程々にありふれた職業で世界最速(ガバがないとは言っていない) 作:神影 森羅
◆◇──────◇◆
冷たい微風が頬を撫で、冷え切った体が身震いした。ゆったりとしたリズムではあるが動いていたためか「うっ」と呻き声を上げてハジメは目を覚ました。
「ここは……ボクは確か……」
「やぁ、おはようハジメ。どうやらひとまず生き残ることには成功したようだな。」
「新、君?」
「ただし、65層よりもかなり下の層だ。なにかしらの事をしなければすぐに殺されて終わりだろう。」
「!」
私の言葉にハジメが息を呑むのがわかる。
しかしすぐに困惑し始める。
「え、えっと、新君、ボク、なんで新君におんぶされてるのかな…?」
「いや、川で流されてきたものだからな。水の周りだと魔物に出会いやすいだろうし、そのまま川にいたって体温を奪われるだけ。なら早々に立ち去るのがいいだろうなと…な。」
まぁ、早く出発することで爪熊&蹴りウサギとのエンカを無くそうというのもかなりあるが。
そうこうしているうちに道の分岐点についた。
…確か右側に行って蹴りウサギを観察し、そのあと爪熊…そして後ろ…この辺りから真っ直ぐか。
「慣れない場所で分かれ道を進むのは賢明とは言えないな……よし。ハジメ、ここら辺を錬成で掘り抜いてくれ。仮拠点にしよう。私は外を見張っておくよ。」
「え、あ、うん、わかった!」
ハジメは急な展開についていけてないようだが、とりあえずは、と錬成で洞穴を作っていく。
「……さて、そろそろか?」
辺りを見回す。
蹴りウサギ…の前に二尾狼がくる可能性が高い。
なら、それで実証しよう。
「…お、来たか。」
「グルゥア!!」
いきなり飛びかかってくる二尾狼。
…前方、右前方、右後方。
なら、薙刀状態で前方から右回り、正面を0°として100°まできたらギミック発動。
金属音が鳴り響く。続いて何かがドサッと落ちる音。
「…いや、ほんとにチートだな。この武器。」
通販でよくある性能実証。
到達どころか発見すらされていない奈落の敵をスパッと一撃なら注文殺到間違いなしだな。
さて、残りも片付けてしまおうか。
time 369:18:47:274
◆◇──────◇◆
「少々面倒なことになったかもしれない。」
思わず、そう呟く。
彼女らに試練を与えたところまではよかったのだ。
しかしそこから
おかけで
更に奈落側。
ああ、全く。
やはり
time 00000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
◆◇──────◇◆
「…来たか。」
二尾狼を全て刈り取っておよそ二分。蹴りウサギらしき気配。
気づかれた場合、縮地や天歩も相まってかなり危険だ。だから、
「……。」
「キュ?」
蹴りウサギが振り向くがもう遅い。
鎌状態で切り裂く。
少しの間何も起きず、不意にぐらりと蹴りウサギの体が傾き始め、首だけが一足先にごろりと先に地面に落ちる。
拝啓、皆様。
私はどうやらとんでもない武器を手に入れてしまったようです。
さて、次は爪
「新君、これぐらい掘ればいいかな?」
ひょっこりと洞穴から顔を出すハジメ。
まずい。
「ハジメ!今すぐ洞穴の奥に隠れろ!」
「え?」
……!
駄目だ、このままじゃ…!
走る。
そして、ハジメの元へ着いた時には、既に爪熊がその腕を振り上げている。
ハジメも爪熊に気がついた、が、到底爪熊がその腕を振り下ろすまでに行動を起こせる訳がない。
鎌を両手で横にして自分の前で構える。
腕が、振り下ろされた。
鎌は、爪熊のスキルによって形成された長い爪を切り裂く
なんて、事もなく。
「うぐっ!?」
激痛。
左腕から腹辺りまでの焼けるような痛み。
爪熊はナニかを拾って捕食する。
多分、左腕。感覚がない。
意識が遠のくのを感じる。
……痛みには、
「新君!!」
──声がする
──誰かの、悲鳴のような。
──………いよいよ、駄目か。調子に乗った代償ってやつだろうか?
──音が消える。
──光が消える。
──そして……………
◆◇──────◇◆
混乱しながらも視界でどうにか爪熊の方を見ると、爪熊は何かを咀嚼していた。
だが、一体何を咀嚼しているのだろう。それにどうして、
ハジメは理解できない事態に更に混乱しながら、目の前で立つ新を見る。そして、気がついた。
「あ、あれ?」
ハジメは顔を引き攣らせながら、なんで彼の左腕がないの? どうして彼から血が吹き出してるの? と首を傾げる。脳が、心が、理解することを拒んでいるのだろう。
しかし、どさりと糸が切れた人形のように倒れる新に現実に引き戻されるハジメ。
「新君!!!」
叫ぶ。しかし、新は倒れたまま動く気配はない。
このまま放っておけば爪熊に切り裂かれるのは当然だろう。
火事場の馬鹿力という言葉がある。
本当に危険な時などに自分のリミッターが外れ、普段とは比べ物にならない力が出る、というものだ。
ハジメの今の状態はまさにそれだった。
「っ!」
走って、新を一瞬にして背負う。
そして更に走って洞穴の入り口に飛び込み一瞬爪熊をキッ!と睨みつける。少し爪熊が怯む。
「〝錬成〟!〝錬成〟!〝錬成〟!」
しっかりと洞穴を閉じて行く。
しかしそんなことをしていれば当然すぐに限界がくる。
「〝錬成〟!〝錬成〟!〝錬せ〟…きゃ!?」
ハジメの身体から今度は力が完全に抜けて、指一本動かなくなり倒れ込む。
「……ごめん…ね?」
遠のく意識の中、ハジメはそう呟いて完全に気を失う。
そんなハジメと新の頬にはポタポタと水が滴り落ちていた。
オリジナルが多いと文字数が減ります。
ウルの街でぇ↑オリヒロ、出るらしいんすよ(ネタバレ)じゃけんヤンヤン度決めましょーねー
-
ガチヤンヤン
-
ユルヤンヤン
-
ちょいヤンヤン
-
ヤンヤンなし
-
作者過労以外の何に投票する必要があるんですか。