μ's関係ない
ライブ感で書いてたら出来上がった
昼休み、俺は1人でコンビニで購入した焼きそばパンとからあげ君を食らう。教室や食堂は人が多くて嫌になる。だから俺は、1人になれる中庭で昼飯を食うはずだった
ギャルA「ユウちゃむ発見〜」
突然、賑やかな声が耳に入ってきて、俺は思わず顔を上げた。そこには、予想通りギャルのミカが立っていた
ミカ「また1人で食べてるん?」
ギャルB「ほんまソレな〜」
ミカの隣にいるのはナナ。コイツらはニコイチで行動することが多い。なんていうか、いつも一緒にいるし、意気投合してるんだろうな
ナナ「つーか今日も昼ごはん茶色くね?」
ナナが指を刺して俺の昼飯をじっと見つめていた。焼きそばパンとからあげ君。まさに茶色一色
ミカ「ほんと、ユウちゃむのご飯って毎回地味だよね。何でそんな茶色いのばっかり食べてんの?」
ユウヤ「別に良いだろ」
ナナ「つーか、いつも同じだよね?これ『茶色生活』って言っても過言じゃなくね?」
ユウヤ「うるせぇな。ほっといてくれよ」
ミカ「だって、ユウちゃむは友達だしほっとけないっしょ〜」
ナナ「それな〜」
ユウヤ「ただのクラスメイトだろうが」
ナナ「ただのクラスメイトなら待ち受けこれにしないっしょ?」
ユウヤ「あ!テメー!!」
いつの間に俺のスマホを取ったんだよ!
ミカ「えーこれ待ち受けなん?」
俺のスマホの待ち受けは希と絵里と一緒にいた所をたまたまコイツら2人に出会い、何故か5人で撮った写真
ナナ「つーか、この写真のユウちゃむ、めっちゃ笑ってんじゃん?」
ユウヤ「知らねぇよ。てか、返せっつってんだろ」
俺はスマホをひったくって画面を伏せる
ミカ「でも、あの日はマジ衝撃だったわ〜。ユウちゃむがμ'sの人と普通に話してて、しかもタメ口だし」
ナナ「ユウちゃむって何者なん?」
ユウヤ「…別に、ただの知り合いなだけだ」
ミカ「ふ〜ん? ま、でもそーゆーのも含めてユウちゃむっておもろいよね〜。ナナ?」
ナナ「うんうん、ギャップえぐい。てか放課後さカフェ行かん?あの抹茶のやつ飲みたくてさ〜」
ミカ「賛成〜! ユウちゃむも行こーよ!」
ユウヤ「…悪い、バイトだ」
ナナ「え〜また〜?」
ミカ「ウチらのことよりバイト選ぶとか、ほんま悲しいわ〜」
ユウヤ「うっせー。稼がねぇと焼きそばパンも買えねぇんだよ」
ナナ「それはもうちょっとバランス考えて欲しいとこだけどな〜、茶色すぎて」
ミカ「次の昼ごはんチェックしよっかな〜。ユウちゃむのお昼改善計画!」
ユウヤ「来んな。マジで来んな」
ミカ&ナナ「はーい♡」
放課後。バイト先のラーメン屋にて
フミ「相変わらず美味いな」
ユウノスケ「相変わらずは余計だ」
バイト先には顔見知りのヨウタとフミ、それに穂乃果、海未、ことりが来店しラーメンをすする。俺は黙々と洗い物をこなし、ユウノスケは湯切りしている
ヨウタ「で、学校はどうなんだよ?」
ユウヤ「まぁ…色々と、疲れる」
ヨウタ「なんじゃそりゃ」
フミ「レンから聞いたけどさ、お前…ギャルと一緒にいるらしいな?」
ユウヤ「は? 別に…いてねーし」
俺は若干半ギレ気味に答えた
フミ「あーはいはい、そういうことにしとくわ」
穂乃果「ギャルと…?」
ことり「ユウヤ君って、そういうの苦手そうに見えるけど…?」
海未「意外ですね」
ユウヤ「うっせーな」
俺が洗い物を片付けながら、そう呟くと店の入り口のドアがカランと鳴った
ユウヤ「いらっしゃ…」
そう言って顔を上げた瞬間、俺の目が止まる。そこに立っていたのは案の定、アイツらギャルズだった
ミカ「ユウちゃむじゃーん!」
ナナ「え〜マジで?ここでバイトしてんの?」
ユウヤ「はぁ!?なんでお前らがここに来んだよ!!」
ミカ「インスタで見たからだけど?つーかウチらが来ちゃダメな店なん?」
ナナ「ウチらラーメン大好きなんだけど〜」
そう言うと2人はちゃっかりカウンター席に座る。するとミカが店内を見渡したかと思うと、目を輝かせて声を上げた
ミカ「えっ、ちょ待って!? あれ穂乃果ちゃん達じゃん!」
ナナ「ほんまや!ヤバ〜ッ、ウチらマジで運命感じるんだけど!」
2人はすぐさま席に駆け寄り、スマホを握りしめながらお願いする
ミカ「写真、撮ってもらってもいいですか!? できれば一緒にっ!」
穂乃果「え?私達と? 」
ミカ「ウチらμ'sのファンなんです!」
ユウヤ「お前ら、ここはラーメン屋だぞ」
ユウノスケ「別にいいぞ。今、他に客もいねーし」
穂乃果「2人ともいいかな?」
穂乃果の問いに海未とことりも承諾する
ミカ「せっかくだしユウちゃむ達も入ってよ〜!」
ミカがくるっと振り向いて、カウンターの方へ手を振る
ユウヤ「いや、なんで俺らまで…」
断ろうとしたが俺の腕をナナががっちり掴んで引っ張る
ナナ「いいじゃんいいじゃん、せっかくの記念だし〜♪」
結局、店の前でギャル2人+μ’sの3人+ヨウタ、フミ、ユウノスケ、俺という謎の9人ショットが完成することになった
ミカ「これでウチらとユウちゃむの思い出フォルダ、また増えたね〜♡」
ミカが嬉しそうにスマホの画面を確認しながら言う
海未「……ぷっ」
穂乃果「海未ちゃん?なんか笑ってない?」
海未「い、いえ…っ」
海未は唇をぎゅっと引き結んで顔を背けたが、耳まで赤くなっていた。ことりは手で口元を押さえて、明らかに笑っている
ヨウタ「なぁ聞いた?思い出フォルダだってよ」
フミ「しかも“ユウちゃむ”呼び」
コイツら絶位ワザと言ってるだろ?
ユウノスケ「ユウちゃむ、取り皿ちょうだい」
ユウヤ「ぶっ殺すぞお前ら」
ミカ「じゃーん!さっきの写真、めっちゃ良くない!?インスタ上げよ〜っと♡」
ユウヤ「辞めろ!勝手に上げんな!?」
ミカ「え〜いいじゃん!ウチらの思い出なんだけど〜?」
ナナ「それな〜、映えだし?」
ヨウタ「おーいおーい、揉めんな揉めんな」
その時、奥の席からヨウタがニヤニヤした顔で立ち上がった。何か嫌な予感がする
ヨウタ「ギャルちゃーん。もっといいもん見せてやるよ」
ミカ「えっ?なになに!?」
ナナ「何ソレ!ユウちゃむが写ってんの?」
ヨウタ「当たり前よ」
ヨウタはゆっくりとスマホの画面を開き、例のハロウィンイベントの動画を再生する。この動画ってバンドした時の奴だよな?
ヨウタ「このギターが、ユ・ウ・ヤ♪」
ミカ「えっ、ちょ、これ…!?ギター!?ユウちゃむが!?」
ナナ「弾いてるやん!!何これ!めっちゃカッコよくない!?」
ミカ「てか、決めすぎじゃね!? キメ顔してるやん!? えっ、なに自分ギタリストなん!?」
ユウヤ「テメェ!!!」
ミカ「てかこの時のユウちゃむ、マジでバンドマンっぽくて良き〜♡」
ナナ「ギター弾けるの隠してたとかズルない?」
ユウヤ「おいヨウタ…お前…!!」
ヨウタ「いいもん見れただろ?仮装した時の写真もあるぜ〜」
ニヤつきながらスマホをスワイプして、ギャルズに画面を見せる
ミカ「うわっ…マジ!?なにこれ!」
ナナ「え、ジェイソンやん!!ウケる!!」
ヨウタ「この時、確か俺達で子供達泣かせて海未に怒られたっけな〜」
ミカ「つーか、マスクしててもユウちゃむやん」
ヨウタ「これがウチらのジェイソンちゃむ〜」
フミ「お前…多分、ちゃむの使い方間違ってるぞ」
ナナ「これ保存していい?ってかエアドロして〜♡」
ミカ「後でインスタのストーリーに乗せよ!」
マジでアイツ後で殺す!!余計な事しやがって!?
ミカ「じゃあ〜、ラーメン2つお願いしまーす!あ、チャーシュー多めで♡」
ナナ「ウチ、味玉トッピングする〜〜!あとあと、ユウちゃむが作ったのがいい♡」
ユウヤ「…てめぇらなぁ」
俺は奥歯を噛みしめながら、注文を復唱する
ユウヤ「チャーシュー多めと味玉トッピング、な。言っとくが、写真だけ撮って食わずに残したら出禁だからな」
ミカ「は?ウチらが残すわけないっしょ?」
ナナ「マジでウチら、ラーメンには本気なんだけど〜?」
ミカ「写真は撮るけど、ラーメンも完食するし」
ナナ「スープもな?」
ユウヤ「…そっちは別にまくらなくていいわ」
そのやり取りを見ていた穂乃果が、ちょっと首をかしげながらぽつり
穂乃果「ねぇねぇ、なんでユウヤ君って…ああいう子達に絡まれてるの?」
ことり「うん…確かに、不思議な組み合わせかも…」
海未「仲が良いようには見えませんが、けど、避けてはないような気もします」
ヨウタ「知りたい?知りたいよな〜?」
フミ「ヒントはユウヤのスマホの裏だな」
ことり「スマホの裏?」
ヨウタ「アイツ、スマホの裏に希と撮ったプリクラ貼ってんの」
フミ「で、それがバレて今みたいな感じになりましたとさ〜」
ヨウタ「めでたしめでたし」
ユウヤ「お前ら、今すぐにでも殺してやろうか?」
穂乃果「えっ?ちょっと待って…なんでユウヤ君と希ちゃんがプリクラなんて撮ってるの?」
穂乃果が驚いた声をあげると、ことりと海未も同時に目を丸くする
ことり「それ、どういう関係なの…?」
海未「流石に気になりますね…」
ヨウタ「いや、なんか偶然だったらしいぜ。2人共、たまたま街で会ってさ」
フミ「で、そのままゲーセン行ってプリクラ撮ったって」
海未「本当に“たまたま”なんですか?」
ヨウタ「さぁな?真相は希とユウちゃむしか知らねーけど」
フミ「少なくとも、スマホの裏に貼るくらいには気に入ってるらしいぜ」
穂乃果「へぇぇ〜そうなんだぁ〜…」
穂乃果が意味深に笑いながら、ユウヤのほうをチラッと見る
ユウヤ「な、何だよ…見んじゃねぇよ」
ことり「ふふっ、気になるなぁ〜そのプリクラ♪」
海未「希に、後で聞いてみましょう」
ミカ「ねぇねぇ?ユウちゃむのスマホって、待ち受けもアレだったよね?」
ナナ「うんうん、ウチら見ちゃったもんね〜」
ユウヤ「ちょ、おい待てやコラ、やめろ!!」
ミカ「え〜?だって別に悪いことじゃないじゃん?」
ナナ「そうそう、めっちゃ良い写真だったし〜♡」
ヨウタ「お、まさか…お前、待ち受けも希か?」
ミカ「希ちゃんとエリチとウチら5人で撮った写真なんだけど〜?」
ナナ「しかも、ユウちゃむ何気に笑顔なんよね〜♡」
ことり「え!?絵里ちゃんと希ちゃんも!?」
穂乃果「ど、どういうこと!?何でこのメンバーで撮ったの!?」
ミカ「この前、ユウちゃむが希ちゃんとエリチと一緒にいる時に偶然会って~写真撮ったの!」
ナナ「で、ユウちゃむはその写真を待ち受けになってたってワケ♡」
ユウヤ「テメェらああああああああ!!」
ヨウタ「おいおいおいおい…なんでお前だけそんな美味しい思いしてんだよ」
フミ「マジでズルくね?何でギャルとハーレムしてんの?」
ヨウタ「しかも笑顔って…お前が笑顔とかレアすぎんだろ」
フミ「くっそ…羨ましいわマジで…」
ユウヤ「はぁ!?知らねーよ!!偶然だっつってんだろうが!!」
ヨウタ「はぁ!?こっちはギャルと並んで歩くことすらねぇっつーのに!」
フミ「ホントそれ!お前、ギャルに囲まれてんの自覚あんのかよ!」
ユウヤ「うるせぇな!そんなこと言うならてめぇらも写真撮ってこいよ!!」
ヨウタ「撮れるかバカ!」
フミ「周りにギャルがいねぇっつってんだろうが!!」
ユウノスケ「…お前ら、いい加減静かにしろ。店内響いてる」
穂乃果「…ふぅん。ヨウタ君、そんなにギャルに囲まれたいんだぁ?」
ヨウタ「は?」
ことり「フミ君も、そんなに羨ましいんだ?」
フミ「いや、そりゃあ…って、いや!そう言う事じゃなくて…!!」
穂乃果「へぇ〜…ギャルに囲まれて写真撮って、ニコニコしちゃうのが良いんだ?」
ことり「私達じゃ、ギャルには勝てないもんね…」
ヨウタ「ち、ちげぇって!!そういう意味じゃねぇし!」
フミ「そ、そうだよ!?俺らが言ってんのは、その、なんか…青春っぽいっていうか…!」
穂乃果「ふぅ〜ん…私達と一緒に写真撮っても、そうは思わないんだ?」
ことり「…なんだか、ちょっとガッカリだなぁ〜」
海未「2人共、急にどうしたのですか?」
フミ「…あ、うん。俺らが悪かった…です…」
ヨウタ「完全に騒ぎすぎたわ。すまん…」
ユウノスケ「お前ら、食い終わったらな帰れよ…」
アイツらのやり取りを見てギャルズがカウンターで話してる
ミカ「穂乃果ちゃん、ヨウたぴに矢印向いてんな〜」
ナナ「バレバレだったね〜。あれ完全に嫉妬だわ」
ミカ「ことりちゃんもフミフミにじゃね?」
ナナ「うん、あのトーンはガチ。察して欲しい感すご」
ミカ「なのに男どもニブ過ぎ〜」
ユウヤ「お前ら、面倒な事になるからこれ以上は深掘りするなよ」
ナナ「えー?でも気になるじゃん〜」
そして、翌日の放課後
ミカ「ユウちゃむ、今日は放課後暇でしょ?一緒に出かけよ!」
ナナ「ねー、行こ、行こ!今日はどこ行く?」
ユウヤ「今日は先約があるから、パスな」
俺はスマホを眺めながら答えた
ミカ「えぇー、マジで?残念!」
ナナ「じゃ、2人で行くかー!」
そう言って2人は俺を置いて先に教室を出て行った
こうして、ミカとナナはユウヤを置いて、2人で街に繰り出した。歩きながら話していると、遠くで声が聞こえた。振り向くと、1人の男が女性を脅しているのが見えた
ナナ「え、ちょっと!あの男、何してんの?」
ミカ「ヤバい、あれ絶対脅してるよ…注意しようか」
2人は駆け寄って、その男に声をかけた
ナナ「ねぇ、お前、何してんだよ!女の子に手出すんじゃねーよ!」
男「はぁ?何か言いたいことでもあんのか?」
ミカ「お前みたいなの、許せないんだよ!」
男は怒鳴り声を上げ、逆上する
男「舐めやがって…!」
その瞬間、後ろから男たちが次々と現れ、ミカとナナを囲む
男2「おい、ガキども、調子乗んなよ」
男3「こいつら、面倒くせぇな」
ナナは冷静に判断し、すぐにミカを背後に押しやる
ナナ「ミカ、逃げて!そして誰か呼んで来て!」
ミカ「でも、ナナ…!」
ナナ「早く!あたしが時間稼ぐから!」
ミカはパニックになりながらも、すぐに走り出した。しかしナナは男数人に囲まれ、無理矢理押さえ込まれる
ミカ「ナナっ…ナナぁぁ!!」
ミカはその場に立ち尽くした。目の前で、親友が無理やり車に押し込まれる光景。男の1人がドアを乱暴に閉めた瞬間、エンジンが唸りを上げて鳴る
ミカ「やだ…ナナが…ナナが連れてかれた……!」
頭が真っ白になって、手が震えて、足がすくんで動けない。心臓がバクバクと暴れて、目の前の現実がまるで映画のワンシーンみたいに信じられなかった。ミカはその場にへたり込みそうになったが、ナナの「誰か呼んで来いよ!」という言葉が頭に蘇る
ミカ「お願い!電話に出て…!!」
震える手でスマホを取り出し、ふらふらと道路脇まで走りながら、必死に電話をかけた
場所は変わり、いつものラーメン屋
ヨウタ「なぁ?何で俺達が麻雀なんか教えなきゃいけねーんだよ。面倒くせーっつの」
ユウノスケ「いや、親父が雀卓もらってきてさ。学校の空き教室にでも置こうかなーって」
フミ「お前ら、どうせ学校で浮いてんだろ?なら2人でポーカーでもしとけよ」
マサ「それもアリだな」
ヤヨイ「だったら…ここに卓置けばいいんじゃないですか? 店の奥、少し空いてますし」
シュウジ「そしたら、俺らが来たとき一緒に出来るな」
シオン「つーか、その前に…コイツらにルール教えなきゃいけねーのが1番ダルいわ」
ユウヤ「お前ら、どんだけ面倒くさがりなんだよ…」
そんな、いつものような他愛ないやり取りの中――俺のスマホが震える
《着信:ミカ》
ユウヤ「……ん?」
アイツ、ナナと遊んでるんじゃないのか?まぁ、どうせ暇電だろう
ユウヤ「…何だ?」
俺が通話に出るとスマホ越しに泣きそうな声が飛び込んで来る
ミカ『ユウちゃむっ……ナナが、ナナがっ……!やばいって!どーしよ、どうしたらいーのっ……!』
ユウヤ「おい、とりあえず落ち着け!俺は今、バイト先のラーメン屋にいる。場所わかるよな? …じゃあ、待ってる。すぐ来い」
俺は通話を切ってスマホをしまう
ヨウタ「誰からだ?」
ユウヤ「ミカだ」
フミ「お前、一応連絡先交換してたんだな」
ユウヤ「向こうから勝手に入れてきたんだよ」
フミ「はいはい、そう言う事にしとくわ」
ユウノスケ「つーか、来るってことは何かあったんじゃねーの?」
俺は言葉を返さず、無言で入口の方へ目を向ける。そして3分も立たずして、ミカが全速力で駆け込んできた。ミカは目は潤んで、息は荒く、明らかに尋常ではない様子だった
ミカ「ユウちゃむっ……っ!」
声は震えていて、すぐにも崩れ落ちそうな気配があった。俺は2人に何かあっと嫌でも感じた
ミカ「ナナがっ…!!連れてかれたっぽいの…ウチ……止めらんなくて……!」
ユウヤ「誰にだ?」
ミカ「わかんない…けど、めっちゃ怖そーな連中でさ…!なんか、ヤバい感じの奴ら…」
言葉を繋ぐたびに、顔がどんどん泣き顔になっていく。涙は止まらず、唇も震えてた。その場に立ってるのが精一杯って感じで、とうとう堰を切ったように泣き出した
ミカ「ウチ…どうしたらいいの…!お願い、ユウちゃむ…助けて…!!」
正直、いつもウザ絡みされて迷惑してる。けど、コイツの涙を見て考えるより先に身体が動いた。一歩前に出て、ミカの頭に手を置く
ユウヤ「…りょ…」
たったそれだけ言っただけなのに、ミカはピタリと泣き止んだ。俺の顔をじっと見てる。けど、もう俺は前を向いてた
ヨウタ「ユウちゃむ、俺の後ろ乗れよ。俺も行くから連れてく」
フミ「普段は素っ気ねぇくせにさ、助けにゃ行くんだな」
レン「ベジータ気取りでっさ。全く素直じゃないんだから〜」
俺は何も言い返さなかった。言葉より先にやることがある
シオン「ヤヨイ、お前は俺の後ろ乗れ。シュウジ、その子を後ろ乗せてやれ」
シュウジ「ああ。じゃ、俺らも準備するか」
マサ「ユウノスケ〜、後ろ乗せて〜」
ユウノスケ「自分のバイクに乗れよ」
空気が変わった。俺が立ち上がっただけで、全員が何も言わずについてきてる。誰一人、文句を言わない。目的はただ一つ――ナナを助ける事。全員が同じ方向に歩き出す。のれんをくぐって、俺達はそれぞれの愛車へと向かった
ヤヨイ「きっと大丈夫ですよ。あの人達、本気ですから」
僕はミカさんと一緒に店の外に出ると、ユウヤ君とヨウタ君の姿はもうなかった
シオン「ヤヨイ、準備しとけ。俺もバイク出すぞ」
ヤヨイ「わ、分かりました。それより先に行った2人は場所分かってるんですか?」
僕の発言でみんな「あっ」て顔をした。きっとこの人達も僕ら2人を待たなかったら一緒に行ってたんだと思う
ミカ「……えぇ?もう…?ほんっとバカ……」
呆れたようにため息をつきながら、スマホを取り出した
ミカ「ユウちゃむに連絡すんね。ウチ、ナナとGPS共有してるから」
場所は変わり、走行中のバイク。ポケットのスマホが震え、俺は片手を伸ばして素早く取り出し、画面を確認する
《場所知らねーくせに先行くなバカ!ナナとウチはGPS共有してんの!今、場所送るから!》
直後、地図アプリのピンが届く。目的地の位置情報が表示された
ユウヤ「どんだけ仲良いんだよ…アイツら…」
思わず小さく呟いてから、前を走るヨウタに声を飛ばす
ユウヤ「ヨウタ!今、場所送られてきた!このまま右折、あと1.5キロ先!」
ヨウタ「了解!つーか場所分かるってGPSとかで居場所共有してんのか?今どきだな。便利すぎだろ」
ユウヤ「…そーいう問題じゃねーけどな」
エンジン音が一段と唸りを上げる。アイツは前だけを見据え、アクセルをさらに踏み込んだ
ラーメン屋の店先。ミカがスマホを見つめながら、ぽつりとつぶやいた
ミカ「ユウちゃむ、既読ついた」
フミ「そんじゃ、俺らも行くか」
レン「やっべー、今日の俺っち達マジでイケてんね〜」
シオン「ヤヨイ。しっかり掴まってろよ。飛ばすぞ」
ヤヨイ「はいっ!」
ミカ「ウチ、ミカってんだ〜♪ とりま、よろぴくぅ〜☆」
シュウジ「シュウジだ。落ちんなよ、ギャル姫」
ミカ「シュウまるの運転なら余裕っしょ〜⭐︎ つか、フツーに頼れる〜♪」
ユウノスケ「おい、ちゃっちゃと行くぞ!」
その背に当然のようにマサがまたがろうとするが、即座に突き返される
ユウノスケ「お前、自分のバイク持ってんだろ!」
マサ「え〜ちょっとくらい楽させてくれてもよくね?」
文句を言いながらもしぶしぶ自分のバイクへ戻るマサを横目に、他のメンバーは次々とエンジンをかけ始めた。軽くアクセルを吹かしながら、バイクが静かに動き出す。誰も言葉を交わさずとも、その背中に込められた想いは同じだった
倉庫内。ナナは床に押し倒され、口にはガムテープ。複数の男たちに手足を押さえつけられ、もがくこともできずにいる
男1「さーて…お楽しみといきますかぁ?」
ニヤリと笑った男が制服に手をかけた――その時
「ガッシャアアアアンッ!!」
倉庫の窓ガラスが派手に割れ、2人の人影が飛び込んでくる
ユウヤ「馬鹿!お前!?前みろ!!」
飛び込んだ先には、ドラム缶、段ボール、木材が山積み
ヨウタ「うおおおおおっ!?あっぶね、あっぶねっ……うあああああああ!!」
ユウヤ「って、ばっか、お前滑んじゃ――」
ズザザァァァッ!!!と鈍い音と共にスリップ&クラッシュ。積み上がったガラクタをなぎ倒し、派手に転がる
ヨウタ「うぐっ……いってぇぇぇぇ!!腰!!腰が粉々になったぁぁあ!!」
ユウヤ「……テメー、ちゃんとしろよ。ヘルメットなきゃ今頃死んでたわ……」
男2「な、何だコイツら……」
相手が唖然としてるなら俺達は起き上がる
ヨウタ「その前にバイクの修理費寄越せコラァ!!このやろー!!」
ユウヤ「……壊れてねーだろ、別に」
立ち上がると同時に、ユウヤは一歩前に出る。たく、こっちとら腰が痛ぇってのに…痛み引くまでジッとさせてくれよ
ユウヤ「行くぞ」
ヨウタ「上等だ、ぶっ飛ばすぞオラァ!」
俺達そのまま、敵の中心へと飛び込んで行った。拳と拳、足と足がぶつかり合い、鋭い衝突音が倉庫中に響く。怒号が飛び交い、戦場は一気に騒然となった
「ブォォォン……!!」
するとバイクのエンジン音が轟き、バァン!!と扉が蹴破られ、数人の影が雪崩れ込む
レン「おっすぅ〜☆ どうも〜レンレンなり〜」
フミ「たく…お前らだけで遊んでんじゃねーぞ」
シオン「数は同じくらいか。なら勝てるな」
シュウジ「武器持ってたとしても相手の方が分が悪そうだな」
ユウノスケ「派手に暴れてんな。ならこっちも遠慮はしなくていいな?」
マサ「とりあえず早く終わらせて麻雀の続きやろ」
混乱の中で倉庫の隅に倒されたままのナナを見つけたミカは駆け寄り、倒れ込むようにその手を取った
ミカ「ナナ! 大丈夫!? ウチ、来たからっ……!」
ナナは涙ぐんだ目で何度も頷きながら、声にならない声でミカの名前を呼ぶ。 すぐ隣にいたヤヨイが、手早くナナのガムテープを剥がしながら静かに言った
ヤヨイ「今のうちに、外に出ましょう。ここ、もうすぐもっとヤバくなります」
ミカ「……うん!」
ミカとヤヨイはナナを支えながら、隙を突いて出口の方へと向かっていく
数分後、激しい衝突も束の間、敵はあっけなく全滅。転がる男達を見下ろしながら、ユウノスケがスマホを取り出して警察へ通報する
ユウノスケ「……あー、はい。拉致と暴行未遂です。場所は──」
そして、すぐにサイレンが遠くから響き始め、男共はしょっ引かれ無事に事件は解決した
ナナ「ユウちゃむぅ〜っ…怖かったよぉ〜!!」
勢いよく抱きつこうとするナナを、俺はヒョイッと避ける
ユウヤ「……無事ならそれでいいだろ」
ナナ「むぅー……」
不満げに唇を尖らせながら、ナナが潤んだ目で俺をじっと見上げてくる
ナナ「……ユウちゃむ、ありがと」
そう言うと、彼女は俺の右頬にキスを落とした
ユウヤ「っ……!?」
不意を突かれて固まった俺の右腕に、ナナがぴったりと組みつく
ミカ「ならウチも〜♪」
ミカも反対側にスッと回り込み、左頬に軽くキスしてきた
ミカ「ユウちゃむ…カッコ良かったよ♡」
耳元で囁かれ、左腕にも柔らかな感触が絡みつく
ヨウタ「オイ!?こらぁああああ!!」
レン「何でお前だけそーなるんだよ!?ズルない!?俺っちもチューされたい!!」
フミ「おかしいだろっ!?何でお前がモテ役だよ!?立場わきまえろや!」
ユウヤ「いや俺が知るかよ!?なんでキレられてんだよ俺!!」
まるで自分が悪者扱いだ。意味わかんねぇ…
ナナ「てかさ〜、ヨウたぴは穂乃果ちゃんがいるじゃん?」
ミカ「フミフミも〜、ことりちゃんいるし〜?」
その一言で、2人の顔が一気にこわばる
ヨウタ「そっ、それとこれとは別だしっ!!」
フミ「な、何言ってんだお前らっ、これは事故!事故みたいなもんだ!!」
ナナ「ふーん? ウチらは全然してもいいけど〜?穂乃果ちゃんとことりちゃんに…話すよ?」
ミカ「ね〜?ついで証拠の動画でも撮っとく?」
ヨウタ&フミ「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!」
シオン「たく…また、くだらねぇ事言ってるよ」
シュウジ「まぁ、いつもの三馬鹿だな」
ヤヨイ「平常運転と言いますか…何と言いますか…」
マサ「いいなー…ユウヤ」
ユウノスケ「お前が言うな」
ミカ「ねぇねぇ?ユウちゃむ帰りにタピろ〜よ〜!」
ナナ「それな〜!なんかもう甘いの飲まなきゃやってらんないって感じ〜!」
事件解決してまだ数分しか経過してないのに、このテンションの落差。まるで何事もなかったかのように、2人は俺の腕をがっつり掴んだまま目を輝かせてる
ユウヤ「……は?いや俺は…」
ミカ「はぁ〜?今日はユウちゃむが主役じゃん? ご褒美ご褒美♪」
ナナ「てか、拒否権なくない?助けた女の子とタピるのがマナーでしょ?」
ユウヤ「どんなマナーだよ……」
ナナ「行くよ〜♡」
ミカ「んじゃ、タピ屋決定〜!」
待て。引っ張るな。そもそも俺の意思どこいった。右と左から勢いよくグイグイ腕を引かれ、俺の足は自動的に前に進む
ユウヤ「ちょ、引っ張んな!ってかタピオカとか…」
ミカ「奢ってくれるんだ〜さすがユウちゃむ!」
ナナ「さっすが〜!そういうとこイケメン〜!」
ユウヤ「俺さ一言もそんなこと──」
ナナ「じゃあストロベリーミルクで〜♡」
ミカ「ウチは黒糖で〜♡」
ユウヤ「つーか逆だろ。普通、助けた側が奢られる側だろーが」
ミカ「細かいことは気にすんなって〜!」
ナナ「そーそー♡だって今のユウちゃむ、両手に花なんだし?」
ユウヤ「花は花でもラフレシアだろ」
ミカ&ナナ「なにそれひっどー!!」
ヨウタ「つーか、何でアイツだけイチャついてんだよ…」
レン「ムカつく…めちゃくちゃムカつくわ…」
フミ「アイツ…どこの少女漫画の主人公だよ…」
ため息交じりに愚痴る三馬鹿
ヤヨイ「なんやかんやで馴染んでますね、ユウヤ君」
ナナ「ほらほら〜早く〜!タピ冷めちゃう〜♡」
ユウヤ「冷めるってなんだよ…?」
ミカ「ユウちゃむは黙って奢ればよろし♪」
ユウヤ「はいはい…」
ヨウタ「…で、俺らはどうすんの?腹減ったんだけど」
レン「わかる〜!タピとか甘ったるいのより、濃い物ガッツリいきたい気分〜」
マサ「王将どう?餃子とチャーハン」
フミ「なら、天一もアリだな」
レン「いや、ジョイフルでダラダラしない?」
ヤヨイ「意見割れてますね」
シオン「優柔不断の極みだな」
ユウノスケ「……どこでもいい。早く決めろ」
ヨウタ「じゃあ多数決──とか面倒だ。マサの案で王将!」
マサ「やったぜ」
フミ「じゃあ、早く行くか」
シュウジ「腹満たして帰ろーぜ」
レン「やっぱ、タピより餃子っしょ⭐︎」
そんなこんなで、ユウヤがモテてる裏で、俺達はいつも通り飯へ向かった。アイツを羨ましいとは思うが、まぁ〜今の俺達は花より団子の気分だった
つづく
悩む
ユウちゃむは希に行くのか?
ギャルに行くのか?