教室に入ると、クラスメイトたちはブランド物の時計や最新のスマホを自慢し合い、親の資産や海外旅行の話で盛り上がっている
ユウヤ(たく、毎日同じ話題かよ)
俺は無言で席についた。どうでもいい話に関わるつもりもないし、向こうも俺に興味はないだろう
ユウヤ(くだらねぇ)
こんな会話、毎日聞かされる。金持ち学校だからって、品があるわけじゃない。むしろ、プライドと差別意識だけが肥大してる
ユウヤ(コイツら金はあるのに品性はねーよな)
俺の家は貧乏ではないが、コイツらからしたら庶民と変わらないんだろうな。それに先公も適当だ。遅刻はするがサボりはしない。テストの成績は悪くないから、特に咎められることもない。問題児扱いされるほどじゃないが、優等生でもない。ただの厄介者って扱いだし
ユウヤ(さて、授業も終わったし帰るか)
鞄を肩にかけて校門を出る。バイトも休みでアイツらからヘルプの連絡もないから、今日は特にやることもねぇ
ユウヤ「…適当に街でもふらつくか」
そんなことを考えながら歩いていると、ふと視界の端に見覚えのある後ろ姿が映った
ユウヤ(…あれ、確かアイツらの学校のアイドルの先輩だっけ?)
音ノ木坂のスクールアイドル、東條希。別に関わる理由もねぇし、そのまま通り過ぎようとした——
希「ユウヤ君無視するなんて酷いやん?」
振り返った希がニコッと笑って俺を見ていた
ユウヤ「…別に。顔見知り程度の知り合いじゃねーか」
希「まぁまぁ、そんなつれないこと言わんと?」
そう言いながら、希は俺の前に立ち塞がるようにして、にっこり微笑んでくる
ユウヤ(…めんどくせぇ〜)
とは思ったが、無視して歩き去るのもなんとなく気まずい
ユウヤ「…で、なんだよ」
希「んー、ユウヤ君って、今暇なん?」
ユウヤ「…まぁ、そうだけど」
希「ほんなら、ちょっと遊ばへん?」
ユウヤ「…俺とか?」
希「そう♪」
気づけば俺は、断るタイミングを逃していた——
ユウヤ「遊ぶって…どこ行くんだよ」
希「ゲーセン♪」
ユウヤ「…ゲーセン…?」
意外な場所に少し驚いたが、特に断る理由もない。暇つぶしにはなるだろう
希「ほらほら、行くで?」
気づけば希が俺の袖を引っ張っていて、そのまま俺はゲーセンへと連れて行かれる。店内入ると電子音とゲームの効果音が鳴り、そこそこ賑わっていた
希「さて、何する?」
ユウヤ「別に…特にやりたいもんねぇけど」
希「ほんなら、まずはクレーンゲームやろか」
ユウヤ「おい、勝手に決めんなよ…」
俺の抗議を無視して、希はぬいぐるみの入ったクレーンゲームの前に立った
希「このぬいぐるみ、可愛くない?」
ユウヤ「あぁ」
希「よし、取ってや」
ユウヤ「は?」
希「女の子にぬいぐるみ取ってあげるのって、男の役目やろ?」
ニヤリと笑う希を見て、俺は軽くため息をついた
ユウヤ「…仕方ねぇな」
適当に金を入れ、俺はクレーンを動かす
ユウヤ(こんなん、コツさえ掴めば楽勝だろ)
景品の重心を見極め、アームの力加減を考えながら慎重に操作する
希「あ、取れた!」
クレーンがぬいぐるみをしっかり掴み、無事に景品口へと落ちた
希「やるやん、ユウヤ君!たった200円で取るとか、プロやね」
ユウヤ「…運が良かっただけだ」
希「はい、これ」
ユウヤ「え?」
希「せっかく取ったんやし、ユウヤくんが持っとき」
ユウヤ「いらねぇよ。お前が欲しがってたんだろ?」
希「…ふふ、ほんなら、ありがたくもらっとく♪」
そう言って、希はぬいぐるみを大事そうに抱えた
希「じゃ、次はアレやろ!」
希が指差したのは、ゾンビ撃ちのシューティングゲームだった
ユウヤ「…マジか」
希「ユウヤ君、こういうの得意そうやし、協力プレイしよ?」
ユウヤ(断る理由もねぇか)
俺は無言で100円を入れ、銃型のコントローラーを手に取った
希「ほんなら、いっくで〜!」
こうして、俺と希の協力プレイが始まった
シューティングゲーム後
希「お、やるやんユウヤ君!」
ユウヤ「…別に、普通だろ」
画面には『STAGE CLEAR』の文字が光っている。俺は希と協力してステージ全クリした
希「うち、こういうの苦手やけど、ユウヤ君のおかげでクリアできたわ〜」
ユウヤ「お前、途中で弾外しすぎ」
希「でも最後まで守ってくれたやん?」
そう言って、希がにやっと笑いながら俺の肩を軽く叩く
ユウヤ「守ったつもりはねぇよ…」
希「あははっ、照れてる?」
ユウヤ「照れてねぇわ」
希「じゃあ、次はプリクラ撮るで〜!」
ユウヤ「…は? いや、必要ねぇだろ」
希「ゲーセン来たら定番やん? 記念、記念♪」
そう言って希が俺の腕を引っ張る
ユウヤ「おい、ちょっ…!?」
気づいた時には、もうプリクラ機の中。そして撮影が始まった
希「ほな、撮るで〜!」
ユウヤ「適当に映ってりゃ――って、いってぇな!」
希がいきなり俺の頬を引っ張る
希「変顔やで〜♪」
ユウヤ「…ふざけんな…!!」
カシャッ
希「うわ、これ最高!」
ユウヤ「お前なぁ…」
希「ほらほら、次もいくで〜!」
再び引っ張られる頬
ユウヤ「…もう好きにしろ…」
そうして、俺のプリクラは変顔だらけになった
希「めっちゃおもろかったな〜♪」
ユウヤ「…疲れた」
希「でも、ユウヤくん、意外とノリええやん?」
ユウヤ「勝手にやらされたんだろ」
希「ま、これあげる♪ 記念な!」
そう言って、希がシールを1枚渡してくる
ユウヤ「…いらねぇ」
希「持っときって。貴重やで?」
ユウヤ「…チッ…」
俺は仕方なく財布に突っ込んだ。そして――
ユウヤ「つーか喉渇いたな。飲み物買ってくる」
希「ウチはレモンティーがええな〜♪」
ユウヤ「はいはい」
そう言って自販機へと歩き出す。この時はまだ、希にトラブルが起こるなんて思いもしなかった
飲み物を買いに行ったほんの数分の間。俺が戻った時には希がプリクラ機の近くで二人の男に絡まれていた。ぱっと見た感じ俺と同じ制服だな
ユウヤ(めんどくせぇな)
ちょっと様子を見てたら、男の1人が笑いながら言った
男A「お嬢さん、1人?」
希はちらっと見るだけで、特に動じた様子はない
希「いや〜、ウチ待っとる人おるから」
男B「そんなのほっといて、楽しくやろうよ」
希が小さくため息をついたのが見えた
ユウヤ(やっぱ絡まれてるな)
男A「ほら、遠慮しなくていいって。どこの学校?」
希「…音ノ木坂やけど?」
男B「へぇ〜、あのスクールアイドルがいる学校?」
希「あぁ、せやで」
男A「うわっ、マジかよ。アイドルやってる?」
希「ウチは別にやってへんけど…」
男B「なんだ、期待外れ」
その瞬間、俺は歩みを早めて近づいた
ユウヤ「…なんか、変な絡まれ方してねぇか?」
男たちは俺の顔を見た途端、わかりやすくビクついた
男A「お、お前…」
希「なんや知り合いなん?」
希が不思議そうに俺を見上げる。俺はゆっくり一歩踏み出して、奴らを睨んだ
ユウヤ「お前ら、俺と同じ学校だからよな?」
それだけで、2人の顔色が変わる
男B「な、なんだよ。お前、こんなブスとつるんでんのか?」
ユウヤ「は?」
男A「さっきまで話して損したわ。全然タイプじゃねぇし」
男B「ほんまそれな」
コイツらの発言で俺の中で何かがキレる音がした
ユウヤ「ちょっと待てや…」
男2人がビクッと肩を揺らす
ユウヤ「今、何つった?」
男A「は、は? いや、別に…」
ユウヤ「言えよ。もう1回。けど、行ったらどうなるか分かってるよな?」
もう一歩踏み込む。俺の視線が突き刺さるように2人に向けられると、目を逸らして誤魔化そうとする
ユウヤ「…金持ちのくせに品性はねぇんだな」
吐き捨てるように言うと、2人は焦った顔をして舌打ちした
男B「ちっ…!行くぞ」
男A「う、うん…」
逃げるようにその場を離れていく。俺は舌打ちを返して、手に持ってたレモンティーを希に差し出した。
ユウヤ「ほら」
希「あ、ありがと…」
ユウヤ「気悪くしたなら、すまねぇな」
希「ん〜、別にええよ? でも、ユウヤ君って…」
ユウヤ「何だよ?」
希「何やろ?さっきの言い方…ちょっとカッコよかったかも?」
ユウヤ「…茶化すな…」
…なんだよ、マジで
希「ふふっ、照れとる?」
ユウヤ「照れてねぇよ」
希「でもなぁ〜、あんな風に誰かのために怒れる人って、そうおらんよ?」
ユウヤ「…勝手に腹立っただけだ。お前がどう思ってたかは知らねぇけど」
希「正直、ちょっと嬉しかった」
そう言って微笑む希の表情は、どこかいつもより柔らかかった
ユウヤ「……」
希「なぁ、ユウヤ君。プリクラ、もう1回撮ろ?」
ユウヤ「は? さっき撮ったばっかじゃねぇか」
希「せやけど、気分変わったし。さっきのは記念、今のは…思い出に?」
ユウヤ「…なんだよ、それ」
希「ウチら普段ずーっと練習ばっかりやから、こうやって遊べる時間ってほんま貴重なんよ。だから、もうちょっとだけ付き合って?」
ユウヤ「はぁ〜…わかったよ。1回だけな」
希「やった♪」
また手を引かれるままに、プリクラ機の中へ入る。相変わらず狭い。前より距離が近い気がして、余計に落ち着かねぇ
希「ほら、笑って?」
ユウヤ「無理」
希「無理言わんと! ほら、“にこっ♪”って!」
ユウヤ「それ、矢澤の真似だろ…」
希「せやで♪」
そんな風にふざけながら撮ったプリクラは、俺のスマホにも保存された。後で見たら、俺…思ったより、ちゃんと笑ってた
プリクラを撮り終えてから、俺と希は駅前まで一緒に歩いた。夕方の風が吹いて、さっきまでの騒がしさが少しだけ静かに感じる
希「今日はありがとな。楽しかったで?」
ユウヤ「…あぁ、俺もまぁ…その、悪くなかった」
希「ふふっ。素直に楽しかった言うてくれてええんよ?」
ユウヤ「うるせぇ」
駅の前で別れ際、希がふと立ち止まり、俺の顔を見た
希「また遊ぼな?」
ユウヤ「ああ、気が向いたらな」
軽口を叩いて俺は先に背を向けて歩き出した,一人になって、しばらく商店街を抜けるように歩いていたその時
男A「よう、さっきはよくもやってくれたな」
その声に、背後からの気配。振り返ると、さっきのナンパ野郎2人が、明らかに敵意を込めた顔で立っていた
ユウヤ「めんどくせぇな」
男A「俺ら、何もしてないのに睨んできたよな? 普通あんな態度ねーよな?」
男B「お前、調子に乗ってね? てかさ、手ぇ出すなら出してみろよ?その瞬間――」
ニヤリと笑って、男Bが言葉を続ける
男B「お前が俺らに手出したらよぉ…さっきのアイツ、どうなっても知らねぇぞ?」
ユウヤ「……」
男A「今頃、俺らのツレがあの女追ってるかもな〜? うっかり手ぇ出したら、ボコられるくらいじゃ済まねぇかもよ?」
ユウヤ「…クソが」
拳を握る。でも――頭の中に、さっきの希の顔がちらついた。今、手を出せば――こいつらはマジで希に何か仕掛けるかもしれない
ユウヤ「やってみろよ、クズ共」
男B「は?」
ユウヤ「お前らみてぇなクソ雑魚が、女に手ぇ出した時点で終わりだよ。どんだけ集団でかかろうが、全員潰すだけだ」
男A「ははっ、イキるだけならタダだもんなぁ?」
男B「そんじゃ、しっかり反省してもらおうか」
次の瞬間、腹に蹴りが入る。まともに食らって、体がくの字に折れた
ユウヤ「ヴグッ…!!?」
そこからは、止まらなかった。殴られ、蹴られ、壁に押しつけられ、倒れても追い打ち。反撃しようとすれば、希の顔が頭をよぎって、腕が止まる
ユウヤ(手を出さないって、こんなにも苦しいのかよ…)
何発殴られたのかもわからなくなった頃、ようやく2人が息を切らしながら立ち上がる
男B「チッ…!めんどくせー野郎。行くぞ」
男A「マジで骨折れてんじゃねぇの、アイツ」
そう吐き捨てて、2人はようやく去っていった
ユウヤ「…フッ…ダセぇな、俺…」
しばらくその場で動けなかった。地面に手をつき、息を整えながら、やっとの思いで立ち上がろうとしたが、俺の視界が暗転した
白い天井を見つめながら、俺はゆっくりと瞬きをした。鈍く重たい痛みが体中から響いてくる
ユウヤ「…ここ、病院かよ…」
声に出して呟いた瞬間、ベッドのすぐそばから反応が返ってきた
希「ユウヤ君っ!」
希が立ち上がり、心底ホッとしたような笑顔を浮かべて顔を覗き込んでくる。その後ろには、壁にもたれているヨウタと、その隣に真面目そうな顔で立つヤヨイの姿もあった
ユウヤ「なんだよ、お前ら…なんで揃っていんだよ…」
希「ウチが救急車呼んだんよ。倒れてるユウヤ君を見つけて…」
ユウヤ「…マジか。そっか、ありがとよ」
ヨウタ「俺は希から連絡きたんだよ。だから急いで来た」
ヤヨイ「僕はその時、ヨウタ君と一緒にラーメンを食べていたので」
ユウヤ「…ラーメン?」
ヨウタ「お前の所のラーメン屋。今、期間限定で替え玉無制限やってるからな。つーか俺達にも教えろよ」
ユウヤ「…いや、俺も知らなかったんだけど…」
希「ふふっ、元気そうで何よりやね。話せるようになったならちょっと安心したわ」
ユウヤ「ま、まだ身体は痛ぇけどな…生きてるだけマシか」
ヨウタ「それよりさ、お前…医者が驚いてたぜ」
ユウヤ「…は?」
ヨウタ「全身あんなにボロボロだったのに、骨には異常ないってさ。打撲だけで済んだの、奇跡だってよ」
ユウヤ「…マジで?」
ヤヨイ「ええ。あの状態で骨折が無いなんて……ちょっと信じられないくらいです」
ユウヤ「…へぇ、ついてんのか、俺…」
ヨウタ「悪運だけは強そうだしな」
希「ふふ、ほんま良かったわ。もうちょっとで、ほんまに取り返しつかんとこやったんやから」
ユウヤ「…悪ぃな、色々と」
希は小さく首を横に振ると、椅子から立ち上がった
希「ほな、ユウヤ君が目覚めたし、飲み物でも買ってくるな。喉、乾いとるやろ?」
ユウヤ「…甘いやつがいい」
希「ふふ、了解や。任せとき」
そう言って、希は静かに病室を出ていった。ドアの閉まる音が、かすかに響いた
ヨウタ「で、誰にやられた?」
ユウヤは一瞬視線を逸らし、ため息をついて天井を見たまま答える
ユウヤ「…俺の学校の奴らだよ」
ヨウタ「つーか、何でお前が負けたんだよ?」
ユウヤ「俺が手出したら仲間に希を襲わせるって言いやがった…」
ヨウタ「チッ…クソが」
ヤヨイ「金持ち校って、そういう陰湿な悪さをする人もいるんですね」
ヨウタ「相手の顔、覚えてんだよな?」
ユウヤ「当たり前だろ。同じ学校の奴らだぞ」
ヨウタ「なら、仕返しと行きますか」
ユウヤ「…いや、やめとけ」
ヨウタ「は?」
ユウヤ「相手、金持ち高の奴らだ。手ぇ出したら――」
ヤヨイ「“喧嘩で勝っても、司法で負ける”って奴ですね」
ユウヤ「ああ。アイツらは親の金で黙らせるような連中だ。こっちが正当防衛でも、向こうが怪我したら最後、“暴力行為”で一発アウトだ」
ヨウタ「…クソが。ふざけた話だな。こっちが正義でも、そんなん通らねぇのかよ」
するとヤヨイはゆっくりと眼鏡を押し上げ、少しだけ笑みを浮かべる
ヤヨイ「ここは、いわゆる“未成年の喧嘩”ではなく、“大人の喧嘩”で行くのはどうですか?」
ユウヤ「…なんだよ、それ?」
ヤヨイ「暴力でやり返しても僕達が不利になるなら、こっちからは絶対に手を出さず、連中が勝手にやらかす場面を録画して、証拠を集めて出すべき場所へ叩きつけてやるんです」
ヨウタ「ヤヨイ、お前マジで恐いときあるわ…」
ユウヤ「そういう喧嘩…アリだな」
ヤヨイ「感情ではなく、理屈で潰す。“自分がやったことの重さ”を、法と社会で教えてやりましょう」
ユウヤ「それ、オレも乗る」
ヨウタ「よっしゃ、やるか。“大人の喧嘩”って奴をよ」
ヤヨイが小さく咳払いをして、さらに声を潜める
ヤヨイ「証拠を集めると言いましたが、もっと直接的に“誘導”する手もあります」
ヨウタ「誘導?」
ヤヨイは一歩前に出て、小さく頷いた
ヤヨイ「ええ。“相手が悪さをしている状況”を見つけて……そこに“注意”という形で介入します」
ヨウタ「なるほど。煽って、アイツらに殴らせるってわけか」
ヤヨイ「はい。こちらが先に手を出さなければ、殴ってきた時点で“暴行の証拠”になります。後はそれをスマホで撮影して証拠を作ります」
ヨウタ「撮影した後は?」
ヤヨイ「本来なら、警察に提出するのが正攻法です。被害届を出し、診断書を添えて、正式に“暴行事件”として立件してもらう。相手が未成年であっても、それなりの処分は期待できます」
ヨウタ「それってどれくらいかかんだよ」
ヤヨイ「早くても数ヶ月。長ければ半年は見ておくべきです。警察の捜査、検察の判断、場合によっては家庭裁判所での審査も必要になります」
ユウヤ「……」
ヤヨイ「なので今回の件で診断書を取り、正当な手続きを――」
ユウヤ「…ダメだ」
ヤヨイ「え?」
ユウヤは苛立つように首を振り、眉をひそめながら言った
ユウヤ「アイツらは絶対に“示談金”で潰しにくる。謝罪なんて建前だけ、あとは“これでチャラにしろ”って金を積んで終わらせるつもりだ」
ヨウタ「チッ、マジで腐ってんな…」
ユウヤ「そんなんで帳尻合わせて終わりにされんのが一番ムカつくんだよ。金なんていらねぇ…俺が欲しいのは“謝罪”じゃねぇ!“後悔”だ」
ヤヨイ「……」
ユウヤ「それに、法に頼ってたら時間がかかる。そんなんじゃ気が済まねぇ。俺は“今”落としてやりてぇんだよ」
ヨウタ「じゃあ――」
ユウヤ「学校に送りつけてやる。下手すりゃ停学、退学モンだな」
ヨウタ「じゃあ今回は“正当防衛”の出番も“法的制裁”も無しって事か」
ヤヨイ「なら僕達は全力でサポートするまでです」
ヨウタ「…ふっ、らしくねぇやり方だな」
ユウヤ「アイツら、絶対に許さねぇ。潰すぞ、“大人の喧嘩”でな」
ヤヨイ「はい。僕も本気ですから」
ヨウタ「じゃあ、準備始めようぜ。次は──“俺らのターン”だ」
ヤヨイ「けど、どうやって見つけ出すんですか?」
ユウヤ「多分だが、アイツら今日と同じように、あの辺でたむろしてんだろ?俺がやられた場所の近くとかよ」
ヨウタ「なら、その近辺で探すか。こっちから出向いて、タイミング見て“注意”って名目で突っ込む」
ユウヤ「じゃあ、やられ役は俺がやる。アイツらに一番ムカつかれてんの俺だし」
ヨウタ「いや、それはナシだ。お前、まだボロボロだろ?傷跡だって癒えてねぇのに、また殴られたらマジで洒落にならねぇ」
ユウヤ「けどよ…」
ヤヨイ「ここはあの人達に任せましょう」
ユウヤ「…あの人達?」
ヨウタ「フィジカル強めな連中ってことだよ。レンとかシオンあたりな。ぶっちゃけ、殴られ耐性ある奴らに頼むのが一番確実だ」
ヤヨイ「僕は撮影します。証拠は鮮明かつ、決定的に。編集の必要もないレベルの映像を押さえます」
ユウヤ「ああ、わかった。任せる」
ヨウタ「お前は今回はサポート側な。そっちのが全体も見れるだろ?」
ヤヨイ「それと後は計画が失敗する可能性も考えられます。でも……」
ユウヤ「その時はその時、か」
ヨウタ「ああ。やられっぱなしで終わるより、全然マシだろ」
ユウヤ「…ふっ。やっぱ、俺、お前らと一緒にいて正解だったわ」
ヤヨイ「それでは…作戦、開始といきましょうか」
そして作戦開始日。俺達はゲーセン付近で作戦の実行する
レン「なぁシオちゃん?マジでこの格好で突っ立ってんの、キツいんだけど」
ゲーセンの前で浮いている、2人の男。アニメキャラのTシャツにキャップ、リュックに缶バッジをじゃらじゃら付けていた
レン「てか、別に制服で良くね?これやりすぎだろ」
そのとき、ポケットのスマホが震える。画面には「ヨウタ」の名前。通話を繋ぐと、声がすぐに聞こえてきた
ヨウタ「バカ、制服なんかで立ってたら俺達まで身元バレんだろ。下手すりゃこっちの学校まで巻き込まれんぞ。たとえ被害者でも、面倒事は避けたい」
ヤヨイ「“僕達が正しい”のは前提です。でも、それを貫くためには、無用な波紋は避けるべき。だから変装してもらってるんです」
レン「納得はしたけど、納得いかねぇな、やっぱ」
シオン「まぁ終わったら即脱ぐ。後このリュック、重すぎ」
ヤヨイ「その中にはボイスレコーダーとそれをカモフラージュする為の物が入ってます」
シオン「ボイスレコーダーだけで充分だろ?」
ヤヨイ「もしカツアゲされた時、鞄の中を見られても大丈夫なようにと色んな物を入れました」
するとフミがグループ通話に飛び込んできた
フミ「カメラ位置OK、音声も拾える。あとは向こうが釣られるかどうかだな」
そしてシュウジからも連絡が入る
シュウジ「今ゲーセンにいるが、ユウヤが言ってた奴らが外に出た」
ユウヤ「アイツら多分、今日も入り口前でたむろするつもりだな」
ヨウタ「よし、全員スタンバイ。作戦開始だ」
レンとシオンは顔を見合わせ、小さくため息を吐いて、ゲーセンの入り口前へ歩いていく
男A「おい、そこのキモオタ共。ここ、入場料かかるんだよな?」
男B「アニメのTシャツとかマジうけんだけど。テメーら金あんのかよ?」
レン(マジでカツアゲしに来るのか。グッドタイミング〜♪)
シオン(チッ…なにが“入場料”だよ。マジでナメてんのか…)
レン「ヒィッ…な、なに言ってるんスか…!? こ、ここって…無料じゃ…な…ないんでするか…!?」
シオン「ぼ、僕たち、お金なんて持ってないですぅ…!」
男A「は?舐めてるのか?」
男Bがレンの胸ぐらを掴みあげる。その瞬間、レンの目が鋭くなるが、すぐにまた怯えた演技に戻す
男B「さっさと金出せって言ってんだろうが!」
レン「ヒヒィィ…!!や、やめてくださいぃぃ!」
男A「お前もああなりたくなかったら今すぐ金払いな」
シオン「や、やめてくださいぃぃ…!ぼ、ぼぼ僕、そ、そんな…ヒィ…!」
その瞬間、シオンの胸ぐらも掴まれた。彼の奥歯がきしむほど噛み締められ、指先がわずかに震える
シオン(コイツら…ぜってぇ、いつか殺す…!!)
男2人が完全に調子に乗り始めた、そのタイミングだった
フミ「おい、お前らやめろ!」
男2人が振り向くと、そこには険しい目をしたフミと、冷ややかな視線を投げるシュウジの姿
シュウジ「テメェら、弱い奴相手に何してんだ」
男A「…は?なんだテメェら…?」
フミ「今のうちに逃げろ」
その一言で、レンとシオンが逃げ出す。勢いよく走りながらも、顔は俯いたまま“ビビってる風”を崩さない
レン(うし、完璧な芝居。つーか、あと3秒遅れてたら殴ってたけど)
シオン(殺意を隠すのも疲れるわ…)
続けて、フミが声を張る
フミ「くそ、俺達も逃げるぞ!」
男B「あ!待てや!?コラ!?」
男A「チッ…逃げられた…」
シオンとレンは角を曲がった先の路地裏に駆け込み、その場にしゃがみ込んで肩で息をする。顔を上げると、同時にスマホを取り出して通話を繋ぐ
レン「逃げ切ったっぽい。ったく、マジでブチギレ寸前だったわ…」
シオン「俺も手出したら台無しだから我慢したけど、あれ以上続いてたら絶対にブン殴ってタレ」
フミ「こっちも逃げた。カメラと音声はバッチリ録れてる。…あいつらの“入場料”発言も、金を出せってやりとりも、全部な」
シュウジ「レン、シオン。完璧だった。バカみたいにビビってる感じ、めちゃくちゃリアルだった」
レン「俺っち的には黒歴史確定だけどねぇ〜」
シオン「まあ、これでクズ共も終わりだな」
ヤヨイ「記録された証拠はすぐにデータ化して保存します。あとは、しかるべきタイミングで提出すれば――彼らの逃げ場はありません」
ヨウタ「よし!作戦、成功だ」
ユウヤ「お前ら、本当にありがとな」
レン「…じゃ、帰ってTシャツ燃やすか」
シオン「同感だ」
俺達はユウノスケの家でもあるラーメン屋のカウンターに集まりヤヨイのノートPCで録画された動画を再生していた
フミ「“入場料かかる”から始まって“金出せ”までの流れは完璧だな」
レン「しかも、俺っちとシオちゃんに手出してるしね〜」
ヤヨイ「音声も鮮明です。カメラの位置もバッチリ。これ以上の証拠はそうありません」
ヨウタ「後は何処にタレ込むかだな」
ユウノスケ「匿名でタレ込むなら…俺の親父、教育委員会に知り合いいるし、そういうルートも」
ヨウタ「その辺は最後の手段にしとく。まずは、担任か、生徒指導の“まともそうな”奴に見せるとするか」
レン「問題はタレコミした事がバレて逆恨みされる可能性だね〜」
シオン「そん時はもう一発“注意”しに行くだけだ」
フミ「おいおい、次はやる気満々かよ…」
ヤヨイ「それでも事実が映っている限り、言い逃れはできません。映像は時として、暴力よりも有効です」
マサ「…え、なに?また新メニューの話?」
一同「……」
ユウノスケ「…お前はこれでも食っとけ」
マサ「おぉ、チャーシュー多い。なんか知らんけどラッキー」
シュウジ「ああいう鈍感って、ある意味強いよな…」
ヤヨイ「とりあえず、学校のホームページに記載されていた“ご意見・ご相談窓口”のメールアドレスに、データを添付して送ります。匿名で」
ヨウタ「内容的には“生徒の恐喝行為の証拠”って形だな」
ユウヤ「明日、何か動きがあったら俺が連絡する。もし1週間何も起きなかったら、そのときは…SNSでも、教育委員会でも、“ちゃんと出すべき場所”に出すしかないな」
レン「結構な爆弾だしね〜。どう転ぶか…」
シオン「証拠がある以上、学校も無視は出来ないと思うが…」
シュウジ「下手に揉み消そうとしてきたら、それこそ“社会的に終わる”かもな」
ユウノスケ「まあ、動きがなかったら俺の親父ルートも使える。教育委員会に一本入れりゃ、校長くらいは動く」
マサ「あのー、替え玉いい?」
フミ「コイツ、どんだけ緊張感無いんだよ…」
翌日、俺の学校では朝からザワついていた。担任が教室に入るなり、急遽、6時間目に全校集会がある事を伝えたからだ
生徒A「え、今日全校集会あんの?マジで?」
生徒B 「なんか問題起きたっぽいよ」
生徒C「またアイツらじゃね?」
そして、6時間目の全校集会。校長が壇上に立ち、厳しい顔で口を開いた
校長「本校の生徒が、見知らぬ人に暴力的な行為を行ったと外部から報告がありました。証拠として映像という明確な物が存在しました。我々はこの事件を重く受け止めて、この件に関わった生徒を処分致しました」
全校生徒が沈黙する中、校長は淡々と話を終わらせた。全校集会が終わると同時に学校中がざわつき始めた
生徒A「マジで暴力って…誰がやったんだよ」
生徒B「どうせあのグループでしょ。いつもイキってたし」
生徒C「でも、証拠って映像でしょ?なんでそんなの持ってんのかが謎」
生徒D「ユウヤってさ、前あいつらに絡まれてたよな?…いや、まさかな」
俺の名前もポツリと紛れてた。けど、誰も確信は持ってない。あの日のことを知ってる奴なんて、この学校にはいないから
1週間も経てば、あの騒ぎは嘘みたいに静かになった。最初こそ誰がやっただの、あのグループが消えただの盛り上がっていたけど──今じゃもう、誰もその話をしない。まるで最初から、そんな奴らいなかったかのように
ユウヤ(…なんか、呆気ねぇな)
俺は教室の席でぼーっと窓の外を眺めながら、そんなことを考えてた。そんな時だった。担任が教室の扉をノックして、俺の名前を呼んだ
担任「ユウヤ。ちょっと職員室まで来てくれ」
ユウヤ(あ、バレたか?)
内心で少し身構える。けど、俺は「はい」とだけ言って立ち上がった。職員室に入ると、担任は俺に向き直って、少し言いづらそうな顔で言った
担任「落ち着いて聞けよ実はな…今回の件で、学校に対して不信感を持った保護者が何人も出てきてる。“この学校には子どもを任せられない”ってな。お前の親御さんも、その一人だ。もう転入の手続きに入ってる」
ユウヤ「…は?」
言葉がすぐに入ってこなかった。しかし担任は話を続ける
担任「ただ、行き先はお前が自由に決めていいらしい。そう言われてる」
あのクソ親、勝手なことしやがって──でも、妙に冷静な自分もいた
ユウヤ(どうせ変えるなら、バイトOKで家から近いとこがいいな…)
担任「まぁ、前向きに考えてみろ。環境変わるのも悪くないぞ」
俺は黙ってうなずいた。職員室を出た後、廊下を歩きながら、ふっと肩をすくめた
ユウヤ「勝手な事ばっかしやがって…!でも、決めていいってんなら──好きにするか」
そして、放課後に俺達は珍しくハンバーガーショップで集まる事になった
ヨウタ「…で、あの動画送ったあと、結局どうなったんだよ? お前の学校」
ユウヤ「うん、まぁ…大ごとになった。報復してきた奴ら退学なったわ」
フミ「そりゃそうだろ、バッチリ証拠残ってたもんな」
シオン「やることやっただけだ。自業自得だろ」
ユウヤ「なんか、事件がデカくなりすぎてさ。母親が“この学校にはもう任せられない”とか言い出して、勝手に編入決めやがった。たく、マジでふざけんなよ…」
シュウジ「転校するの嫌なのか?」
ヤヨイ「それは意外ですね」
ユウヤ「…いや、正直どっちでもよかったけど、勝手に決められるのが、なんかムカつく」
レン「で、どこ行くん?」
ユウヤ「家から近くて、バイトOKって条件で自分で選んだ。…お前ん所の黒焚商業高校」
レン「マジで!?俺っち総合科だけど…何科にしたん?」
ユウヤ「国際科。英語得意だし、そっちのが楽そうだったから」
レン「…国際科って女子ばっかだぞ?」
ユウヤ「…は?」
レン「いやマジで。俺っちの学校、国際科だけ別世界やもん。ギャルとか、なんか陽キャばっか」
ユウヤ「…マジかよ…俺、ああいうノリ、苦手なんだけど…」
ヨウタ「前の学校じゃ孤立してたもんな。今度はどうなるかねぇ」
ユウヤ「…頼むから放っといてほしいわ。静かにしてたいだけなんだよ、俺は」
フミ「いや、お前…無理だと思うぞ」
転校初日。教室の前に立たされて、担任に促されるように前を向く
担任「じゃあ、今日からこのクラスに入ることになったユウヤ君、軽く自己紹介どうぞ」
ユウヤ「…ユウヤです。前の学校から、ちょっと訳あって転校してきました。英語、まぁまぁ得意です。よろしく」
拍手もなく、ただざわっと空気が揺れただけで自己紹介は終わった。俺は席に案内され座ると、流れるように授業が始まった
ユウヤ(この学校でも大人しくしてるか)
そして、昼休み。俺は購買で買ったパンと紙パックのコーヒー牛乳を手に、教室の隅で1人静かに食べようとしていた、その時
ギャルA「ねえ、ここ座っていい?」
その声が聞こえた瞬間、目の前にもうギャルが1人座っていた。茶髪にネイルばっちり、制服はゆるく崩してて、いかにも“陽”って感じ
ギャルB「あ、ウチもウチもー」
続けてもう1人。こっちは黒髪ロング。席を引っ張ってきて並ぶように座る
ユウヤ「…は?」
ギャルA「転校生君、1人で寂しそうだったから来てあげたー!」
ギャルB「てかてか、何でウチらの学校選んだん?」
ユウヤ「…別に何でもいいだろ…」
ギャルA「つれないー!てか、何食べてんの? あ、コーヒー牛乳派なんだー。うちらフルーツ」
ギャルB「てかさー、スマホかわちない?カバーどこの?」
ユウヤ「いや、見んなよ」
そう言ったときにはもう遅かった。ギャルBが目ざとくスマホを手に取り、カバーの内側に挟んでいたプリクラを見つけていた。
ギャルB「…ちょ、待ってこれ…えっ、えっ!?これって――μ'sの希ちゃんじゃん!!」
ギャルa「マジで!?エグない!?てか、ちょ待って、は??どゆことぉ〜?」
ユウヤ「…最近知り合っただけ。たまたま会って、なんか流れでプリ撮った」
ギャルB「えーっ!?サラッと言うけどそれヤバすぎでしょ!?え、つかそゆのズルない!?ウチらも会いたいんだけど〜〜!」
ギャルA「てか、ユウヤって名前さ、呼びにくくな〜い?」
ギャルB「わかる〜。つかあたしも思ってた。ユウちゃむって感じじゃない?」
ギャルA「え、まってそれ天才〜!ユウちゃむ、似合いすぎ〜!」
ギャルB「じゃあ決まりっしょ!今日からユウちゃむって呼ぶから〜、よろ〜!」
ユウヤ「勝手にすれば?」
ギャルA「うぇ〜い、ツンちゃむキター!ちょ、ユウちゃむ照れてんのガチ尊いんだけど〜!」
ユウヤ「照れてねーし」
ギャルB「出た〜そういうのがギャップ萌えってやつ〜〜!」
ユウヤ(やべぇ奴らに目をつけられた…)
俺は静かに過ごしたいだけだったのに…全然そんな空気じゃねぇ…
放課後。人の波に流されるように校門を出て、帰り道を歩いていたら
希「…あれ?ユウヤ君?」
聞き覚えのある声に顔を上げると、そこには希と絵里がいた
希「偶然やねぇ〜」
ユウヤ「ああ…」
希「そういえばヨウタ君達から聞いたで?転校したんやって。新しい学校、どうやった?」
ユウヤ「…最悪」
希「え?」
ユウヤ「お前とのプリクラのせいで、初日からめちゃくちゃ絡まれた」
希「ウチとの?」
希がぽかんとした後、吹き出す
希「え〜?あのプリ、スマホに貼ってたん?めっちゃ嬉しいやん〜。ニヤけるわぁ〜」
ユウヤ「いや、そーいう問題じゃなくてな…」
絵里「ちょっと待って。希、ユウヤとプリクラ撮ったの?いつの間にそんな関係に…?」
希「別に深い意味ないって〜、なんかその場のノリやん?」
絵里「…ノリって何よノリって」
ギャルA「てかてかてかー!」
ギャルB「何それ?ウケる」
その瞬間、俺は嫌な予感がした
ギャルA「おっ!ユウちゃむやん!」
ギャルB「えっ、ユウちゃむ!?マジでユウちゃむやん!」
ユウヤ「……」
ギャルA「やばっ!今日めっちゃ運命感じるんやけど!」
ユウヤ「あんまり大声で言うなよ」
ギャルA「えー、だって嬉しいやん!まさかユウちゃむと会えるなんて!」
ギャルB「しかも、希ちゃんとエリちまでいるやん!やばすぎる!」
ギャルA「ねぇ、お願い!一緒に写真撮ってくれない?ガチで推しなの!!マジで一生のお願いっ!」
ユウヤ「…いや、俺に聞くなよ」
希「ええやん。みんなで写真撮ろっか♪」
絵里「私もOKよ!」
ギャルA「やった!ほんまありがとうっ!」
ギャルB「やば!も〜ほんま感謝しか勝たん!!」
そう言ってスマホを構えるギャル達。そのまま流れるように希と絵里の間に立ちカメラを構える
ギャルA「はいチーズ〜っ☆…ユウちゃむ、もっと笑ってぇ〜!」
ユウヤ「…何で俺も入ってんだよ」
ギャルB「やだ〜!今日からユウちゃむはうちらの仲間っしょ?写メは基本セットよ〜☆」
ユウヤ「…勝手にすんな…」
写真を撮り終えるとギャル達は希と絵里と一緒に何枚か写真を撮った後、スマホを見てテンション上がっていた
ギャルA「ガチありがと〜っ!マジ一生の宝っしょコレ〜!」
ギャルB「ほんまそれな〜!希ちゃんもエリちも優しすぎん?てかユウちゃむもイケ散らかしてたし〜!」
ユウヤが「イケ散らかしてたってなんだよ……」
ギャルA「ほなユウちゃむ、また明日な〜!バイちゃ〜ん!」
ユウヤ「…あ、ああ」
ギャルB「また、学校でね〜♪」
ギャル2人がキャッキャしながら去っていくのを見送った後──
絵里「…ぷっ…」
隣で絵里が肩を震わせながら、笑いを堪えていた
絵里「…ごめんなさい…その、“ユウちゃむ”って…ふふっ、なんか、クセになりそう…」
ユウヤ「俺だって好きで呼ばれてるわけじゃ…」
希「いや〜ユウちゃむって〜!どんだけ親しまれてんの?今日、出会ったばっかやろ〜?」
ユウヤ「うるせぇ」
希はニヤニヤしながらユウヤのスマホケースを指差す
希「てか、そのプリなんか貼ってるから、ギャルにイジられるんよ〜?」
ユウヤ「お前が撮ろうって言ったんだろ…」
希「貼る選択したのはユウちゃむやん?」
ユウヤ「その呼び名で言うな」
希「ユウちゃむ〜」
ユウヤ「やめろ」
希「ユ・ウ・ちゃ・む〜?」
ユウヤ「…帰る…」
希「ぷっ…ほなまたな、ユウちゃむ♪」
ユウヤ「…ぶっ飛ばすぞマジで」
俺の背後では希と絵里が楽しそうに笑っていた。静かに転校生活を送るはずだったのに、なんでこうなるんだろうな…
つづく
とりあえず次もユウちゃむ回
μ'sは出たっけな?