死にたくないけど攻略しないとどっちみち死んでしまうからあかんと思ってとにかく頑張る男のオンラインゲーム 作:蓮山
フェイタルバレットを買って楽しかったから書きました
遅いとか言うんじゃぁない
ある県のとある1地方都市の少年が奇妙な形状のものをつけてつぶやいた。
「リンクスタート」
少年はまだ知らない。それが絶望に満ち溢れた日々の始まりとは。
少年はまだ知らない。それが人生において大切な、仲間というものを得られる魔法だとは。
少年は知っている。己はそこまで強くはない人種だと。
少年は気づいていない。己の可能性に。
~~~~~~~~~~~
《ナーヴギア》
それがこの物語の舞台である仮想大規模オンラインロールプレイングゲーム、略してVRMMORPGである『ソードアート・オンライン』を動かすゲームハードの名前だ。
VRとは言ってしまえばゲームの世界に入り込むというのが分かりやすい表現だろう。
ヒトの脳から肉体へ送られる命令信号を回収し、デジタル信号へと変換してプレイヤーはアバターを動かす。
しかし仕組みは電子レンジに近い。その出力調整や仕組みなどについてはわからないが一つだけ言える。
これを創った茅場 晶彦という男は紛れもなくニュートンやアインシュタインなどの天才と同じかそれ以上の領域にいるということだ。
発売された当初はすべてのゲーマーがゲーム会社に期待を寄せた。しかし、革新的過ぎたためかなかなかフルダイブシステムの特長を有効的に使えたソフトは発売されなかった。
そんな中で満を持して発売されたのがソードアート・オンライン。
フルダイブという特長を生かすため魔法という動かなくてもいい要素を消した剣の世界。
ゲーマーどもは熱狂した。これまでのソフトなど知らんとばかりにβテストの応募が殺到し千人分用意されていた席はすぐに埋まってしまった。
そして今日。ついに正式サービス開始の日。
~~~~~~~~~~~
「ここがアインクラッド…空気ににおいはないが、なるほど。ほとんど現実と変わらないな…。確か…あいつも当たったって言ってたな。プレイヤーネームは…」
その時、少年の背中に衝撃が走った。不意打ちだったためたたらを踏むが何とかこらえる。
「なにかっこつけてるの。ジン」
少年―ジンは振り返って突撃してきた女性を見る。
「おおう…いきなり突進はやめてくれよ。珪…ってリアルネームはNGだよな。学校ぶりだな、シリカ」
容姿だけでは大人の女性と高校生くらいの少年だがともにリアルでは13歳というおそらくこのゲームでも最年少の二人組だ。
「ほら!行こ!武器屋で剣を買ってレベルを上げよう」
「まぁそうだが。…ん?あの男の人迷いなくあの店に入ったな」
13歳であるがこの少年は相当にこの手のゲームをやっているようだ。
「「おい、あんた」」
少年と、もう一人武士のような美形の男が店に入った男を呼び止めた。
「ん?俺か?」
「あ、ああ。あんたはこのゲームにかなり詳しそうだからな。βテスター組だと思って声をかけたんだが…そこの人と同じ考えだったようだな」
「みたいだな。ま、ちょいとレクチャーしてくれよ!」
「は、はぁ。…じゃあ武器屋、行く?」
意外と簡単に釣れたので内心ガッツポーズするジン。そして、展開が早すぎて置いてけぼりを食らうシリカ。
「君たちは初期のスキルは何だい?」
「俺は片手用曲刀だな」
「俺は片手直剣」
「わ、私はナイフです」
「じゃあ、これとこれと、あとこれだな」
キリトは初期のゲーム内通貨―コルで買える装備を出した。もちろんとても性能はいい。初期装備としてはだが。
~~~~~~~~~~
「意外とやりづらいな。斜め斬りの…」
「スラントだ。フレンジーボアを一撃で倒せるかどうかってところの威力だな」
名前よりも発動できるかどうかが重要と考えているためか、ジンは名前を覚えていなかったため青年に訂正された。
「それでもできてるからいいんだよ」
「お前はできてるからいいじゃねぇか。俺なんてまだ全然できてないんだぞ?」
「私も、です。すごいね。ジン」
「キリトの指導がいいからだよ。俺1人じゃ反復練習で1日つぶれてたと思う」
青年の名前はキリト。武士みたいなイケメンはクラインという。
「お前、才能マンか…」
「昔っからそうなんですよね…そのくせ面倒くさがりでやる気がないことは誰かに体よく押し付けるんですよ」
「ひでぇ評価」
ここまではただのゲームだった。そして、ここからゲームの本質が変わった。
「じゃあ、俺は一回落ちるわ。ピザ頼んでるんだよ」
「そうか。クライン、またな」
クラインがログアウトしようとする。しかし
「あれ?ログアウトボタンがねぇ」
「はぁ?何言ってんだ。そんなバグがあったらすぐに修正されてるだろ」
「確かに、金銭的な被害も出るわけだしな…まず起きるはずがないと思う。別の場所にあるとか?」
ジンが指摘したのは仕様の変更の可能性。途中から変わったというのも考えづらいが可能性としては妥当だ。
「いや、ねぇみたいだ」
「こっちもない、です。一応全部の箇所をくまなく探してみたんですけど…」
とりあえず全員が確認したがなかった。GM(ゲームマスター)コールも同じようなことが発生しているからか問い合わせが殺到してつながらない。
「つまりここから出られないと?運営側が強制ログアウトさせるか誰かが俺たちのナーヴギアを外す以外に方法はなさそうだな。緊急脱出の方法を今後つけるようになるだろうな、後続の会社は」
「のんきなもんだぜ。俺なんて後数分でピザが届くんだぞ?冷めたピッツァなんて」
「「粘らない納豆以下(だぜ)(ですね)」」
クラインとシリカの声が被る。だからといって何も進展はないが
「つっても、俺1人暮らしだぜ?ほんとにどうすんだ」
「知らないけど。俺とシリカは家族がいるから、最悪家族が外すだろうけど。キリトさんはどうなんだ?」
「あ~。俺は母親と妹がいるから大丈夫だと思うな…」
ログアウトできるまで4人でしゃべったり戦闘の訓練をしたりして暇をつぶす。
夕焼けがきれいになり始めたとき。不意に鐘の音が聞こえてきた。
この時。世界は決定的に、変わった。戦いは楽しむためではなく生きるための力を手に入れるため。攻略は未知を求めるためではなく帰るため。そして、命は無限から有限へと変わってしまった。
書いてる途中でプロローグを分けないといつまでも投稿できないことに気づいてしまった。
速さが足りない