いや本当に申し訳ないです。
この一話の前半分は書いていたものなのですが、後半は最近書いたので、もしかしたら主人公くんの性格に若干の差異があるかも。私には分からずとも読者兄貴たちはなんか違くね?みたいに思ってしまうかもなので一応頭を下げておこうかと。
でも安心してください。主人公くんの変態具合に変わりは全くありませんので。
第1話 マホ姫のおもてなし〜享楽の宴の始まり
あれから僕たちは薄暗がりの峠を無理のないスピードで馬車を走らせ、数時間後には【
それにしてもなんかこのギルドハウス、ちょっとエッッッッッな匂いしない? なんか女の子の甘い匂いって言うのかな。そういえば、これは僕が発見した法則なんだけど、獣人族って一般的なヒューマンより体臭が強い傾向にあるんだよね。しかもそこに男女の差はほとんどなくて、女性の獣人族も匂いが強いんだよ。やっぱ動物みたく臭腺とかあったりするのかな? ゲヘヘ、肛門腺絞りするぅ? ……ちなみに、たしか臭腺は主に悪臭が出されるところだから獣人族の体臭とかは一切関係ないんだけどね。ただ僕がちょっと臭い女の子も好きなだけ(唐突な性癖暴露)。
あるかもしれない獣人族の臭腺絞りに思いを馳せていると、奥から実に優雅な歩き方でマホマホが現れた。
「あらあら、王子はんの服がボロボロや。一つうちが直しまひょ。みらくるまほりん、くるりんぱ〜☆」
あ^〜くるりんぱされるんじゃ^〜! マホマホの柔らかい声ホントすっき。癒されるってレベルじゃねえぞ!
「マホマホ、ありがとう」
「あ〜ん、もぉっ。うちは王子はんにマホ姫って呼んで欲しいていつも言うてるのに、王子はんたらうちの反応を楽しむ為にマホマホなんて呼ぶんやから……ほんまいけずやわぁ」
「でも嫌じゃないでしょ?」
「せやから困ってるんやんかぁ……」
すすす、と地を滑るように擦り寄ってくるマホマホの頭をよしよしと撫でる。
「うちんとこのマコトはんがご迷惑かけてしもうたみたいで。ほんまに堪忍しておくれやす……」
「大丈夫、誰も怪我してない。人的被害は皆無。強いて言えば馬車がボロボロだけど、それは謎の二人組とノウェムちゃんのせいで、マコトちゃん達のせいじゃないから」
「せやけど、王子はん達の馬車を襲おうとしたんは事実やし、馬車の手配や諸々の賠償はうちらがぜ〜んぶするから王子はん達はゆっくりしていっておくれやす」
「わかった」
あの、マホマホ可愛すぎない??? なにこの、この……(語彙力喪失中)
とにかく良い匂いするし、くっついて来るとやぁかいし、ウ、ウガァァァァァァアアアアア‼︎ ……ふぅ。クールに行こう。そう、クールだ。
……頭撫でると耳をぴこぴこしながら上目遣いで見つめてくるの本当にどうにかならない? 撫でるのやめろって? 手を離した瞬間、残念そうな顔してお耳がしょんぼり垂れる美少女を放っておけと? そんなこと出来るのクズか聖人か唐変木主人公くらいだろ常考。
☆☆☆
とりあえず僕はマホマホを撫で撫でする機械となって無心で撫で続けた。あまりに意識が飛び過ぎて気づいたら事態が急変していたのを知ったのは、胡座をかいて座ったマコトちゃんが床に拳を振り下ろした時だった。
「ともかく、ものすごくヤバい状況だ! あたしらハメられたんだよ!」
「ハメられたって誰にやのん? その黒幕っていうのは一体——」
マホマホの言葉を遮るように突如として轟音が響き、ギルドの壁が盛大にぶち破られ、壁の破片と土煙が舞う。その大穴を堂々とした足取りでずかずか侵入してきたのは金髪の痴女だった。いやマジで。
どういう思考回路してたら公衆の面前をそんな半裸みたいな格好で歩けるの? いや、この人のことだから「ハハハ、何故隠す必要がある? この私に隠すべきものなど何もないさ☆」とか言いそう……。
僕の中のクリスティーナが大仰に手を広げて自慢げに見せつけてくるなか、壁をぶち抜いたクリスティーナは偉く上機嫌な表情をして【
「ハァ〜イ、呼ばれて飛び出てグッドナ〜ィト♪ 夜分遅くに失礼する。歓迎してくれ、お客様だよ☆」
「あっ」
「おいおい、そこにいるのは坊やじゃないか☆ こんな獣臭い場所で偶然会うとは些かロマンチックじゃないが、どうだ? 私と結婚する気になったか?」
「えっ、結婚⁉︎ 王子はん⁉︎」
「ユウキの知り合いか⁉︎」
クリスティーナさんやめてェ! 話をややこしくしないでェ!
「…………」
「フッ、だんまりか。相変わらず静かすぎるくらい静かだな、坊やは。まあ、いい。将来の話は後でじっくりするとしよう。家無し坊やは後でこのクリスティーナさんが引き取るとして、まずは仕事だ!」
クリスティーナが剣を構える。その際に双丘がぶるんと揺れたのを僕はもちろん見逃さなかったし、何なら求婚しそうになった。もう、ゴールしてもいいよね——
あかんユウキ……来たらあかん! ゴールしたらあかん! 始まったばっかりやんか! 昨日やっとスタート切れたんやないかぁ!
——あっぶねえ、晴子さんがいなかったらゴールしてた……。
とまあ、そんなボケは横に置きつつ、マコトちゃん達と騎士団の一触即発の空気の中で僕は徐に立ち上がる。
「クリスティーナさんは戦いでドキドキしたいんだよね?」
「どうした、急に。ん、まあ、そうだな! 私は心躍る殺し合いがしたいんだよ! こんな平和し腐った世の中じゃ全くもってつまらない! だからコイツら獣人の襲撃は私にとって待ち望んでいた大義名分というわけさ……☆」
「そう、じゃあ僕と戦おう」
「坊やと戦う? フッ、アハハハハ☆ 坊やと戦ったところで私のこの昂りは抑えられんよ! 第一、『おまえは弱すぎる』」
クリスティーナは弱かった僕しか知らない。偶に会う時だって僕が配達のアルバイトをしていたりと戦闘しているところを見られたことはなかった。
だからだと思う。……ちょっと性的に興奮し、いや、口が滑った。腹が立ったのだ。
僕には必殺技も無ければスキルもない。ただ他者を強化するだけ。戦う女の子を後ろで強化するという主人公に相応しい特別なチカラだけ。
クリスティーナの言葉はおまえは守られる存在だと、女子供や戦えない人々と何ら変わらないと。そう言われている気がした。
端的に換言して、僕はほんのり腹が立ったのだよと己の内に飼うユニちゃんが顔を覗かせた。
「表に出ようか……久しぶりに……キレちまったよ……」
「主さま⁉︎」
コッコロちゃんの叫びを無視してクリスティーナを連れ立って壁の穴から外に出る。周囲を取り囲んでいた騎士の一人が逃すまいと思ったのか取り押さえようと飛びかかってくるものの、それを横に一歩ずれることで避ける。
「おまえたち、邪魔はしてくれるなよ? この坊やが私と遊んでくれるそうなんだ! 邪魔しようものなら獣より先に始末するぞ☆」
クリスティーナの一言で騎士達は微動だにしなくなった。あっ、この反応……(察し)
上司の命令だからとかじゃなくて過去に本当に被害に遭った者達だ、面構えが違う。ヘルムで顔は見えないけど。
「さあ、ここらで良いだろう! 坊やの本気を見せてもらおうか!」
相対したクリスティーナがとても楽しそうに嗤った。