?」と、とにかく早く誤魔化しなさい!』

 

「…………ハイ」

 

焦った琴里から訂正するよう言われるが、自分で言っておきながら、自分の言ったことが信じられなくてオルガは茫然と立ち尽くすしかできなかった。

 

「……く、狂三、これはだな……」

 

オルガは狂三に向き直ろうとしたが、狂三の仕草を見て、言葉を止められる。

狂三は上目遣いで士道を見ながら、プリーツスカートの裾をきゅっと摘んでいた。

 

「……気に、なりますの?」

 

「ハァッ!?あ……いやッ……そういうことじゃなくて……」

 

オルガも健全な男子高校生だ。そりゃこんな美少女のパンツが気にならないという訳では無いのだが、口が滑ってもそんなこと言えるはずがなかった。

 

狂三はキョロキョロと辺りを見回し、身体をさっと、近くにあった掃除用具入れの陰に隠した。

 

「く、狂三……?」

 

狂三の行動の意味がわからず、眉をひそめる。すると狂三は恥ずかしそうに頬を染めると、小さな唇を開いてきた。

 

「いい……ですわよ、オルガさんなら」

 

そう言ってスカートの裾を掴んだ手を、徐々に上に上げていった。

 

「…………ハイ」

 

予想もしなかった展開に、目を見開いたままオルガの身体はまた凍りついてしまった。

 

しかしこうしているうちにも、狂三はするするとスカートを捲り上げていった。黒いタイツに覆われた脚が段々と露わになり──禁断のデルタゾーンが微かに顔を出す。左右に引っ張られて薄くなった黒い生地越しに、一瞬白い下着が見えた。

 

「──あら?」

 

と、そこで狂三は手を止めた。突然オルガの顔を見て首を傾げたのだ。

 

「オルガさん、鼻から……」

 

「…………ヘ?」

 

狂三に言われ、指を鼻に当てる。するといつの間にか鼻から大量の鼻血が吹き出していた。

 

「ア……ッ──」

 

鼻血が出てることを理解した途端、またいつもの曲が頭の中で流れ出し始めた。

 

キボーノーハナー♪

 

興奮したオルガは大量の鼻血を吹き出しながら、のぼせた頭のまま、例のごとく地面に倒れ込んで死んだ。

 

 

「……だからよ、止まるんじゃねぇぞ…………」

 

 

「お、オルガさん!?」

 

倒れ込むオルガに狂三が困惑し出す。

そりゃ目の前で人が鼻血を吹きながら倒れたら誰でも焦るだろう。

 

──その後、この後クラス委員の仕事が終わった三日月に見つかって、すぐに救出されたのはまた別の話である……。

 

 




さあいよいよ狂三編が本格的に始まりましたよ。オルガは狂三相手に平常心を保っていられるんですかね

それでは今回はここまで。感想、誤字脱字、評価お願いします!
ここまで読んで下さりありがとうございました〜。
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