紅魔館での事件から一週間後。諸君は今日がなんの日だか分かるだろう?そう、宴会だ。俺は外の世界で宴会なんてした事ないから実は結構楽しみだったりする。まぁ未成年だから酒は飲めないけどね。そうそう宴会といえば――――
「あんたさっきから何ブツブツ言ってんの?はっきり言って不気味よ。」
「え?俺なんか言ってたか?」
「言ってたわよ。今日は宴会だとかなんとか。」
「それだけ楽しみなんだよ。別にいいじゃないか。」
「へー。まぁとりあえずこれ持ちなさい。次行くわよ!」
「ゑ、これも持つの?」
今は霊夢と共に人里に宴会に必要な物を買いに来ている。必要な物も言っても料理の材料とか酒とかその辺だ。
「というかどんだけ買うんだよ!」
「まだまだよ!今回は収入(お賽銭)が多かったから豪勢に行くわよ!」
その賽銭も入ってたのは俺のおかげなんだがな。
「買ったものを持つ俺の身にもなれよ!」
「あんた男でしょう?この程度のことで弱音を上げてたらどうするの?ほらさっさと行くわよ!」
傷はもうすっかり癒えたとはいえ、もう少しいたわって欲しいものだ。
「うー重い……そうだ!おいちょっと出てこいNo.96!」
「はいはい呼ばれて出てきましたよっと。」
やっぱり体の中からNo.96が出てくる。アニメみたいにペンダントとかに収納しといた方がいいかな?
「なぁNo.96だと呼びにくいから今度からブラックミストでいいか?」
「別にいいぜ。で?何か用か?」
「おう、これ持て。」
「へ?って重っ!?」
俺はNo.96改めブラックミストに自分が持っていた買い物袋を渡す。
「え、なんで俺が持つんだよ!」
「お前の力は俺が封印してるんだぞ?今のお前の力はそこらへんの妖精にも負ける程の弱さだ。つまり俺はいつでもお前をこの世からおさらばさせる事が出来るんだぞ?それが嫌ならさっさと運べ!」
「ぐっ……こ、こいつ……」
「あんたら何してんの?早く行くわよ!」
「そんな事でよろしく!」
「あ、コラ待ちやがれ!てか買い過ぎだろ!っておい待てって!」
~数時間後~
~博麗神社~
「ふー……これだけあれば十分ね。」
「買い過ぎじゃね?」
俺たちの目の前には山盛りになった食材と大量の酒、そして汗だくのブラックミストがいた。
「お、お前らぁ……俺を誰だと思ってるんだ……俺は……神、だぞ……(ガクッ」
「死んだのかしら?」
「まぁほっといて大丈夫だろ。それで次はどうするんだ?」
「そうそう、やることはまだまだあるわよ!料理作ったりテーブル出したり食器並べたり!」
「お、多いな……間に合うのか?」
「人が集まる夕方までに出来れば問題ないわ。」
「夕方って……」
「さあ喋ってる暇は無いわよ!あんた料理出来る?」
「一人暮らしの男のスペックを舐めないで頂きたい!」
「そう、じゃあ問題ないわね。よし、やるわよ!」
「ラジャー!」
こうして俺達はそれぞれの仕事に取り掛かった――――
~夕方~
「ま、間に合った……」
俺の目の前には俺と霊夢が必死に作った料理と酒が並べられていた。
「まあこれだけあれば十分ね。しかしまあよく頑張ったわね。」
「これだけの数の料理作ったの俺初めてだぞ。俺って凄いかもな。」
「はいはい頑張ったわねー(棒)」
「というかもうそろそろ人が来る頃じゃないのか?」
「そういえばそうn「霊夢ー!来たぜー!」噂をすれば何とやらね。出迎えよろしく。」
「了解っとな。」
「おお!伊藤じゃないか!久しぶりだな!」
「久しぶりって程会ってないわけじゃないだろう。それより宴会の準備出来てるぞ。」
「おお!それじゃあ上がらせてもらうぜ!」
「どうぞー」
「お兄さーん!」
突然背後からフランが飛びついてきた。ということは……
「おお、レミリア達じゃないか。」
「こんばんわ。もう怪我は大丈夫なの?」
「大丈夫どころか絶好調だぜ!」
「そう。それなら問題ないわね。」
レミリア、咲夜さん、パチュリー、美鈴、そしてフランと紅魔館メンバーが勢揃いだ。皆できて館のセキュリティは大丈夫なのだろうか。
「今夜は楽しませてもらうわよ。期待してもいいのよね?」
「勿論。楽しんでいってくれよ。」
「私はお兄さんがいれば十分だけどね~♪」
足に抱きついているフランの頭を撫でると、まるで猫のように目を細める。……なんだか妹ができたような気分だな。
「い、と、う、さ、ん?」
「げっ……」
咄嗟に振り返ると、そこには殺気を放つ咲夜さんが立っていた。
「後で、ちょっとお話しましょうか♪」
「あ、はい。」
咲夜さんの顔は笑っていたが、目は笑っていなかった。物凄く怖かった。
「それじゃあお兄さん、また後でねー!」
「おう、じゃあなー」
俺がフラン達に手を振ってると、突然カメラのシャッター音がした。
「ん?」
俺が振り返ると、カメラを構えてニヤリと笑う女性がいた。
「どうも!新聞記者の射命丸文です!今日は貴方の取材にきました!」
射命丸文か……確か文々。新聞とかいう新聞を作ってるとかなんとか。
「へー、取材って一体どう言ったものをするんだ?」
「簡単です!私が質問をするので、それを全て「はい」と答えてくれればいいのです!」
「おい。」
「冗談です。そんな怖い顔しないでください。」
「で?それじゃあ一体どんな事を聞きたいんだ?答えられる範囲でなら答えるよ。」
「ありがとうございます!それじゃあまずはフランさんや咲夜さんとの関係を……」
「そういったものはノーコメントで。」
「むー……それじゃあ貴方が幻想入りする前の生活について聞かせてもらえますか?」
「その程度なら別にいいよ。」
「本当ですか!それじゃあ早速……」
「……ありがとうございました!おかげでいい記事が書けそうです!」
「そりゃ良かったね。」
「さて、それじゃあ私も宴会に参加させてもらいましょうか!それではまた!」
そう言って文は奥に消えてった。そんなこんなでどんどん人が増えていき、遂に宴会が始まった。
~数時間後~
皆程よく酔いが回り、あちらこちらで騒いでいる。まぁ俺は酒飲んでないけどね。
「あー伊藤!もっと酒持ってきなさい!」
「霊夢……飲みすぎだろ。もうその辺にしといたらどうだ?」
「いいじゃないのこういう時ぐらい!ほら台所にあるからさっさと持ってきなさい!」
「へいへい、わかりましたよっと。」
~博麗神社台所~
「えーっと確かここら辺に……あったあった。」
「こんばんわ。」
俺が台所で酒を探していると、突然背後で声がした。何処か聞き覚えのある声だ。これは確かBB……もといお姉さんの声か。
「紫か。何の用だ?皆と一緒に飲まないのか?」
「貴方に話があって来たのよ。」
そう言って紫は俺に近づく。
「……話って?」
「私……見てたのよ?あの吸血鬼の妹との戦い。」
あの時のことか。フランにNo.が憑依して暴走していた時の。
「……それで?」
「あの戦いを見て……貴方に頼みたいことがあるの。」
「頼みたいこと?」
「ええ……「No.の回収」を頼みたいの。」
No.の回収?いきなり何言ってんだこのBB……もといお姉さんは。
「元々No.は私が幻想入りさせたも同然……だから全て私が回収しようとしてたのよ。でもね……」
「でも?」
「何故かNo.は私の前に姿を現してくれないのよ。いや、私の前では姿を消している、と言った方がいいかしらね。」
「姿を消している?」
「ええ。No.は私に対して強く警戒してるわ。無理もないわね。何しろ私は貴方と彼等を引き離そうとしたのだから。」
「……なるほど、だから俺に頼んでるのか。」
「ええ、そうよ。それで返事は?」
「……まぁNEETというのも嫌だし、別にいいぞ。」
「貴方ならそう言うと思ってたわ。ありがとう。手に入れたNo.の使い道は貴方に任せるわ。」
「さて、俺はそろそろ戻るぞ?いいか?」
「これは申し訳ないわね。ささ、霊夢が怒ってるわ。早く行きましょう。」
「遅いわよ!一体何してたのよ!」
「まぁ色々とな……あ、はい酒。」
「よろしい!」
霊夢は俺から酒を奪うと、コップに酒を勢い良く注ぎ、飲み干した。
「霊夢ー。飲みすぎよ?もうそのへんで辞めといたら?」
「あー?いいじゃないの別に!ほら!あんたも飲みなさい!」
「え!?俺!?」
「そうよ!あんた以外に誰がいるの!」
「いや俺未成年だし……」
「私の酒が飲めないって言うの!?そんなもんどうでもいいから飲みなさい!」
「霊夢ってこんなに酒癖悪かったんだ……」
「うるさいわね!ほら!さっさと飲みなさ……い?」
霊夢が突然後ろにバタンと倒れる。どうやら飲みすぎたようだ。すやすやと寝息を立てて寝ている。
「うふふ。霊夢の寝顔は可愛いわね。」
「とりあえず奥の部屋に寝かしておくか……」
「それじゃあ私はそろそろ帰るわね。No.の事、よろしくね。」
「はいはい分かりましたよ。」
突然空間が裂け、目玉が沢山こちらを覗いている空間が現れる。紫はその中に入り、別れの挨拶をすると空間を閉じてしまった。
「さてと」
俺は霊夢を奥の部屋に連れていき、布団に寝かしつける。そして宴会に戻り、皆の話相手をしていた。
~深夜~
「それじゃあ私はそろそろ帰るぜ!」
「気をつけて帰れよー。」
「へっへ!心配ご無用!この魔理沙様が酔って事故なんかに遭うわけ無いだろう?」
「魔理沙、知ってるか?そういうのをフラグっていうんだぞ?」
「だったらまずはそのふざけたフラグをぶち殺す!」
「だいぶ酔いが回ってるな……気をつけろよー。」
「今日は楽しかったぜ!またな!」
魔理沙はそう言うと箒にまたがり、空を飛んで帰ってしまった。
「それじゃあ伊藤、私達も帰るわよ。」
「えー!?まだお兄さんと一緒にいたーい!」
「フラン。我がままいうんじゃないの。帰るわよ。」
「はーい……お兄さん!またねー!」
「おう、またな!」
「伊藤さん。」
「あ、咲夜さん。」
「私は諦めませんよ?」
「え?」
「ふふふ、それではまた。」
そう言って紅魔館の住民は皆帰っていった。その後、レミリア達に続くように皆次々と帰っていき、そして誰も居なくなった。
「ふぅ……さて。」
俺はテーブルや畳を見る。
「……これ俺一人で片付けるのか……。」
そこには零れた酒や料理が並んでいる。霊夢は酔い潰れて寝てしまったため、必然的に一人で片付けなければならない。もう少し綺麗に騒げないものなのか。そう思いながら一人で片付けをし、終わったのは太陽が登り始めた頃だった。
紫にNo.の回収を頼まれた伊藤君!とりあえず引き受けるも、それは吉と出るか凶と出るか!んなもん知らぬ!次回は特に決まってない!それでは次回もゆっくり見ていってね!