琴里「まさかあんたたちが見事に運ばれてくるとは思わなかったわ。まぁこちらとしても好都合だったからいいけど」
オルガ「というかお前、ファミレスにGPSの位置情報が出てたけど大丈夫なのか?」
琴里「問題ないわ。ここファミレスの上だもの」
オルガ「そうなのか!?」
士道「なぁこの会話ここでしていいのか?」
令音「.....大丈夫だよ」
オルガ「うわっ、令音さん、あんたいつの間に!」
士道「いつから居たんですか?」
令音「.....最初からずっといたよ、それに敬語でなくても構わない」
士道「いやそれはちょっと....」
オルガ「なんか賑やかになったな。まぁいいか、それじゃ第六話スタート!」
令音「因みに前回のオルガの死亡回数一回」
「.....ふぁ~」
「悪ぃな琴里。こんな時間にまで起こしちまって」
「別にいいわよ」
「それで話って何なんだよ。オルガ」
「「........」」
時刻は午後十一時を回った。
五河家のリビングには、四人の人間が集まっていた。
リビングには士道、オルガ、琴里、そして令音が集まっていた。
今こうして集まっているのは、先程オルガのことを話してから戻ろうとしたときである。
「そういや、三日月はどうした?」
「全く急に話があるなんて言い出して、まだ決心していなかったの?」
「いや、そのことじゃないんだ」
「んじゃ何よ」
「ふぅ、よし話すか」
オルガは琴里と相対して座っていた。
その後オルガは自分の見た情景について話した。
自分の過去である。
話の内容としては火星圏での開発が進み、オルガたちは火星で〈ヒューマンデブリ〉という奴隷のような扱いを受け生活していたという事。
ガンダムフレームは元々三百年前に起きた〈厄災戦〉という戦いで開発された機体だという事。
オルガと三日月は〈鉄華団〉という少年だけで構成された組織に入っていたという事。
三日月はバルバトスに乗り込み、ギャラルホルンと戦っていたという事。
そして_____オルガと三日月は一度死んだという事。
他にオルガたちが知っているガンダムフレームの名や鉄華団のことなどについて話した。
全部を話したわけではないが大方説明した。
「「.....」」
皆困惑している様子だった。さすがの琴里もこの話を聞いてみて唸る。
琴里はあごに手を置いた。
「......つまりあんたと三日月は鉄華団?という組織に入っいて、ガンダムフレームは本来三百年前に造られた兵器のことで、あんたたちはそのことギャラルホルン?っていう組織と戦って死んだということかしら」
「あぁ、そういう事だ」
「.....ふむ、にわかには信じ難いがね」
「そう簡単に信じられんないのも分かります。だけど、この世界は俺たちのいた世界じゃないと思うんです」
「......どうして?」
琴里は頬杖をつきながら、訊いてくる。
「さっきも話したけどよ、この世界じゃ人が火星に住めるようになっているどころか、話によるとまだ人類は火星に行ったことすらないらしいじゃねぇか。なにより_____」
「なにより?」
「俺たちの知っている限りだと、俺たちのいた世界では空間震なんて災害なんざ、聞いたことすらなかった。それが俺たちの知っている世界じゃないっていうなによりの証拠だ」
「「..............」」
またも沈黙が流れる。
令音がだがと続けた。
「........全部が嘘というわけではないはずだ。なにより三日月は初めてバルバトスに乗ったとき、一度乗ったことがあるかのように乗りこなしていた」
「そうだったのか........」
先程三日月から聞いたが、三日月は生まれながら、鉄華団のこともビスケットや昭弘、マクギリスのことを覚えていた。
理由は分からないが、どうやら今の所、このことを忘れていたのはオルガだけらしい。
「いやいやちょっと待てよ!」
すると、先程まで黙っていた士道が声を上げた。
「それって可笑しくないか?」
「可笑しいって何がだよ?」
「だってオルガと三日月は鉄華団に入ってギャラルホルンっていう敵と戦って死んだんだろ?だけど何でこうして普通に生きてるんだよ?」
「確かにね、オルガはともかく三日月が一度死んだのだったら三日月がこうして生きていること自体可笑しいはず....」
「...成る程な」
オルガは眉を潜めた。
士道たちと日常を過ごせている。そのように考えて見ると士道の言う通り可笑しい。
それでは今オルガたちが生きているこの世界は一体何なのだろう。
一度死んだはずの人間がこうして生きている。
そしてモビルスーツが存在している。
しかし、ギャラルホルンも鉄華団も無く、今の人類は火星圏の開発すら進んでいない。自分たちのいる世界と全く異なっている。
もしかしたらギャラルホルンと鉄華団のどちらかの影響でモビルスーツが開発されたのではないかと思った。しかし、先程の反応を見る限り、琴里たちは両組織のことをオルガの説明で始めて知った様子だった。
「....《異世界転生》というものかもしれないね」
「《異世界転生》?」
「あぁ、君たちは一度は死んだのだろう?そんな君たちが生きている。それに、君の言う鉄華団などの組織を私たちは知らない。それに三百年前も前のその〈厄災戦〉という争いも少なくともこの世界では起きていない。もしかしたら別世界に《転生》してしまったのかもしれないね」
「別の世界か....」
しかし令音の考えにも一理ある。
オルガたちがいた世界が元の世界と考えると、今この世界は別世界という解釈がとれる。
オルガたちのいた世界では、モビルスーツは三百年前の〈厄災戦〉で使用されたモビルアーマーという兵器を倒す為に造られたものだった。
しかし、この世界ではモビルスーツは精霊を殺す為の兵器となっている。
戦闘という目的で使われているのは一緒だが、戦う対象が丸っきり異なっている。
だがしかし、それを言ってしまったら、なぜこの世界にモビルスーツが存在する?
思考を張り巡らせるが、一向に答えが見えない。謎が謎を生むとはまさにこのことである。
「.....今はその話をしても仕方ないわ。令音の言う通りあんたたちが一度死んで生き返る《転生》というものかもしれないし。第一何もわからないのが現状だしね」
「....そうだね、オルガ」
「はい」
「このことを話しても構わないかね?勿論一部の人間にしか知らせないよ」
「別に構いません」
「決定ね。取り敢えずあなたたちは今日はもう寝なさい。さっきも言ったけど、あんたたちは明日から訓練なんだから」
「そうだな」
(そのことを考えても仕方ねぇ。それについてはまた後ででも考えられる。)
オルガはそう心の中で呟いた。
◆
次の日、来禅高校、士道たちのクラス二年四組にて。
「ふぁ~」
士道は一つを大きなあくびをした。
それはそうだろう。士道は琴里に早く寝るようにとは言われたが、結局あのあと一睡も出来なかったのである。
士道たちが精霊という存在と〈ラタトスク〉という組織のことを知り、夜中にオルガと三日月は別世界の人間かもしれないしと云われ、頭の整理が全く出来なかった。
強烈な出来事があった士道は気怠い感覚がのしかかる中で学校にいた。
「えっと、新学期二日目ですけども今日からこのクラスに副担任の方がついてくれることになりました。」
士道たちの担任である岡峰珠恵先生、こと通称タマちゃん先生がいつもの間引きしたような声で言ってきた。
「先生、入ってきて下さーい」
タマちゃん先生が言うと、クラスのドアが開き、一人の女性が入ってきた。
「....村雨令音です。担当教科は「物理」よろしく....」
「「ぶっ!」」
士道とオルガはその場で思いっきり噴き出した。それもそのはず副担任はまさかの〈ラタトスク〉の解析管の令音だった。
◆
場所は移り、現在士道とオルガそして三日月令音に呼び出され、四階の物理準備室にいた。(令音には敬語でなくていいと言われたので、オルガはほぼ敬語使わなくなった。)
「....令音さん、何やってんだぁ!」
「.....ど、どういうことです?村雨解析管」
「令音で構わないよ、しんたろう、オルガ」
「し、しかあってねぇ!」
「......あぁ、すまないね、シン」
「直す気ゼロか!」
士道が声を上げて叫ぶが、どうやら令音は士道の言葉など聞いていない様子だった。
「教員として、君たちの傍にいた方が何かと都合が良いからね」
「そんなこと少し考えれば分かるでしょ。このこのミイデラゴミムシ」
「ヴゥ!」
オルガは呻き声を上げると、なぜか血が流れ出し、左手を伸ばしながら倒れ込む。
そしていつもの台詞を残し死んだ。
「《.....だからよ、止まるんじゃねぇぞ.....》」
「オ、オルガ!?」
「うむ、今のは恐らく琴里の罵声によるメンタルブレイクでの死亡だろう」
「お前そんなにメンタル弱かったか!?ってか何冷静に死因の解説しているんですか!?」
そんなやり取りをしていると、先程発したセリフで体が治ったオルガが立ち上がった。
「大丈夫か?」
「....こんくれぇ、なんてことはねぇ」
「俺は別に気付いていたけど」
三日月が淡々とした調子で言ってくる。
その言葉を聞いて、三日月は適応や理解が早いと改めて思ったオルガたちであった。
「やっぱりすげぇよ、ミカは。」
「ほんとにな、そういや琴里、なんでお前ここにいるんだよ。中学どうした。」
「ちゃんと手続きしてきたわよ」
そう言うと、琴里は足を指す。よく見ると、来賓用のスリッパと入校証をつけていた。
「んで、俺とオルガに何させる気だ?」
「そうね、あんたたちには調きょ....ゲフンゲフン。昨日言った訓練をしてもらうわ。」
「てめ今調教って言いかけただろ」
「気のせいよ_____オルガ」
「どうした?」
「少し令音の目の前に立ってくれるかしら」
「え?なんでだよ?」
「いいから」
オルガは首を傾げたが、琴里に指示されるままに令音の目の前に立った。
「こうか?」
「ええ」
すると、琴里がいきなりオルガの頭を押し、令音の胸に押し付けた。
「........ッ!?」
「......ん?」
令音が、不思議そうに声を発した。
オルガの両頬を柔らかい感触が襲い、脳がとろけるようなほどのいい匂いが鼻腔を駆け巡る。
「....って、おい!」
士道はすぐさま琴里の手を退かすと、オルガの顔をバッと上げさせた。
「大丈夫か.....?.....んなッ!」
士道はオルガの顔を見ると、息を飲んだ。
オルガは何かを悟ったような表情になっていた。
試しに士道がオルガの顔の前で手を振ってみると、オルガは前方に倒れ込んだ。
そしていつもの台詞を言う。
「《.....だからよ、止まるんじゃねぇぞ.....》」
「はん、オルガダメダメね」
琴里が嘲るように肩をすくめる。そして倒れていたオルガが立ち上がった。
「.....おい、琴里てめ何しやがる...ッ!」
「チェックよ、チェック。あんたが女性との接し方で緊張してないかの」
「いや、こんなこと滅多に起きることでは無いと思うけど......」
少なくとも、このようなことは日常では起きないことだ。少なくとも、士道はこんな事態見たことない。
「ついでに士道も大丈夫か、確認しなくちゃねぇ」
そう言って琴里は満面の笑みでこちらを見てきた。
「へっ....?」
士道が間の抜けた声を出した後どうなったかは大体予想がつくだろう。
◆
「はぁ、はぁ、短時間だけどどっと疲れた気がする.....」
「これで分かったでしょ。あんたたちは女性への対応に慣れておかないといけないの」
「だからってこれはねぇだろ.....」
「対象の警戒を解くため、ひいては好意を持たせるためには、まず会話が不可欠だ。大体の行動や台詞は指示を出せるが.....やはり本人が緊張していては話にならないからね」
「だからあんたたちにはこれをやってもらうわ___令音。」
「あぁ」
令音が短く答えると、机の上にあるモニタの電源を入れ操作する。
すると画面に可愛らしくデザインされた〈ラタトスク〉の文字が表示され、カラフルな髪の少女たちが順番に表示され、タイトルと思しき『恋してマイ・リトル・シドー』というロゴが見えた。
「これってギャルゲーかよッ!」
「ま、まさかこれでか.....?」
「........」
「........」
「........」
そのまま数秒が経過した。
「.....さ、始めてくれたまえ」
「「スルーかよッ!」」
士道とオルガは声を上げた。もはや尊敬するレベルのスルースキルだ。
するとオルガは三日月がジッとこちらを見ていることに気づいた。
「あ?てかミカはやらないんすか?」
「彼は既にこのゲームをクリアしているからね」
「えっそうだったんですか?」
「あぁ、確か彼は....二日でクリアした。」
「「早っ!」」
オルガと士道は声を合わせて叫ぶ。
士道たちは腑に落ちないものを感じつつも、コントローラを手に取った。
「仕方ねぇ……気引き締めていくぞ。士道」
「……あぁ」
そうやり取りすると、二人はスタートボタンを押した。
_____これが二人にとって地獄のような日々の開幕とは知らず。
どうでしたでしょうか。
最近見て分かったのですが、通算UAが2000を超えていました!本当にありがとうございます!これからも頑張って参りますのでよろしくお願いします。
最後にお気に入り登録と高評価、感想コメントよろしくお願いします。
それではまた次回~。