凄く普通の決闘者が幻想入り   作:うー☆

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第十七話 新聞記者とNo.

~妖怪の山~

 

幻想郷の季節ももう冬だ。木や植物が枯れ、吹き付ける風は体にこたえる。やはり外の世界と季節は同じようだ。何?季節が変わるのが早すぎると?知らんそんな事は俺の管轄外だ。

 

「ここにはあって欲しいものだが……」

 

そんな中、俺はNo.の回収にあちこちを奔走している。俺が最後に回収したNo.はあの人里で暴れてた男から奪ったNo.20で最後だ。それ以来他のNo.は見かけていない。……そもそもNo.を幻想入りさせたのは紫なんだから自分で回収して欲しいのだが……職業が自宅警備員というのだけは嫌だからな。嫌々ながらもやっている。

 

「止まりなさい。そこの人間。」

 

おおっと、いきなり背中に剣を突きつけられてしまった。ふむ、ここは下手に抵抗すると背中をずっぷりいかれてしまうな。大人しくしておこう。

 

「ま、まぁ落ち着いてくださいよ。そんな物騒な物しまって……って椛じゃないか?」

「あ、伊藤さんでしたか。これは申し訳ありませんでした。御無礼をお許しください。」

 

ぺこりと頭を下げるのはわんわn……白狼天狗の犬走椛。この妖怪の山の番k……番妖をしている妖怪だ。

 

「伊藤さんはどんな用でここに?」

「うむ、実は……」

 

~少年説明中~

 

「……なるほど、No.ですか。」

「うむ。何処かでそういったものを見かけたりしなかったか?」

「いえ、残念ながらそういった類の物は見かけていません。」

「そうか……うーむここにはあるかと思ったが……仕方ない、別の場所を探すか。仕事中わざわざごめんな。それじゃあ。」

「……ちょっと待ってください。一つ心当たりが。」

「心当たり?」

 

諦めて帰ろうとした俺を椛が引き止める。

 

「ええ。とりあえず歩きながら説明します。こちらへどうぞ。」

「え、仕事はいいのか?」

「いいんですよ。ここで見張っててもどうせ誰も来ませんし。」

「そういうものなのか……」

「そういうものです。」

 

~少年少女移動中~

 

「――――文の様子がおかしい?」

「はい。どうも最近何か拾ったようで。この前私に自慢してきました。あまりにしつこくてはっきり言って鬱陶しかったです。」

「……どう思う?」

 

俺が問いかけると相棒のコートオブアームズが空中に出現する。

 

「ふむ……さっきの話を聞く限り、その拾ったものがNo.である可能性は極めて高いな。」

「やっぱりか……一戦交えることも覚悟しとかないとな……。」

「……見えてきました。あそこが文さんの家です。どうかお気を付けて。」

 

椛に案内されて着いたのは、木製の小さな小屋だった。人が住むのにはちょうどいい広さだろう。

 

「……いくぞ。」

「ああ……」

 

俺達が覚悟を決め、扉を勢い良く開け放つ。すると――――

 

「あーっ!!伊藤さんじゃないですか!!ちょうどよかったです!!取材させてください!!まずは霊夢さんと貴方の同居生活について……」

 

目をキラキラと輝かせて文がカメラのフラッシュを焚きながら俺達に突撃してきた。

 

「ち、ちょっと待て!言っておくが霊夢と俺はお前が思っているような関係は何一つないからな!おいコートオブアームズ!どういう事だ!?」

 

突然の出来事に俺は動揺を隠せない。

 

「こ、これは……まさか、No.の影響で『記事を作りたい』という欲求が増幅されたのか?まさか、こんなこともあるとはな……」

 

コートオブアームズも困惑しながら俺に説明する。

 

「ちょっと文!お前に質問があるからとりあえずカメラのフラッシュを焚くのをやめろ!眩しくて目も開けられん!」

「あ、はいそうですか。で?質問とは?」

 

カメラのフラッシュを焚くのをやめ、文は俺に向き直る。

 

「うむ。お前に聞きたいのはNo.のことについてなんだが……お前、持ってるよな?」

「げっ…………」

 

文が図星な表情で俺を見る。ふむ、ビンゴか。

 

「それなら話は早い。それを渡して……」

「嫌です。」

 

俺が言い終わる前に文はきっぱりと言い切る。

 

「え?ちょお前……」

「これは私が拾ったものです!誰にも渡しません!欲しいなら力づくで奪ってみなさい!」

 

右手の甲の25という数字が光ったかと思うと、すごい勢いで文が外に飛び出していく。それを俺が追いかけると、文は待ち構えていたかのように俺に向かって弾幕を放つ。

 

「ちょ、いきなりかよ!」

「これは私のものです!さぁ覚悟してください!」

 

そう言うと文はスペルカードを展開する。

 

岐符『天の八衢』

 

「嘘ぉ!?いきなりスペルカード!?」

「くるぞ!気をつけろ!」

 

青い弾が大量に空中に出現したかと思えば、それらはまっすぐこちらへと向かってくる。それをよけながら、俺もスペルカードを展開する。

 

「ああもうめんどくせぇ!さっさと決める!文、悪く思うなよ!」

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

ここまでこの小説を見ていただいてる皆様にはこのスペカについてもう説明するまでもないだろう。天より放たれた光はまっすぐ文へと向かっていく。

 

「その程度の攻撃、烏天狗の私によけられないとでもお思いですか!」

「だろうな!だがこれならどうだ!?」

 

俺はすぐさま次のスペルカードを展開する。

 

写符『ゴッドメダリオンハンド』

 

巨大な手は逃げようとした文をがっしり掴み、離さない。文は抜け出そうともがくが、手はびくともしない。そうこうしてるうちに光が文の目の前まで来ていた。

 

「きゃあああああああああああ!!!」

 

光はゴッドメダリオンハンドごと文に直撃する。文はその衝撃で地面に落下し、気絶してしまった。

 

「……強すぎたかな。手加減したつもりだったんだけど。」

「まぁそういう事もあるさ。それでどうする?」

「とりあえず家の中に運ぼう。このままだと風邪引くかもしれないし。」

「意外と優しいんだな。」

「意外って何だ意外って。」

 

コートオブアームズとそんな会話をしながら、文をお姫さまだっこして家の中に運び込む。

 

~数十分後~

 

「う、うーん……」

「あ、気がついた?」

 

文がゆっくりと目を開ける。どうやら大した怪我はしてないようだ。

 

「え!?い、伊藤さん!?何故こんな所に!?まさか私伊藤さんに犯され「それはない。」……ですよねー。」

 

きっぱりと言い切ると、文はホッとしたような残念がるような微妙な表情を浮かべる。

 

「それで?何故伊藤さんはこんな所に?」

「……お前、覚えてないのか?」

「へ?何をですか?」

 

~少年説明中~

 

「なるほど。そのNo.というものが私の中に……」

「うむ。それでどうする?文がよければそのままでもいいんだが……」

「いえ、No.如きに頼るほど、私は落ちぶれちゃいませんよ!これは貴方にお渡しします!」

 

そう言うと文は手に持っていたNo.を俺に手渡す。

 

「何か……急に物分かりが良くなったというか……」

「恐らくさっきまではNo.に心を支配されていたのだろう。それがさっきの一撃でNo.を心から追い出したことにより、No.の呪縛から開放されたのだろう。」

「なるほど……それじゃあこのNo.は貰うぞ。」

「ええ、どうぞ!それではさっそく取材を!」

「え、取材するのか?手短にして欲しいんだが。」

「わかりました!それでは……」

 

~数日後~

 

「伊藤さーん……頼みます。あのNo.もう一度貸してください!」

「お前さぁ……No.如きに頼るほど私は落ちぶれちゃいないって行ってなかったっけ?」

「うぐっ……そんなこと言わずに、頼みますよ……私の体をどうにでもしていい「却下。」私って……そこまで魅力がないんでしょうか……」

「いや、俺に性欲がないだけで別に文に魅力がないわけではないぞ?」

「そ、そうですか?ってそれより!あのNo.貸してくださいよ~。」

「うーん……わかったわかった。すぐに返せよ?」

「おお!ありがとうございます!よっしゃあ!すぐに取材行ってきます!」

「行ってらっしゃーい。」

 

その後、文に貸したNo.25が帰ってきたのは3ヶ月後だった――――

 




[今回手に入れたNo.]

No.25 重装光学撮影機フォーカス・フォース

次回からは春雪異変だよ!それでは次回もゆっくり見ていってね!!

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