凄く普通の決闘者が幻想入り   作:うー☆

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第二十話 VS妖夢

~冥界~

 

空のブラックホールのようなものから侵入した俺達は、目の前に突然現れた頂上の見えないとてつもなく長い階段を登っていた。

 

「長い階段ね。」

「……ここの設計者頭おかしいんじゃないか?」

「それな。何でこんなに長い階段なんだか。これじゃあ客も来ないだろうに。」

「でももうすぐ着くわよ。ほらあそこ。」

 

咲夜さんが指差す方向、そこには階段は続いておらず、何やら道が続いている。ようやくそこに到着すると、石畳でできた道がずっと先まで続いている。

 

「やっとついたぜ……ひー私はもう疲れたぜ……。」

「ほら根性見せなさい。さっさと先に進むわよ。」

「そこの人間達、止まりなさい。」

 

周りに何やら白いものが浮いていることと腰に刀を装備していること以外は普通な少女が俺達を制止する。

 

「おっと、中ボスといったところか?」

「貴方達は何者ですか?何故ここに?」

「俺達はただの通りすがりの勇者だ。幻想郷に春がこないんでね。その原因を調べに来たのさ。」

「勇者って自分でいうものですかね……。しかしそういう事ならばここを通す訳にはいきませんね。」

 

少女は刀を鞘から抜き、俺達に向けて構える。

 

「おおっと、これはまさかビンゴか?」

「さて……誰から斬られたいですか?」

 

少女は鋭い目つきで俺達を睨む。

 

「ふむ、それでは俺が相手になろう。」

「あんた、大丈夫なの?」

「心配すんな。」

 

相手は剣士か……それならフランと遊んだ時使ったあのスペカを使うか。

 

「メダリオンソード……」

 

右手に握るスペルカードに光が集まり、白く光る剣を構築する。

 

「……太刀モード!!」

 

右手に握られる剣が再び強く光を放ち、日本刀の形へと整形される。

 

「霊夢、魔理沙、咲夜さん……皆は先に行け。」

「……わかったわ。死なないでね。」

「伊藤……奴は間違いなく強い。油断するなよ。」

「伊藤さん、私、信じてますから。必ず勝つって。だから、先に行って待ってますね。」

「皆そんなに心配するなって。後でちゃんと行くからよ。」

「行かせませんよ!!」

 

少女が俺たちに向かって勢い良く斬りかかる。

 

「おおっと、お前の相手はこの俺だ!」

 

少女の振りおろした刀をメダリオンソードで受け止め、すぐに反撃する。

 

「くっ!!」

 

少女は後ろに移動することで俺の一撃を寸分のところで回避し、再び俺を睨む。

 

「今だ!!行け!!」

「わかったわ。ここは頼んだわよ!」

 

少女がバランスを崩した隙に霊夢達はさらに先へと向かっていった。

 

「……ほう、貴方一人でこの私に勝てるとでも?」

「その慢心は自身を滅ぼすぞ。さて……やろうか。一対一の、決闘を。」

「決闘?違いますね。」

 

少女は一瞬で俺の目の前まで移動し、俺に斬りかかる。

 

「くっ!?」

 

瞬時に後ろに移動し、何とか事無きを得るが、後少し避けるのが遅かったら間違いなく俺はもうこの世にはいなかっただろう。

 

「……殺し合い、でしょう?」

「面白い。……名前は何だ?」

「私の名は魂魄妖夢……。そして貴方の最後の相手です。」

「フフフ……ますます面白くなってきた。俺の名前は伊藤大輔。決闘者兼吸血鬼兼ナンバーズハンターだ!!」

 

お互いに自己紹介すると、二人とも臨戦態勢に入りじりじりと距離を詰めていく。

 

「「……いざ、参る!!」」

 

二人が同時に叫ぶと、まるで疾風の如く激突し、刀と刀が火花を散らす――――

 

 

霊夢side

 

「なあ霊夢。」

「何よ魔理沙、どうしたの?」

「伊藤のことなんだが……大丈夫かな?凄く心配なんだが……」

「大丈夫よ。紅い霧の異変だってあいつ物凄い怪我してたけど、なんだかんだ言って助かってるじゃない。あいつはきっと悪運が強いのよ。」

「でも……」

「……他人の心配をするよりも、自分の事を心配した方がよくなくて?」

 

その女は私達の話を遮り、扇子を開いて口元を抑えながら現れた。

 

「あらまぁ。三人もいるのね。うふふ。」

「あんた、誰?」

「私?私の名は西行寺幽々子。この冥界の管理人ですわ。」

「冥界?」

「あら貴方、ここが何処だかまだ分かってなかったの?それじゃあ冥途の土産に教えてあげるわ。ここは冥界。死した魂がさ迷う場所。あなた達も魂だけの存在になってみる?」

「遠慮しとくわ。まだまだこの体でやりたいこともあるしね。」

「あらまぁ残念ね。」

「……ちょっといいかしら?」

 

咲夜が突然私達の話を遮り、前に出てくる。

 

「ん?あんた、どうしたの?」

「何かしら?」

「あの桜の木……何やらおかしな妖気を放っているのだけれど。」

 

咲夜が幽々子の後ろにある全てではないが、枝中に花をつけた巨大な桜の木を指差す。桜にはここに入ってくるときに見たピンク色の良く分からないものが吸い込まれている。咲夜の言うとおり、確かに何か変な妖気を感じる。まるで紅い霧が幻想郷を覆った夜、紅魔館でブラックミストと戦った時のような……

 

「あれは西行妖。美しいでしょう?でもね、まだ完全に花をつけてないの。もっと春が必要なの」

「春が……」

「必要?」

 

私と魔理沙が声を上げる。

 

「そうよ。この西行妖が花をつけるには、ただ待っていてるだけじゃダメなの。もっと春を……もっとたくさんの春度が必要なの。」

「もっと春を……まさか!!」

「やっと気づいたようね。そうよ、幻想郷に春が訪れないのは、この西行妖が貴方達の春を吸い取っているのよ。」

「……ならばあんたをぶっ倒せば幻想郷に春は戻るのかしら?」

 

私はお払い棒と戦闘用の札を幽々子に向けて構える。

 

「ええ、いいでしょう。あなたがもし私に勝てたのならば、幻想郷に春はお返ししましょう。その代わり負けたら……どうなるかわかってるわよね?」

 

私は無言で頷く。もしも冥界で死ねば、その魂は天国にも地獄にも行けず、ここで永遠にさ迷うことになるだろう。そんなのはまっぴらごめんよ。

 

「……さぁ行くわよ!あんたたち!」

「「ああ!!」」

「……え?」

 

三人が幽々子に向かって同時に弾幕を放ち、幻想郷の春を取り戻す戦いがついに始まった――――

 

 




次回からは本格的なバトルの予定です。それでは次回もゆっくり見ていってね!
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