死にたくないけど攻略しないとどっちみち死んでしまうからあかんと思ってとにかく頑張る男のオンラインゲーム 作:蓮山
2024年7月
アインクラッド73層にて、ジンとシリカ、そして数多の攻略組は73層のボスモンスター「インペルメント・ザ・ネクロベイン」を攻略し、74層の主街区へと歩いていた。
「お疲れさん、ジン」
「お前もな、クライン」
「お前がタゲとってくれたおかげで誰も死ななかったんだ。なんかおごるぜ」
「それが俺の仕事だからな。タンクのロール、誰かが死なないようにその身で受ける。そういうもんだ」
「ストイックすぎねえか?なあ、お前もそう思うだろキリ坊」
「さすがに真面目なのか、それともかっこつけなのかわからないな…。というか今回のラストアタックはシリカか。最近は多いな」
「はい!最近、いい武器が手に入ってですね、攻撃力が上がったんですよ。なんでも魔剣だそうで」
ジンは純白の甲冑を着こみ体以上の大きさの赤い盾と細身の片手剣を手にキリトたちとしゃべっていた。
「魔剣んン!?プレイヤーメイドの剣を超えるっていう、あの!?」
「は、はい。攻撃力は前まで使っていたダガーの1.6倍くらいになりました」
「あのイベントボスヤバかったんだけどな」
「どんなボスなの?」
「ああ、アスナさん。ええとですね、69層のイベントでスケルトンの強化系だったんですけど硬かったんです、ものすごく。それで攻撃力もフィールドのモンスターの5倍くらいでジン君がいなかったら1時間はかかりそうでした」
「おかげで盾が壊れたけど?」
「だから変わってたのか…」
「でも装備できる盾がドロップしていいじゃないですか。私の武器の槍は落ちなかったんですから」
「仕方ないだろ
ここが原作との乖離点2。死ぬはずだったサチや月夜の黒猫団のメンバーたちは窮地に陥ったがジンとシリカ、クラインなどの風林火山メンバーによって命拾いした。ゆえにキリトは《背徳者ニコラス》を倒しておらず別のプレイヤーが蘇生アイテムを手に入れた。
閑話休題
「LUK値には振ってるはずなんですけどね…。それでシリカさん。ラストアタックボーナスは何だったんですか?」
「ええと…。《ネクロズ・ハント》ですね。槍で威力は580。アンデット特攻で20%アップ。植物系にも特攻で15%アップってところです」
「ありゃ、槍スキルは取ってないしなあ。サチが装備でいいか?」
「というかそれしかないもん…。威力はかなり高いけどこのダガーより平時の威力は低いし、あげますよ、サチさん」
「良かったじゃないかサチ。これで武器の問題は解決か?」
キリトは素直に喜ぶが
「いだだだだだっ」
アスナさんにわき腹をつねられていた。
「なんでぇ!?」
「そりゃお前、キリ坊」
嫉妬だろ、と言おうとしたクラインの口をジンがふさぐ。
(面白いし言わないでおこうぜ)
(わかった…)
小声で楽しそうだから手出しはしないでおくことにした二人。そしてそれをジト目で見るシリカとサチ。
「お、モンスターだな」
ゴブリンのような見た目をした2メートルくらいのモンスターがジンたちに向かってくる。
「70層からポップし始めたジャイアントゴブリンだな」
クラインがモンスター名を口にする。
「じゃ、シリカ。行くぞ」
「うん、いつも通りにね」
ジンとシリカだけが突出する。
ジャイアントゴブリンも二人に気づいたようだ。棍棒を振り上げジンに近づく。そして射程距離に入った瞬間棍棒は振り下ろされた。ジンは盾によって受け流す。その後ろの死角からシリカがジンの肩を踏んで飛び上がる。そしてソードスキル《ラピッド・バイト》を発動。空中から突進攻撃をする。そしてそのまま攻撃は左腕の付け根に当たり切り離す。そのままの勢いのまま後ろに回るシリカ。モンスターのヘイトがシリカに向いたところでジンがソードスキル《バーチカルスクエア》を発動。V字の軌道を二つ刻み、足を切り落とす。残る右腕で反撃しようとするものの、そんな体で何ができるわけもなく首を落とされてHPバーが消えてポリゴンになって爆散。この間、30秒程。
まあ、この程度であれば倒せる者たちしかいないのだが
「サチの出番はなかったな」
「いや、まあそうなんですけど…釈然としません」
一応攻撃が足りなかった時のために歩いて向かってはいたが予想通りに出番がなかったことにあきれるサチ。
「いやはや、君の防御能力にはいつも驚かされるよ」
「いたのか、ヒースクリフさん」
意外と辛辣なことを言うジンに対し苦笑するヒースクリフ。このやり取りは意外としているため恒例行事みたいになってはいるが…
「私でもダメージは受けはするだろうが君の場合、ダメージを全く受けない。よほど攻撃の受け流しが上手いのだろうね。それにその盾。キリト君が使っているのが魔剣なら、君のは魔盾とでもいうべき一品」
「苦労して倒したボスエネミーからのドロップ品だぜ?むしろこれくらいの性能がなきゃ困る」
盾持ち同士盾について話が合うのだろう。かなり親しげだ。
そんなこんなで、時たま現れるモンスターを倒しながら74層の主街区まで歩き見えてきたころ
「そういえばさ、シリカちゃん」
小声でアスナがシリカに話しかける。
「ジン君との関係はどうなの?」
「うひゃあ!?そ、それは…その」
「その?」
「最近は、夜にその、おやすみのキスを(ジンの意識がないときに)しています…あうう」
「(何このかわいい生物)そっかー。こんなかわいい彼女がいてジン君はいいねえ。それに比べてキリト君って…」
大き目のため息をつきながらアスナはキリトにジト目を送る。もちろんシリカの裏側の言葉には気づいてない。
ついでに言うとジンは嫌な感じがして振り向きキリトは震えた。
((何だったんだ今のは…))
ヤンデレ化したかも