【番外編】海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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※とりあえず百合が書きたかっただけ。
わりとがっつりです。注意。










その他
作者のガチ百合。例のプロローグです。


それを見た時に思い出したのは貴女だった。

たっぷりの白いクリームに、ちょこんとのったハートのいちご。満遍なくふりかけられたアラザンが光に反射して、青い光を放ってる。

フリルを用いたチョコレートソースはおすましさんのドレスだ。おいしそう、よりも先に出てきた言葉はかわいい。

そんな可愛いケーキなら、貴女に似合わないはずもなく。

 

 

 

白い箱をパカッと開けると、アイはキラキラと目を光らせた。

その可愛い表情に私も顔がほころぶ。買ってきてよかったと、一昨日の私を褒めてやりたくなった。

いつも通るケーキショップのショウウィンドウでこのケーキを見た時に、真っ先に思い浮かんだのはアイの顔だった。

というのもそのケーキは色合いといい飾り付けといい、どこかアイに似ていて、とても可愛い姿をしていたのである。

見つけたのは一昨日。ダメもとでXさんに食べさせてあげたいと言ったのが昨日。なんと了承を得て、買ってきたのが今朝。

実際目の前にすると結構大きくて戸惑った。ホールだとはわかっていたけれど、二人で食べる分には少し量が多い。

心配したけれど、全部食べなければいけないわけでもないだろう。余れば持って帰ればいい話だ。

 

「すごーい!かわいい!なぁに、これ!」

「ケーキ。甘いたべものだよ。」

「ケェキ?美味しいの?」

「うん。とっても。」

 

そう言うとアイはまた表情を輝かせてぴょんぴょんとその場をはねた。

子どもらしい仕草が可愛くてまた笑ってしまう。店員さんにつけてもらったプラスチックのナイフでケーキを切り分けた。

 

「あ、お皿……。」

 

皿を持ってくるのを忘れて、なにか代わりになるものが無いかと探す。

けれどそんな都合良くはいかないもので。仕方ないとアイにフォークを渡した。

 

「ごめん、このまま食べてもらってもいいかな?」

「勿論!」

 

待ちきれなかったのだろう、フォークを渡すとアイはすぐさまケーキに突き刺した。

そうして綺麗に切って、少し大きめの欠片をぱくりと一口。

 

「美味しい!これ、とっても美味しいわ!」

「なら良かった。」

 

パクパクと次々にケーキを頬張るアイ。良かったこれならケーキ余らなさそうだ。

私もケーキを食べる。滑らかなクリームが舌の上で溶けて、スポンジはもちっと柔らかくてとても美味しい。

結構いい値段出したのだが、満足のいく一品だ。

 

「あはは、アイ、ほっぺにクリームついてるよ。」

「んぇ?」

 

もごもごと口を動かすアイの頬を拭ってやる。汚れた顔ですら可愛いのだから、美少女は得だ。

ナプキンで少し強く擦ると、アイはされるがままに目を閉じた。相変わらず長いまつ毛。目の下に影が落ちる。

 

「はい、とれた。」

「ありがとう!……って、やだ。ユリにもついてるわよ。」

「えっ。」

 

慌てて口端を擦るも、アイはクスクスと笑って違う違う、と頬を指さす。

その通りに手を動かしてるはずなのに、一向に拭えない。

するとアイの綺麗な手が伸びてきた。

 

「私がとってあげる。」

「……えっ!?ちょっと!?」

 

そう言うと、アイはなんと顔を近づけてきて。

あろうものかそのまま私の顔を舐めてきた。逃げようと私は身を引くが、抱きつかれて上手くいかない。当たり前だ。この子の力はとんでもなく強いのだから。

 

「ちょ!ちょっと!!もうとれたでしょ!?」

「うーん?もう少し、かしら?」

 

絶対に嘘だ。

こんな恋人みたいなことをされて、私は恥ずかしくて身をよじる。

しかしやはり逃げることは出来ない。思わず縮こまるとアイはまた楽しそうに笑った。

この子はきっと、私の反応を見て楽しんでるのだ。

その証拠にアイの目はもういたずらっ子のそれで。

からかわれているのは一目瞭然だった。

 

「アイ!いい加減に怒るよ!?」

「ええ?汚れをとってるだけよ?」

「アイ!!」

 

私が怒鳴ると流石にアイも驚いたのか、びくっと身体を跳ねさせた。

アイは直ぐに身体を離して、今度は子犬のような瞳で様子を伺ってくる。

 

「ぁ……ユリ、お、怒った……?」

「怒ったかって?」

 

びくびくと肩を震わせる姿が可愛くて、よけいに苛立ってくる。

この美少女は。自分が可愛いからと言ってなんでも許させると思っているのか。

それくらいには可愛い見た目をしているからといっても。やはり許せる限界はある。

 

「怒ったに、決まってるでしょっ。」

「んっ、う!?」

 

指でケーキのクリームをすくって、思い切りその口に塗ってやった。

驚いているアイの隙を見逃さずに、勢いよく口を塞いでやった。目の前には大きな瞳。宝石のように綺麗で、やはり私はイラついてしまう。

 

「んっ、ぁ、ぅ……ぁ、ゆ、りゅ……んっ……。」

「ん、」

 

形のいい唇を舌で開いて。思い切り中で暴れてやる。クリームと唾液が混ざってぐちゅぐちゅと下品な音を出す。

歯茎をなぞるとアイの身体はビクリと反応して逃げようとするものだから背中に手を回して固定してやった。

こんな非力な私にすら抵抗できないなんて、アブノーマリティの名が廃る。

いい気味だと笑いながら今度は舌をつかまえてやった。

じゅる、と吸うと唾液が口から垂れて顎を汚す。この水っぽさはあまり好きではないのだけど。

途中なにか固いものが舌に当たった。ケーキのマゼランだろうかと軽く噛んだら、一緒にアイの舌も噛んでしまったみたいで。

くてっと、アイの身体の力が抜けていくのが分かる。

まぁ、これくらいでいいだろうと口を離してやった。

アイはその場でへたりこんでしまう。私も少し頭がぼーっとする。息継ぎを間違えただろうか。

大人しそうな見た目のわりに、と言われることは多い。

なんだ。それは。私だってそれなりの人生はおくってきたのだから、少しくらいは経験だってある。そうやっていつもなめられてる訳にはいかないのだ。

 

「これでおあいこ。いいね?」

 

しかし思い返したところで恥ずかしさはやってくる。それを誤魔化して私は再びフォークを掴んだ。

ケーキを指して、食べようと口に運ぶ。しかしそれは叶わなかった。

その前にアイに手を掴まれたからだ。何をするの、と抗議しようとしたが、顔を上げた瞬間に綺麗な顔のドアップ。

からん、とフォークは落ちた。

 

「んっ……!?」

「はっ、ぁ、ユリ……。」

 

キスをされてる。

反射的に身体を押した。唇は離れたが、身体は抱き締められて離れない。

アイと目が合う。イエローダイヤの瞳。しかし熱を孕んだそれにはどこか鋭さもあって。

ふっくらとした唇からチロリと赤い舌がのぞく。熱い息が私の頬にかかる。

ねぇ、とアイが口を開いた。とても艶っぽい、甘い声で。ユリ、と名前を呼ばれて。

 

ねぇ、ユリ、

 

「私、とっても、貴女が食べたい。」

 

 

 

 

 

 

 

 

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