いつもの方がええかね?
やっぱり
音ノ木坂学院
今日はマサ、ユウノスケ、レンの3人が助っ人としてアイドル部に来ていた。ちなユウヤはバイトで不在。そして何故かユウノスケとマサの2人は他の部活の手伝いをしてた
女子生徒A「ユウノスケ君、マサ君、ありがとう!」
女子生徒B「マサ君って無口だけど、なんかカッコいいよね…」
女子生徒C「ユウノスケ君のワイルドな感じ、ちょっと憧れちゃうかも…」
音ノ木坂の女子生徒達が2人を見ながらひそひそと話しているのが聞こえてくる。そんな様子を見て、レンが不満そうに言う
レン「なんでノスケちゃんとマーちゃんだけチヤホヤされてんの? 俺っちもカッコいいでしょ〜?」
ヨウタ「お前の事は置いといて、確かに何でアイツらはモテるんだ?」
俺達、音ノ木坂の野郎面子も疑問に思った
ことり「それはねぇ…」
絵里「マサはクールで寡黙だからこそ、ミステリアスでカッコよく見えるのよ」
シオン「…そうなのか? ただ喋らないだけじゃ、何考えてるか分からなくて距離置かれそうなもんだが」
海未「無口なのに頼れる感じがあるのが、心をくすぐるんだとか」
フミ「アイツ、関わる事増えたら結構喋るけどな」
ことり「ユウノスケ君は見た目はちょっと怖いけど、実は気遣い上手なのが人気の秘密なんじゃないかな?」
穂乃果「つまりギャップ萌えってことだね!」
シュウジ「成程、ギャップか」
ヨウタ「ギャップねぇ… そんな簡単なもんでモテるのかよ?」
俺達が納得してる、その一方で――
にこ「……」
にこが妙に不機嫌そうな顔をしていた
希「ん? にこっち、どうしたん?」
にこ「別に、何でもないわよ!!」
希「もしかして、マー君が注目されとるのが気に入らんの?」
にこ「はぁ!? そんなわけないでしょ!!!」
にこの顔が一気に赤くなり、慌てて否定する
希「ふふっ、正直になればええのに~♪」
にこ「うるさい!!///」
そして、しばらくすると部活の手伝いを終えたマサとユウノスケが戻ってきた
ユウノスケ「待たせたな」
マサ「……悪い」
レン「おっ、人気者のお帰りだよ〜。2人はいいよねぇ、女の子からキャーキャー言われてさぁ〜」
ヨウタ「お前、さっきからそればっかだな」
シオン「よっぽど気にしてんだな」
レン「そりゃあ気にするっしょ! 俺っちだってカッコいいし、モテてもいいはずなのにぃ〜!!」
フミ「お前は余計なことばっか言うから、そもそも印象がな…」
レン「フミちゃん、ひどくね!? 俺っち、喋らなかったらクール系イケメンになれるって!」
シュウジ「喋らなかったら、な」
みんなが笑いながらワチャワチャやっている中、マサはふとにこの方へ視線を向けた
マサ「……にこ、どうした?」
その問いかけに、にこはピクリと肩を揺らし、少し顔を背けながら答える
にこ「……別に。なんでもないわよ」
マサは少し首を傾げるが、それ以上は聞かずにその場を離れようとする
にこ「ちょっと! なんでそれで終わりなのよ!!」
急に声を荒げるにこに、マサはさらに首を傾げた
マサ「……?」
ヨウタ「いや、何で怒られてんの、マサ?」
ユウノスケ「さぁ……」
希「ふふっ、分かりやすいなぁ、にこっち」
にこ「はぁ!? 何がよ!!///」
絵里「にこって、素直じゃないのよね」
にこ「な、なによそれ!?///」
凛「あっ! にこちゃん、顔真っ赤にゃ〜!」
にこ「ち、違う!! これはその……その……!///」
希「まぁまぁ、正直になるのも大事やで?」
にこ「別に、そんなんじゃないわよ!!///」
アイドル部の練習が終わり、みんなが帰宅の準備を進める中、希がにこに近づいてきた
希「にこっち、ちょっとええ?」
にこ「ん? 何よ」
希「ほら、これ」
希はポケットから小さな瓶を取り出し、にこの手のひらにそっと乗せた
にこ「……何これ?」
紫色した怪しい瓶の中には、奇妙な色の液体が入っていた
希「これはなぁ、好きな人に飲ませると両想いになれるっていう、万能薬や♪」
にこ「……あんた、また変なもん持ってきたわね」
希「ひどいなぁ、こう見えて効果はあるかもしれんで?」
にこ「絶対ないわよ!! こんなの信じるわけないでしょ!!」
希「ふふっ、まぁまぁ。もし困った時は試してみてもええんやない?」
にこ「……使わないけど、まぁ、一応ね!!」
にこは一応、受け取りポッケにしまう
希「はいはい、そういうことにしとくわ♪」
絵里(また変なことしてるわね、希は…)
絵里と希が先に帰宅し、にこは1人で瓶を眺めていた
にこ(……馬鹿馬鹿しいわね。こんなの飲ませたって意味ないに決まってるじゃない)
そう思いながらも、なぜか瓶を捨てることができなかった
マサ「……にこ」
すると、マサがやって来る
にこ「な、なによ?」
マサ「……今日は手伝いとか色々あって、練習に参加できなくて悪かった」
にこ「何で謝るのよ。それより、アンタ疲れたんじゃない?」
マサ「いや、別に」
相変わらずの無表情でそう答えるマサに、にこはちらっとポケットの中の瓶を見る
にこ(……ま、まさかね。でも、別に渡すだけなら……)
にこは一度深呼吸すると、ポケットから瓶を取り出した
にこ「ほ、ほら! これあげるわ!」
マサ「……これは?」
にこ「栄養ドリンクよ!疲れてるだろうし、飲んどきなさい!」
堂々とした口調で言い切るにこだが、内心はドキドキだった
にこ(……別に、ちゃんと言う必要ないわよね。どうせ効かないんだし、ただの冗談よ! そ、そうよ!)
マサはしばらく瓶を見つめていたが、特に疑う様子もなく、静かにうなずいた
マサ「……わかった。ありがとな」
そう言って、瓶をポケットにしまい、マサは何事もなかったように帰る準備を進める
マサ「じゃあ、先に帰るから」
にこは彼が瓶をポケットにしまうのを見て、ほっとした気分になる一方で、少し恥ずかしさがこみ上げてきた
にこ(こんなもの、ほんとに効くわけないじゃない……)
マサ「悪い、待たせた」
ユウノスケ「別に待ってねーよ。俺も帰ってきたばかりだし」
マサはユウノスケのラーメン屋にやって来た。店内にはヨウタとフミもいた
ヨウタ「お、マサじゃん」
フミ「お前もラーメン食いに来たのか?」
マサ「俺、ほぼ毎日来てるだろ」
そう言いながら、マサはポケットから小さな瓶を取り出した
マサ「ユウノスケ、これ。前に話した出汁の素。コイツでスープ作ってくれ」
ユウノスケは受け取った瓶を見て、少し眉をひそめる
ユウノスケ「……なんか変な色してねぇか?」
マサ「高かったからだろうな。けど、ただの出汁の素だ」
ユウノスケは少し疑問に思いながらも、深く考えず瓶の蓋を開けると、そのまま鍋に中身を入れ始める
ヨウタ「おいおい、マジで大丈夫か?なんか色おかしくねぇ?」
フミ「なぁ、マサ。本当に出汁の素なんだろうな?」
マサ「ああ、そうだ」
ユウノスケは2人の会話を軽く聞き流しながら、スープをかき混ぜる
ユウノスケ「気にすんな。どうせいつも通りに作れるだろ?」
鍋から湯気が立ち上り、スープの準備が整っていく
ユウノスケ「よし、これで完成だな」
ラーメンが完成するとテーブルにラーメンが置かれる
フミ「マサが持って来た出汁の素、独特な変な臭いがするが食えるのか?」
座敷の席に人数分のラーメン。そこからモアモアと煙と共に臭いも放つ
ヨウタ(なんか変だ…どう見てもフミが色っぽい…)
マサ「ヨウタ、大丈夫か?」
ムッワアアァァ…
フミ(このヤンキー…スケベ過ぎる…)
ユウノスケ「頭がクラクラする…」
フミ「大丈夫かッユウノスケ」
ヨウタ「横になれッ今すぐにッ」
マサ「胸元を開けて楽にした方がいい」
フミ「下も脱がせろ。いや全部だッ全部脱がせろッ」
ユウノスケを寝かせる。すると扉が開く
ヨウタ「誰か来た」
レン「よぉ」
ヨウタ、フミ、マサ「レンレン!」
レン「おいおい、ラーメン食ってるだけでなんでそんな艶っぽくなってんだ?」
ヨウタ「何か、体が変な感じするんだよな……」
レン「それよりよぉ、ヨウちゃん…急にいい男になったな」
ヨウタ「よせやぁい」
レン(カワイイ)
フミ(可愛い)
マサ(かわいい)
フミ「レンも前よりいい身体になってねぇか?」
レン「そうかァ?どうだマサァ?」
マサ「……悪くない」
何なんだ?この感情、抑えきれない!!胸が熱く、体の奥底から湧き上がる衝動。こんな気持ち、初めてだ。どうやって発散させればいいんだ…!!
ヨウタ「ダメだ…俺、もう我慢出来ねぇ…!」
ヨウタは荒々しく服を脱ぎ捨て、上半身をあらわにする。そのまま一気にズボンまで脱ぎ去り、パンイチになると、大地を踏みしめるように力強く構えた
ヨウタ「相撲しようぜ!」
なるほど!そうか!!
理屈も、迷いも、全て吹き飛んだ。それぞれが本能のままに服を脱ぎ捨て、4人はパンイチのまま土俵(ラーメン屋の座敷)へと踏み込む。床を踏み鳴らす音が響く。身体を叩き、気合を入れる音が響く。そして、視線が交差し、次の瞬間──ぶつかり合った
肩が激しくぶつかり、肉と肉がぶつかる鈍い音が店内に響く。腕が絡み合い、筋肉が隆起し、汗が滴る。床が軋み、湯気が立ち込め、熱気が充満する。鍋の中のスープが煮えたぎるように、4人の魂もまた、煮えたぎる
押し込まれれば押し返し、倒されそうになれば踏ん張る。握り合う手に力がこもり、鍛え上げられた肉体がきしむようにぶつかる。汗が飛び散り、床に叩きつけられ、再び立ち上がる。繰り返される激突。倒れるまで、動けなくなるまで、ただひたすらに相手と己をぶつけ合う。そして、全てを出し尽くした4人は、仰向けになり、大の字で床に寝転がった
「ごっちゃんです」
熱い相撲を終えた4人は、しばしの静寂の中で天井を見つめていた。やがて、誰からともなく体を起こし、黙々と服を拾い上げる。シャツを羽織り、ズボンを履き、ベルトを締める
レン「そろそろ帰るか」
フミ「何か…やけに盛り上がったよな」
マサ「……なんでだろうな?」
誰もその答えを出せないまま、ふと沈黙が落ちる
ヨウタ「……誰にも言うなよ」
4人は、まるで何事もなかったかのように店を後にした
翌日、スクールアイドル部の練習の休憩中。希がタオルで汗を拭きながら、にこに歩み寄る
希「にこっち、昨日渡した万能薬のことなんやけど……実はアレ、媚薬やったみたいやねん」
にこは一瞬ポカンとした表情を浮かべた後、驚いたように目を見開いた
にこ「は!?ちょっと待ってよ!それ先に言ってよね!!」
希「いや、ホンマに申し訳ない……で、その瓶、まだ持っとる?」
にこは眉をひそめながら考え込む
にこ「いや、昨日マサにあげたけど……」
希「……マー君にあげたん?」
マサ「ん? 俺を呼んだか??」
たまたま近くにいたマサが名前を呼ばれたと思い2人の会話に入ってくる
希「昨日、ウチがにこっちに渡した瓶、まだ持ってる?」
マサ「あぁ、持ってるけど…」
そう言って、マサはカバンを開け、中を探る。
ゴソゴソと手探りし、やがて取り出したのは──
マサ「これか?」
手のひらに乗せたのは、よく見知った出汁の素の瓶だった
マサ「……あれ?」
希とにこは顔を見合わせ、瓶をまじまじと見つめる。
にこ「何よ?これ」
マサ「これ、昨日ユウノスケに渡したはずなんだけど…?」
希「えっ……じゃあ、媚薬の方は?」
マサは出汁の素の瓶を見つめたまま、沈黙する。話を盗み聞きしてたヨウタとフミも、一瞬時が止まったかのように固まる
マサ(ってことは……)
脳裏に蘇る昨夜の記憶。熱気に包まれたラーメン屋、ぶつかり合う肉体、汗が飛び散る激闘──
マサ(…ッ!?)
冷や汗が背筋を伝う。フミが無意識に額の汗を拭い、ヨウタがそわそわと目を逸らす
フミ(ま、まさか……)
ヨウタ(昨夜のアレって……)
挙動不審な2人を見て、希とにこはさらに不審そうな顔をする
希「……なんか、君ら妙に様子おかしくない?」
ヨウタ「……気のせいじゃね?」
フミ「そ、そうだな……ハハ……」
ぎこちない笑顔のまま、ヨウタとフミは目を合わせることなく、同時にそっと背中を向けた
希「ホンマに?何かやましいことでもあるんちゃう?」
沈黙が落ちる。視線を交わさぬまま、ヨウタとフミはごくりと喉を鳴らした
ヨウタ「……」
フミ「……」
マサ「……使った」
にこ「……は?」
この空気に耐えきれなくなったのはマサだった。そして、カバンを閉じながら静かに呟いた
マサ「……俺達で使った……」
にこは目を丸くし、手をピクッと震わせる
にこ「ちょ、ちょっと待って!? 何に!? どこで!? どうやって!?」
マサ「……ラーメンに」
にこ「ラーメンに!?」
思わず大声を上げたにこをよそに、マサはゆっくりと目を閉じた
マサ「……それを食べた俺達は、体が熱くなって、衝動が抑えられなくなり……結果……」
希「結果?」
マサ「……相撲を取った」
希「……ッッ!! あはははははははははッ!!」
数秒の沈黙が流れ一瞬だけポカンとした後、希は爆笑した
希「ちょっ、えっ!? なんで!? なんで相撲なん!? 何でそこでそっち行くん!? あっははははは!!」
ヨウタとフミは顔を伏せて視線をそらし、マサは静かにカバンを閉じた。にこは未だに混乱した表情で、口をパクパクさせている
にこ「は!? え!? ちょっと待って!? どういうこと!? 何で!? 何で相撲取ったのよ!? そこは普通……えええええ!?」
爆笑する希と混乱するにこを前に、昨日の出来事を思い出した3人は、ただ黙って俯くしかなかった
帰宅中、夕暮れの街をにこは何故か不機嫌そうに歩いていた。マサは少し遅れて後ろをついていきながら、気まずそうに口を開く
マサ「……悪かった」
にこ「は?」
にこはピタリと足を止め、ムッとした顔でマサを振り返る
にこ「何が?」
マサ「……何となく」
にこ「何となくで謝られても困るんだけど?」
腕を組み、ジト目で睨むにこ。マサは困ったように目を伏せると、少し考えてから言った
マサ「……昨日のことだろ?」
にこ「べ、別ににこは何も気にしてないけど?」
マサ「……でも怒ってる」
にこ「怒ってない!」
マサ「……不機嫌」
にこ「不機嫌でもない!」
マサ「……媚薬の件、そんなに怒ってるのか?」
マサが率直に問いかけると、にこはピクッと肩を揺らした
にこ「なっ!?そ、そんなわけないでしょ!?たまたまそれ使って、相撲取ったって話でしょ!?そ、そんなのどーでもいいし!」
マサはしばらくにこの顔を見つめた後、静かに呟く
マサ「……悪かった」
にこ「だから、何がよっ!」
マサ「……にこが飲まなくて良かった」
にこはハッとして、マサの顔を見る
マサ「……にこが飲んでたら、俺は……」
にこ「……」
しばらく沈黙が続く。にこは顔を赤らめながら、ぎゅっと拳を握りしめると
にこ「っ……バカッ!!」
突如として炸裂した、にこの鋭い蹴りがマサの脛にクリーンヒットした
マサ「っ……いてぇ……」
マサは片足を引きずりながら眉をしかめるが、にこはぷいっと顔を背けたまま腕を組んでいる
にこ「そ、そんなこと言うんじゃないわよ……!!」
マサ「……?」
にこ「な、なんでもないの!!もう知らない!?」
そう言ってスタスタと歩いていくにこ。マサはそんな彼女の後ろ姿を見ながら、脛をさすりつつにこの後ろをついて行った
そして、数日後の音ノ木坂の屋上
にこ「何よ、また急に呼び出して」
マサ「すまない、にこに頼みたい事があってな」
にこは腕を組み、無表情で答える
にこ「早く言ってよ。私も忙しいんだけど」
マサ「にこ、俺のために…飯を作ってくれ!にこの手料理が食べたいんだ!」
にこは驚いて目を見開き、しばらく無言で見つめた後、ようやく反応を返す
にこ「え…それって昭和的なプロポーズ!?」
そして次の瞬間、にこは目の前がふっとぼやけ、すぐに視界が暗くなり始める。そして、にこは目をパッチリ開けると、そこは自分の部屋のベッドの中だった
にこ「え…夢…?」
にこは驚きながら、ベッドから飛び起きて周りを見回した。自分がいたのは屋上ではなく、自分の部屋だと気づき、思わず顔を手で覆った
にこ「はぁ…びっくりした。昭和的なプロポーズとか、あり得ないわよね…」
土曜日、学校は休みだが、練習があり学校に向かう
穂乃果「にこちゃん、おはよう!」
穂乃果は元気よく声をかけるが、にこは全く反応しない。穂乃果は少し不安そうに首をかしげる
穂乃果「あれ?にこちゃん?」
再度、大きな声で呼ぶ
穂乃果「おーい!にこちゃーん!」
しかし、にこは上の空で何も答えず、そのまま黙々と歩き続ける
穂乃果「うーん、どうしたんだろう…?」
ヨウタ「たく、朝から元気だな」
俺はフミとシオンとシュウジと登校してたら、大声を出す穂乃果がいたので声を掛けた
穂乃果「あ、ヨウタ君」
フミ「朝から大声出してどうしたんだ?」
穂乃果は心配そうに俺達に答える
穂乃果「実はね、にこちゃんがどうも元気がないみたいで…」
穂乃果が話していると、シオンが驚いたように言った
シオン「何!にこの様子がおかしいって!?」
シオンは俺に向かって駆け寄り、後ろからいきなりラリアットをかける
ヨウタ「おいおい、急に何だよ!」
そのままフミがパイルドライバーを決め、俺は地面に叩きつけられる。
フミ「声を掛けても上の空だなんて、どうなってるんだよ!」
その直後、シュウジも冷静にさそり固めを決め、俺は身動きが取れなくなる。
シュウジ「不思議なこともあるもんだな…」
ヨウタ「お前ら…マジで何なんだよ…」
すっかり俺はうつ伏せで地面に倒れた。そんな俺を無視して、にこは上の空のまま歩き続ける
ヨウタ「ぎゃ…!?」
俺は誰かに踏まれると地面で悲鳴を上げる。するとフミが指をさして言う
フミ「あれ、マサだな」
シオン「何だ。アイツも今日来るのか」
真姫「全く、朝から騒がしい人達ね」
ヤヨイ「皆さん、おはようございます」
レン「俺っち達もいるよ〜」
ユウノスケ「何で俺達も参加しなきゃいけねーんだよ」
ユウヤ「お前は反省も込めてだ」
シュウジ「今日はみんな来たんだな」
レン「絵里さんに頼まれてね〜」
シオン「つーか、マサの様子おかしくねーか?」
レン「そうなのよね〜。今日はずっとあんな感じ」
するとユウノスケが無言でポケットから大量のロケット花火を取り出す
ユウノスケ「けど、それだけじゃないぜ。見とけよ。発射!」
その言葉と共に、ユウノスケはマサに向けて花火を一斉に放つ。ロケット花火が次々と発射され、煙が立ち込めて周囲が見えなくなる。煙が収まると、マサは無傷で、服のホコリを軽く払って学校に向かって歩き出す
ユウノスケ「ほら、様子おかしいだろ?」
ヨウタ「確かに様子が変だ」
真姫「…ちょっと待ちなさい!様子がおかしい以前に色々とおかしかったわよ!?」
穂乃果「あはは…」
屋外、練習の間の休憩中。マサはしばらく黙ってにこの隣に座り、視線を落としながら何か言いたそうにしている。にこは、そんなマサを少し気にしながらも、視線を避けるように周囲を見渡している。
マサ「…あのさ、にこ」
にこ「何?用があるなら早く言いなさいよ」
マサは一瞬言葉に詰まるが、思い直して言う
マサ「いや、なんでもない。ちょっと…気になっただけだ」
にこはその答えに少し不安そうに見えるが、すぐに無理に元気そうな顔を作って言う。
にこ「私も別に何もないわよ、マサのことなんて」
その言葉に、2人には少し気まずい空気が流れた
ヨウタ「これ、どうすんだよ?」
俺達は陰から2人の様子を伺う
絵里「…なんだか、にことマサ、ギクシャクしてるわよね」
穂乃果「2人とも何処かぎこちないよね?」
希「うーん、何かあったんかなぁ?」
ヤヨイ「けど、喧嘩した訳では無さそうですよ…」
花陽「お互いに何か意識してるような気もします」
凛「2人に何があったか聞いてみるにゃ?」
ユウノスケ「ダメだ。それは辞めといた方がいい」
ユウヤ「何で辞めた方がいいんだ?」
海未「気になるのは分かりますが、無理に聞き出したら逆効果になるかも知れません」
シュウジ「けど、このまま放っておくのか?」
フミ「それはそれで俺達が気使うから勘弁だな」
ことり「でも、大事になっちゃったりしたら…」
レン「一体、どうすればええんかね〜?」
真姫「じゃあ、何かのタイミングで、さりげなく話を聞くとか?」
シオン「いや、今はまだ様子見で行こう」
とりあえず俺達は一旦様子を見る事にした
練習が終わり、俺達は昼食と取る。みんなで賑やかに食事をしている中、俺達はある事に気付いた
ヨウタ「おい、マサはどこ行った?」
フミ「そういえば、いないな…」
ユウヤ「飯食って帰ったのか?」
シュウジ「いや、それは無いと思う」
その言葉に、μ'sのみんなもある事に気付いた
穂乃果「…あれ?にこちゃんもいない」
ことり「2人とも、どこかに行っちゃったのかな?」
希「うーん、ちょっと気になるけど…まぁ、きっと何か用事でもあったんやろうね」
真姫「そうよ。あまり気にしても仕方ないわ」
その話を聞きながらも俺達は相変わらずガツガツ食べ続けている。
ユウノスケ「つうか、よく食うな」
ヤヨイ「食べ過ぎてお腹壊さないで下さいね」
その頃、マサはというと1人で学校の階段に座り、深いため息をついていた。周りは賑やかに食事をしているのに、どこか考え込んでいるようだ
にこ「…アンタ、お弁当とか持って来てないの?」
その時、にこが階段を上がってきて、俺を見つける。俺は少し驚いたように顔を上げ、にこを見た
マサ「いや、その…」
にこは少し呆れた顔をして、2つの弁当箱を取り出す
にこ「たく、しょうがないわね。アンタの分も持って来たわよ」
そういうとにこは俺に差し出した
マサ「…ありがとう、にこ」
にこ「別に。…まぁ、せっかく作ったんだから食べなさいよ」
やはり、にこしかいない
マサ「にこ、ちょっといいか?」
にこ「あんた、なんか真面目な顔して…何よ?」
マサ「大事な話があるんだ。校舎裏まで来てくれないか?」
丁度、帰宅しようとしてた俺達も2人のやり取りを聞いてしまった
絵里「これ、絶対に告白じゃない!?」
穂乃果「うん、あの真剣な顔…間違いないよ!」
花陽「きっと、にこちゃんも内心ドキドキしてるんじゃないかな?」
ユウノスケ「なら、俺達も見守ろうか」
レン「なんだか楽しみになってきたね〜」
ヤヨイ「僕達もついて行くんですか?」
ヨウタ「当たり前だろ!行くぞ!」
校舎裏に向かう2人を見守りながら、俺達も校舎裏に向かう
そして校舎裏、俺達が息を潜めて見守る中、マサは真剣な表情でにこに向き直る
にこ「何よ?大事な話って」
マサ「にこにしか頼めない事なんだ」
にこは思わず心の中で考えながらも、どこか期待している自分に気づく
にこ(これって正夢…もしかしたら本当にプロポーズ?)
マサが真剣な目をして言葉を続ける
マサ「にこ…俺の為に飯を作ってくれ!」
その瞬間、俺達一斉に驚きそして盛り上がる
凛「これ、告白じゃなくてプロポーズだよね!?」
シオン「まるで昭和チックだな」
真姫「相当、気合い入ってるわね」
ことり「でも、2人ともまだ高校生だよ」
フミ「どうなるんだ、これ?」
にこはあまりの展開に目を丸くする
にこ「ちょっと待ちなさいよ!私達高校生なのよ流石に少し早いんじゃ…」
確かにまだ早いかもだがにこは出来ないわけでは無い
希「そんな事言って、にこっち嬉しいくせに〜」
シュウジ「けど、マサは1年待たないといけないんじゃないのか?」
ユウヤ「けど、1年なんてあっという間だろ」
海未「いけません!学生の本分は勉強が第一です!」
するとマサが少し照れくさそうに話す
マサ「恥ずかしい話なんだが、両親が1週間旅行に行って俺しかいなくてな。1週間分の飯代として2万円貰ったんだが、調子に乗って2日で使い切ってしまったんだ」
にこ「え?」
マサ「それでろくに飯が食えてないんだ。頼む!俺の為に夕飯を作ってくれ!」
その言葉に、俺達は一斉に頭を抱えてズッコける
ヨウタ「何だよ!プロポーズじゃねーのかよ!」
真姫「紛らわしいのよ!びっくりしたじゃない!」
花陽「正直言って、ちょっと期待しちゃった…」
ヤヨイ「本当に紛らわしいですね…」
シオン「なんだよ。つまんねーな」
にこは顔を真っ赤にして怒りながらも、心の中では本当に嬉しそうだ
にこ「紛らわしいのよ!でも、まぁ…しょうがないわね」
にこは頬を膨らませるが、最後に笑顔を見せる
にこ「分かったわよ。夕飯作ってあげるわ。というか今度からちゃんと計画的にお金使いなさいよね」
マサ「ありがとう、にこ!」
その瞬間、見守っていた俺達は呆れながらも笑い出した
希「まぁ、結果的には良かったんやない?」
絵里「そうね。にこも嬉しそうだもの」
レン「終わりよければ全て良し」
フミ「けど、あの2人は秒読みだろうな」
部活終わり、近所のスーパーにて
にこ「何か食べたい物とかあるの?」
マサ「何でもいいけど、強いて言えばカレーかな?」
にこ「カレーねぇ…まぁ簡単だし、いいわよ」
マサ「やった!ありがと」
にこ「全く、子供じゃないんだから」
カレーの材料を選んでいると、ふとお菓子コーナーが目に入った。期間限定の奴がどうしても気になって、手が伸びそうになったその時…
にこ「ちょっと!何勝手にお菓子選んでるのよ!」
マサ「いや、美味そうだなーと思って…」
にこ「アンタ金欠なんだから無駄遣いしないの!」
マサ「…あ、うん、すまん」
俺はおとなしくお菓子を棚に戻した
にこ「本当に、たまには計画的にお金使いなさいよね。カレーの買い物だけに集中しなさい」
マサ「わかったよ、もう…」
そして買い物を終えて、必要な材料を袋に全部入れ終わった後、俺はその袋を持ち上げる
マサ「持つよ」
にこ「あ、ありがと…」
買い物が終わり、にこの家に到着。
にこ「さぁ、早くカレー作らないと!」
にこはキッチンに立って、手際よく作業を始める。俺も少し手伝おうとするけど、にこがすぐに「邪魔しないで!」と軽く追い払う。まぁ、普段からよく料理してるんだろうし、俺が手を出す余地はない
にこ「カレーは簡単だし、すぐできるから待ってなさい」
俺はそのまま、にこが作る姿を見守る。こうやって、何気ない日常を一緒に過ごすのも、なんだか心地良い。やがて、完成したカレーをテーブルに出す
にこ「出来たわよ」
マサ「すげーな…見た目も美味しそう」
にこ「まぁ、頑張ったからね」
俺は早速、カレーを口に運ぶ。スパイスの効いた味が口の中に広がり、思わず「うまい!」と声を上げる。
マサ「…これ、めちゃくちゃ美味い」
にこ「フフ、そうでしょ」
にこが少し照れくさそうに微笑む。それがまた、少し嬉しくて、俺も顔が緩んでしまう
マサ「また食べたいな」
にこ「そうね、たまになら作ってあげてもいいわよ」
そしてカレーを食べ終わり、にこが黙って俺の隣に座った。少しだけ、いつもと違う静かな空気が流れる
マサ「どうした?」
にこは黙ったままで、何か言いたいことがあるように見える
にこ「…別に」
その言葉に、俺は何か引っかかるものを感じた。きっと何かがあるんだろうと俺は思ったが、にこは言葉にはしない
マサ「なぁ、どうしたんだ?」
その時、ふとドアが開く音がして、にこの妹と弟が帰ってきた。そしてにこは3人のカレーを準備する為に俺の隣を離れた
その後、俺は家に帰る時間になり、玄関のドアを開けた。すると、にこが俺を見送りに来てくれた
にこ「…もう帰るの?」
俺「うん、そろそろな」
突然、にこは俺の手を軽く引っ張るようにして引き止める。普段の強気なにこからは考えられないくらい甘えた顔で言った
にこ「…帰らないで」
その言葉に、俺は少し戸惑った
マサ「いや、流石に帰らないと…」
にこは少し目を伏せて、でもすぐに顔を上げて真剣に言った
にこ「…ここにいてよ」
マサ「いや、でも…泊まるにしても色々と準備とか必要だから…」
にこ「…え?泊まるの?」
にこは少し驚いたていたが、俺はすぐに思い直して言った
マサ「だって、日曜日だし。それに俺、家帰っても1人だから」
その言葉に、にこは少し驚いた顔をして、目を丸くした
にこ「…本当に?」
マサ「うん、でも準備もあるからさ。荷物取りには行きたいかな?」
にこは少し考え込み、すぐに頷いた
にこ「…わかった。じゃあ、帰って準備してきて」
マサ「ありがとう、じゃあちょっとだけ待ってて」
そして俺は荷物を取りに家に行く。そして、にこの家に戻って来た
マサ「お待たせ」
にこ「お疲れ様。さ、リラックスして」
マサ「ありがと、じゃあ今日はお世話になるね」
にこ(いつか、こうして2人で過ごす時間がもっと自然な物になるのかしら…)
その考えが頭をよぎるたび、どこか温かい気持ちが広がっていった
ストックたまらない
筆が遅いが書くよ