~紅魔館・咲夜の部屋~
「俺は緑茶派だけど……偶には紅茶もいいな」
「でしょう?」
今俺は紅魔館に異変の時約束したお茶を飲みに来ている。俺は日本人だから緑茶派だが……中々どうして紅茶もいいな。何と言うか、お茶とはいえ緑茶とはまた違う旨みがある。……何か少し変な味がするんだが、これも紅茶の味だろうか?
咲夜side
むふふふ……掛かったわね。今伊藤さんが飲んでいる紅茶にはパチュリー様からパクッtゲフンゲフン拝借した薬を入れてあるのよ。この薬を使って既成事実さえ作ってしまえばフランお嬢様を出し抜ける!ああ、何て完全で瀟洒な計画なのかしら!自分で自分が恐ろしいわ!フランお嬢様……どうか今回だけは諦めてください!彼は私が……
「なぁ……何か体が熱くなってきたんだが……」
「(キターーーーーーー!)か、風邪ですかね?こじらせるといけないですね。どうぞそこに横になってください」
「え?ああ、ありがとう」
「熱はありますかね?(頭ピトー」
「あ、ありがとう」
今ここでキスしてもいいのだけれど……我慢よ、十六夜咲夜。もう少しで……むっふふふ。
「とりあえず水とか取ってきますね。あっどうぞ休んでてください。すぐ戻りますので。」
「ありがとう、そうさせてもらうよ。」
もちろん水を取ってくるというのは嘘である。折角だから色々と道具を取ってこよう。
「それでは少々お待ちください。」
そう言って私は部屋から出る。もう少しで……もう少しで……
伊藤side
「うーん……」
さっきからやたらと体が熱い。これは本格的に風邪を引いてしまったか?
「……ふむ、なるほどそう言う事か。」
「ん?どうした相棒?」
相棒こと人間の(ryコートオブアームズが俺の飲んでた紅茶と俺を見比べながら何やら考え事をしている。
「主よ、詳しく話すとこの小説のタグにR-18が付くため言えないが、ここから逃げた方が良さそうだ。」
「おお、メタいメタい……何でここから逃げる必要があるんだ?」
「詳しくは言えないのだ……だが信じてくれ。」
「ふーん……」
咲夜side
さぁ準備は整ったわ!私の完全で瀟洒な計画も、もうすぐで完了よ!
「伊っ藤さーん!」
私は勢い良く扉を開け放つ。ベットには伊藤さんが布団を頭までかぶって寝ている。本当に風邪だと思っているのかしら……ふふ、そんな単純な伊藤さんも大好きですよ!
「さあ起きてください!」
私が布団を勢い良くめくる。するとそこには伊藤さんではなく、ブラックミストが白目を剥いて横たわっていた。
「…………」
私は無言でナイフを構える。
伊藤side
~博麗神社~
俺が間一髪の所で紅魔館から博麗神社へ逃げ帰ると、縁側で霊夢がお茶を飲んでいた。
「あれ?あんた紅魔館のメイドに誘われてお茶飲みに行ったんじゃなかったの?」
「色々とあってだな……逃げ帰ってきた。」
身代わりに使ったブラックミストには悪い事をしたと思っている。……まぁ嘘だが。
「ふーん。あ、お茶飲む?」
「頂こうかな。」
霊夢がお茶を入れに奥へ引っ込む。体の様子はだいぶ落ち着いたようだ。さっきのは何だったのだろう?
「はいお茶。」
「ありがとう。」
霊夢が入れたてのお茶を俺に渡し、俺がそれを飲む。……美味い。やはり俺は日本人だな。紅茶もいいが、なんだかんだ言って緑茶が一番落ち着く。
「そういえばブラックミストはどうしたの?折角だから団子買って来てもらおうと思ったのに。」
「あーあいつは……うん、大丈夫だろう。それに団子なら俺買ってくるぞ?」
「そう?悪いわね。はいお金。」
霊夢が俺に金を渡す。何だか最近賽銭が入るようになったおかげで霊夢の機嫌がいい。
「それじゃあ行ってくるよ。」
「醤油でお願いね。」
「ガッテン承知!」
咲夜side
「ふぅ……」
私の目の前にはナイフで串刺しになったブラックミストの姿があった。……もう少しだったのに……いや、諦めてはダメよ。またいつかチャンスはあるはず。某バスケの先生も言ってたじゃない。『諦めたら、そこで試合終了だよ。』と!
「ねぇ咲夜。」
「あっパチュリー様、どうしました?」
「私が昨日作った惚れ薬のことなのだけれど……何だか量が減っているみたいなのよね。貴女、何か知らない?」
「そ、そんなの知りませんよ!だ、誰ですか!盗みなんて働く輩は!私が成敗してくれる!」
「……何だか怪しいわね。ところで咲夜。さっきまであの男が来てたみたいだけど……貴女まさか、彼に……」
「そ、そんな事しませんよ!既成事実を作ってフランお嬢様を出し抜こうとか、そんな事は全く、微塵たりとも思っていません!」
「……咲夜。」
「あっ……」
何とか危機を脱した伊藤君!次回は人里まで団子を買に行くよ!それでは次回もゆっくり見ていってね!