【番外編】海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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※めっちゃくちゃキスしてます。
※めっちゃくちゃ百合してます。










番外編::ヤンデレなアイちゃんとのあるひとつの結末_中編

私がなにも言わないでいると、アイは困った笑みを浮かべた。

 

「無理に聞くつもりは、ないけれど。」

「……うん。不安はあるけど、まだ決まったことじゃないの。もし本当に何かあったら必ず言うから。」

「わかったわ。約束ね。」

 

アイは両手を広げて私を包んだ。

しっかりと抱き締められて、私もそれを拒まない。

少しだけ身体を離されて、大きな瞳が私を見つめる。

視線を合わすのは苦手。思わず目を逸らすと、咎めるように顎を支えられる。

 

「ユリ……。」

「!ちょっ!ダメ!」

 

唇を近づけられて、咄嗟に拒んだ。

するとアイはしょんぼりと眉を下げる。その可愛さったらあざとい位で。

 

「ダメなの?」

「ダメ!!こういうのはね、好きな人とするの!!」

「?だからユリとするんでしょ?」

「いや、そうじゃあなくて。こういうのはその……恋人同士でするの!」

「じゃあ、恋人になりましょうよ?」

「そういうのは男の子とするの!!」

「……私が女だからダメなの?」

 

アイの声が震えてるのを感じて、私ははっと顔をあげた。

黄金の瞳はうるうると揺れて、今にも涙が零れそうだ。

慌てて私はそれを拭おうと手を伸ばすが、アイに掴まれてしまう。

あっ、と思う。しかし時すでに遅し。

腕を引かれて、その反動で身体は前に傾く。バランスをとろうとするが、背中を支えられて動けない。

 

「んっ。」

 

そうして、重なる唇。

少し離されて、でも直ぐにかさなる。啄むようなかわいいバード・キス。

トン、トンと何度も重ねられて。酸素を求めてつい唇を開いてしまった。

舌が、入ってくる。

唇の内側、その丸みをなぞるように薄い舌が動く。ちゅくちゅくとやらしい音が響いて、顎に唾液が流れるのを感じた。

この子のずるい所はこういうところだ。

いつもそう、私からの反応を求めてくる。

実はアイとキスをするのは初めてではなかった。

初めはいつだったろうか。あぁそうだ。ケーキを一緒に食べた時だ。

犬のように舐めてくるアイに戸惑うと、彼女は悪戯っ子のように笑った。

それが無性に腹立たしくて、深く口付けてやったのである。

からかわれると意地になるのは私の悪い癖だ。

反省しろと躾のつもりでやったのだが、この可愛らしい魔法少女はそれがお気に召したらしい。

それから度々、というより会う度に唇を強請られる。

毎回断るのだけれど、結局私達はいつも唇を重ねているのだ。私もだいぶ頭が悪い。いつも流されて。

 

「んっ……はっ……。」

 

そうして、ついつい舌を出して。

じゅるっ、と唾液を吸うと、アイは嬉しそうに目を細めた。

この子はいつも私に唾液を飲ませたがる。はたからみれば汚い行為なのかもしれないのに、その美しい体から分泌された体液は美しく思えてしまうのだ。

ずるい子だ、なんて思う私はやっぱり馬鹿なのだと思う。アイが喜んでくれるのが嬉しいと思ってしまうのだから。

応えてあげたくて流し込まれるそれをごくごくと飲む。

なんだか甘くて蜂蜜みたいね。なんて。アブノーマリティと言えどさすがにありえないだろう。

 

「ぅぁ、んんっ……。」

「もっと、のんで。ねぇ。」

 

もう十分呑んでるだろう。

喉はすっかりアイの唾液で潤った。それなのにこの子は足りないと私を睨んでくる。

でも私はそれに応えようと。アイの舌をじゅっ、と吸った。

するとアイの身体がびくっと震えて。んっ、なんて艶っぽい声を漏らすのだ。

 

アイの唾液を呑むと、頭がぼんやりする。

周りのもの全てがぼやけて、なんだかどうでも良くなってくる。

 

ねぇ、欲しいの。

頂戴。欲張りに、欲する。

 

「……いい子ね。いい子。」

「ふ、ぁ。アィ……。」

「上手に呑めたわね。でももっと呑んで。まだ足りないのよ。」

「たりなぃ……?」

アイの言ってる意味がわからなくて首を傾げる。

アイは笑って私の頭を撫でる。それが気持ちよくてその胸に寄りかかると、すんなりと受け止めてくれた。

重いだろう。申し訳ない。

でも力が入らない。

キスも最初は私がリードする側だったのに。今じゃ逆だ。

 

少なからず、私はアイの特別になれてるのだと思う。

たとえアイが私しか知らないから執着してるのだとしても。それでも現状としてはそうなのだから。

私が教えてしまったキスの味。これは、これだけは他の人にしないように教えておかなければならない。

だってきっとみんな驚いてしまう。困ってしまう。だから、だから。

 

……ううん。

違うの。私がして欲しくないだけなの。

私が、他の人にして欲しくないだけ。

 

私の汚い欲をこの子は知らない。

アイの事、恋愛として見てるかまだ私はわかっていないのだ。

だってまず貴女は女の子で、アブノーマリティで、みんなの憧れの、魔法少女で。

女の子を好きになったことは無い。だからこの気持ちの名前を、私はまだ付けられないでいる。

それなのにね。

それなのに、私だけを見てほしいなんて思うくらいには。

私は強欲で、自分勝手で。

人間らしい欲をこれでもかという程に纏って。貴女からのキスを、本気では拒まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前がいない間に憎しみの女王は大変なことが起こったんだぞ。」

 

そうため息をつくダニーにミシェルはうふふと上機嫌に笑みを浮かべた。

それを見てダニーは何を勘違いしているのかと言おうとする。しかし頭で復唱すれば確かに勘違いしそうな文面だ。

 

「ミシェル、この場合お前がいないから起こったとかではなくて──、」

「やっぱり、クイーンの担当は私じゃあなきゃねっ!」

 

しばらくミシェルは鼻歌を歌ったが、すぐ険しく顔を歪めて、どこか遠くを睨みつける。

 

「それなのに、あの女本当になんなの?」

 

黒い感情を纏った姿にダニーはまたため息をついた。

元々ミシェルは悪い奴ではない。むしろこんな職場環境でも明るく真っ直ぐと仕事に取り組む姿勢は周りを元気づけていた。

性格的にはリナリアと似ているのだろう。あいつは頭は良くても地頭が残念なので突っ走る所があるが。

しかしミシェルはリナリアと違い、自身と似た理屈っぽい面があった。

だからだろう。理由を並び立てて、その嫉妬の感情すら理由ある正当なものに変えるのだ。

もはやミシェルの中でユリは完全なる悪であり。憎しみの女王は救うべき対象であった。

ダニーからしたら、なぜそこまでアブノーマリティを好く事が出来るのかわからない。

あんな未知の存在、さらに殺人鬼とも言えるような性質の物を迷いなく好きだと言えるのだろうか。

 

「あのな、あの人は特異な体質を持ってるんだ。だから仕方ないんだよ。」

「は……?それって、クイーンを騙してるってこと?」

 

より低くなった声にダニーはうんざりした。

 

「なにそれ、なにそれ!?あの女本当に最低ね!?私がっ、私があの子の目を覚ましてあげないとっ……!」

「いやいや。目を覚まされたら困るから。」

 

ユリの体質を洗脳のような物かダニーもわかっていない。

しかしアブノーマリティを洗脳して大人しくさせてくれているのであれば、ダニー達ほか職員からしたら万々歳だった。

明日ユリが出勤と言うだけで、死の危険が七割は無くなるのだ。

会社に行っても死なない。それは世間で当たり前のことでもエージェント達にとっては当たり前ではない。

ユリを悪だとそう決めつけるのなら。

なら、静かなオーケストラの担当も引き受けてくれるのかと言いたくなる。

きっとしないのだろう。人とはそういうものだ。ミシェルだけでは無い。ダニーだってそう言う一面はある。

ダニーが願うのは、面倒くさいことが起こりませんように。ただそれだけであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 










とりあえず投稿しようと思ってコメント返せてません。
でもね、全部見てるしめっちゃニヤニヤしてる。

というか最初よりは百合書くの上手くなってない?(当社比)
成長してるのかもしれない。(`・∀・´)エッヘン!!

……これ喜んでいいのだろうか_(:3 」∠)_
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