ラブライブ!〜不良とアイドル〜   作:kick up men

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モンハンとデュエマとベイブレードで忙しかった
遅れてごめん


第41話

俺はタンスを開け、少しだけ苦笑しながら革ジャンを手に取り袖を通す。この腕に馴染む感触も懐かしい

 

ヨウタ「……高校に入って、もう着ることはないと思ってたんだけどな」

 

少しだけキツくなった気もするが、それでもしっくりくるのが不思議だった。鏡を覗き込むと、そこには中学時代の自分がほんの少しだけ重なって見えた

 

ヨウタ「この髪型じゃ締まらねーな」

 

流石に金髪戻す事はしないが、あの頃の時と同じオールバックした

 

ヨウタ「やっぱ金髪じゃねーとキマらねぇな」

 

ボソっと呟き俺はバリカンを手に取り刈り上げたサイドに迷いなく剃り込みを入れる

 

ヨウタ「まるでクローズZEROの小栗旬だな」

 

鏡越しにニヤリと笑い、俺はジャケットの裾を引っ張って馴染ませる。もう後戻りはしねぇ——そんな気がして、自然と口角が上がった

 

ヨウタ「行くか。アイツらも待ってる」

 

俺は部屋を出た。外に出ると夜の風が火照った肌を冷やしてくれる。こんな夜はタバコが吸いたくなるが後にしておこう。そう思い、ポケットに手を突っ込みながら俺はゆっくりと歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨウタ「悪りぃ。遅くなった」

 

夜の公園に着くと、すでに全員が集まっていた。冷たい風が吹く中、アイツらもそれぞれの"想い"を背負っていた

 

シオン「たく、待たせんなよ」

 

フミ「やっぱり、"ソレ"取り出してたんだな」

 

レン「みんな考える事同じなのね〜」

 

ヨウタ「お前らもかよ」

 

フミ「懐かしいだろ?」

 

ヨウタ「つーか、一緒に古着屋で買った時から思ってたが、何でガンダムのMA-1でシン・マツナガ仕様なんだよ?普通そこはシャアとかアムロだろ?」

 

フミ「あの頃は狼がカッコいいと思ってたんだよ」

 

レン「ヨウちゃんの背中のライオンも中々の攻めたセンスだよ」

 

ヨウタ「これが革ジャンにペイントされてるのがカッコいいと思ってたんだよ」

 

シオン「お前ら喧嘩だからって勝負服着てきたのか?」

 

シュウジ「そういう俺らだって着てるけどな」

 

ヨウタ「お前らはスカジャンか?背中の刺繍は黒龍に白凰?」

 

シュウジ「まぁな。俺達とっちゃ、これが一番しっくりくる」

 

レン「そこは特攻服じゃないんだね」

 

シオン「これは冬仕様だ」

 

ユウヤ「…俺もこういうの一着欲しいな」

 

レン「何言ってんの、ユウちゃん。上下セットアップでバッチリ決まってんじゃん」

 

ユウヤ「いや、これはただのウィンドブレーカーだからな?」

 

フミ「逆にお前はそれがしっくりくるわ」

 

ヨウタ「まぁ、確かにユウヤがスカジャンとか革ジャン着てるのは想像つかねぇな」

 

ユウヤ「そうか?」

 

マサ「お前はそのままでいいんじゃねぇの?」

 

ヨウタ「まぁ、どうせ暴れるだけだしな。服なんて動きやすけりゃいいんだよ」

 

シオン「革ジャン着てるお前が言うか?」

 

マサ「なら、俺が一番動きやすいな」

 

フミ「下はともかく上は動きにくいだろ」

 

ヨウタ「よくその格好で来たな。病院抜け出して、下スウェットで上Gジャンってお前」

 

マサ「ちゃんと着替える時間が無かったからな。けど、別に問題ない。どうせ動きやすいし、Gジャンならそこまで寒くねぇ」

 

レン「にしても、俺のチャイナジャケットだけ浮いてる気がするんだけど〜?」

 

ヨウタ「いや、むしろお前はそれ以外着てくるイメージがねぇよ」

 

レン「まぁ、そうなんだけどね〜」

 

仲間たちの軽口が飛び交う中、次第に空気が張り詰めていく。これから向かうのは、ただの集まりじゃない。やるべきことがあるからこそ、こうして全員が集まった

 

シュウジ「それより早く行こうぜ」

 

シオン「ああ、全員揃ったしアイツら俺らに喧嘩売った事を後悔させてやるよ」

 

ヨウタ「よし!なら行くか」

 

冴え渡る夜の冷気を感じながら、俺たちは夜の公園を後にし、決戦の場へと歩みを進めた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は駅前の廃ビル

 

コウタ「おう、ユウノスケ。考え直したか?」

 

コウタは薄く笑いながら言う

 

ユウノスケ「お前は喧嘩を売る相手を間違えた」

 

コウタ「…どういう意味だ?」

 

ユウノスケ「アイツらが来る。俺が場所を伝えた」

 

アイツの表情から笑みが消え、少しだけ目を細めニヤリと笑う

 

コウタ「…ほう、つまりテメェはあっち側に付くってわけか」

 

ユウノスケ「そうは言ってねぇ。俺はお前のやり方が気に食わねぇって言っただけだ」

 

コウタ「ハッ、随分とまあハッキリ言ってくれるじゃねぇか」

 

アイツが俺を睨み付けると、その場の空気がピリついた

 

コウタ「…お前、もう後戻りはできねぇぞ」

 

ユウノスケ「最初からそのつもりはねぇよ」

 

俺がそう静かに言い放った瞬間——

 

ヨウタ「呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃ〜ん♪」

 

場の空気が静寂した

 

フミ「呼ばれてないけどな」

 

突如として場違いな声が響く。アイツが眉をひそめ、声の方へと振り返ると、暗がりの中からゆっくりと数人の影が現れた

 

コウタ「誰だ!!貴様らが!?」

 

ヨウタ「オレら?ただの通りすがりだよ。だけど、どうしても顔を出さなきゃならない理由ができたもんでね」

 

フミ「そこのラーメン屋を連れ戻せと頼まれたからな」

 

シオン「後、俺らの仲間に手出したよな?」

 

シュウジ「その借りを返しに来た」

 

ユウヤ「俺は付き添いだ」

 

レン「で?お前がこの集団の大将ってことでいいの?」

 

コウタ「だったらどうする?」

 

レン「決まってんじゃん?俺っちがその腐った小根を叩き直してやるよ」

 

緊迫した空気が場を包む中、マサが静かに俺の隣へと歩み寄る

 

マサ「ユウノスケ、この前の続きやろうか?」

 

ユウノスケ「…好きにしろよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨウタ「お前がヤヨイをやった奴だよな?」

 

アツシ「だったら何だよ?」

 

ヨウタ「ツラ貸せや。ここより外でやろうや」

 

アツシ「おもしれぇ。てめぇがどんだけやれるか、試してやるよ」

 

一方、フミはと言うと

 

フミ「俺もお前に用があんだよ」

 

ケイ「なんだ?友情ごっこか?」

 

フミ「いいから黙ってついてこい。ここだと人が多いからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤ「いいのか?アイツらに譲って」

 

シオン「ヤヨイの仇を取りたいのは一緒だが今回だけはアイツらに任せる」

 

シュウジ「あの2人、何かいつもと様子が違った」

 

ユウヤ「なるほどな。じゃあ俺達は残り物でも相手にするか」

 

???「誰が残り物だ?」

 

ユウヤ「テメーらの事だよ」

 

ん?細い目つきにデカい口にギザ歯…

 

ユウヤ「お前、ワニオか?」

 

ワニオ「あ?何で俺のあだ名知ってんだよ?」

 

ユウヤ「やっぱりテメーか!?おい、あの時の事忘れたとか言わせんなよ!?」

 

シオン「な、何だ?アイツ…急に態度変えやがって」

 

シュウジ「まるで昔に因縁があったかのような態度だな」

 

ユウヤ「テメー、俺が転校するからってホラ吹きやがって!」

 

忘れもしない。アレは小5の頃、俺は転校を控えていた。引っ越しの準備で忙しい日々を過ごす中、ある男が突然挑戦してきた

 

「おい、俺と決闘しろよ!お前、ビビってるんだろ?」

 

俺は引っ越しの準備に忙しく、その挑戦を断った。しかし、ソイツは納得せず、自分勝手に決闘場所を決めて帰ってしまった。俺は準備が終わった後、その決闘場所に向かうが、相手は現れなかった。仕方なく帰ることにしたが、その日からソイツは周囲に「ユウヤは俺にビビって決闘を放棄した」と言いふらし始めた。俺は転校する為、学校のみんなには弁解出来なかった

 

ワニオ「ハッ、そんな昔のこと引きずってるのかよ。ガキかよお前」

 

ユウヤ「テメーが俺の顔に塗った泥が落ちねーからな。結局、決闘の場に現れなかったくせに、何も知らない奴らに俺がビビっただの、放棄しただの言いふらしやがって!」

 

ワニオ「戯言抜かしてるが、お前、昔より弱いだろ?今じゃ金持ちの高校に入学したと噂で聞いたぜ。そんなおぼっちゃまはガキの頃と違って俺にも勝てねーだろ?」

 

ユウヤ「はぁ?じゃあ試してみるか?」

 

ワニオ「上等だよ」

 

シオン「アイツ、金持ち高なのかよ…」

 

シュウジ「人は見かけに寄らずって言うからな…」

 

シオン「それより、お前ら腕には自信あるのか?」

 

シュウジ「残り物には福があるって言うからな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨウタ「ここだと邪魔入らねーだろ?」

 

アツシ「そうだな。つーか、お前それ着たまんまでいいのか?」

 

ヨウタ「は?これぐらいで動き鈍るほどヤワじゃねーよ」

 

アツシ「ほう、随分と余裕ぶっこいてんな。けど、その余裕いつまで持つかな?」

 

ヨウタ「試してみろよ」

 

俺がそう言うとアイツは鋭い踏み込みから拳を振り抜く。だが、俺は微動だにせずそれを片手で受け止めた

 

ヨウタ「悪ぃな、革ジャン関係ねぇみたいだわ」

 

アツシ「チッ…!ざけんなよ!」

 

拳を押し返され、すぐさま体勢を立て直し、間髪入れずに次の攻撃を仕掛けようとするが、俺の膝蹴りが腹を抉った

 

アツシ「ぐっ…!!」

 

アイツの体が一瞬浮き後退する。だが、それでも倒れずに踏ん張る

 

ヨウタ「中々やるな」

 

アツシ「…っお、おい…」

 

ヨウタ「ん?」

 

アツシ「お前…本当に音ノ木坂の生徒か?」

 

ヨウタ「は?」

 

アツシ「俺が聞いてた話と全然違ぇぞ…!音ノ木坂の男なんて、女みてぇにナヨナヨしてんだろ?可愛い制服着て、スカート履いてる女に囲まれて、ヘラヘラしてるオカマ野郎ばっかだって聞いたぞ!?」

 

ヨウタ「ナヨナヨしてるオカマ野郎が、今みてぇな拳を打てるかよ?」

 

アツシ「……ッ、チッ…!」

 

アイツは顔を押さえながらゆっくりと立ち上がる。目には怒りと焦りが混じっている

 

アツシ「テメェ…!」

 

ヨウタ「どうした?まだ“音ノ木坂の男は弱い”とか言えんのか?」

 

アツシ「——ナメてんのはテメェの方だろ?」

 

そう言うと、地面を蹴って一気に距離を詰め、鋭いパンチを俺の顔面めがけて繰り出す。だが—俺は寸分の狂いもなく腕を掴み、そのままねじ伏せるように捻る

 

アツシ「ぐっ…!?」

 

ヨウタ「動きが単調すぎんだよ」

 

アイツは慌てて振り払おうとするが、俺はすかさず膝蹴りを腹に叩き込む

 

アツシ「げふっ…!」

 

ヨウタ「これで本気かよ?拍子抜けだな」

 

アツシ「……ッ!!」

 

ヨウタ「続けるなら付き合ってやるが…もう無理だろ?」

 

アツシ「……まだ、終わってねぇ……!」

 

ヨウタ「へぇ、いいねぇ〜そんぐらいの気概がねぇと面白くねぇ」

 

アイツは荒い息を整え、一気に俺へと飛びかかる。だが、俺の蹴りが顔面を直撃する

 

アツシ「がっ…!!」

 

顔が歪み、鼻血が飛び散る。少しやり過ぎたか?

 

ヨウタ「どうした?もう終わりか?」

 

アツシ「くそ……!?俺が……こんな……」

 

アイツは鼻血を出したの事に動揺してるのか、足がガクガクとふらついていた。さっきまでの勢いはもう無いみたいだな

 

ヨウタ「まだやる?」

 

俺はフッと息を吐き、オールバックを手で撫でつけるように整える

 

アツシ(黒髪で気づかなかったが——革ジャンにオールバック。それに、この荒々しい喧嘩のスタイル。まさか…!)

 

何だ?急に目の色が変わったな

 

アツシ「お、お前……もしかして……金獅子!?」

 

あーそう言う事ね

 

ヨウタ「お前達は3つ勘違いしてた」

 

アツシ「……は?」

 

ヨウタ「1つ。音ノ木坂を舐めてた事」

 

俺が詰め寄るとアイツは後ろに後退りする

 

ヨウタ「2つ。喧嘩売る相手を間違えた事」

 

後退りするも廃ビルの壁に塞がれ立ち尽くすしか無かった

 

ヨウタ「3つ。俺は金獅子じゃねぇ…俺は犬好きなんだよ!!?」

 

一瞬で間合いを詰め、俺の拳がアイツの顔面に向かって振り抜かれる。しかし——その拳は、ほんのわずかに軌道を逸れ、顔をかすめ、崩れかけていた廃ビルの壁に叩き込まれた。ボロボロだった壁は耐えきれず、大きな穴を開けて崩れ落ちる

 

アツシ「っ!!?……はぁ……?」

 

だらしない声を出しながら、膝からガクンと崩れ落ちる

 

アツシ「……あ、あんた、なんなんだよ…」

 

ヨウタ「……っっっっいってぇぇぇぇぇ〜……!!クソ、やっちまった……骨、イッてねーよな……?」

 

軽く手を開閉しながら痛みを確認する。ヤバいくらい痛い。マジで馬鹿な事した!?

 

ヨウタ「ん?お前、鼻血出てるぞ。拭けよ」

 

俺はポケットティッシュを渡す。それと財布を取り出し、2000円札をポイッと投げるように渡した

 

ヨウタ「ついでに帰りにコンビニ寄って、パンツでも買っとけ」

 

一瞬、何を言われたのか理解できずに固まっていたが、自分の股間を見てアイツの顔が青ざめていく

 

アツシ「……っ!!」

 

ヨウタ「じゃあな。次はちゃんと強くなってから俺達に喧嘩売れよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり屋上

 

フミ「ここだと邪魔が入らねーな。で、どうする?」

 

空気が張り詰める中、相手は余裕を見せて笑みを浮かべながら言った

 

ケイ「お前がかかって来いよ」

 

フミ「いいのか?」

 

俺は軽く足のストレッチをして構えを取る。相手がどれだけ強かろうが、こっちのペースで進めるのが鉄則だ。

 

ケイ「は?蹴りとか笑わせんな。そんなもん当たんねぇって」

 

相手は馬鹿にしたように笑いながら、こちらを見下ろしてきた

 

フミ「じゃあ遠慮なく行くぞ」

 

俺は一歩踏み込んだ瞬間、足元を狙って、すばやくローキックを放つ。相手はその足をかわそうとしたが、足を払われてバランスを崩しよろける

 

ケイ「っぐ…!」

 

立て直そうとするが、その瞬間、俺のミドルキックが腹に炸裂した。相手は対応が遅れ、その衝撃に顔を歪ませながら後退する

 

ケイ「ちっ…!」

 

舌打ちをしながら後退し、必死で立て直そうとする

 

フミ「おっせぇよ」

 

俺の放ったハイキックを腕で防ごうとするが、その強さに押され、相手がふらついた

 

ケイ「調子に乗んなよ!!」

 

反撃しようと、パンチを繰り出してきたが俺は軽く後ろにステップしてそのパンチをかわす。そして、カウンターでハイキックを放った

 

ケイ「ぐっ…!!」

 

その蹴りが顔面にかすったが相手はよろけるだけで中々倒れない

 

フミ「まだ立ってられるのか、根性あんな」

 

冷静な言葉をかけながら、俺は次々と蹴りを繰り出す。左右のミドル、ロー、そして最後に強烈な前蹴りを叩き込む。その一撃を食らって完全にバランスを崩し、フラフラになりながらも、必死で立ち上がろうとする

 

ケイ「はぁ…はぁ…」

 

相手は息も荒く、もう動け無さそうだ

 

ケイ「っぐ…! クソが…!」

 

何とか体勢を立て直そうとするが、俺はさらに速い動きで後ろ回し蹴りを繰り出す。その蹴りの衝撃は重くガードを簡単に突き破り、相手は後ろに倒れ込む

 

フミ「もうお終いか?」

 

倒れ込んだ時に何か見えたのか?アイツは口をガクガクとさせていた

 

ケイ「MA-1の背中に狼のロゴ!!お前……銀狼!!」

 

フミ「さあな。昔の話だ」

 

俺は相手が反応する間もなく、360°蹴りを放つ。しかし蹴りは顔をかする程度で外れてしまう

 

フミ「外したか」

 

しかし相手はその場にへたり込んだ。完全に戦意を喪失した事が分かったので俺は屋上を後にする事を決める

 

フミ「ったく、誰が銀狼なんて付けたんだよ…俺は猫派なのによ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ワニオ「正直、舐めてたよ…お前、今だに強いんだな…」

 

ユウヤ「当たり前だろ。テメーなんかに負けるわけねぇよ」

 

ワニオ「ハッ…マジで参ったな…こんなことなら、昔ちゃんと決闘しときゃよかったぜ…」

 

ユウヤ「今さら遅ぇよ」

 

ワニオ「……金持ち高に入学して、正直、俺はお前が金魚のフンに成り下がったのかと思ったよ…」

 

ユウヤ「何で俺が?」

 

ワニオ「だって、お前と一緒にいた奴ら…黒龍と白凰だろ?」

 

ユウヤ「いや、知らねぇ」

 

ワニオ「お前な…知らねぇわけねぇだろ…一時期は名を馳せた不良だぞ?」

 

ユウヤ「だから何だってんだよ。俺にとっちゃただの友達だ」

 

ワニオは苦笑しながら目を閉じ、ゆっくりと息を吐いた

 

ワニオ「……なんつーか、お前らしいわ」

 

ユウヤ「だろ?」

 

俺は軽く鼻で笑い、ワニオを残してその場を後にしアイツらを探す

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユウヤは「さて、他の奴らは──」

 

その瞬間、上から何かが落ちてくる。反射的に一歩下がると、目の前に派手な音を立ててシュウジが降ってきた

 

ユウヤ「お、おい!?」

 

俺はすぐに駆け寄った

 

ユウヤ「どうした!まさか敵にやられたのか?」

 

シュウジ「いや、不注意で足元を踏み外した」

 

ユウヤ「……お前、廃ビルだから取り壊し途中なこと忘れんなよ」

 

俺は呆れたようにため息をつきながら、シュウジの服についた埃を払い落とす

 

ユウヤ「つーか、敵はどうした?」

 

シュウジ「『金やるから俺の手下になれ』って言うから、断ってぶん殴った」

 

ユウヤ「……は?」

 

シュウジ「多分、今頃気絶してる」

 

あまりにも淡々とした口調に俺は唖然とする

 

ユウヤ「お前な…もうちょっと加減しろよ」

 

シュウジ「手加減はした」

 

ユウヤ「まぁ、いいや、さて次はどうするか?」

 

シュウジ「とりあえず、シオンの様子見に行くか」

 

すると突然、廃ビルの奥から何かが近づいてくる音が響く。俺達は音の方に目を向けると──

 

シオン「ひいぃぃ!!?」

 

埃っぽい空間の中から飛び出してきたのは、まさかのシオンだった。ただし、上半身は裸

 

ユウヤ「……は?」

 

俺達は思わず目を疑う。シオンがこんな姿で走ってくるのはさすがに異様だった

 

ユウヤ「アイツ、敵にビビって逃げて来たのか?」

 

そう思った瞬間、背後から聞こえてきたのは妙に甘ったるい声

 

パイソン「待って〜❤︎ シオンちゃ〜ん❤︎ アタシとぉ❤︎」

 

現れたのは明らかに鍛え上げられた大男……だが、妙に派手なメイク。だが、その口調がすべてを物語っていた。

 

シオン「テメェ!いい加減にしやがれ!!」

 

シオンは眉間にシワを寄せ鋭い蹴りでオカマの顎を正確に捉えた

 

パイソン「ブベラッ!!」

 

オカマは情けない悲鳴を上げながら吹っ飛び、そのまま動かなくなる

 

ユウヤ「……お前、何があったんだよ」

 

シオン「何だっていいだろ」

 

シュウジ「アイツはああやって名を上げて来たんだろうな…」

 

ユウヤ「それより服着ろよ」

 

シオン「うるせぇ、ちょっと待ってろよ」

 

シュウジ「とりあえず俺達はどうするか?」

 

ユウヤ「あの2人と合流してユウノスケとマサの様子でも見に行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

マサ「ユウノスケ、お前はどうしたい?」

 

沈黙が場を支配し、ユウノスケは拳を握りしめたまま目を伏せるだけだった

 

マサ「黙ってないで何か言ったらどうだ」

 

ユウノスケ「……ウルセェよ!」

 

ユウノスケの拳が俺の頬を捉えた。鈍い音が響き、俺の顔がわずかに揺れる。結構、良いの食らってしまった

 

マサ「難しい顔して。お前もっと馬鹿だろ」

 

ユウノスケの眉間に皺が寄る

 

マサ「これがお前のやりたい事なのかよ!本当にやりたくてこの喧嘩してんのかよ!?」

 

その言葉に、ユウノスケは思わず拳を握りしめる。何かを言い返そうとしたが、まだ何も言わずにいた

 

マサ「答えろよ、ユウノスケ!お前はどうしたいんだよ!」

 

ユウノスケ「…うるせぇっつってんだろ!!」

 

怒鳴りながら拳を振り上げ、再度、俺に殴りかかった。しかし避けきれず拳を喰らう

 

マサ「そろそろハッキリさせろよ…俺達、みんな知ってんだよ。お前が踊らされてる事」

 

ユウノスケ「…は?」

 

マサ「お前、本当はコウタのやり方が気に食わねぇんだろ。けど、突っ張る理由が無いから、なし崩し的に流されてんだよ」

 

ユウノスケ「違ぇよ…!!俺は…!?」

 

マサ「じゃあ聞くけどよ、お前が今ここで俺と喧嘩するのはアイツらのためか?それとも、お前自身のためか?」

 

「コウタのため」——そんなわけがない。「自分のため」——それも違う気がする

 

じゃあ、何のために殴った?何のためにここにいる?

 

マサ「俺達はお前がこんな事したくないのなんて分かってる」

 

シン「何勝手な事言ってんだ!」

 

俺とマサの間にシンが割り込んで来る

 

シン「ユウノスケさんは進んでコウタさんの所に戻って来たんだ!2人は中学の頃からのツレだ!何も知らないくせに突っ込んでくんじゃねーよ!俺達はここの一帯を制覇して

…」

 

マサ「喋り過ぎなんだよ。雑魚が」

 

マサがシンにガンを飛ばす

 

マサ「見え透いた嘘付くんじゃねーよ。仲間なら今のユウノスケ放って置くわけねーだろ?」

 

シン「好き勝手言いやがって…」

 

シンは悔しそうに拳を握りしめる。しかし、マサは一歩も引かず、冷たい視線を向けたまま続ける

 

マサ「お前らはユウノスケがどんな顔してんのか、見ても分かんねぇのか?」

 

シン「……」

 

マサ「俺達なら仲間にあんな顔させねぇ。お前らは"仲間"とか言いながら、結局コウタの威を借りてるだけのコマじゃねぇか」

 

シン「テメェ…!」

 

シンが殴りかかろうとするが、俺は腕を掴んで止めた

 

ユウノスケ「やめろ…」

 

シン「でも、ユウノスケさん…!!」

 

ユウノスケ「…もう、いい…」

 

俺は力なく拳をほどきながらマサと向き合った

 

ユウノスケ「俺は…何がしたいのか、分かんなくなった」

 

マサ「なら、決めろよ。お前自身で」

 

ユウノスケ「俺は…俺はコウタのことなんか本当はどうでもいい……!アイツの言うことなんか、ずっとウゼェと思ってたし"仲間"なんて結局都合のいい言葉だって思ってた…!」

 

マサが驚いたよう俺を見つめる

 

ユウノスケ「でも俺は、ここしかなかったんだよ…お前らのところに戻るのが怖かったんだよ!!俺が勝手に背を向けたのに…今さら戻っていいわけねぇだろ!!!」

 

その瞬間、マサの拳が俺の頬にめり込んだ

 

ユウノスケ「ッ……!!」

 

マサ「…これでチャラだ」

 

ユウノスケ「…は?」

 

マサ「お前がどんなにくだらねぇことで悩んでようが、どんなに情けねぇこと考えてようが俺達はそんなの関係ねぇ」

 

ユウノスケ「……」

 

マサ「お前が帰りてぇなら帰ってこい。俺達はそれだけだ」

 

ユウノスケ「…悪ぃな、マサ」 

 

マサ「次、また変な方向に行ったら今度はもっとぶん殴るからな」

 

ユウノスケ「たく、容赦ねぇな」

 

顔を上げたコイツの目にはもう迷いは消えていた

 

ユウノスケ「楽だからとか、戻りづらいからとか…そんな理由で自分が本当にいたい場所から逃げてた。そんなんで、本当に"仲間"なんて言えねぇよな」

 

シン「ユウノスケさん正気ですか!本気でコイツらのところに戻るつもりっすか?今さら戻ったと所で何になるんすか!?」

 

ユウノスケ「俺は名を馳せるなんてどうでも良いんだよ。ただ仲間と馬鹿やってればそれで充分だ」

 

シン「そんなの…そんなの負け惜しみじゃないですか!!」

 

ユウノスケ「負け惜しみでも何でもねぇよ。俺はようやく、本当にやりてぇことが分かっただけだ」

 

それでもシンは納得いかない様子で立ち尽くしていた

 

ユウノスケ「シン悪いな。でも、俺はもう迷わねぇ」

 

俺はシンにそう言い残し、俺はマサと共に歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コウタ「ぶっ殺してやるぞ。このヤロー!!」

 

俺は怒声を耳にしても、少しも動じることなく、その場に立ち続けた。目の前でナイフを振りかざし、無駄に力強く叫ぶ。しかし、その姿が滑稽に見えて仕方なかった

 

コウタ「テメーらさえいなければ、俺の思い通りになったんだ」

 

そう言うとポッケからナイフを取り出した

 

コウタ「お前らさせいなければ俺はこの一帯を制覇出来た。お前らが突然現れてユウノスケを引きずり戻したせいで、俺の計画は全部めちゃくちゃになったんだよ!!」

 

レン「言いたい事はそれだけか?」

 

言葉が途切れた瞬間、ナイフを構え俺に突進して来る

 

レン「かかって来いよ!このヤロー!!」

 

俺は手を蹴り上げ、ナイフを落とさせ瞬時に制圧した。そのまま脇腹で手で押さえ込んでから腹に蹴りを入れる

 

コウタ「ウグっ…!!」

 

俺はコウタから離れて距離を取り顔面に思っ切りボレーキックをお見舞いした。ガタックみたいでカッコいいっしょ?

 

コウタ「俺…はまだ…負けてねぇ…」

 

レン「吹き飛んだのに立ち上がるとは意外とタフだね〜」

 

けど、結局ダウンしてアスファルトに倒れ込んで動かなくなった。まぁ意識はあるみたいだな。とりあえず俺はアイツの目の前でしゃがみ込み質問した

 

レン「お前さ、何でそんなに名を馳せたいんだよ?」

 

俺の言葉が引っかかったのか、血を滲ませた唇を噛みしめ、必死に俺を睨みつける

 

コウタ「そ…そんなの決まってんだろ…!!強ぇって証明するためだ…!?」

 

俺はその答えを聞いて目を細めた

 

レン「証明?誰に?」

 

コウタ「……ッ!」

 

言葉を詰まらせ答えがすぐに出てこない反応を見て、俺は苦笑を浮かべる

 

レン「この街の奴らか?それとも自分自身か?」

 

コウタ「……俺は……」

 

俺の質問にさらに言葉を失う。自分でもよくわからないのだろう。それでも必死に振り絞って何かを言おうとするが、俺は言葉を続ける

 

レン「そんなもんのためにノスケちゃん巻き込んで、お前の仲間まで利用して、それで本当に満足なのかよ?」

 

拳が震えているのが分かる。俺はその様子を見ながらふっとため息をつく

 

レン「強くなるのは悪くねぇ。でもよ、名を馳せることが目的になったら、それはもう強さじゃねーよ」

 

コウタ「……っるせぇ……」

 

レン「俺ちゃんはアンタみたいな奴を腐るほど見てきたよ。強さにこだわる奴、名を残すことに必死な奴。でも最後はみんな孤独になって終わんだよ」

 

俺はゆっくりと立ち上がった

 

レン「自分の力を利用する兵隊を100人集めたって意味ねぇんだよ。そんなもん、いざって時には誰もお前のために動かねぇ」

 

アイツの目が揺れるのを感じ、俺はその反応を一瞥し言葉を続ける

 

レン「それよりも少数でもいいから大切な仲間を作るんだな。一緒に血を流してくれる仲間をな…ま、どうするかはアンちゃんの勝手だけどよ」

 

その言葉を残し、俺は振り返ることなくその場を立ち去った

 

シン「…コウタさん」

 

コウタ「アスファルト…冷てぇな」

 

シン「これから、どうしますか?」

 

コウタ「どうもこうも…ねぇよ…」

 

シン「でも、まだ遅くないですよ」

 

コウタ「遅くないって…何がだよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヨウタ「おー終わった?」

 

フミ「たく、おせーよ」

 

俺とフミは先に廃ビルの外で、あちこちを見回してみんなが来るのを待っていた。冬が近いってのに喧嘩後だからか、湿った空気が肌にまとわりついて汗がジワジワにじみ出る

 

レン「あー終わった」

 

シュウジ「何か疲れたな」

 

ユウヤ「つーか、ちょっとやり過ぎたか?」

 

シオン「いや、丁度良かった。これでアイツらも少しは考え直すだろ」

 

最後にマサとユウノスケが来る。ユウノスケは俺達の前で少し気まずそうに立ってる。顔に血が滲んでるけど、いちいち、そんなの気にしねーよ

 

シオン「また音ノ木坂に顔出せよ」

 

フミ「最近また練習忙しいから、お前らも手伝え」

 

アイツは一瞬驚いた顔をしたけど、少し苦笑いを浮かべて頷いた

 

ヨウタ「腹減ったから、飯食って帰ろうぜ」

 

シオン「いいね〜。中華食いたい」

 

シュウジ「そういえば来た時に見かけたな」

 

レン「俺も海老天マヨ炒飯食いたい」

 

フミ「何だ?その馬鹿が食う奴」

 

俺達は急いで廃ビルを後にして、あちこちに広がる臭い空気に包まれながら、夜の街へと歩き出した

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

ユウノスケ「いらっしゃい…っていつもの2人か」

 

ヨウタ「何だよ?俺らで悪かったな」

 

凛「…ユウノスケがいなくなった時、すごく心配してたんだよ」

 

アイツは少し驚いた顔をしたが、すぐにその表情を隠し何かを察するように黙り込んだ

 

凛「ヨウタ達から戻って来たって聞いて、やっと安心したよ」

 

ユウノスケ「心配かけて悪かったな」

 

凛「…だって、急にいなくなっちゃったから…心の中でいろいろ考えちゃった。無事ならいいけど、でも…」

 

ユウノスケ「ごめん。あの状況は仕方なかったんだ」

 

凛「…これからは、あまり1人で抱え込まないでね。凛達を頼ってもいいんだよ?」

 

ユウノスケ「ああ、そうだな…」

 

ヨウタ「たく、何を照れてるんだよ」

 

ユウノスケ「別に照れてねーよ」

 

ヨウタ「何つーか、お前ら兄妹みたいだな」

 

ユウノスケ「どーいう意味だよ」

 

ヨウタ「そのままの意味だよ。つーかお前、ヤヨイの見舞いに行ったか?」

 

ユウノスケ「ああ、もう行ってきた」

 

ヨウタ「お?意外と素直じゃねぇか」

 

凛「ちゃんと行ったんだ!ヤヨイ君、喜んでた?」

 

ユウノスケ「手土産持ってったら喜んでたよ」

 

ヨウタ「へぇ、気が利くじゃねぇか。何持ってったんだよ?」

 

ユウノスケ「DS」

 

ヨウタ「……は?」

 

凛「DSって、あのゲームの?」

 

ユウノスケ「ああ。昔のやつだけど、アイツ入院中ヒマだろうしな。適当に時間潰せるもんあった方がいいと思ってよ」

 

ヨウタ「今時、DSかよ」

 

ユウノスケ「うるせぇ。他に何かあるか?」

 

ヨウタ「いや、まぁ〜ヤヨイなら喜びそうだけどよ…」

 

凛「うんうん!ヤヨイ君ならきっと、すごく大事にすると思うにゃ!」

 

ユウノスケ「だといいけどな」

 

ヨウタ「それより、さっさとラーメン作れよ」

 

ユウノスケ「お前ら、ほんと勝手だな…ちょっと待ってろ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後

 

ユウノスケ「この街を出るんだな」

 

コウタ「何だ。来てたのか」

 

ユウノスケ「シンから聞いたよ」

 

コウタ「…じゃあな」

 

ユウノスケ「帰って来たら…」

 

コウタは食い気味に言った

 

コウタ「帰ってくる事はねーよ。それに、この前の奴は相当効いたよ」

 

俺は黙って立ち尽くし、コウタは背中を向けたまま、振り向かずに会話を続ける

 

コウタ「…いいツレが出来たんだな」

 

その言葉が俺の胸にじわりと染み込んだ。昔、一緒に過ごしていた頃のことが頭をよぎる。あの日、あの場所で出会ったあの瞬間から何もかもが変わったんだ

 

ユウノスケ「じゃあな…」

 

その言葉とともに俺はコウタを見送りながら、静かに背を向けた

 

 

つづく

 




ちな対戦相手
玉城コウタ
仲村アツシ
佐野ケイ
鰐戸カズオ(ワニオ)
渡邊ヒョウ
パイソン・牧
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