【番外編】海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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アンケート結果:憎しみの女王







4月1日の悪夢_1

休憩を終え、アブノーマリティへの作業を終えたリナリアは研究所の廊下を歩いていた。

なんだかいつもよりも身体の調子が良く、効率よく動けたような気がする。

体調がいいのは気分もいい。軽くスキップをしたいくらいだ。

 

「リナリアさん!」

「ユリさん?」

 

後ろから声がして振り返る。そこには息を切らしたユリさんが立っていた。

 

「よかった、みつかって。これ、忘れ物ですよ。」

「忘れ物?ありがとう。」

 

忘れ物なんて、しただろうか。

思い当たる節がないものの、素直に手のひらをユリさんに差し出す。

その上に置かれたのはペンだった。ノック式のボールペン。私はそれに数度瞬きをする。

 

「じゃ、私はこれで!」

「えっ、ちょっと!ユリさん!これ!ユリさんのペンだよね!?」

 

そう言うも、ユリさんは聞こえないのか無視して廊下の先に行ってしまう。

直ぐ追いかけようとしたが、なにか急いでるように走っていくので止めておいた。また後で返せばいいだろう。

それにしても、ユリさんどうしちゃったんだろう。

これは明らかにユリさんのペンだ。似たようなのを私が持っている訳でもないし、彼女疲れているのだろうか。

忘れ物と言えば。

そういえば、先程ユリさん達と食べた飴。休憩室の冷蔵庫に入れっぱなしだ。

やってしまったと後悔する。休憩室の冷蔵庫は、別名〝勝手に食べられる方が悪い箱〟。買っておいたものが無くなってるなんて日常茶飯事。

せっかくの珍しいものなのに、誰かに食べられてしまっていたら。

しかし仕事中の今、どうしようもない事だ。食べられないことを祈るしかない。

ため息をついた時、だった。

 

【警告】【警告】

 

「っ!」

 

けたたましく、警報がなった。

 

【アブノーマリティが逃げだしました。】【エージェントは管理人の指示に従い直ちに鎮圧作業を実行】

【警告】【してください】【警告】

【アブノーマリティが逃げだし】

【警告】【警告】【ました。】

【エージェントは管理人の指示に従い】

【アブノーマリティが逃げだしました。】

【直ちに鎮圧作業を実行してください】

【エージェントは管理人の指示に従い直ちに鎮圧作業を実行してください。】

 

「な、何!?」

 

警告に、警告が重なる。

リナリアの心臓が一気に騒がしくなる。つまりこれは。

 

【脱走したアブノーマリティ】

【脱走した】【が特定】

【アブノーマリティが】【脱走したアブノーマリィが特定】【しました。】

【特定しました。】【しました。】

 

【アブノーマリティネーム】

【アブノーマリティネーム】

【アブノーマリティネーム】

 

【〝静かなオーケストラ〟】

【〝憎しみの女王〟】

【〝罰鳥〟】

 

【【【エージェントは管理人の指示に従い直ちに鎮圧作業を実行してください。】】】

 

「集団、脱走……。」

 

リナリアの頭に、絶望の文字が浮かぶ。

最悪だ……!

罰鳥だけならまだしも、Alephの静かなオーケストラと、あまり情報のない憎しみの女王が脱走なんて……!

慌ててタブレットを開く。管理人からの指示を確認するためだ。

この広い研究所内のどこにアブノーマリティがいるのか、どこにエージェントが配置されてるのか。全て把握しているのは管理人しかいない。

早く、早く指示を。反応のないタブレットにイライラしながら何度もページ更新をかける。

一刻も早く指示が欲しい。こうしている間にもどこかから危険は迫ってきているのだから。

 

『エージェントリナリア!!』

「うええっ!?」

『聞こえるか!応答してくれ!!』

「かっ、管理人……!?」

 

タブレットを睨んでいると、急にインカムから声が聞こえてきて変な叫び声を上げてしまった。

驚きに騒ぐ心臓を落ち着かせながら、何とかインカムの声に応答する。

 

『繋がって良かった。よく、聞いてほしい。』

 

インカムでの指示なんて初めてだ。よっぽど重大なのだろう。

耳に神経を集中させる。管理人の声を、聞き逃さないように。

───だから、気が付かなかった。

 

「アルカナビートッ!!」

「ぐっ……!?」

 

後ろから、衝撃。

背中に感じた熱さに、咄嗟に身体は動いたようで床に私は倒れる。

しかし背中にはジンジンとした火傷の痛みが残る。

何事かと振り返ると、そこには一度だけ見た事のある姿があった。

 

「はっ、えっ。」

「あんたがリナリアね?」

 

青い髪の少女。美しい容姿に、私の防護服と似た可愛らしいピンクの服を着た彼女を、私は知っている。

 

『憎しみの女王は君を狙ってる!直ぐに鎮圧の体制に入ってくれ!』

「は……。」

 

それは、なんの、冗談だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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