凄く普通の決闘者が幻想入り   作:うー☆

10 / 24
タイトルの⑨は今回出てきません


第⑨話 紅魔館にて

――――此処はどこだ?俺は確かNo.96との戦いで死んだはず……

 

俺がゆっくりと目を開けると、そこは知らない天井だった。そしてちらと横を見る

 

「……咲夜さん?」

 

体中に包帯を巻いた咲夜さんが、俺が寝ているベッドの隣の椅子に座って寝ている。続いて俺は怪我している右手を見る

 

「……あれ?」

 

そこには無傷の、綺麗な右腕があった

 

「え、一体どういう事だ?」

「ん……?あ、気がついたのね。」

 

椅子に座っている咲夜さんが起きる

 

「大丈夫?貴方、あれから三日もずっと目を覚まさなかったのよ?」

「げっそんなに寝ていたのか」

 

そして俺は咲夜さんに問う

 

「咲夜さん。この腕は一体どういう事なんだ?」

 

俺は咲夜さんに右腕を見せながら疑問を率直に投げかける

 

「ああ、その腕?」

「うむ」

「……言った方がいいかしら?」

 

咲夜さんが困った表情で俺を見る

 

「頼む、教えてくれ」

「……わかったわ。あの戦いが終わったあと、貴方は血を流しすぎて倒れてしまったのよ」

「ほう」

「あのまま放置していたら間違いなく貴方は死ぬ。そう思ったお嬢様は自身の血を、つまり吸血鬼血をあなたの体内に入れたのよ」

「ああ成程……て吸血鬼の血!?」

 

俺の言葉を無視して咲夜さんは話を続ける

 

「吸血鬼の血を人間の体内に入れた場合、血が入れた人間に上手く適合すればその者は吸血鬼になる……貴方は吸血鬼になった事で、吸血鬼特有の驚異の再生力を手に入れ、その怪我を治したのよ。」

「えっと……つまり今の俺は……」

「お嬢様と同じ吸血鬼よ」

 

咲夜さんはきっぱりと言い切る。えっとつまり、俺は吸血鬼になった事でこの世に生還した、ということか?ということはもう俺は昼間外に出歩けない上に海や川で泳ぐ事も出来ないということか?もう俺はあの空に輝くお天道様を拝むこともできないのか?ああ、さようなら人間の俺、こんにちは吸血鬼の俺。そう思ってると咲夜さんは俺の表情から全てを悟ったように説明する

 

「ああ、大丈夫よ?吸血鬼になったとはいっても、貴方は昼間外も出歩ける。川で泳ぐ事も出来るわよ?」

「え?何で?吸血鬼って日光とか流水とかって駄目なんだろ?」

「それがよくわかってないのよ……お嬢様が血を吸い取った相手は普通の弱点を持った吸血鬼になるのに、血を入れた相手は何故か弱点を持たない吸血鬼になるのよ」

「ということは俺は……」

「弱点を克服した無敵の吸血鬼、という訳ね」

 

何だそのチート。今度からアルティメットシイング伊藤とでも名乗るか。

 

「で、さっき血が適合したとか言ってたが、もしも適合しなかった場合どうなるんだ?」

「……血が体内で暴走して、ゾンビになっていたわね」

「げっ……」

 

ゾンビになった俺の姿を想像する。……吐きそうになったので止めた

 

「あ、もしも俺が血に適合せずゾンビになっていたら咲夜さんはどうするつもりだったんだ?そんな近くにいたら真っ先に殺されるだろ?」

「……信じていたもの。貴方は死なないって」

「へ?」

 

咲夜さんが顔を赤らめる

 

「まぁでもなんだかんだで俺はそのおかげで助かったんだしな。ありがとう咲夜さん」

「わ、私は何も……それはお嬢様が……。あ、お嬢様といえば貴方が目を覚ましたら連れてこいと言われてたのすっかり忘れてたわ。立てる?」

「大丈夫だ。……先に行っててくれないか?後で俺も向かうから」

「?分かったわ。これが紅魔館の地図よ」

「地図って……ここそんなに広いのか……」

 

そう言って俺は咲夜さんから地図を受け取る。うわ、めっちゃ広い。地図にびっしりと部屋が書いてある。こんな広い館のメイド長を咲夜さんはしているのか……大変そうだな

 

「それじゃあ後でね」

 

そう言って咲夜さんは部屋から出ていく。部屋から遠ざかっていくのを聞き、俺は声を掛ける

 

「……いるのは分かってるんだぞ。出て来い」

「……またバレてたのか……俺って気配を隠すの苦手なんだな……」

「まぁそう気を落とすな」

 

突然空中に現われた人間の騎士の様な格好をコートオブアームズとNo.96。コートオブアームズはともかく……

 

「何でお前がここにいるんだ?お前は俺が吸収したはずだが?」

「それが俺にも良く分からないんだよねぇ……何で此処に俺がいるのか、俺の方が聞きたいよ」

「へー、それで?お前はまた何かやらかすつもりか?」

「とんでもない。あの時みたいに何か起こすよりも、あんたと一緒にいた方が色々と楽しそうだしねぇ」

「へー。そーなのかー」

 

ルーミアの口癖が俺にうつったようだ

 

「まぁ今度何かしたら本気で叩き潰すからな。覚悟しとけ」

「落ち着けって。本当に何もする気なんかねぇからよ」

 

一応信じてみる事にしよう

 

「とりあえずレミリアの所に行くぞ」

「そういえば何であの娘の名前を知っているんだ?」

 

コートオブアームズが俺に問う

 

「俺の原作知識(笑)を舐めるなよ」

「お、おう」

 

~数十分後~

 

「えーっと地図だと……此処か」

 

俺は迷いながらも何とかレミリアの部屋に到着する。コンコンとノックをすると部屋の中から返事が帰ってくる

 

「入りなさい」

「じゃあ遠慮なく」

 

俺が部屋に入ると、ようjゲフンゲフンレミリアが椅子に座り、足を組んでいる。その隣には咲夜さんが慎ましく立っている

 

「まぁ座りなさい

「お言葉に甘えて」

 

俺が椅子に座るとレミリアは話を始める

 

「まずはお礼を言わなきゃダメね。あの時貴方がいなかったら私は死んでたわ。心から感謝するわ。本当にありがとう」

 

レミリアが俺に向かって一礼する

 

「別にいいんだよ。それにお礼を言うならこいつに言ってくれ」

 

俺が言うと突然空中に人間の騎士の様な格好をしたコートオブアームズが現れる。それを見てレミリアはすこし驚いたようだ。しかしコホンと咳払いをして

 

「た、助けてくれてありがとう。お陰で助かったわ」

「いや、お礼を言われる程ではない

「ところであんたたち名前は?」

「俺は伊藤大輔」「私はNo.69 紋章神コートオブアームズだ」「そして俺がNo.96 ブラックミストだ!」

「「てめぇは引っ込んでろ!」」

 

俺とコートオブアームズが一緒にNo.96に殴りかかる

 

「ち、ちょっと!何でこいつがこんなところにいるのよ!」

「いや、これには少し深い訳が……」

「問答無用!グングニル!」

「いやちょっと待っt アッーーー!!」

 

~数分後~

 

「……なるほどね。そう言う事」

「いきなりグングニルは酷いよ」

「悪かったわよ。それにあんたは吸血鬼なんだからその程度の怪我は何ともないでしょう?」

「まあな……」

 

俺は先程グングニルに当たった左腕を見る。もう再生を始めている。吸血鬼って凄いね

 

「それで?俺に話があるんじゃなかったのか?」

「あ、そうそう。それで話というのは貴方の今後についt「パチュリー!!この本借りてくぜー!!」」

「あー!!こら待ちなさい!!その本は読みかけなのよ!!それに本を借りるならこの前借りた本を返しなさい!!」

「あれはまだ読みかけなんだぜ!!だから返すわけにはいかないんだぜ!!」

「宜しいならば戦争だ!!」

 

下の階から凄い音が聞こえてくる

 

「……一体なんなんだ?」

「ん?あれは魔理沙が本を借り(盗み)に来てるのよ」

「あ、そうなんだ……ってうぉっ!?」

 

いつの間にか隣に霊夢がいる。全く気がつかなかった

 

「おや、霊夢じゃない。一体何の用?」

「こいつの今後についてよ」

 

ビシっと俺を指さす

 

「え?俺?」

「そうよ。あんた一応外から来てるようだし、どうするか決めないとね」

「ち、ちょっと!あんた何勝手に話を進めてんの!」

「ああ大丈夫よ。こいつについて一通り決めたらちゃんとここに返すから」

 

俺を置いて勝手に話が進んでいく

 

「ほら、さっさと行くわよ」

「え?お、おう」

「ちゃんと返しなさいよ!」

「へいへい、わかってますよ」

 

そう言うと俺と共に霊夢は部屋を出て、歩き始める

 

「えっと、今後のことについてって、何処で話すんだ?」

「そんなの決まってるじゃない」

 

俺の前を歩いていた霊夢は振り返る

 

「私の神社でよ。ほらさっさと行くわよ」

 

今後のことについてって、一体どんな事を話すんだろうか。そんなことよりも俺は一つのことで頭がいっぱいだった

 

(やった!本物の博麗神社に行ける!)

 

紅魔館を歩いてる途中、魔理沙に撃墜されたのか、パチュリーが地面にうずくまっていたが、俺は何も見ていない

 




なんだかんだで生還した伊藤君!次回は霊夢と一緒に白麗神社で話し合い!それでは次回もゆっくり見ていってね!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。