凄く普通の決闘者が幻想入り   作:うー☆

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今回でようやく紅霧異変が終了です。長かったような短かったような……それではどうぞ!


第八話 紅霧異変、完!

伊藤side

 

「ブラックミラージュウィップ!」

 

No.96から大量の黒い触手が放たれる。攻撃方法は二つしかないようだが、どちらもかなり厄介だ。どちらもに当たればまず無事では済まないだろう。俺は触手をよけながらスペルカードを発動する。さっき霊夢たちを助けたときちゃっかりコピーさせてもらったスペルカードだ

 

霊符『夢想封印』

 

スペカから光の玉が出現し、No.96を取り囲む。

 

「ほう……これはあの巫女の……」

「吹き飛べ!」

 

瞬間、光の玉が爆発する。あれなら多少のダメージは与えられるだろう……そう思っていたが

 

「ハッハァ!効かないねぇ!」

「何!?」

 

煙の中から飛び出してきたNo.96はピンピンしていた。何故だ?

 

「それならこれはどうかしら!?」

 

そう思っていると、続いて咲夜さんがスペルカードを発動する

 

幻世『ザ・ワールド』

 

突然No.96の前方に先程とは比べ物にならない量のナイフが出現する。まだあんなスペカを隠し持ってたのか……今咲夜さんと戦ったら……間違いなく死ぬね。うん。そう確信した

 

「くどいねぇ!そんな攻撃効かないんだよぉ!シャドーゲイン!」

 

No.96が黒い嵐を巻き起こす。嵐はナイフを全て吹き飛ばし、咲夜さんに向かっていく

 

「くっ!時よ止まれ!」

 

嵐に巻き込まれる直前、咲夜さんは自身の能力を発動したようだ。時を止め、一瞬で嵐の外に移動する。

 

「な、何で攻撃が通じないの!?」

 

咲夜さんが困惑した表情で叫ぶ。そんな中俺は必死にNo.に関する記憶を掘り出す。そして一つの仮説を立てる

 

「……まさか」

 

その声を聞くと、No.96は笑いながら俺達に説明する

 

「クッハハハ!ようやく気付いたか!No.はNo.でなければ倒せないんだよ!つまり!俺を倒すにはそんな他人からコピーした技なんか使わず、てめぇが持ってるNo.の攻撃でないと俺は倒せないんだよ!」

「そ……そんな!?それじゃあ私は……」

「そうさ!てめぇはこの戦いではただの!あ、し、で、ま、と、いなんだよ!」

 

足手まといと言う言葉に咲夜さんはかなりのショックを受けたようだ。呆然とその場に立ち尽くしてしまう。

 

「だが安心しな!足手まといなあんたの力は、俺がしっかりと受け継いでやるからよ!シャドーゲイン!」

 

また黒い嵐が咲夜さんに向かって吹き荒れる。しかし咲夜さんは呆然とその場に立ち尽くしていて動こうとしない。このままでは咲夜さんはあの嵐に巻き込まれてしまう。俺は考えるより先に行動を起こす

 

「くっ!ゴッドメダリオンハンド!」

 

咲夜さんに向かって巨大な手を伸ばし、何とかこちらに引き寄せる。しかし、少し行動が遅かったようだ。咲夜さんの体の一部が嵐に巻き込まれてしまった。嵐はゴッドメダリオンハンドを消し飛ばし、咲夜さんを壁に叩きつける。

 

「がはっ……」

 

咲夜さんは口から血を吐き、苦しそうに呻く

 

「チィっ……力を完全に吸収出来なかったか……まぁいいだろう。どうやら咲夜さんはもうリタイヤのようだしなぁ!」

 

No.96が勝ち誇ったように笑う

 

「咲夜さん!」

「私は……足手まとい……」

 

ダメだ、完全に心がやられている。早くどうにかしなければ咲夜さんも危ない

 

「違う!咲夜さんは足手まといなんかじゃない!あんな奴の言葉に惑わされるな!」

「もういいんです……私なんか放っておいて下さい……」

「っ!いい加減にしろ!」

 

俺は咲夜さんに平手打ちをする。パァン、と部屋に音が木霊する。咲夜さんは驚いたように俺の顔を見る。

 

「いい加減にしろ!こんな怪我をしている以上、俺一人ではあんな怪物に勝てない!勝つには咲夜さん、あんたの力が必要なんだ!」

 

俺は咲夜さんに串刺しにされた右腕を見せる。血がボタボタと流れ落ち、少しずつ冷たくなってきている。

 

「で、でも私では……」

「それに!あんたはあのお嬢様のメイドだろ!そのお嬢様があんなにやられているのを見て何も思わないのか!?」

 

咲夜さんはハッとしてレミリアの方を見る。そこには力を吸収され、その場にへたれこんでいるレミリアの姿があった。それを見て咲夜さんは再び目の色を取り戻し、No.96に向き直る。

 

「私は十六夜咲夜……お嬢様を守りし最後の砦……。お嬢様を、いや、私の家族を傷つけるものは、誰一人として許さない!」

 

ナイフを構え、再び臨戦態勢に入る

 

「それでこそ咲夜さんだ!そこに痺れる憧れるぅ!」

「ふふっ……貴方、面白いわね。どう?この戦いが終わったら一緒にお茶でも?」

「お言葉に甘えて!それよりも……まずはあいつを何とかしますよ!」

「ええ、そうね!」

 

俺たちは再びNo.96の方向を向く。

 

「チィッ……立ち直りやがったか。だが、てめぇらの圧倒的不利な状況は変わらねぇぜ!さぁ一体どうする!?」

「確かにそうね……勝算はあるの?」

「いや……せめてこれが使えればな……」

 

俺は持っているスペルカードを見つめる。ゴッド・レイジ――――俺の最強のスペカだ。こいつは屋内だと天井などに阻まれて使えない。どうすればいい――――

 

そして、俺は気付く。そうか、そうすればいいのか。

 

「……いや、咲夜さん、一つ思いついた。」

「何かしら?」

 

俺は咲夜さんに作戦を伝える

 

「成程……確かにそれなら……。でも今の私は奴に力を奪われて能力も、スペルカードも使えなわいわよ。せいぜい飛ぶことぐらいしか出来ないわね」

「それで十分だ。さぁ行くぞ!」

「別れの挨拶は済んだか?なら……あばよ!ブラックミラージュウィップ!」

 

No.96の攻撃をかわし、俺達は別々の方向に飛ぶ――――

 

 

 

魔理沙&パチュリーside

 

「マスタースパーク!」

 

こちらに向かって押し寄せる触手に向かって魔理沙はマスタースパークを放つ。マスタースパークは触手に直撃し、軌道が変わる。触手はそのまますぐ脇の地面を大きくえぐる。もし私があそこにいたら、と思うと寒気がする。

 

「ロイヤルフレア!」

 

黒い嵐を炎が包み、そのまま消滅させる。攻撃が一通り落ち着いた所でパチュリーは咲夜を見る。……大丈夫だろうか。力を完全に吸収されてないとはいえ、今の咲夜では飛ぶことだけで精一杯だろう。

 

「何だ、心配なのか?」

「……そりゃあね。何せ私達の家族ですもの」

「家族、ね。なら信じてやろうぜ。その家族が今からする事をよ」

「言われなくとも分かってるわよ。ほら!またきたわよ!準備なさい!」

「おう!任せろ!」

 

咲夜……死なないでね――――

 

 

 

咲夜side

 

触手が押し寄せる中、私はNo.96に向かってナイフを投げる

 

「何だ?まだわからないのか?そんな攻撃、俺には通じねぇよ!シャドーゲイン!」

 

No.96がナイフを吹き飛ばすために黒い嵐を起こす。私はそれを間一髪で上に飛んで避ける。しかし、それを見てNo.96はほくそ笑む

 

「馬鹿が!その程度の行動俺が読めてないとでも思ったか!消えろ!ブラックミラージュウィップ!」

 

触手が私に押し寄せる

 

「「咲夜!!」」

 

パチュリー様とお嬢様が同時に叫ぶ。

 

触手が押し寄せる。私はそれを見て、そっと目を閉じる――――

 

触手が天井を粉々に砕いた――――

 

 

 

No.96side

 

天井が音を立てて崩れていく

 

「ククク……アーッハッハッハッハッハ!!」

 

やはり人間なんて所詮はこんな物。威勢のいいことを言っても、最後に勝つのはこの俺。この俺こそが神になるのに相応しい!他の奴らに力なんて要らない。愚民どもは皆この神たる俺に力を差し出せばいいのだ!さぁ次は……あいつらか

 

俺は白黒の魔法使いと紫もやしの方を向く。

 

「ククク……待たせたな。「「次にお前(貴方)はこう言う!「次はお前らだ」と!」」次はお前らだ……な、何!?」

 

俺は急いで後ろを振り返る。煙が晴れていく――――するとそこには先程殺したはずのメイドと男がいた――――

 

 

 

伊藤side

 

「なっ……どういう事だ!何故てめぇが生きている!」

 

No.96が俺に問う。そして俺は答える

 

「簡単なことだ……俺が時を止めた。そして咲夜さんを助けた。ただそれだけのことだ」

「時を止めた?何故そんなことが……そうか、お前のNo.か」

「そうだ。俺のNo.……いや、俺の相棒の力で咲夜さんの能力をコピーさせてもらったのさ!そしてお前に次なんてものはない!」

「なっ……どういう事だ!」

「俺は待っていたのさ……天井に穴が開く、この瞬間を!」

 

No.96は驚いたように先程破壊した天井を見上げる。そこには真っ赤に染まった月が顔を出していた

 

「これが俺の最後の攻撃だ!受けてみろ、No.96!」

 

そう言って俺は右手を咲夜さんに支えてもらい、スペルカードを掲げる

 

神怒『ゴッド・レイジ』

 

スペルカードから光が放たれる。今度は天井に阻まれる事無くまっすぐ空へ伸びていき、紅霧を突き破る。刹那、門番に放った一撃の数倍の威力を持ちそうな大砲撃が空より放たれる。

 

「「俺たち(私達)の怒りを受け取れ!!No.96!!」」

 

空より放たれた大砲撃は、まっすぐNo.96に向かっていく――――

 

 

 

No.96side

 

あれに当たってはいけない。そう本能が叫んでいる。逃げなければ。逃げなければならない。――――落ち着け、この距離ならまだ余裕でよけられる。そして俺はほくそ笑む――――

 

「馬鹿が!その程度の攻撃、俺がよけられないとでも思ったか!」

 

これをよけて、奴等をぶっ殺せばこの戦いは俺の勝ちだ!そう、神たる俺が負けることなんて有り得ないのだ!そして砲撃をよけようと体を動かそうとしたその時、突然周りに結界が張られる。

 

「な、何!?」

 

俺は急いで後ろを振り返る。そこにはお払い棒をこちらに向け、肩で息をしている紅白の巫女がいた。

 

「ハァ……ハァ……い……いくら力を吸収されていても、結界を張る程度の霊力ぐらいはとっくに回復してるわよ!」

「クッ……!」

 

俺は再び前を見る。砲撃はもう目の前まで迫っていた

 

「馬鹿な……この俺が……この神たる俺がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

砲撃が結界を粉砕し、俺の体に直撃する――――

 

「ぐがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

そん……なバカ……な。この……俺が……人間なんぞに……負ける……なん、て……

 

 

 

伊藤side

 

俺はNo.96がいた場所に走る。するとそこには男の姿は無く、一枚のカードが落ちていた。……No.96 ブラックミスト。やはりこいつだったか。俺はそのカードを拾い、能力と力を吸収する。すると凄まじい量の霊力と妖力が流れ込んでくる。……成程、これが霊夢にレミリア、そして咲夜さんの霊力の一部か。……本当に凄まじい力だ。これなら本当に世界を支配できるかもしれない。しかし俺はパチン、と指を鳴らす。すると

 

「「「戻った……」」」

 

音と共に俺の中から力が消える。どうやらみんなの体に力が戻ったようだ。これで一件落着、かな

 

「……貴方は一体何者かしら?私の運命に、貴方なんて出てこなかったわ」

 

レミリアが俺に問う

 

「俺か?俺は伊藤大輔!普通の決闘……者……だ……?」

 

突然視界がぼやける。まずい、流石に血を流しすぎたか。皆の声が聞こえるが、少しずつ遠くなっていく。はは……遂に俺もおしまいか……疲れたな……少し……休も……う……

 

そこで俺の意識は途切れた――――

 




紅霧異変、終了!お疲れ様でした!そして今回伊藤君がやばいことになっています。果たして次回どうなってしまうのか……。それでは次回もゆっくり見ていってね!

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