士道「うわっどうしたオルガ!?デカいクマ出来てるぞ!」
オルガ「.....前回の恋愛ゲームで色々あってよ、正直ぶっ倒れるんじゃねぇかって.....」
士道「倒れた!?大丈夫かオルガ!?」
キボウノハナー ツナイダキズナガー
オルガ「.....だからよ、止まるんじゃねぇぞ.....」
士道「なにこの曲!?と、取り敢えず第七話どうぞ!」
____ガタンッ!
「.....ヒッ」
オルガは机を手を叩きつけて、無言で立ちあがった。
「(さすがにオルガでも限界か.....)」
「.....いやったぁぁぁあああ!!!」
「へ?」
オルガがいきなり大声を上げて叫びだしたのである。
オルガの目元を見ると令音レベルの濃いクマが作られていた。そのままオルガはいつもの台詞を残し横に倒れ込む。
「......止まるんじゃねぇぞ.....」
オルガが倒れ込む様子を士道と琴里は怪訝そうに見ていた。
琴里と令音の強化訓練が開始されてから、十日が経過した。この数日間オルガたちにとって地獄のような日々だった。オルガたちがこのゲームをプレイしている際に間違った選択肢を選ぶと、キャラクターシチュエーションの行動が突っ込み所満載で二人はほぼ毎回突っ込みを入れながらプレイしていた。さらに選択肢を間違えれば二人の黒歴史が世界中に公開されてしまったりと、大変だったのである。それにより士道たちの精神はゴリゴリと削れていった。
オルガの使用していたパソコンを覗き込むと、ゲームのハッピーエンド画面になっていた。恐らくさっきの叫びはゲームをクリアしたことによるあまりの嬉しさによるものだろう。
「オルガもクリアしたのか、よし俺も頑張るか」
士道はそう言うとまた画面に顔を向けた。
数十分後。
「どんなもんじゃーいッ!」
士道もようやく、ゲームをハッピーエンドでクリアをすることができた。オルガがクリアした後も何度か選択肢を間違えてしまった為、数十分も掛かってしまったのである。三日月はこれを二日でクリアしたと聞いたが、信じられない。因みにオルガはクリア後しばらく仮眠をとっていた。
そこからさらに数分後。
「それで、士道、オルガ、そして三日月。あんたたちには次の訓練をしてもらうわよ」
「「.....」」
琴里は神妙な面持ちで言ってくる。士道とオルガは息を呑み、三日月はポッケから火星ヤシを取り出して口に放り込んだ。
「.....次の訓練って、なんなんだよ」
士道は不安な気持ちを抑えながら問う。
「....そうね、単刀直入に言うと、あんたたち三人はこれから女性を口説きなさい」
「「はぁッ!?」」
オルガと士道は口を揃えて叫ぶ。
「どうかしたの?何か問題でも?」
「問題しか無いわ......!大体なんで急に女性を口説けってなんだ!」
「.....まぁ、落ち着きたまえシン。それについてはちゃんと理由がある」
「へ?」
「.....本番、精霊が出現したら、君たちは小型のインカムを耳に忍ばせて、こちらの指示に対応してもらうことになる。そのために実戦を想定して訓練しておきたかったんだ」
「.....なるほど、って納得いきませんよ!」
「仕方ないでしょ、実戦ではもっと難物相手に挑まなきゃならないんだから」
「.....くッ」
琴里の言う通りである。本番では精霊相手にコミュニケーションをとらなければ、いけないのだ。そう考えれば女性を口説く訓練をしなければいけないのかもしれないが、士道は納得いかなかった。
「いやでも、待ってくれ」
「どうしたの?」
先程から黙っていたオルガが口を開いた。
「さっき三人って琴里、お前言ったよな?」
「そうよ」
「いやでもそれって可笑しくねぇか?」
「どこがよ?」
「恐らくお前の言った三人って俺と士道、そしてミカだろ?だけど精霊とコンタクトするのは俺と士道だけなんだろ?なのにギャルゲーの時もそうだけど、ミカに訓練を参加させる意味があるのか?」
確かにその通りだ。主に士道とオルガの二人が精霊とのコンタクトを行うとなると、三日月は何故訓練をしたのだろうか。
「なるほど、確かにあなたの言うとおりよ。だけど意味があるから三日月にも参加させてるの。三日月にも一応レディとの接し方を覚えておかないとね」
琴里はそうオルガの問いに答える。
「.....あぁそうだ、君たちに渡すもののがあった」
言うと令音は机から何かを取り出し、士道たちに手渡した。次いでマイクと、ヘッドフォン付きの受信機らしきものを机に置く。
「.....何これ?」
「.....取り敢えず、付けてみたまえ」
言われるがままに士道たちは右耳にはめ込む。
すると令音はマイクを手に取り、囁くように唇を動かした。
『.....どうかね、聞こえるかな?』
「うぉっ!?」
「ヴァァァアア!?ヴゥ!!」
突然耳元で令音の声が響く。士道は肩をびくっと震わせません跳び上がり、オルガは驚きの余り、椅子に足をぶつけてしまった。そのままいつもの台詞を言って倒れる。
「.....だからよ、止まるんじゃねぇぞ.....」
『.....うむ、驚かせてしまったかね?取り敢えず様子を見るにちゃんと通っているね。音量は大丈夫かい?』
「は、はぁ.....まぁ一応.....。それよりもオルガが.....」
士道が肯定すると、オルガが立ちあがる。
「.....なんかもう、慣れた気がする.....」
「お前もう重症だろ」
◆
その後士道は岡峰珠恵教授、オルガは女子生徒を三日月は折紙を口説くことになった。
士道は珠恵教授を口説いていたが、もうすぐ三十代の先生は令音の指示で士道が言った『結婚』という単語に思いっ切り食いつかれてしまい、士道はなんとか振り切って来た。
オルガは女子生徒と言われ、亜衣麻衣美衣を口説いたが、なんというか会話がイマイチ発展せず、そのまま戻ってきてしまった。
そして三日月は_____。
「鳶一」
「なに」
「髪型可愛いと思う」
「ありがとう」
「......」
「......」
三日月の相手は鳶一折紙だった。理由としては、彼女と接した数少ない人物が三日月だったからである。だが、お互いにあまり口数が少ない性格が相まって、そのまま変な沈黙が流れてしまっていた。
『ちょっと何黙ってんのよ!?三日月!』
「.....ごめん、何話せばいいの?」
『いきなり他力本願か、ミカァ!?』
確かに先程士道が先生を口説いた時は、取り敢えずひたすら褒めていた。恐らくはそれを真似たつもりなのだろうが、急にすれ違った女子生徒の髪型を褒めるのは流石に会話が続くものではなかった。
『.....三日月、手伝おうか?』
と、焦れたのか、令音が助け船を出してくれた。三日月は右耳から聞こえる令音の言葉に従い、淡々と声を発していく。
「あのさ、鳶一」
「なに」
「俺、鳶一のこと知ってた」
「そう」
三日月と折紙は素っ気ない声のまま会話を続けていく。
「私も、知っていた」
「そうなんだ、それで俺、鳶一と同じクラスになったのが嬉しくて。ここ一週間ずっと鳶一のこと見てたんだ」
「そう、私も」
完全にストーカーの言う台詞じゃないか。士道とオルガはそう思いながらも三日月の様子を物理準備室からモニター越しに見ていた。
「俺、それだけじゃなくて、放課後折紙の教室で鳶一の体操着の匂いを嗅いでる」
「私も」
「そう、俺たちなんか気が合う」
「うん」
「それじゃ俺と付き合わない?」
『って急展開すぎんだろいくらなんでも!』
もう訓練とかはどうでもよかった。士道はたまらず叫びを上げる。
途中の折紙の返答には驚いたが、それ以上令音の指示とはいえ、三日月の言っていることに正直言って、引いていた。
『.....いや、まさか本当にそのまま言うとは』
『ミカにそのまま言えっつったのあんたじゃねぇか!』
オルガが声を上げる。
すると折紙から予想外の返答が返ってきた。
「構わない」
『『.............は?』』
三日月ではなく士道とオルガはインカムの向こうで間の抜けた声を発した。二人の目が点になる。いつの間にか口が半開きになっていた。
_______ちょっと待て。今この少女なんと答えた?『構わない』と答えたよな。
ありえない。普通に考えればありえない。だって、数えるくらいしか会話をした男にいきなり交際を迫られて、OKをだす女が普通いるのだろうかいやいない(反語)。
しかも話の内容としてはずっと見ていただったり、体操着の匂いを嗅いでいたなどのとんでもない変態会話である。普通ならドン引きものだろう。
しかし折紙は『構わない』という答えを返してくるとは想像がつかなかった。士道たちが呆然としている最中三日月が口を開いた。
「どこかに出かけるのに付き合ってくれるということ?」
折紙が小さく首を傾げた。
「そういう意味だったの?」
「どういう意味だと思ったの?」
「男女交際のことかと思っていた」
『『........ッ!』』
士道とオルガはまたも呆然とした。
何というのだろう、折紙の口から『男女交際』なんて言葉が出るのは、恐ろしく背徳的な感じがしたのである。
「違うの?」
「ううん、違わない」
「そう」
三日月が顔色一つ変えずに答えると、折紙は何事も無かったかのように首肯する。
士道たちは怪訝そうにモニタを見つめていた。何故この二人は表情一つ変えずにこのような会話を平然とできるのか、正直呆れを通り越して最早尊敬すら感じた。
と。
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ___________
瞬間空間震警報が辺りに響き渡った。
物理準備室にいた士道たちが目を開いた。
それと同時に、折紙が顔を軽く上げる。
「急用ができた。また」
そう言い残して踵を返して走っていってしまった。
ほどなくして三日月のインカム越しに声が聞こえてくる。
『三日月、空間震よ。』
「やっぱり精霊.....?」
『ええ。出現予測値点は_______
◆
時刻は十七時二十分。
三日月は避難する生徒の目をかいくぐり、来禅高校上空の〈フラクシナス〉でオルガたちと合流した。
館長席に腰掛け、クルーたちと会話していた琴里が唇の端を上げた。
「_____士道、オルガそして三日月」
「うん?」「どうした?」「なに」
「早速あんたたちには働いてもらうわよ」
「「........ッ」」
琴里の言葉に、士道たちは体を硬直させた。
「だけどあんたたちかなりラッキーよ」
「どういうことだ?」
「CRーユニットは、元々屋内での戦闘を目的として作られたものではないのよ。いくら
「つまり......?」
「今精霊が屋内にいる以上、下手にASTは手を出せないってことよ。だからあんたたちはASTからちょっかいなしに精霊とコンタクトができるってわけ。本当にラッキーね」
理屈は取り敢えず分かった。
だが、オルガは琴里の台詞に引っかかりを覚えた。
「琴里、一つ訊きたいことがあんだけど」
「どうしたの?」
「......もし精霊が普通に外に現れたら、どうやって俺と士道とミカをあいつに接触させるつもりだったんだ?」
「ASTが全滅するのを待つか、ドンパチしてる中に放り込むか、ね」
「......」
オルガは先程よりも今この状況がどれだけありがたいものか改めて実感させられた。
すると琴里が口を開いた。
「コンタクトに関しても、安心しなさい二人共。〈フラクシナス〉クルーには頼もしい人材がいっぱいよ」
「そうなのか?」
士道が訝しげに聞き返すと、琴里が上着をバサッと翻して立ち上がった。
「そうね、例えば」
そう言うと、艦橋下段のクルーの一人をビシッと指さす。
「五度もの結婚を経験した恋愛マスター・
「いやそれ四階離婚してるってことだよな!?」
「何をしたらそんな離婚できんだよ!」
「夜のお店のフィリピーナに絶大な人気を誇る、
「それ完全に金の魅力だろ!?」
「夜の店って......おい」
「オルガがなんか察したんだけど!」
「恋のライバルに次々と不幸が。午前二時の女・
「絶対呪いかけてるだろそれ!」
「そこまでするほど何があったんだよ!?」
「百人の嫁を持つ男・
「聞こえは良いけど、それ二次元のことじゃねぇか!」
「ちゃんとz軸のある嫁だろうな!?」
「その愛の深さ故に、今や法律で愛する彼の半径五百メートル以内に近づけなくなった女
「なんでそんな奴らばっかなんだよ!」
「.....なぁ、俺もう帰って良いか?」
『.....皆、クルーとしての腕は確かなんだ』
艦橋下段から令音が申し訳なさそうにぼそぼそっと言ってくる。
「そ、そう言われても.....」
『いいから早いところ行ってきなさい。精霊が外に出たらASTが群がってくるわ』
確かに琴里の言うとおりだ。精霊が外に出れば、状況が悪化してしまう。精霊が屋内にいる状況でASTが迂闊に手を出せない今しかチャンスがないのも事実だった。
「.....わ、わかったよ」
『心配しなくても大丈夫よ。士道とオルガなら一回くらい死んでもすぐニューゲームできるから。』
「そんな軽く言わないでくれ.....。え?」
『それじゃグッドラック』
「お、おう」
ビッと親指を立ててくる。
士道たちは先程の言葉が少し引っかかったが、軽く手を上げて返す。
二人の心臓は未だに高鳴っていたが______この日機を逃すわけにはいかなかった。
正直士道とオルガは精霊を倒すとか、恋をさせるとか、世界を救うとか。
そんな大それたことは全く考えていない。
ただ______またあの子と、話したかっただけだ。
琴里はモニターに映された少女にチュッパチャプスを向けて唇を動かす。
『さぁ_____私たちの
前回通算UAが2000を超えて喜んでましたが、まさかのここ一週間で2500超えてました。
あ、ありがとうございますぅぅ!!因みにお気に入り数は12でした。もっと増えて欲しいな~(チラ)
しかしここまでこれたのも皆様のおかげです!本当にありがとうございます!
さて本編に戻りますけど、今回三日月と折紙を会話させてみましたが、いかがでしたでしょうか?
できれば、感想や高評価、お気に入り登録をお願いします。
それでは!
ー追記ー
11月8日に一部改稿いたしました。
それと今週の投稿をお休みさせていただきました。
現在オリジナル小説を書いているので、お休みしました。もしかしたら来週も休ませてもらうかもしれません。そのことについては本当に申し訳ありません。