素晴らしき世界に来たる小さな男に祝福を!   作:ボルティ

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どうも、初投稿なので雑さはお許し下さい。

まず、今回異世界に転生する男、
ホルマジオについては本文で語っておきます。
恐らく知らない方も多いと思われるので…
興味がなければ区切りの部分を飛ばしてください。

あとホルマジオというキャラをご存知である方にも
1点ご注意をさせていただきます。

私の考えるホルマジオ像と一致しない可能性を
お伝えしておきますので、それを御容赦頂けない方は
ブラウザバックを推奨します。

本文の書き方に関しては
このすば著者の暁なつめ先生よりは

私の愛読書「恥知らずのパープルヘイズ」
のような語り部視点での書き方になっているので
御容赦下さい。もしこれが苦手であったり、

暁なつめ先生の様な書き方の方が良いとの
ご指導があれば、今後の方向性は
考えさせて頂きます。

それ以外にもご感想、誤字脱字の指摘があれば
よろしくお願い致します。
長々と失礼しました。



青い女神と暗殺者

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ホルマジオはギャング「パッショーネ」内の

『暗殺チーム』メンバーの1人。

 

このチームはボスからの冷遇を受けていたため、

反旗を翻したのだ。そしてそれが原因で

引き起こった内乱で

1番初めに死んでしまった男である。

 

 

剃りこみの入った丸坊主で全体的に厳つい

雰囲気ではあるが兄貴分のような

頼もしさを見せたり仲間と軽口を

叩き合ったりと、意外と信頼もある

仲間には情の厚い性格だ。

初見で敵の能力を見破ったりと頭も非常に回る

男である。ちなみにそんな彼の口癖は

「しょうがねぇなぁ~ッ」だ。

 

 

スタンドを持っており名前はリトル・フィート。

能力は自身/敵や物を小さくする能力である。

一見地味だが応用の効く能力である。

 

 

そしてこの物語は、ホルマジオが

死んでしまったところから始まる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その男は暗い部屋に座っている事に

気がついた。周りがまだよく見えない。

 

 

ホルマジオ(…暗ぇな。えーと、俺は確か…

あぁ、思い出した。ナランチャにタイマン貼って

負けちまったんだな。

随分長く眠ってた感覚だ…

しかしここはどこだ?

病院にしちゃ暗すぎるが死ぬ間際の幻覚にしちゃ

ハッキリし過ぎだ。それに体の感覚も……)

 

 

「ようこそホルマジオさん。死後の世界へ。

あなたは先程、不幸にも

亡くなりました。」

 

 

いきなり声をかけられホルマジオは

思わず臨戦体制になった。

 

 

「何モンだおメーはッ!

それ以上近づくな!もし来るってんなら…」

 

 

しかし彼女はそんな彼に構いもせず

前の椅子に座った。あまりの大胆な行動に

ホルマジオは不気味に思いながらも

攻撃は出来なかった。

 

 

「短い人生でしたが…あなたは死んだのです。」

 

 

その言葉を聞いてホルマジオは怪訝な顔をした。

いきなり死んだと言われてハイそうですかと

なるわけも無い。

 

 

「何だって?よく聞こえなかったな~

もう一度言ってみてくれよォ~…」

 

 

「あなたは、死んでしまいました。」

 

 

先程よりも強い口調でその女は

はっきりと彼に「死んだ」という事実を告げた。

 

 

「…悪いが俺は結構疑り深くてね、

そこまで言うんなら証拠でも見せてみろよ。」

 

 

疑わし気に言う彼に向って

その女は返事した。

 

 

「…あなたもわかっているはずです。

体中が穴だらけになり出血で死んだこと、

なんとなく覚えていませんか?」

 

目の前の彼女が言う通り、

ホルマジオは何となくわかっていた。

もう自分が人の世に

いないかもしれないということを。

彼にはまだ残っていたのだ。

硝煙の感覚が。体を貫く熱さが。

しかしそれでも、

僅かある可能性まで探るのがこの男だった。

第1、死後の世界などと言った

オカルトめいた事は彼の性に合わないのだ。

 

 

「しかし…もしかすると俺が

まだ生きててアンタが精神攻撃で

思い込ませようとしている説もあるが?」

 

 

するとさっきまで女神のように振舞っていた

彼女はいつまでも信じないこの男に

イラっとしたのか、態度を急変させた。

 

 

「もう、ごちゃごちゃうるわいわね!

あまりの有能さに日本だけでなく

イタリアまで担当を任された私に

たてつくわけ!?最近仕事が増えてイライラ

してるんですけど!!」

 

 

いきなり怒鳴られビクリとしたホルマジオは

怒る女をなだめにかかった。

 

 

「ちょ、ちょっと落ち着けよアンタ、

大丈夫か?話なら聞いてやるからよ…」

 

 

しかしホルマジオのなだめも聞かず、

女は勝手に続けた。

 

 

「ならいいわ!

この女神、アクア様が特別にあなたが

死んじゃうところを見せてあげるわ!

もう嘘なんて言わせないわよ!」

 

 

怒りが止まらない神様は映像を出現させ

ホルマジオに見せた。

最初は半信半疑で見ていたホルマジオも、

最後の方には納得し、

ようやく死んだという結末を受け入れた。

 

 

「しかし自分で見てみると案外

えげつない死に方したもんだなァ……」

 

 

「そうね、貴方の死に様を聞いて仲間は

口にこそしなかったものの悲しんでたわ…」

 

 

仲間…その言葉を聞きハッとした。そうだ、

こんな所でぼーっとしている場合ではない。

早く何か行動をしなくては。自分は死んだが、

まだ現世では仲間は戦っているのだ。

そこでホルマジオは

現世に蘇れないか聞こうとした。

 

 

「そうだ、俺には仲間がいた。

アイツらだけに任せちゃいられねぇ。

どうにか現世に蘇らせてくれねぇか、頼む!

まだ俺には…やれる事が…やらなきゃ

いけない事が、ある筈なんだ。」

 

 

少し焦りの交じる声でホルマジオは

頼んだ。しかし悲しい事にその願いは

通らなかった。

 

 

「残念だけど…それは出来ないわね。

天界の規則で決まってるの。貴方がこれから

辿れる道は天国に行くか0から道を歩み直すか…

そう、現世に甦れてもその記憶は引き継げないし

赤ん坊からになってしまうの…」

 

 

それを聞きホルマジオは項垂れた。

 

 

「おいおいマジかッ…死人は

大人しくしとけってかよ…?」

 

 

落胆し肩を落とすホルマジオに、

しかしまだチャンスはあるとその女神は告げた。

 

 

「そこで!そんな貴方に提案があるわ!

ある平和だった世界は、魔王軍により平和が

崩された!殺戮の恐怖に脅かされる毎日、

そのせいで生まれ変わりを

拒否する人が増えちゃって…

だからその世界に、別の世界から死んだ人を

そのまま生き返らせてあげたらどうか、って

話になったの!」

 

 

しかしこの話は特別ホルマジオにとっては

魅力的ではなかった。そのまま蘇れた所で

場所が違うなら意味が無い。

 

 

「なるほどねぇ…しかしよォ、だから

なんだってんだ?俺はただただそのまま蘇りたい

訳じゃあない。あくまでアイツらの力に

なりたいだけなのさ。それじゃあ俺は乗らねぇぜ。」

 

 

「まだ話は終わってないわ。

だからね、あなたがもしあっちの世界に転生して

平和にしてくれたのなら、現世の仲間にとって

幸運となる結果をもたらしてあげるわ!

例えば…あなた達の望むボスの死とか…」

 

 

ホルマジオは今まで受け流すように聞いていたが

ここで耳を傾けた。何故ボスの事を、

などの疑いが出る間もなかった。

 

 

「…それは本当か?」

 

 

「えぇ、もちろんよ!水の女神の名に

誓って嘘はつかないわ!さらに今転生するなら

好きな物をなんでも持って行ける権利付き!

どう?少しは興味あるんじゃないかしら!」

 

 

ホルマジオはしばらく考え込み、

ついに異世界に行く決断をした。

 

 

「よし…アイツらの役に立てるなら

やってやる。だがその前に一つ。俺は向こうで

異世界の言葉とか喋れんのか?」

 

 

「それは大丈夫。私達神々の親切

サポートにより一瞬で習得出来るわ。

まあ運が悪いとパーになるかもしれないけど…」

 

 

「なるほど、そりゃあ…いや待て、

今凄く重要な事サラッと流したよなァ~…?

パァになるってよ…」

 

 

「言ってません。」

 

 

とてつもなく下手にしらを切る女神に

ホルマジオは呆れつつも妥協した。

 

 

「…まぁいいさ。大きなチャンスを

得るならそれなりのリスクを負わなきゃ

いけねぇってモンだ。アイツらのため

何だってやってやるぜ…この俺はよ~…」

 

 

「おっ!流石元暗殺者!中々

決断が早いわね!じゃあ、持って行ける

物の例があるからそれ見て決めて!

武器でもお金でもなんでもいいわよ!」

 

 

どうやらスパッと決めれる転生者が来たので

女神様はテンションが上がったらしい。

そしてホルマジオはそれを見る…前に1つ聞いた。

 

 

「なあ女神さんよー、俺が持っていく

ものはなんでも良いんだよな?」

 

 

「ええ、もちろん!あなた生きてる間は

良い暗殺者だったみたいだし割と期待してるから

少しオマケしてあげてもいいくらいよ!」

 

 

そして次の瞬間ホルマジオは、とんでもない事を

サラッと口に出した。まるで店員に注文を

取るかのような軽さでだ。

 

 

「じゃあ持ってくのはアンタで決まりだ。」

 

 

「分かったわ、 じゃあ魔法陣から

出ないように…今なんて?」

 

 

その質問は1歩遅かったようだ。ホルマジオの

周りには魔法陣が現れ、暗かったこの空間には

金色の裂け目が現れた。そこからは天使が

現れこう告げた。

 

 

「では、承りました。これからのアクア様の

仕事は私が継がせて頂きます。ホルマジオさんの

希望は、規定に則り受諾されました。」

 

 

「いやいやいや、おかしいでしょ!?

なんで!?反則だから!女神を連れてくなんて

反則だからー!!」

 

 

焦る女神とは対象的に、反対の魔法陣にいる

男は冷静でいた。

 

 

「反則もなにも、俺はアンタが

何でもいいって言うから言ったんだぜ?

正体すら分かってないボスの死を

約束出来るって言うから

余程強いんだろうと確信してよォ~…

俺はさっき言っただろ?あの仲間の為なら

何でもやってやる、ってな……」

 

余裕のあるすました顔で、しかしながら

何処か不敵な笑みを浮かべる彼に、

女神は怒った。

 

 

「私が言ったのはあくまであの世界が

平和になってからの話よ!もし貴方が出来たら

天界に頼んでお礼にしてあげるって事だった

のに!!何でそんな事も分かんないのねぇ

どうしてよ~っ!!」

 

 

涙目で訴えようともはや決まった事に

変更はない。ホルマジオと女神アクアは

どんどんと異世界に吸い込まれていく。

 

 

「さあ勇者よ!数多の勇者候補の中から、

貴方が魔王を討伐する事を祈っています!

さすれば神々の贈り物として、どんな願いでも

叶えて差し上げましょう!さあ、

旅立ちなさい!」

 

 

「うあぁー私のセリフ~!!」

 

 

「なるほど、さっき言ってたの

これの事だったんだな……」

 

 

2人の思いが交錯する中、そんな事は

いざ知らず、ホルマジオとアクアは

異世界に送られた_______

 

 

青い空に、アマルフィ海岸にも負けずとも

劣らない澄んだ川。馬車が走り、

人々は行き交い談笑し、

子供は楽しそうに走り回っている。

長閑な街とは、と言われ思い浮かべるイメージ

まさにそのものの世界が広がっていた。

 

 

しかしそんな場所に飛ばされた2人は決して

浮かれた顔ではなかった。1人は使命を抱え、

もう1人は無理矢理連れてこられたのだから

当然といえば当然である。

 

 

「ここがその異世界、って奴か…?

随分平和そうじゃあねーか、殺戮なんて

どこにも…」

 

 

そんなホルマジオの独り言を遮るように

アクアが彼の肩を掴みまるで船のオールでも

漕ぐかのように揺らした。

涙を流しえずきながら。

 

 

「このバカこのバカこのバカぁ"!!」

 

 

「な、なんだなんだやめろッ!!

おい女神さんよー落ち着けッ!ほら見ろ、

周りから白い目で見られてる

じゃあねーかよォッそこまでやるんなら

もう帰って良いから大人しくしてくれッ!!」

 

 

「連れて来といて何言ってんの!?

帰れないから困ってるんですけど!

どうするのねぇどうするのー!?」

 

 

子供のように駄々をこねるアクアを見て、

いくら自分が連れて来たとはいえ

これは失敗だったかとホルマジオは感じた。

とにかく落ちついて貰わねば。

 

 

「…良いか落ち着いてくれ女神さん、

アンタを強引に連れて来ちまったのは

悪かったみてーだ。だが今はそれをとやかく

言ってる場合じゃあない。この世界に来て

分からないことが多いんだ。まず情報収集を

するぜ。人がよく集まる集会場や広場に

行くべきだ。」

 

 

「…連れてこられたのには納得できないけど…

貴方の言うことも最もね。」

 

 

グズってはいたものの納得したアクアは

大人しくなり、人の多い場所を探す

ホルマジオの後ろを歩き出した。

 

 

アクア「あ、そうだ。私の事は女神様じゃ

なくてアクアって呼んで。」

 

 

「ああなるほど、変に思われちまうしなァ。

…えーと、アクアでいいんだっけか?

この辺で人が集まりそうな場所、

知ってねぇのか?」

 

 

「私女神なのよ、そんな下々の事

知ってる訳無いじゃない。」

 

 

「…おメー中々使えねぇな…」

 

 

ホルマジオは渋い顔をしながら呟いたが、

今はそれを気にしている場合ではない。

とにかく人の集まる場所を探していると、

いわゆる「ギルド」と呼ばれるものを

見つけた。どうやらここには多く人がいる様だ。

 

 

パーティで飲み合い、話している者も居れば

1人でただ座っている者も居る。

そこをホルマジオ達が見渡していると

筋肉質のモヒカン男が話しかけてきた。

 

 

「よぉアンタ…見ねぇ顔だな。

それに何だその妙な格好は?」

 

 

荒くれ者のような格好の男に声をかけられ、

アクアは「ヒィッ」と言い縮こまってしまったが、

ホルマジオは動じず返事を返した。

 

 

ホルマジオ「いやなに、俺ァ遠くから

ここに来たモンでね、やっとこの街に

ついたのさ。んでもって俺はこの街の事を

よく知らない。だからと言ってはなんだが、

ここの事教えてくれねぇか?」

 

 

するとその男は意外にも聞き分けが良く、

ニヤリとしながら丁寧に教えてくれた。

 

 

「そうか!そういう訳だったんだな。

良いかあんちゃん、ここは冒険者の為の

ギルドだ。もし今から冒険者になりたいってなら

あっちのカウンター、ここでバイトでも

したいってなら向こうのカウンターだ。

もしアンタが冒険者になるって言うんなら、

俺は地獄の入口に立つ事を歓迎するぜ。」

 

 

ホルマジオはそれを聞き、このギルドの

大方を理解した。

 

 

「おお、なるほどなァ、そういう施設なんだな

ここは。理解したぜ…グラッツェ!」

 

 

「おう!良いってことよ。アンタの武運

祈っておいてやるぜ。」

 

 

こうしてホルマジオ達は冒険者用の

カウンターに向かった。その流れを見ていた

アクアは不思議そうにホルマジオを見た。

 

 

「ねぇ…咄嗟の作り話とか何でそんなに

手際がいいの?」

 

 

それを聞きホルマジオはこの女神には色々

教えねばならないと思い、自己流の

生き方を提示した。

 

 

「良いかアクア、今日は寝る場所と冒険者に

なる為の資格がいる。そしてそれにはある程度

信頼がいるんだ。なのによォー、

俺はイタリアって国から来ましたなんて

言ったらどーなっちまうと思う?

頭がおかしい奴と思われ店の対応も無くなる

かもしれねぇんだ。信頼なんて一切無くなる。

もう分かっただろ?適応力は生きてく上で

必要なのさ。俺の人生の教訓だ。」

 

 

「なるほど…中々頭が回るのねあなた…」

 

 

「良いか?よォーく覚えておくといい。

世の中下る下らないも、ココの使い方1つさ…

さぁ、ちゃっちゃと登録終わらせちまおうぜ。」

 

 

ホルマジオは頭を指でつつく

ジェスチャーをしながらそう話した。

するとアクアには次の疑問が沸いたようだ。

 

「…そんなに頭が回るのになんでそれた道の

ギャングになんてなっちゃったの?

それも暗殺チームなんかに?」

 

 

「…なんでだろうなァ。もしかすると今

身についてる賢さはギャングとして生きてきた

俺の知識なのかもしれねぇな。

あと暗殺チームの事は馬鹿にするんじゃあねぇ。

アイツらのことを馬鹿にしていいのは…

アイツら同士だけだ。良いな?」

 

 

少し今までのトーンとは違うトーンで

話すホルマジオに本気具合を感じ、

アクアは謝り黙った。

そしてついに冒険者カウンターまで来た。

そこでは受付嬢がおり、銀行員のような

丁寧さで2人を出迎えた。

 

 

「はい、本日はどうなされましたか?」

 

 

「あーはい、俺たち冒険者の為の

登録に来たもんでしてね…」

 

 

「それなら登録手数料がかかりますが

よろしいでしょうか?」

 

 

「なるほど、登録手数料…?そんなモン

いるのか…おいアクア。おメー持ってないか?」

 

 

残念ながらこれへのアクアの返答はNoだった。

 

 

アクア「私急にこの世界に連れてこられたのよ、

持ってる訳無いじゃない。」

 

 

ホルマジオは再びコイツ使えねぇ、という

感情を抱いた。とりあえずどうしようもないので

2人は隅の方のテーブルに座った。彼らの心は

まるでサファイヤのようにブルーであった。

手数料無しでは冒険も始められない。

これからどうするか暗中模索なホルマジオ達の

旅はまだまだ長く続きそうである。

 

 

 


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