【番外編】海外移住したら人外に好かれる件について   作:宮野花

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【SCP関連について・必読】を必ず読んでからの閲覧をお願いします。

※この作品はNFS様と宮野花の合同作品になります。

※SCP財団を敵とみなす表現があります。





☆SCP:崩壊の序章_2

送信者:サイト-19管理者 

宛先:HMCL主任代理、[編集済]

内容:SCP-173の収容違反

現地時間██:██、 SCP-173が特別収容プロトコルを破り、収容違反しました。警備部隊による再収容は失敗。 SCP-173をロストしました。現在サイト-19は特別警戒へと移行、周辺██kmを捜索中です。

 

送信者:収容エリア25b管理者

宛先:[編集済]

内容:緊急事態

SCP-076が収容エリア25bを突破、警備部隊は壊滅しました。 最後の追跡情報より推測されたSCP-076の目的地はサイト-█、サイト-██、サイト-██、サイト-██です。収容エリア25b、及び当該サイトへの増援を要請します。

 

送信者:サイト-[編集済]管理者

宛先:全職員

内容:緊急事態

SCP-682がサイト-[編集済]より収容違反。SCP-682の苛烈な攻撃によりサイト-[編集済]は壊滅状態であり、 SCP-682の追跡は不可能。直ちに応援を求む。

 

送信者:サイト-██管理者

宛先:全職員

内容:警告

緊急事態発生。SCP-000が異常性を活性化させ、影響を受けたと思われるSCP-173、SCP-682、SCP-076の他、混乱により確認が取れていない数体のSCPがサイト-██を襲撃。SCP-000を解放、収容違反した。既にサイト-██の設備、収容施設、警備部隊、職員の損害は極めて深刻な状態となっている。現在サイト-██周辺に配備されている全機動部隊で対処中。これを受け取った職員は、誰でもいい。すぐに[データ欠損]

 

送信者:統括ネットワークセキュリティ

宛先:全職員

内容:自動警告

サイト-██の通信ネットワークが機能不全に陥っています。考え得る原因は火災/爆発/故障/その他です。現在自動修復システムがサイト-██の通信ネットワーク復旧を試みています。サイト-██周辺に配置されている職員は、直ちにこの事象に各自対処して下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――声が、聞こえる。

朦朧とした意識の中、機動部隊員である彼は確かに声を聞いた。

彼は自分の身に何が起こったのかわかっていない。

何故、自分は床に伏しているのだろう。身体は何故動かないのだろう。動かそうと走る激痛は、いつから?

自分はただ指示された配置に付き、仕事の瞬間を待っただけであった。

最高峰とも言われている財団のセキュリティ。その一部と言われた機動部隊の隊員である彼には不安と恐怖と共に確かな自信はあった。

苦戦もするだろうが、戦えない相手ではない。現在対象は一人で行動しているという。その対象を彼はよく知っていた。というのもかつて対象は共に働いたことがあった、彼女であったからだ。

その姿を思い出して、そしてその名前を思い出して、彼は自分に舌打ちをする。こんな時に思い出すんじゃあないと。

そう考えても手遅れだ。溢れてくる記憶。それはいつかの日、廊下を共に歩いた日のこと。

 

彼女は収容対象でありながら、人であった。そして優しく、可愛らしい人であった。

彼女は〝異質から好かれる〟体質であった。それはとても便利であったが、彼女自身は一般人と特に変わらない普通の人で、時折彼は彼女が収容対象であることを忘れていた。彼だけではない。彼女と時間を過ごしたものは誰しも一度はそういうことがあった。

その日、彼に任せられた任務は彼女と共に見回りをすることであった。彼女は異質から好かれるため、定期的に他の収容対象の部屋を訪れることで対象が収容違反するリスクを下げることが可能であった。

 

「そう言えば、この前食堂でカインと話したんですけど……」

 

彼女はよく話す人であった。

見回りをしながら護衛も兼ねている機動部隊員に話しかけることは日常で。本来あまり対象との過剰接触は禁止されているのだが、無視をするわけにもいかないと彼女の会話に付き合う。それを秘密にすることは機動部隊員の暗黙のルールであった。

 

『隊員さん、聞いてます? 』

『えっ……あ、すいません、なんですか?』

『いやなんで外国の人ってわさびあんなに好きなのかなってカインと話してて……、隊員さんもわさび好きですか?』

『わさびですか?好き、ですけど。何故と言われても……。』

『いや、美味しいのはわかるんですよ?でもこの前とかブライト博士えびのお寿司一貫に対してわさびチューブ一本使ってて。あれもはやわさび味の寿司じゃなくて寿司味のわさび……。』

『それは恐らくブライト博士だけかと。』

『しかもそれすぐに食べずにどこかに持って行ったんですよ。あとのお楽しみにするほど好きとかどんだけって感じです。』

『それ本当にブライト博士自身が食べたんですかね?』

 

そんなことを話す彼女は、本当にただの人間であった。

彼女との会話は、正直楽しかった。

彼女はコロコロと表情を変え、沢山笑った。そして自分も沢山笑った。

収容対象と思わなければいけないとわかっていながら、彼女は友達で、仲間であった。

仕事の中で、彼女を護ることもあったし、逆に助けられたこともあった。我々隊員は、彼女が好きであった。

 

彼女が暴動を起こしたと聞いた時、誰もが何かの間違いだと思った。

だって一週間前まで彼女は我々と一緒に食堂で昼食を摂っていたし、収容違反を収める手伝いをしてくれていたし、お疲れ様ですと声をかけあっていた。それはいつも通りの彼女で、なんの違和感も変化もない日常であった。

数えきれない疑問と疑念が生まれる中、遠くで爆発音が聞こえて、収容違反の警報が鳴り響いたのは今さっき。そして彼女、SCP-000への攻撃、再収容命令が出たのも。

彼はいつ来るかわからない衝撃に緊張しながら、頭の中に彼女の声が通り過ぎていく。

 

『そう言えば、私が何故SCP-000かって知ってます?』

『えへへ、私も最近知ったんですけどね……、』

『覚えやすいから、なんですって!』

『私の体質はSCPの収容に今後大きく協力してもらうから』

『財団の誰が聞いてもわかるように、覚えやすい方がいいだろうって。』

『なんか、照れちゃいますね。嬉しいですけど。』

 

恥ずかしそうに顔を赤くしながら話す彼女を可愛らしいと思った。

確かに、000という番号は覚えやすく便利である。

その証拠として、SCP-000への攻撃命令が出た際、彼女だとわからなかった者はいなかったのだから。

 

 

 

 

そして気がついた時、彼は倒れていた。

一瞬の出来事に彼は状況を理解出来ていなかった。左右前後上全てに気を張っていた彼だったが、まさか下から攻撃されるなどと予想をしてなかったのだろう。

彼の真下の床は破壊され、彼は今一つ下の階の床に落ち、落下と破壊時の衝撃で大きな傷をおっていた。

一緒に配置されていた仲間もそれは同じで、何人かは死んで何人かは彼と同じように生きていながら瀕死の状態である。

そんな状況下、うっ、と苦しげな声が彼の耳に入った

 

「あぁ、もうアベルすぐ殺しちゃうんだから……。」

「別にいいだろう、誰が殺しても同じだ。」

「私の分も取っておいてって言ってるのに。」

 

それは聞きなれた声。誰であったかうまく機能しない彼の頭が考える。答えはすぐそこまで出てきていた。

 

「別にお前が殺らなくたっていいだろう。私達がいるのだから。」

「それとこれとは別。ほぼ戦力外だったとしてもね、参加してる気に位はなりたいの。」

「はぁ……、わかった。じゃあこいつのトドメは任せよう。」

「ありがとう!」

 

彼の頭はようやく声の主を突き止めた。そうだ、と彼の口が動く。痛みを感じながらも、導き出した答えを彼は言おうとしていた。

 

「でもこれ……拾ったはいいけど使い方わからないんだよね。」

「は?使えないのに拾ったのか?」

「だ、だってなにか武器欲しかったんだもん。大丈夫、銃なんて撃てばいいだけでしょ。えっと、多分こうやって…」

 

カチャリ、と音がした。

 

「ごめんね隊員さん。ちょっと使い方、私に教えてね。」

「……ユリ、さ、」

 

そして、パンッと、銃声が。

 

 

 

 

送信者:サイト-██自動防衛システム

宛先:全職員

内容:自動防衛レベル4実行

サイト-██が甚大な被害を受けています。現在自動防衛レベル4を実行中、内蔵型認識ID未所持の職員は、直ちにサイト-██から退避して下さい。

 

送信者:サイト-█自動防衛システム

宛先:全職員

内容:最終防衛手段実行

サイト-██は██:██より最終防[データ欠損]

 

送信者:O5-█

宛先:全職員

内容:緊急通達

緊急事態故、O5評議会からの正式通達は後に回す。 SCP-000がサイト-██より収容違反した。これに伴い、全職員に先に通達する。 XK-クラスシナリオ発生、及びSCP-000の一部機密解除だ。 SCP-000に関連するセキリュティレベル4までの報告書及び資料は全職員の閲覧が可能となり、 SCP-000の情報共有を円滑化させる。緊急プロトコルは現在作成中であり、O5評議会の正式通達と共に公開される予定だ。各員、出来る事を尽くして欲しい。人類の未来を、我々が守るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[不正なエラー]

 

 

 

送信者:[不正なエラー]

宛先:全職員

内容:

貴方達は、そうやって私達を排除して来たんですね。

貴方達の、身勝手な都合で。

 

 

 

[データ削除]

 

 

 





この作品は以下を参考に制作された完全二次創作です。本家SCPとは一切の関係がありません。

【参考資料】

SCP財団日本支部
http://ja.scp-wiki.net/

SCP-173 - 彫刻 - オリジナル 
Author: Moto42
Source: http://www.scp-wiki.net/scp-173
CC-BY-SA

Title: SCP-076 - "アベル" 
Author: Kain Pathos Crow
Source: http://www.scp-wiki.net/scp-076
CC-BY-SA

Title: SCP-682 - 不死身の爬虫類 
Author: Dr Gears
Source: http://www.scp-wiki.net/scp-682
CC-BY-SA





CC BY-SA 3.0
(この作品はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンス3.0ライセンスの下で公開致します。)
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