奈落神 扇の異世界転移戦線   作:黎殲神 祟

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第五話~出会い~

扇「おい……此は如何言う事だ」

 

扇は今、獣の耳と尻尾の生えた人間に囲まれていた

話は数時間前に遡る

 

扇「………クラウ・アールなぁ~……やっぱ結構距離在るな……」

 

扇は今、平原を野宿しながら一直線に帰ら不の森、クラウ・アールへと向かっていた、道中魔物にも遭遇はしたが全て片手間の処理で在る

 

扇「最近人と会ってねぇ……祟と話すのも戦闘の話以外じゃ盛り上がらんし……」

 

黎殲神 祟(くろつが すい)彼は扇の身体を依り代にしている祟神でその付き合いは1560年来の仲で在る

 

扇「このままじゃ面倒だ、一瞬で着く様に速度ガン上げするか」

 

そう言うと彼は、クラウ・アールへの道程を一瞬で走破するのである

 

其れからほんの1分後

 

扇「着いたな……流石は帰らずの森、霧による視界不良と少しばかり強めの魔物……迷路のような地形……ずっと同じ景色で在るが故に方向感覚を奪うにはお誂え向きだな……獣人や亜人達が此処で暮らせてるってんだから少し特種なんだろうなぁ~、マァ俺は迷わねぇけどな、地形は全把握したし」

 

扇は森へと入り、奥への道を迷うこと無く進む、其処から程なくして進めていた歩みを止め、表情を引き締めて周囲を見渡す

 

扇「おい……此は如何言う事だ」

 

扇がそう言い放つと複数の影が扇の周りから出て来て戦闘にいた獣人が怒鳴り始める

 

???「貴様何者だ!!帝國の回し者か!!」

 

扇「随分と侵入者の察知が早いな……俺は帝國のモンとは違ぇよ、皇国から来た、長らく此処に滞在させて貰いたい」

 

???「人間を滞在させるだと?巫山戯るのも大概にしろ!!人間達が我々に何をしてきたか分かっているのか!!」

 

扇「分かって居て言っている、アンタは下っ端だろ、もっと上の立場の奴を連れて来い、話は其処からになりそうだ」

 

???「貴様!!巫山戯るな!!(扇に殴り掛かる)」

 

扇「彼我の力の差も分からず勝負を仕掛けるのは愚の骨頂だ(腕を摑み大外刈りで組み伏せる)」

 

???「くっ!?貴様何をした!!」

 

扇「只俺は投げ技を使っただけだ、其れだけの簡単な事も分からんのか」

 

???「くっ……」

 

扇「名前くらいは聞いてやろう、俺ァ奈落神 扇ってモンだ」

 

テッド「俺はテッド、テッド・クラン」

 

扇「テッドか、良い名だな、さてと……頭が冷えた処で本題に移ろう」

 

テッド「分かった……呼んでくれば良いんだろう?ならばその手を離せ」

 

扇「いや、アンタは部隊の全員を退かせてそのまま戻ってこねぇ可能性が高い、故にアンタの部下に行って貰う」

 

テッド「何とも……用心深い事だ」

 

扇「ゴリ押しは好きだ、だが戦場にも駆け引きってのが在る、其れを怠れば敗北は必定となる場合が在る、今回は平和的にお前達の住み処に滞在する事が俺にとっての勝利だ」

 

テッド「……仕方がない……部下に向かわせよう……」

 

扇「聞いたな?一族の上層部で最も話が通じる奴を連れて来い、急げ」

 

膨大な量の殺気を放ち半ば脅す様に部下の一人を急かし、直ぐに向かわせる

 

扇「お前達の住み処迄はどの位だ」

 

テッド「往復で15分ほどだ」

 

扇「となると僅かな時間で森の中腹まで来ていたと言う事か、流石の歩行速度だな」

 

テッド「つまりお前は森の入り口から数分足らずで此処迄来たと言う事か?」

 

扇「御名答、俺の脚力なら有り得ねぇ話でもねぇよ」

 

テッド「そうか」

 

部下が行ってから約11分後、その部下が一人の男を連れてやって来た

 

テッドの部下「連れて来ました、この方で宜しいでしょうか」

 

扇「随分理知的か瞳をした奴だ、彼なら話も通じるだろう」

 

コットス「私はコットス・アールと言う者です、コットスとお呼び下さい」

 

扇「俺は奈落神 扇だ、扇で良い」

 

コットス「畏まりました、扇さん、今回は如何言った御用向きで人間の貴方がこんな処まで来たのですか?」

 

扇「此処に滞在する為に来た、出来れば平和的に済ませたくてな、一番話の通じる者を連れて来てくれと頼んだ次第だ、俺はアンタ等の営みに危害を加えるつもりは無い、後なんか手伝って欲しい事が在れば手伝わせて貰おう」

 

コットス「左様ですか」

 

そう言い、数名の数名の獣人とエルフを連れて扇達は奥へと向かう

 

扇「にしてもマァ人類を越えた木造建築技術だ、此処まで森の地形を利用した建造物ってのは早々拝めるモンじゃねぇ、マァ、木がデカいからってのも在るんだろうがな」

 

コットス「そう言って貰えると嬉しいですね」

 

扇「此の建築技術は学びたい物だ、ハッキリ言って一つの芸術と言っても過言では無い程に幻想的だな」

 

コットス「フフッ、有難う御座います」

 

そして、コットスの家に泊まり、数日が経過した頃

 

扇「む……?彼奴は……一際強いな……」

 

???「ふっ……!!セイッ!!ハァ……ッ!!(蹴りや拳で一撃の下に的を破壊する)」

 

扇「フム……未だ未だ伸びしろは在るな、若いからだろうが、彼奴なら……連れてっても魔力無しで魔族とも殺り合えそうだな……もう少し鍛えれば、だがな」

 

???「ふぅ……(近くに腰掛け、水を飲む)」

 

扇「さて、一人目の仲間と行くかな?ちょっと其処な御仁、お話しでも如何かな?」

 

???「……?何でしょう」

 

扇「旅に興味は無いか?」

 

???「旅……興味は在りますが……貴方は人間ですよね……?」

 

扇「確かに姿形は人間だが、種族は鬼神だぞ?人間の仲間が皇都でへばってるがな」

 

???「其の人間の仲間ってどんな方なんですか?」

 

扇「勇者御一行だ、基本的に良い奴等だが……平和惚けしてて少し戦闘慣れしてない連中でな、最近仲間が一人死んで精神的に参ってるって様なんだ……」

 

???「其れが私に何の関係があるのでしょうか」

 

扇「此処で本題だ、アンタに魔族を潰す旅に俺と同行して欲しい、勇者一行と合流する必要は無い、只アンタみたいな強い仲間が必要なだけだ、勇者一行とは別行動してるしな」

 

???「そうなのですか」

 

扇「そう言えば自己紹介してなかったな、俺は奈落神 扇だ、扇で良い」

 

アラン「私はアラン、アラン・タイラーです」

 

扇「アランか、宜しくな、後俺相手には其の狎れない敬語は使わなくて良い、何時も通りの話し方で頼むわ」

 

アラン「分かった、扇、所で俺をその度に同行させようと思った理由は何なんだ?」

 

扇「さっきの自主練を少し覗かせて貰ったが、若く在りながらも其の強さと、洗練された技、後は成長の可能性だ、お前は強くなる、俺が保証しよう」

 

アラン「そう言って貰えると嬉しいよ、只、アンタの力も確認したい、お前自身どれだけ強いか確かめさせて貰うぞ、其れによって着いて行くか決める」

 

扇「俺は一向に構わんぞ?準備は何時でも出来てる」

 

アラン「そうか、なら遠慮無くっ(一気に踏み込み扇の懐深くへ入り込んで腹部にアッパーカットを叩き込む)」

 

扇「フム……やはり俺の目に狂いは無かった、そして拳だけで無く幾つかの武器も使える様だな(拳を片手で止めそのまま肘鉄をアランの顔面に入れ、軽く吹き飛ばす)」

 

アラン「ぐっ!?(地面と水平に5メートル程吹き飛び、体勢を立て直して着地する)」

 

扇「あの体勢から立て直すのはかなり難しいが、其処迄出来るのか……言い腕だな、そしてタイラーっつったら虎の獣人の長の家か、嫡男なのか?」

 

アラン「いや、末っ子だ、兄弟の中では俺が一番強いと思う」

 

扇「才能を持ち合わせ且つ努力家とは……心底同行者として欲しい人材だ」

 

アラン「ならもう一合打ち合ってくれよっ!!(一気に距離を詰めそのまま足払いを行う)」

 

扇「足払いに移行するまでが疾いな、良い動きだ、だが未だだ(脚を開き体勢を低く構え、足払いを受ける)」

 

アラン「っ…!?(足払いを止められ即座に立ち上がって顔面に回し蹴りを放つ)」

 

扇「驚きながらも良い切り返しだ、だが驚いてしまったが故に隙が大きい(蹴足の間を抜けて腹部に掌底を叩き込む)」

 

アラン「ガハッ!?(地面に膝と拳を付き静止する)」

 

扇「マァこんな処で如何だ?俺はお前が着いて行くに足る実力か?」

 

アラン「はぁ……はぁ……十分過ぎるくらいだ……はぁ……はぁ……俺はアンタに着いて行く、そうすればもっと強くなれる気がする」

 

扇「其れは良かった、お前は実戦を積んで行けば必ず強くなる」

 

アラン「有難う」

 

兎人の青年「大変だっ!!帝国の奴等が攻めて来たぞっ」

 

アラン「何っ!?」

 

扇「面倒事は尽きないらしい、アラン、早速だが対人戦、其れも本物の殺し合いに行くぞ」

 

アラン「分かった、お前は他の族長達に伝えてきてくれ、今日は丁度議会の日だ、コットス・アールの家に集まっている筈だ」

 

扇「運が良いのか悪いのか……」

 

兎人の青年「分かりましたっ、ではっ!!(走り去っていく)」

 

扇「行こうか、本隊が動くまで帝国兵共は持つかな?」

 

アラン「流石に一個大隊クラスを二人で全滅させるのは無理が在るぞ」

 

扇「如何だろうな?」

 

アラン「何か策でもあるのか……?」

 

扇「ツーマンセル・ワン・エレメントに策も何も在るかよ」

 

アラン「其れもそうだな、行こう」

 

扇「応っ!!」

 

そう言って二人は帝国兵達が居る場所へと走り出す

 

帝国兵斥候隊長「何だ……?獣人と……人間が走って来るな……人間の方は殺して構わん、獣人の方は生け捕りにしろ」

 

斥候隊員達「はっ!!」

 

扇「アレは……小隊より少し小さいな……斥候部隊と言った所か、皆殺しにするぞ」

 

アラン「分かった」

 

扇「其れじゃあ俺は半分相手にする、お前はもう半分だ、敵は総数10名、五人なら殺れるだろ?」

 

アラン「初陣で其れだけの戦果を挙げられるかは分からないが……やってみよう」

 

そう言って二人は速度を上げた

 

斥候隊員1「会敵迄、後5秒っ!、4っ!、3っ!2っ!いっ─────」

 

斥候隊員1のカウントが終わる直前に彼の上顎から上が綺麗に切断され、宙を舞う、其れを見た斥候部隊は全員何が起こったのかも分からず立ち尽くす

 

扇「先ずは一つ(クナイを四本飛ばしそのまま隊長を含む四人の脳天を貫き、絶命させる)」

 

アラン「微妙に扇の到達の方が早かったみたいだな、構えた体勢のまま呆けてる……予想外のこととは言え帝国兵が此出良いのか……(上段蹴りで斥候兵一人の頭蓋を砕き、そのまま高速の切り返しでもう一人の鳩尾にアッパーカットを突き刺し鎖骨を粉砕し、心臓を破壊、そのまま残心する)」

 

斥候兵7「なっ…!?良くも仲間をッ!!」

 

怒りのまま振り下ろされた剣をアランは軽く回避し、下顎に蹴りを入れて意識を刈り取る

 

アラン「感情に任せた刃はこうも遅い物なのか……だが一つ許せない言葉を聞いたな、お前等……俺達からどれだけの同胞を奪って来た……っ(一気に距離を詰め斥候兵8正拳突きを放ち内臓を破壊し、そのまま最後の斥候兵の首を後ろ回し蹴りでへし折り、斥候兵7にトドメを刺す)」

 

扇「流石だ、5人程度なら相手にならんかも知れんな」

 

アラン「そうだなだが次は本隊だろ?そう上手くは行かないだろ」

 

扇「其れもそうだな、大体ともなると百人規模だろう、ならば余り適当に戦ってらんねぇな、お前に此を渡しておこう、中・近距離で使える(クナイを十本ほど渡す)」

 

アラン「さっき4人一気に殺した道具か?有難う(受け取る)」

 

扇「如何致しまして(納刀する)」

 

そう会話を交わして扇達は本隊が居る方へ向けて走り出す

 

一本の大樹の枝の上

 

扇「アレが本隊だな、此の距離じゃクナイは届かねぇか……ならやる事は一つ、遠距離武器でも使うか」

 

アラン「遠距離武器……何を使うんだ?」

 

扇「弓矢だぞ?」

 

アラン「弓矢か……そんな物は持ってきてないぞ?」

 

扇「俺が持って来てるぞ」

 

そう言って扇は異空間倉庫から全長2メートルもある大きな弓矢を取り出し、アランに渡して自らも構える

 

アラン「デカくないか!?此を扱うのかよ!?」

 

扇「あの距離を一撃で脳味噌を破壊出来る威力で撃つんなら此位は必要だろ、マァ引いてみ、弦は硬ぇが其の分威力と距離はとんでもねぇぞ」

 

アラン「分かった……(矢をつがえ弓を引く)」

 

扇「………(同じ様に矢をつがえ弓を引く)」

 

そして2人は矢を同時に放ち、2人が放った矢は4人を同時に撃ち殺し、2人の脚を吹き飛ばした

 

扇「うむ、弓矢の扱いも中々だな、良いぞ」

 

アラン「えぇ……明らかにオーバーパワーだろ……」

 

扇「いや、問題無い、後は敵が半数になる迄此を続けるぞ」

 

アラン「分かった」

 

そう言って2人は弓矢で敵の半分を掃討した

 

扇「霧の中で矢を放つってのも楽で良いな、敵に気付かれる確率が低くて効率が良い」

 

アラン「そうだな、其れで如何するんだ?」

 

扇「後は直接殺る、50人程度になったし1人25人殺せば事足りるだろ、行くぞ」

 

アラン「分かった」

 

そして2人は木から飛び降り、敵の死角から音も無く接近する

 

扇「其れじゃあ始めよう、殲滅戦だ」

 

開戦の合図だと言う様に扇は四本のクナイを投擲し、同時に4人の心臓を貫いた、其れに習ってアランは十本のクナイを投げて一気に10人を殺め、2人は敵陣に突撃した

 

扇「此奴等剣の扱いが雑なんだよなぁ~……(そう言いながら抜刀し更にクナイを1本投擲し遠くに居た1人を殺し、一瞥もすること無く正面から側面までの5人の首を刎飛ばす)」

 

アラン「流石に一気に此の人数を相手にするのは辛いか……(蹴りで三人を程を一気に吹き飛ばし、他の敵に当てて確実に一人一人を撲殺していく)」

 

扇「やっぱ拳で一気に殺るのはキツそうだな、今度仕込み武器でも渡すか(其んな事を言いながら最後の一人を処分する)」

 

アラン「扇の奴剣まで持ってたのか……何も持って来てない俺の前で羨ましい……(そう言いながら二人一気に相手にし、遂に最後の一人の粉砕して処分する)」

 

扇「終わったな、良くやったなアラン、二十五人相手でもどうにかなったか」

 

アラン「まぁ、俺の場合クナイ以外でやったのは十五人だがな、其んな事より隊長クラスはお前の方に居たのか?」

 

扇「そうだな、あの中じゃ戦闘力も高かった奴が居たな、多分最後に殺した奴が隊長格だろ」

 

アラン「そうか、ホントに二人だけで大隊を殺っちまったな」

 

扇「そうだな、マァ余裕だと言ってしまえば身も蓋も無いがな」

 

其れから程なくして獣人達の部隊が到着した

 

???「報告を受けて来てみれば……既に終わって居るでは無いか……」

 

アラン「父様、先程此の隊の殲滅が終了した所です」

 

???「アラン、お前が此をやったのか」

 

アラン「いえ、俺一人では無く此処に居る奈落神 扇と共にやりました」

 

扇「あぁ、アランは逸材だよ、戦闘のセンスも相当な物だ」

 

???「何故人間が此処に居る……」

 

扇「俺を人間と一緒にするなよ、失礼しちまうなぁ、俺ァ鬼神だぜ?(ステータスウィンドウを開いて見せる)」

 

???「なっ…!?見たことも無い種族だぞ」

 

扇「そりゃ異世界から来たんだ、当然だろ?」

 

???「俄には信じがたいな……」

 

扇「抑も鬼神なんて種族を知ってる奴がこの世界に居る筈もない、ならステータスを偽装も出来ねぇ筈だ」

 

???「むぅ……確かに……」

 

扇「取り敢えずタイラーさん?名前を教えて貰おうか」

 

クラム「クラム、クラム・タイラーだ、先程は済まなかった、奈落神 扇よ」

 

扇「気にしちゃ居ない、所でお前の息子さん、アランを旅の仲間として同行させたいのだが、構わんか?」

 

アラン「俺が着いて行くと決めたんだ、NOとは言わせないぞ?」

 

クラム「ぐぅ……息子の意を尊重できぬ親ではない、奈落神 扇に着いて行くことを許す……」

 

扇「やったな」

 

アラン「此で決まりだな」

 

そして部隊に連れられて扇達は央都へと戻っていったき、アランは此の旅で待ち受ける敵や苦難に思いを馳せる

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