あの後ベンガーナでデートの続きを楽しんだ俺たちは、今度こそテラン王国にやって来た。
ナバラとメルル? 会ってない。
住民たちにいろいろと話を聞いてみると、最終的に湖に案内された。
ここに竜の神の魂が眠るとされる神殿が沈んでいるという。
俺とレオナはふたりで湖に潜り、神殿を目指した。
いやだってレオナひとりで置いてくのもアレだし……。
湖底。
門は固く閉ざされており、開ける機構が存在しないようだ。
しかし門に嵌った巨大な宝玉?に触れると、吸い込まれていく感覚――あっレオナと繋いだ手が引っかかった。
「はああああああああ!!!!!!」
俺は紋章を出し、
すると、ふたりで通ることが出来た。
結構ガバいな、こいつ。粉砕する必要がなくて良かった。
内部で竜水晶と出会う。
「誰だ……!?」
こいつ喋るぞ!!
「ダイです」
「レオナよ」
「竜水晶だ」
「バランだ」
なんだと!?
慌てて振り返る。そこには髭の偉丈夫が……!
レオナと繋いでる手の感触に夢中になってて、まるで気付かなかった……!!
「ディーノ……我が子よ……。迎えに来たぞ」
バランは語った。
そして自分にどんな悲劇が起きたのか。
内容は原作通りだ。
竜水晶の出番はもうなかった。
何のために来たんだ、ここまで。
で、結論。
「私の部下になれ!! 共に人間どもの世界を滅ぼすのだ!!」
「いいえ」
俺はキッパリと断った。
「なぜだ! お前もゴリラ扱いで迫害されていると聞いたぞ!」
「真面目にゴリラとか言い出すんじゃねえよ!?」
笑うだろうが!!
「俺はレオナとか、ブラスじいちゃんやゴメちゃん……大切な奴らと平和に暮らしたいだけなんだよ。だから邪魔な魔王軍は潰すけど、人間は別に……」
「人間がいる限り、平和には暮らせんぞ!! くっ……! 人間に飼われたゴリラに成り果ておって!!」
ゴリラ言うなっつってんべ!?
ともあれ、どうやら戦闘の気配である。
バランは剣を抜き、俺は手を繋いだままのレオナを背後に庇った。
「足手纏いを連れて戦えるか、ディーノ!」
「オラァ!!!!!!!!!」
「おげッ……!!!」
神殿の外まで吹っ飛ばした。
湖も出て地上に戻り、仕切り直し。
「ごほっがはっ……!! バカな、
バランは既に膝をついているが。
「だが
バランが紋章を出した。
俺はレオナを逃がすと、自分も紋章を出した。
「ギガデイン!!!」
バランの剣が落雷を受け止め、激しく帯電する……!!
「受けよ、
「アストロン!!!!!!!!!」
俺は全力で防御した。
直撃。
真魔剛竜剣が折れた。
「えぇ……」
バランは涙目になった。
いやクロコのときみたいに自爆にならんだけ凄いわ。
「リンガイアを滅ぼしたって聞いたぜ。覚悟はいいか……。バラン!」
「かくなる上は!!」
バランが闘気を消した……。
しまった、この技は!!
「うおおおおおお!!!」
「ぐええええええええええええええええ」
紋章が勝手に共鳴する! 頭が割れるように痛い!
新しいのも古いにも、無数の想い出が浮かんでは消えて――
「ダイ君!!!」
レオナがいる。後ろにいる。
俺は全身全霊を振り絞った。
「かあああああああああああああああああああッッッ!!!!」
「バカな、思念波を……跳ね返し……!? うげっーー!!」
共鳴は止んだ。
レオナが駆け寄ってきた。
俺も疲れた……。彼女に身を支えてもらう形。
バランは、
「ソアラ!? ディーノ!! ここはいったい……!?」
「よう親父」
俺は紋章を輝かせながら言った。
「なにッ!? そ、その紋章……ではお前が……!?」
「ああ。俺がディーノだ。親父、あんた大魔王バーンの呪いで記憶を消されたんだよ」
「えっ!?」
レオナがめっちゃこっちを見てくる。
今は静かにしてて!!!
「バーン! 冥竜王ヴェルザーと魔界を二分していた、あの男が……!」
「母さんもバーンが殺した」
「ソアラ……そんな……! ついさっきまで、共に……!!」
「俺とも生き別れになって、今再会したところなんだ」
「そうだったのか……! すまないディーノ、寂しい思いをさせてしまったのだな……!!」
レオナがめっちゃジト目でこっちを見てくる。
お願い、もうちょっと黙ってて!!!
「更にぶっちゃけると、親父あんた大魔王に操られてたんだよ。危うく俺と殺し合いだ」
「なんだと!?」
「何とかその支配は解いたんだけど、すると支配されてた間の記憶はなくなるみたいだな」
「おのれバーン!! 赦さん……!! 絶対に赦さんぞ!!!」
バランは怒りに燃えた。
「ところで人間をどう思う?」
「脆弱で、時に愚かだが、温かみもまた持つ、慈しむべき生き物だ」
「人間を滅ぼそうとするバーンを一緒に倒そうぜ!! 親父!!」
「ああ!!」
俺たちは固く握手を交わした。
バランが仲間に加わった!
「――って騙されるかあッッ!!!!!!! 今記憶が戻ったわ!!!!!」
ダメか~。