Fate/devotion    作:パープルハット

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物語はいよいよクライマックス、次回最終回です。


第十章 赤の願い

【第十章】

 

フランスの観光名所の一つとして挙げられる〈エトワール凱旋門〉はナポレオンの命で建造された。ナポレオン自身はこの門の完成を見届けることが出来なかった。そしてダヴ―もまた、皇帝の戦勝を称える門を初めてその目で見たのは、彼がセイバーとして現世に召喚された後の話である。彼は十二の通りの中央に位置する凱旋門を見た時、その優美さと、皇帝ナポレオンの軌跡が今なお絶えず語り継がれていたことに感動した。それは恐れ多くも、まるで自分のことのように喜ばしいことであったから。今を生きる者たちがこれから先もナポレオンの伝説を詠い継ぐことを信じて、エンゾだけでは無く、彼らも守護しようと決意したのである。

セイバーは只一人、凱旋門の前に仁王立つ。敵はかつての仲間「大陸軍(グランダルメ)」の亡霊たち。全ての通りから、セイバーに狙いを定め、侵攻してくる。既に数十の猛者たちを、己の拳のみで葬り去った。亡霊兵士の握る武器を、セイバー自身が所持することは出来ない。たとえ亡骸から奪い取ろうと、手からすり抜け、塵となる。彼は剣士としての戦い方を捨て、知略を尽くして、その場にある全てを利用し戦い抜く。彼にしてみれば、落ちている石もガラス片も、立派な武器となるのだ。

だが多勢に無勢、孤独な要塞も、数で押し切られればそこまで。彼は一歩一歩後退を強いられ、気付けば凱旋門真横まで追い詰められていた。もはや全ての通りに亡霊がいる以上、彼に逃げ道は無い。

裏を返せば、ほぼ全ての亡霊兵士が、セイバーのみを標的に動いている。それは彼にとって厳しくもあり、有難い話でもあった。エンゾとのパスが切れていない以上、まだ彼は戦える。そう、このエトワール凱旋門は最終防衛ライン、ここを突破された暁には、彼は終ぞ敗北を余儀なくされるだろう。

セイバーは落ちた標識棒を取ると、襲い来る十数の敵を一斉に薙ぎ払う。彼は原因不明のステータス降下の呪いを認識しつつ、それをカバーするよう立ち回る。おおよそライダーの能力であることは見当済みだが、彼の居場所が掴めぬ以上は、このまま戦闘を続けるしか無かった。動きが鈍るなら、それを考慮し間合いを取る。幸い、敵の一人一人に意思がある訳では無いようだ。バーサーカーのナポレオンが召喚した所為か、兵士たちもまた、狂化され理性を失っている。ただ殺戮のみを欲する自動人形であるからこそ、動きが単純化され、読み易い。

とはいえ、彼ら一人一人がサーヴァント並みの戦闘力を有している以上、少しの油断が命取りとなる。彼は出来るだけ大きな動きを見せず、最低限自らの命と門だけは死守するよう動いた。それが功を奏したのか、はたまたセイバーと同じように亡霊兵士たちもライダーの能力を直に受けたのか、その数は減少傾向にあった。元々の宝具で召喚できる兵の数には条件がある。ナポレオンが実際に生前動かしていた総数しか呼び出すことは出来ないということだ。限りがあるということは、後は時間の問題である。セイバーが果てる前に、亡霊兵士が、バーサーカーが、他のサーヴァント達が同じ呪いにかかって消滅するならば、結果としてセイバーは勝利することが出来る。魔力の消費を最小限にし、備えるしかなかった。

そしてセイバーがたった一人で凱旋門を守護するプランを実行した結果、時間は掛かれども、亡霊兵士の悉くを倒すに至った。

そして青い炎と共に消滅する亡霊たちを足蹴に、親玉であるバーサーカーが姿を見せる。

彼の肉体の一部は既に光の粒子となり溶け始めている。セイバーと同じ呪いを受けていることは確かだ。

放っておけば勝手に消滅する。だが野放しにするわけにはいかない。誰かが彼を看取るまで、その暴走を受け止め続けなければならない。セイバーはその役割を快諾した。

「DAVUUUUU」

バーサーカーは目の前に立つ男が誰かを知っている。

彼が認め、重宝し、そしてその才能に嫉妬した男。もはや対象を認識する機能さえ失われ、目の前にあるもの全てを破壊する装置と化した狂人も、生前の仲間のことだけは忘れずにいた。竜宮で彼を完膚なきまでに叩き潰したように記憶していたが、彼は折れた剣を手に立ち上がってきた。それはきっと、マスターの為、フランスの為、そして、バーサーカーの為に。

ナポレオンは剣を取る。既に聖杯戦争において敗北した彼が、最期に為すべきことは理解している。セイバーを殺すこと、言わばこれは彼への挑戦でもある。

「DAVUUUUUUUUUUU」

バーサーカーは走った。彼が生前その完成を見ることの無かった、凱旋門に向かって。

セイバーもまた走った。その右手に折れたサーベルを握り締めて。

二人は剣を交える。どちらかが消えるまで、この戦いは終わらない。

 

※ ※ ※

 

「エンゾ、聖杯戦争は悲しみしか生まないの、だからもうこんな馬鹿な真似は辞めて、貴方と私、そしてお腹の子と三人で生きていきましょう。」

エンゾの夢の中で、ナリエの言葉が繰り返し響き渡る。

それは余りにも優しい誘惑。彼の犯した罪から目を背け、自分だけが幸せになれる道。

彼の目の前には温かい向日葵の園、背後には漆黒の闇がある。

いつもと同じ夢、闇に足を踏み入れれば、忽ち血だまりから現れたノエ/エンゾに殺される。だが今回は違う。陽だまりで愛しきナリエが微笑んでいる。

彼は優しい光の方向へ一歩踏み出し、そして笑った。

「ごめんナリエ。やっぱり、俺だけはそっちに行けない。」

彼は踵を返すと、いつもと同じ、漆黒へ向かって走り出す。彼には決して失ってはならない願いがあったのだ。

そして彼は目覚める。目覚めはいつだって最悪のはずが、今回だけは妙に清々しかった。

ナリエの車の後部座席にいた彼は、勢いよく起き上がり、頭を天井にぶつける。彼は頭を抑えつつ、まだ車が発進していないことに気付くと、運転席のナリエに目もくれず車を降り去った。

「エンゾ!」

ナリエは惑う。いまシャンゼリゼに戻る選択は、ただの愚行。もはや彼に出来ること等残されてはいないはず。エンゾはそれでも降りた。殺し合いの行われる場所へ、自ら赴く道を選ぶ。

「待ちなさい、エンゾ!」

彼女は素早く車を降り、彼を追いかけた。彼はナリエの調合薬を受け取る前に、短時間でも老化の呪いを受けていた、だがそんなことは感じさせぬほど、彼は全力疾走で上へ向かって走る。その先は凱旋門、そこには強力な魔力反応があった。

エンゾはただ走る。片腕が無い為、上手くバランスを取れずに何度も転びそうになるが、彼はそれでも凱旋門に向けて急いだ。

―セイバーはそこにいる。

もはや令呪は無く、セイバーに対してバックアップすることもきっと叶わない。だが、それでも、彼は逃げることだけはしたくなかった。この聖杯戦争を起こした張本人として、彼は最後まで戦い抜くことに決めている。

彼が中央に位置する凱旋門に到達する前に、数体の亡霊兵士が通りの玩具店の前に集まっていることに気付いた。そこには蹲り、母の助けを待つ少年の姿がある。エンゾの敷いた人払いの結界の一部分が亡霊兵士に破られ、そこに誤って入り込んでしまったのだろう。少年の持つ木製の汽車は亡霊に踏み潰された。少年の目から光は消える、そしてじきにその命の灯さえも。それは戦争が生み出した悪夢である。

亡霊兵士は剣を振り下ろした。夥しい量の血液が玩具屋のショーウィンドウを彩る。少年は身体を震わせながら、その光景を目の当たりにした。

背中を斬られたのは、エンゾであった。彼は間一髪のところで間に合ったのだ。

「さぁ早く、そっちの路地から逃げるんだ。」

エンゾは少年に笑いかける。少年は頷くと、走って路地裏に消えて行った。

エンゾは彼が去ったことに安堵すると、その場で崩れ落ちた。亡霊たちは執拗にエンゾの肉体に剣を突き刺す。まるで弄ぶかのように、エンゾの全身は赤黒い液体で染まった。

亡霊兵士はエンゾに飽きたのか、彼を置き去りにし、凱旋門にいるセイバー目指して突き進む。だがその行く手は、何者かによって阻まれる。空から全てを俯瞰していたグラコンが降り立ち、一瞬のうちにその場にいた亡霊を薙ぎ払ったのだ。

エンゾは視力を殆ど失った目で、グラコンの存在を確かめた。彼はゆっくりとエンゾの元へ歩いて来る。

「セイバーのマスター、ここまでのようだな。」

エンゾは答えない。返答する余裕は無い。意識を保つだけで精一杯だ。

「君は自分が起こした戦争だと認識しているね。だが、そうじゃない。これは私の為の戦争だ。君はその駒の一つに過ぎない。だから、君が罪を背負う必要は無い。」

エンゾは「それでも」と反論しようとする。だがその前に、彼は力尽きた。どこかグラコンの言葉に安心してしまったのかもしれない。

エンゾ・デ・キマリュースは絶命する。彼の戦いは終わりを告げた。

ナリエがエンゾの元へ追い付いたのは、グラコンが去った後である。彼は路上で熱を失った姿で発見された。

「エンゾ…エンゾ…?」

彼女は既に冷たくなった彼の身体を何度も揺する、が、彼が目覚めることは無い。

「嘘…でしょう?」

ナリエは血だまりに膝を付け、彼の亡骸を抱き締める。当然心臓の鼓動は聞こえない。彼女は涙を流すことは無く、ただその事実を受け入れることが出来なかった。

「私は…」

ナリエは放心状態で、ただ彼を抱き締め続けた。

 

そして数十歩先の凱旋門にて鎬を削る二騎のサーヴァントにも変化が訪れる。セイバーはエンゾの死亡により、現界する術を失う。彼の身体は光の泡となり、今にも消滅しようとしていた。

一方バーサーカーは、最後の足掻きとばかりに、巨大な大砲を創り出した。その砲撃を以て、この戦争への幕引きとする。その砲弾が向かう先は無差別、フランスの全土に血の雨を降らせる代物だ。

彼自身、理性を失おうとも、英雄としての矜持が、使用を留まらせていた。だがもはや壊れ切った彼を止める者はいない。彼は最期の花火とばかりに、それを凱旋門に向けた。

セイバーは最期の力を振り絞り、バーサーカーに突進すると、彼と共に通りの方へ転げ落ちる。

彼らが落ちて行った先で、セイバーはエンゾを抱くナリエに出会った。彼は横たわるバーサーカーから離れると、マスターであるエンゾの元へ駆けつける。

「マスター…」

セイバーはエンゾが死亡したことを、魔力のパスが切れたことにより理解していた。だが実際にその亡骸を見て、自らの不甲斐なさを悔いる。恐らく彼は良きサーヴァントでは無かっただろう。結果としては敗北、エンゾが生きて、願いを叶えることは出来なかった。

「セイバー、まだ生きていたの?」

ナリエはエンゾから身体を話すと、セイバーの胸倉を掴む。彼は彼女の怒りを正しく理解していたし、それを止めようとも思わなかった。

「さっさと死になさい。私の戦いはまだ終わってない、まだ、まだよ、まだ間に合うの。キマリュース家の復興は必ず叶うわ。」

光を失ったナリエの目を見て、彼女に対し言葉を今までかけてこなかったセイバーも、口を開くことにした。

「ナリエ、キマリュースの家をどう救うつもりだ。」

「私の胎内には赤ちゃんがいるの。エンゾの遺体を保存し、魔術回路を移植させる。エンゾの物は不出来でしょうけど、キマリュース家が潰えることは無い。」

「マスターの願いもまた、キマリュース家の復興だ。だが貴殿はマスターと同じ願いでありながら、異なる道からそれを叶えようとする。協力体制を築いている割に、ライダーの宝具で彼ごと巻き込んだ、そもそも真名を隠していたのも理由があるのだろう。」

セイバーはナリエの真の願いに気付いている。彼女の額に汗が流れた。

「ナリエ、君の思い描く未来に、エンゾの姿は無かったのではないか?」

彼は優しく問いかける。ナリエは唇を噛んだ。

「…そうよ、私は私の子と共に生きて行くの。エンゾは嫌いじゃないけど、彼への恨みは沢山あるわ。中でも一番許せないのは…。」

「貴殿の愛するノエの命を奪ったと、考えているんだな。」

ナリエは驚愕する。セイバーとは殆ど会話をした覚えも無い。だがそこまで把握されていた。

「これは推測でもあるが、貴殿がキマリュース家に拘るのは、優秀な魔術師であったノエと愛し合い、生まれた子が胎内にいるからだ。貴殿の成長を遅らせる魔術を使い、ノエが死んだ後、エンゾとの間に生まれた子と偽った。現在キマリュースの魔術回路を有するエンゾから子に受け継がせることこそが貴殿の願い。事は順調に進んでいたはずだったが…」

「愚か者が、聖杯戦争なんて下らない儀式を知ってしまった、そして、貴方が、セイバーが、召喚されてしまったのよ!」

「マスターの願いは、キマリュース家の復興だ。つまりエンゾが魔術師として大成し、君と、子と共に生きて行く未来。ノエがエンゾによって殺されたと思っている貴殿にとってはそれが我慢ならなかったんだな。」

「そうよ、その通りよセイバー。よく知っているじゃない。」

ナリエは全てを見透かされていたことに驚きつつも、まるで事件の真犯人であるかのように高笑いした。

「だが、ノエの死因は落馬であり、エンゾはその時全く別の場所にいたらしい。直接彼が兄を殺した訳では無いはずだが?」

「えぇ、そう、事故よ、確かに事故。だけど彼が馬に乗ったのはエンゾの為。それだけじゃない、彼がする全てのことはエンゾの期待に応える為だった。彼は完璧な兄でありたいと願っていたから。」

セイバーもまた、エンゾから兄のノエが如何に優秀であったかを何度も聞かされていた。

だが完璧な人間などこの世には存在しない。セイバーにとってのナポレオンもそう、むしろ、欠点があるからこそそれを皆が補って強くなってきたのだ。

「これもまた推測だが、もしかするとノエは耳が悪かったのでは無いか?」

「…っ何でそれを…」

ナリエは目を丸くする。それはエンゾも知らなかった、ナリエとノエのみが共有した秘密、セイバーがそれを調べられるはずもない。

「ノエは生前、バイクを趣味にしていたと聞く。誰もがそうなる訳では無いが、エンジンを吹かせるときの轟音を間近で耳にし続けると、聴覚へのダメージは大きいだろう。耳の悪い者は平衡感覚が乱れ、眩暈などを起こしやすい。当時のフランス軍にも、発砲の音で耳を悪くした者もいたからな。」

「…」

「いや、少し訂正しよう。恐らくノエの場合は先天的なものだ。ナリエ、貴殿は飼っている鳥全てに名を与え、餌をやっていただろう?おかしいとは思っていた、もし貴殿が小鳥を個体で把握しているならば、態々鳥の羽根を塗り分ける必要は無いはずだ。敵に情報を与えてしまう可能性があるからな。それでも貴殿が鳥の羽根に色を塗り識別していた理由は、ノエが生きていた頃からの名残、彼が目で見て分かるようにしていたんじゃないか?赤が危険信号であったように。」

ナリエは目を伏せ、溜息をついた。

「赤は危険信号じゃない。ノエのことが好きだという色、エンゾに、それが分かられたく無かっただけ。」

ナリエは、セイバーを見つめる。彼の存在は今にも消失しようとしている。バーサーカーも、いつ起き上がり再び暴走するか分かった者では無い。だが彼女はただセイバーの瞳を眺めていた。彼女の全てが掌握されていたからこそ、諦めに近い感情を吐露した。

「セイバー、私を殺す?貴方はずっとそうしたかったはず。味方に不穏分子がいるのは嫌でしょう?」

セイバーは折れたサーベルを握り締めた。

そして、ナリエへ向け飛んできた銃弾を叩き切る。

そう、時間をかけて瀕死のバーサーカーは起き上がった。まだ、彼の闘志は消えていない。

「ナリエ、マスターを連れて逃げろ。ここは戦場だということを忘れるな。」

セイバーは最期の花火を咲かせようとするバーサーカー向けて歩き出した。

「セイバー、どうして私を助ける?」

ナリエは必死に問いかける。セイバーは初めて、彼女に向けて微笑んだ。

「私がどうしてここまで君のことに詳しかったと思う?簡単だ、その殆どをマスター、エンゾから聞かされていたからだ。」

「…え…」

「エンゾは君のお腹にいる子がノエとの愛の結晶であることは知っていたぞ。だからこそ、聖杯に祈った、ノエとナリエの子が、キマリュース家で立派に育っていくように、と。ナリエ、君の願いとエンゾの願いは全く同じものだったんだ。エンゾは最初から、キマリュースの未来に、自分を含めてはいなかったんだよ。」

エンゾは自らが不出来だと知っていた。そして生まれてくる子はきっと優秀であると信じていた。ならば、生まれてくるその時に、キマリュース家が没落しているのは、子が余りにも可哀想である。

彼は自らの才能の無さを知り、それでも、大切なものを守ろうとした。その手段は間違っていようとも、願いは純粋なものである筈だ。

「そしてナリエ、貴殿の言うように、本来の私であれば、不穏な動きを見せる貴殿を真っ先に排除している。だがそれをしなかったのは、それが、マスターが、エンゾが下した最初の命令だったから、態々赤い紋様を一画消費してな。」

ナリエはハッとする。彼女はエンゾの言葉を思い出した。

 

「セイバーに、俺を殺さないように命令した。ほら、今までの戦争ってマスターが自分のサーヴァントに殺されて敗退するものが多かったみたいだからさ。一応ね。」

 

それは彼の発した余りにも優しい嘘であったのだ。彼はセイバーに、自分では無く、ナリエを殺さないように命じたのだ。ナリエがどれだけ裏切ろうとも、エンゾは決して彼女を傷つける選択はしなかった。

「あ…あぁ…ああ…」

ナリエの目から大粒の涙が零れ落ちた。泣きじゃくる彼女を尻目に、セイバーは命が消える最期の時まで守り抜く覚悟を決める。

バーサーカーは先程の大砲を再び手にすると、今度こそ全てを破壊し尽くさんと、トリガーに手をかける。もはや狙いはセイバーに留まらず、このフランス全てに渡る。

彼を駆り立てる衝動は、人の絶望や肉塊である。怪物は現世に別れを告げるその瞬間に、最高のエクスタシーを得ることのみに執着していた。

だが、そんな怪物に何度も挑み、何度も止めようとするセイバーの存在があった。彼は自らに残された最期の宝具を解放する。

それは、自らの消滅が確定する最終宝具。エンゾがいる限りは発動することが無かったが、未来が確定した今、使わない手は無い。

彼は剣先が失われたサーベルを掲げ、高らかに詠唱する。

それは凱旋。フランス国民誰しもが憧れた、一人の皇帝の優雅なパレード。不敗のダヴ―が守り通したかった風景、彼の脳内でその記憶は膨れ上がる。

そして彼の肉体は炎のように燃え上がる。ステータスが向上した訳では無い。その能力はたった一人で全ての攻撃を受け入れること、そして抵抗し、粘り通すこと。彼の宝具である『我が祖国にて戦勝を謳おう(ヴィクトワール・ドゥ・ラフランス)』が全てを消し炭にするものならば、こちらは全てを守り通すものである。

「陛下、私はまだ粘りましょう。貴方の凱旋の為に。」

セイバーは右手を前に突き出した。それと同時に、バーサーカーの砲撃が開始される。

 

『我が皇帝に不敗の餞を(グロワール・ドゥ・ランペラール)』

 

フランスの大地に光の輪が広がり、舗装された道から、白い輝きを放つ泡が溢れ、空へ飛んでいく。それは生前のダヴ―が共に戦った戦士であり、守ろうとした国民の魂でもある。セイバーがこれを手放すことで、彼は真の意味で孤高の人となり、ただ一人で全ての弾を受けることが出来るのだ。

ナポレオンが空に向けて放った攻撃は忽ち消滅し、その全てがセイバー一人に着弾したものとして因果を捻じ曲げる。そして彼は己の全てを用いてその痛みに耐えるのだ。だが当然、大砲を生身で一発でも食らおうものなら、跡形も無く破裂するのが必定である。だがそれに耐えることが出来るのは、彼がサーヴァントであるからだ。

「あぁああぁあああぁああぁあ」

彼の霊核はとっくに粉砕されている。されども、彼の思いの力で現世に踏み止まる。バーサーカーが全てを燃やし尽くすまで、セイバーは、ダヴ―は傍で共に戦う。それこそが不敗の餞であると信じて。

そして一瞬の、永遠とも思える砲撃は終了した。その全てに耐えたセイバーだが、もはやそこに意思は無い。肉体よりも精神を多く燃焼させた彼は、ただそこにポツリと立ったまま命を落とす。そしてバーサーカーもまた、自らの全てを出し尽くしたのか、その身体は砂のように溶け、風に流されて飛んで行った。二騎のサーヴァントは同時に、このフランスの地から消失したのであった。

 

ダヴ―はかつてナポレオンと語り合った、いつかの草むらにいた。

その穏やかな光景に、彼は自らの死を悟る。これはそう、走馬灯のようなものだ。

晴れた空に、濃くはっきりとした虹のアーチがかかる。ダヴ―はそれをただ眺めていた。

「天を見てみろ、ダヴ―。」

誰かが彼に話しかけた。だがダヴ―はその声の主の方を振り向かない。

「空は青、雲は白、太陽は赤、皆がそれぞれ一つの色を持っている。

だがな、一つだけ欲張りな奴がいる。それが七色の虹だ。

俺は虹になる。誰よりも欲深く、誰よりも輝くのさ。

ダヴ―、お前は何色に成りたい?」

彼は声の主の問いに微笑する、今までの自分であれば辿り着かなかった答えが、彼の胸に確かに存在した。

「陛下、私は貴方の虹の〈赤〉を彩りましょう。」

声の主は不思議そうな顔を浮かべる。ダヴ―はいつも黒き灰と血だまりしか自分には似合わないと、半ば諦めていた。だがそんな彼が自信満々に赤色を主張したのだ。

「陛下、私は〈赤〉を好むことに決めました。何故ならば、私の流す〈赤〉は守護すべき人を守れたことの証明なのだから。」

「そうか、ははは。そうか。」

ダヴ―は声の主、ナポレオンを見つめた。豪胆な男はダヴ―の胸にそっと拳を当て微笑んだ。フランスに伝説を残した二人の英傑が現代に蘇り争ったことは、誰一人知ることも無く、終幕を迎えたのである。

 

※ ※ ※

 

アサシンは既に瓦礫の山と化した洋菓子店の一角にて、マスターである充幸の姿を見つける。彼女の肉体の半分はもはや人間のものでは無くなっていた。彼女の額からは赤い角が生え、小さいながらも、黒々とした片翼が彼女の背に宿っている。

「充幸…充幸…」

アサシンは彼女の頬を優しく撫でる。人間としての温かさはまだ残っているが、このまま一時間と放っておけば、確実に彼女は命を落とすだろう。

アサシンは充幸を抱きかかえると、いつ崩落するかも分からない場所から退避した。早く他のサーヴァントを倒さなければと、焦る気持ちが先行する。

「アサ…シン…?」

アサシンの胸の中で、充幸は目覚めた。だがまだ意識は混濁している。気を抜けば、その意思は鬼に略奪されることだろう。彼女にとってアサシンの存在を認識することが、少女を鬼頭充幸たらしめている。

「充幸、大丈夫ですから。我が必ず貴女を救います。ちょっとだけ我慢していてください。すぐに敵を倒して、聖杯で願いを叶えますから。もう少しの辛抱ですから。」

必死で充幸を助けようと動くアサシンを見て、充幸は安堵する。彼女が傍にいてくれる限りは大丈夫、そう自ら言い聞かせ、自我を保つ。

アサシンは誰もいない道を下りながら、充幸が隠れていられる場所を探し続ける。驚く程に辺りは静寂を保っており、彼女にはそれが不気味に思えた。もしかすると、既に何騎かのサーヴァントは消滅したのかもしれない。そんな淡い期待を心の内に抱いた。

突如、彼女の向かう先と逆側の、エトワール凱旋門がそびえ立つ場所付近で、光の柱が空へと伸びた。彼女はその光がサーヴァントの発した攻撃だと考えたが、充幸は違っていた。

「あれ…は、聖杯…?」

充幸に金の杯が見えていた訳では無い。が、魔力反応をその目で確かめて、それが願望器であることを即座に判断する。聖杯が顕現したということは、この戦争は終結したということだ。まさかの漁夫の利ではないかとアサシンは喜ぶが、充幸にはどこか不穏に感じられた。

「アサシン、行こう。私も連れて行って。きっとこれが最期の戦い。」

「戦い?まだ、敵は残っていると…?」

「うん、きっとまだ終わってない。」

アサシンは光の柱を目指し進んだ。その一歩一歩には、必ず充幸を救うという覚悟が宿っている。

 

空へ伸びた光線を作り出したのは、先程まで空から戦いを見つめていたグラコンである。彼はエンゾを看取った後、セイバーとバーサーカーの戦いに決着がつくのを傍で見届けていた。彼らの消滅は即ち彼にとって戦争の終結を意味する。彼の内に存在するもう一つの聖杯に眠りし魂はアーチャー、キャスター、アサシンの三騎、そして自らが召喚したランサーと、セイバー、ライダー、バーサーカーを加えれば、七騎の英霊の魂がこの場に揃うこととなる。

ダヴ―とナポレオンが共に死した刹那、彼の元に輝けし金の杯が顕現した。本来それはまだ終結していないはずの、此度の戦争の勝利者に付与される物である。だが、彼は自らの聖杯を用いて、言わばそれを受け皿にして、此度の物を同期させようとした。それは当然不可能な試みであるが、彼がこの戦争で暗躍していた結果、それは実現した。エンゾが試行錯誤の末作り出した聖杯のシステムは、過去の亜種聖杯戦争の記録から生み出されている。グラコンはその書籍、データに細工のような形で情報を付け足し、自分の聖杯と凹凸が合うような不完全な聖杯をわざと生み出させたのだ。

即ち、彼の聖杯とエンゾの生み出す聖杯は、全く同じものである。二つ存在しながら、それは合わさることでようやく本来の役目を果たすことになる。

今、六騎の魂が彼の元に集う。これだけではまだ足りない。世界そのものを作り替え、プラトンの理想社会を顕現させることこそ、彼の悲願である。

「ヒトはただ道を選べるだけの存在ではない。その先が真に幸福かどうかを見極めた上で選択出来るように進化する必要がある。過程も、結果も、全てが美しくあらんと、ヒトは自らの臨界を極め生きて行く。自由とはかくあるべしなのだ。」

終末の日に際しても、誰しもが諦めず、妥協せず、最期の瞬間まで生きていける世界、それが彼の理想、そして、彼の思うプラトンの理想。その境地に至るには、ヒトはまだまだ脆すぎる。人の精神構造から全てを修正し、完璧な理想国家を構築することがグラコン、またの名をイデアの為すべき最終目標だ。

グラコンが金の杯を自らの内に取り込もうと儀式を始める最中、一人の男がその場に現れた。彼は辛うじて人間としての原型を留めているグラコンを見て、ただ哀れんだ。

「監督役、スぺウポシス=テイオスか。どうだ、私がこの戦争の勝利者となった。見ろ、聖杯の輝きを。」

「ランサーのマスター、まだ君のサーヴァントは君の進化に賛同していないんじゃないのかい?」

「賛同するさ。彼を悪名高き王と揶揄する者もいるが、その本質は神と民への愛を第一に考える哲人だ。彼はただシャリーアに従順だっただけさ。彼を聖者だと私が認識していたからこそ、私は彼を呼んだ。理想国家は彼のような厳格な人物でなければ永久不変にはならない。」

「君が令呪を全て投げ捨ててまでランサーを配下に置いたのは、君の理想国家の為か?」

「そうだが、少し違うな。令呪という枷がある限り、我々は対等にはならない。語るにはまず同じテーブルに着く必要があるだろう?私は彼を王だと知るが、上にも下にも思ったことは無い。万人を導く哲人の在り様を、何より私が傍で見たかったからね。」

グラコンはプラトンの代わりにプラトンを演じる存在、だが、どちらにせよ二人は王では無い。彼らは語り明かすことは出来ても、民衆を導く先導者にはなれないということだ。

人間界をただ俯瞰する立場にあった彼にはプランのモデルケースが必要だったのだ。

「ではグラコン、此度の戦争のアサシンはどうする?彼女は恐らく君を殺しにやって来る筈だ。」

「それも問題は無い。所詮彼女は偽の王だ。今更足掻いたってどうにもならんさ。」

本来であれば、此度の戦争で召喚されるはずの無かったアサシンのサーヴァント、だが彼女は暗殺者として致命的なバグを抱えている。それは生前身代わり王となりし者が、エサルハドンの暗殺に失敗しているという事実、加えて、エサルハドンの集合意識として機能する中で、気配遮断やその他アサシンの特権を全て消失していることである。ランサーの宝具で彼女のエサルハドンとしての皮を取り去った今、只の三流サーヴァントに、一体何が成せるというのか。

グラコンの余裕に対し、テイオスは肩をすくめる。だが監督役がこの場で何かすることは無い、戦いの結末をその目で見届けるのみだ。

「あぁ、プラトン、プラトンよ、貴方の願いは叶う、私の願いも叶う。」

彼が顕現した此度の戦争の聖杯を手に取ると、彼の外殻は忽ち崩れ去り、彼のイデア界での姿、蝶の羽を持つ異形に形状変化する。彼は露出した自らの心臓に金の杯を取り込むことで、内に眠るもう一つの聖杯との結合を開始した。

グラコン、改めイデアはテイオスが姿を消したことを確認すると、傍にいるであろうランサーを呼び寄せる。

「ランサー、勿論そこにいるんだろう?」

「…あぁ。」

既に初老の男の姿は跡形も無く消し去り、神の如くその身を進化させたグラコン。ランサーは彼の姿が人間のもので無くなろうとも、マスターであることを認識している。

「グラコン、貴様の勝利か?」

「あぁランサー。じきに二つの聖杯は交わり、六騎の魂は集結する。私と君は願いを叶えるのだ。」

「私は、私の国を救うことが出来るだろうか。次こそは、災厄の王の名を捨て去ることが出来るだろうか。」

「君は自らの治世を悔いる必要は無い。だが君が望む限り、やり遂げられるはずだ。君の胸に後悔の念が残っているならば。」

ならば父シャー・ジャハーンのように、全てを愛する王となろう。ムスリムで無い〈ヒト〉を認めよう。愛される、存在になろう。

彼らの悲願は、あと数分で成就する。

 

※ ※ ※

 

アサシンが光の柱へ向かう最中、男を背に抱え歩くナリエに出くわす。充幸とアサシンは何時でも戦闘が出来る体制に移るが、ナリエにはその意図が一切感じられなかった。彼女にはサーヴァントがいない。この戦いに敗北したことが察せられる。

「充幸、まだランサーは生きているみたいだし、あの契約は続投よ。貴女に私は殺せない。」

「…何があったんですか、ナリエ。」

「…セイバーもバーサーカーも死に、勝ち残ったのはランサー。戦争は集結し、聖杯は彼とそのマスターの手に渡る。」

「待てナリエ、我らはまだ生きているぞ。」

充幸とアサシンの呆けた顔を見て、ナリエは小馬鹿にしたように笑った。

「この戦争は全てランサーのマスターに仕組まれていた。彼は恐らくどこかの亜種聖杯戦争で生き残ったサーヴァントなの。彼は既に他のアサシンを踏まえた七騎のサーヴァントの魂を集めきっている。恐らく彼の計画通りにね。貴方達は元々不要だったって訳。」

ナリエもまた、光の柱を目撃し、全てを理解した。エンゾから聞いたデンケトの戦争で現れたサーヴァントはアーチャー、キャスター、アサシン、そしてルーラーのプラトン、彼らの聖杯があれば、此度の物と合わせて計七騎で器を満たすことが出来る。その方法は知りようも無いが。兎に角彼はそれを為し得た。エンゾはただ裏で仕組まれ操られていたに過ぎないのだろう。

「私は逃げる、そして生き残る。充幸、貴女はもう手遅れだろうけどね。私の魔術では貴女を救えないんでしょう?」

「ナリエ、貴様ァ!」

アサシンは怒りを露わにするが、彼女をどうにかすることは出来なかった。ナリエに関わっているだけ時間の無駄だと悟ったのだ。

ふらふらと通りを降りていくナリエを尻目に、アサシンは充幸を一層強く抱きかかえ、門を目指したのだった。

 

ナリエは成人男性の亡骸を背に抱え、よろけながらも自身の車に辿り着いた。後部座席にエンゾを寝かせると、彼女は運転席に乗り込もうとする。だが、扉を開けた途端、何かが彼女を襲い、覆い被さってきた。

「な…っ」

彼女は何とかその来襲を避け、地面に転がる。車の中にいたのは、消滅したはずのバーサーカーの宝具で召喚された、一体の亡霊兵士であった。

「な…んで?」

彼女は混乱し、まともに思考出来なくなる。当然だ、本来いるはずの無い存在が急に目の前に現れたのだから。彼女は腰を抜かし、まともに立てなくなるが、それでも地を這って逃げようとする。ここで小鳥達に指示を出し、亡霊兵士を小突かせていれば、話は変わっていたのかもしれない。彼女はただ目の前の脅威から逃げることに必死だった。

何故亡霊兵士が一体だけ消滅せずに残っていたのか。それはこの一体がナリエの車を強襲した際、偶然にも彼女がストックしていた時間を遅らせる調合薬を丸呑みしてしまった所為である。バーサーカーの宝具により生まれし存在であるが、彼女の魔術に触れたことにより、ただ一人だけなおも現世に留まっていたのだ。

「いや、ライダー、ライダー!」

彼女は自らのサーヴァントに呼びかけるが、当然反応は無い。続いてセイバーの名を、エンゾの名を、ノエの名を口にするが、彼女も正しく理解している、その声に応えるものはいないということを。

ナリエは何とか立ち上がり、走って逃げようとする、が、隆起した地面に足を取られ転倒する。迫りくる亡霊兵士に彼女の恐怖の感情は激しく高ぶり、涙を流しながらそれに抵抗しようとした。

「来るな!助けて!助けて!」

彼女は履いていたヒールを亡霊兵士に投げ、最期の抵抗をする。が、彼女が二足目を投げつけようとして、そのヒールに付着した赤黒い血の跡に目を奪われた。

「いや…ごめんなさい、ごめんなさいリューガン…違うの、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」

これは彼の残した呪いなのかもしれない。そう彼女は悟ったのである。

そして彼女は、右手にヒールを握り締めたまま、亡霊兵士の槍でお腹の赤子ごと貫かれ絶命する。その遺体は余りにも惨たらしく、まるで肉体を食い荒らされた後のリューガンのようであったのだ。

 

※ ※ ※

 

ナリエは何処とも分からぬ白い空間に佇んでいた。目の前には一本の川が流れており、彼女は素足でその水に浸る。不思議と冷たさは感じないが、心地よさだけはそこにあった。

「ここって…」

彼女が辺りを見回していると、川の先から小さな舟が彼女の元へ寄ってきた。櫂を漕ぐ水夫は彼女のよく知る人物である。

「ライダー。」

「やぁナリエ、お疲れ様だ。」

彼は彼女の傍に降り立ち、微笑みかける。どうにもその笑顔が胡散臭く感じられるのはナリエの気のせいだろうか。

「私、死んだの?」

「うん。残念ながらね。」

「そう、どうせ迎えに来るならノエかエンゾが良かったわ。」

「それは失敬。何せ僕は舟乗りだからね。こういうのは覿面って訳さ。」

ライダーは彼女を中心として円を描くようにくるくると周る。ナリエはそれが鬱陶しく感じられ、彼の手を引き止めさせた。

「で、君はどうだった。夢は叶わなかったみたいだけれど、全てを犠牲にした感想は。」

「後味が悪いったらこの上ないわね。」

「そうか、仕方ないな。」

「えぇ、仕方が無いわね。」

ナリエは彼の手を離し、自ら舟に乗り込んだ。ライダーはそれを不思議そうに見守る。

「この舟は何処へ向かうの?」

「分かっているだろう、三途の川の先は現世とは異なる領域さ。天国か地獄か、それは君の生前の行いに因るものだね。」

「なら、地獄ね。貴方はもうここでお別れ。後は自分で漕いでいくわ。」

ナリエが櫂を手に取ると、ライダーはその手の甲を両手で包み込んだ。そして櫂を彼女から受け取る。

「入口までは僕が漕いでいくよ。水夫だからね、慣れた物さ。」

ライダーは、浦島太郎はナリエを座らせると、彼女の目の前で漕ぎ始める。舟はゆっくりと、ゆっくりと、何処かへ向けて前進した。

 

「では良き舟旅を、マドモワゼル。」

「あら、手を引いて下さるの?有難う、ムッシュー。」

 

二人を乗せた舟は彼方へと。

 

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