ラブライブ!〜不良とアイドル〜   作:kick up men

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ごめん遅れた
めちゃくちゃ今回の話
書くの詰まった
最後がめちゃくちゃ悩んだ
それで時間掛かった
誠にごめんなさい
そしてやらかした


第50話

3学期始まりの朝。目覚ましが鳴る前にスマホの振動で目が覚めた。布団の中で身じろぎして無意識に眉をひそめる。半分寝たまま画面を見るとぼやけた視界の中に、はっきりと映る名前

 

――高坂 穂乃果

 

ヨウタ(…朝っぱらからかよ)

 

けど、その名前を認識した瞬間、眠気とは別の何かが胸の奥で静かに動いた。時刻は7時丁度。頭はまだ回っていないのに指だけが先に動いて、通話ボタンを押す

 

ヨウタ「…もしもし」

 

穂乃果『おはよー起きてた?』

 

ヨウタ「…今、起きた…」

 

自分の声が思っていたよりも低くて掠れている

 

穂乃果『そっか。よかった』 

 

少し安心したみたいな声。それだけで、布団の中の温度が変わった気がした

 

ヨウタ「で、何の用事?」

 

穂乃果『えっとね…一緒に登校しない?』

 

ヨウタ「……」

 

言葉が出ない。断る理由なんて最初から無いのに…

 

穂乃果『昨日さ…恋人になったでしょ?』 

 

その一言で、眠気が完全に消えた

 

穂乃果『だから、少しでも一緒にいる時間、増やしたいなって』

 

心臓が余計に跳ねた気がした。朝だからでは無い。その言葉の重さをちゃんと受け止めてしまったから

 

ヨウタ「…ずりぃな…お前…」

 

穂乃果『え?』

 

ヨウタ「…行くに決まってんだろ」 

 

穂乃果『じゃあ、7時半に、いつもの角で待ってるね♪』

 

ヨウタ「…ああ…」

 

穂乃果『遅れないでよ?』

 

ヨウタ「…努力する」

 

電話が切れると、俺はスマホを胸の上に置いたまま、天井を見上げる

 

ヨウタ(…完全に目ぇ覚めた)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺は約束より少し早く、いつもの角に着いていた。腕組みして立ちながらもソワソワして落ち着かない

 

ヨウタ(はぁ〜朝っぱらから何やってんだか…)

 

冬の冷たい風が頬を撫でる。だけど、どこか気持ちいい。すると、遠くから元気な足音が近づいてくる。

 

穂乃果「ヨウタ君〜!」

 

振り返ると白い息を吐きながら穂乃果が手を振って走ってきていた。

 

ヨウタ(…朝からテンション高けぇな…) 

 

穂乃果「ごめん!待たせちゃった?」

 

ヨウタ「いや、俺も今着いた所…」

 

嘘。本当は落ち着かなくて待ち合わせより早く到着していた。けど、それがバレるのは何か恥ずい

 

穂乃果「じゃあ、行こっか!」 

 

ヨウタ「…ああ」

 

手を繋ぐわけでもないのに並んで歩くだけで胸の奥がじんわり熱くなる。学校へ向かう道のりも、いつもより少しだけ長く特別に感じた

 

穂乃果「ね、ヨウタ君」

 

ヨウタ「…ん?」

 

穂乃果「今日さ…みんなに付き合った事…話す?」

 

ヨウタ「…どっちでもいい。つーか、正直言うとめんどくせぇ」

 

穂乃果「何かヨウタ君らしい」 

 

穂乃果少し呆れて笑うが、すぐに真剣な顔になる

 

穂乃果「私はね…ちゃんと伝えたいなって思ってる」

 

ヨウタ「……」 

 

隣の歩幅と声のトーンを意識しながら何を言えばいいのか考える。けど、言葉がすぐには出てこない

 

穂乃果「隠すのも嫌だし、勝手に噂されるのも嫌だし…それに…大事なことだから」 

 

その言い方に胸の奥がぎゅっと締め付けられる。少しだけ間を置いて俺は前を向いたまま口を開いた

 

ヨウタ「…朝はやめとけ」 

 

穂乃果「え?」

 

ヨウタ「放課後、部室でみんなに話す。それで良いだろ?」

 

穂乃果は一瞬ぽかんとした後にぱっと笑った

 

穂乃果「…うん!じゃあ、放課後にしよ!」 

 

ヨウタ「たく…朝から元気過ぎだろ」 

 

穂乃果「だってさ、好きな人と一緒に登校してるんだよ?」

 

その言葉に俺は何も返せなかった。昨日までの朝と違い今日の朝は確かに、二人だけの特別な時間になっている

 

穂乃果「ヨウタ君、ちょっと緊張してる?」 

 

ヨウタ「気のせいだ」

 

その言葉に俺は少し意地になる。すると、穂乃果が歩きながら軽く蹴るようにして俺の腕に寄せてきた拍子で、足を滑らせる

 

穂乃果「あっ!」

 

その瞬間、俺は反射的に腕を伸ばし肘をしっかり掴んだ

 

ヨウタ「おい、大丈夫か?」 

 

穂乃果「ん…うん、大丈夫」

 

顔を赤くして照れ笑いするその様子に、胸がぎゅっとなる 

 

ヨウタ(コイツの事、放っとけねぇな)

 

胸の奥でざわつく気持ちを押さえつつ俺はただ前を向いて歩いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。部室の空気はいつも通りだが、1つだけ違った

 

フミ「話ってなんだ?」

 

俺にみんなの視界が集まってる。どうでもいいと言っていたが今は心臓の音がうるさくて厄介だと感じる

 

ヨウタ「…実は俺と穂乃果」

 

一度、息を吸う。そして覚悟を決める

 

ヨウタ「付き合うことになった」 

 

部室は一瞬、沈黙に包まれた…と思ったが

 

シオン「話ってそれだけか?」

 

ヨウタ「それだけ?まぁ…それだけだ」 

 

シュウジ「そうか」 

 

ヤヨイ「それだけなんですね。僕達はてっきりラブライブ決勝の話かと思ってました」

 

ヨウタ「いや!待て待て!?軽くねぇか!?お前ら!!」 

 

にこ「逆に聞くけどさ。アンタ達、なんでバレてないと思ってたのよ」

 

にこが呆れた顔で俺に問う

 

ヨウタ「…え?」

 

真姫「だって、2人共あからさまに分かりやすかったし」

 

希「穂乃果ちゃんなんて、ヨウタ君の話になると、声と顔にすぐ出るんよ」

 

絵里「それに、ヨウタも気づいたら穂乃果を最優先に動いてたわ」

 

言い返せない。身に覚えがあり過ぎる…

 

シオン「つまり、今さらだな」

 

ヨウタ「…お前らな〜他人事だと思いやがって…」

 

花陽「けど、おめでとうございます。2人共、凄くお似合いだと思います!」 

 

凛「かよちんの言う通りニャ!2人共、末長く幸せにニャ!」

 

ヨウタ「はぁ〜…祝ってくれるのは、可愛い後輩2人だけかよ」

 

海未「…ヨウタ、少し良いですか?」

 

海未が静かに俺の前に出ると、部室の空気が少し引き締まる

 

海未「2人の事ですので、とやかく言うつもりはありません」

 

その声は柔らかいが、鋭さを帯びている

 

海未「ですが、大切に思う覚悟はございますか?」

 

ヨウタ「え、あ、ああ…はい」

 

海未「軽い気持ちで付き合うのなら、相手を傷つけることになります。どうか、その気持ちは揺るがせず、誠実に向き合ってください」

 

ヨウタ「…わ、わかりました!絶対、大事にします!」

 

シュウジ「まるで極妻みたいだな…」

 

シオン「どっちかというと頑固親父だろ」

 

ことり「あ、あの…実は…」

 

その時、ことりが小さな声で口を開く。部室中の視線が一斉にことりに集まり、みんなの頭の上にハテナが浮かぶような沈黙が走る

 

フミ「ことり、俺から言う」

 

ことりの言葉を遮るとフミが口を動かした

 

フミ「実は俺とことりも付き合ってる」

 

数秒の沈黙の後、驚愕の声が部室に飛び交った

 

シオン「はぁ!?いつから!?」

 

フミ「ハロウィン後ぐらいから」

 

ヤヨイ「ということは、2ヶ月前からですか…」 

 

シュウジ「マジかよ…」

 

絵里「全然、気付かなかったわ」 

 

真姫「本当、意外な組み合わせよね」

 

ヨウタ「ちょっと待てぇい!?」

 

フミ「どうした?」

 

ヨウタ「ワイ!ジャパニーズピーポー!?おかしいだろ!?」

 

シュウジ「でた。厚切りベーコン」

 

シオン「厚切りジェイソンだ。何で美味しそうな名前に変わってるんだよ」

 

ヨウタ「俺の時とフミの時で温度感違い過ぎねーか!」

 

花陽「えっと…ヨウタ君と穂乃果ちゃんは分かりやすく出てました。声とか、表情とか、動きとか…もう全員にバレバレでした」

 

真姫「アンタ達と比べたら、ことりは控えめだし、フミも表に出さないタイプだから。みんな2人が両想いとは全然気づかなかったの」

 

ヨウタ「はぁ…気張って損した…」

 

絵里「でもね。ヨウタ、それって悪いことじゃないの」

 

ヨウタ「どう言う事だよ?」

 

絵里「だって、みんな薄々気付いてたけど止めなかったのよ」

 

ヨウタ「それがどうした?」

 

絵里「貴方なら穂乃果を雑には扱わない。みんな、そう思ってたから」

 

ヨウタ「…勝手にそう見えてただけだろ?」

 

希「せやけどな、それくらいヨウタ君の本気がみんなに伝わってたって事や」

 

ヨウタ「……」

 

希「態度も、目も、声も、穂乃果ちゃんの事になると、隠せてへんかったもん」

 

なんつーか、これ以上はやめてくれと俺は思う

 

凛「あ!照れてるニャ!?」

 

ヨウタ「照れてねぇ!!」

 

絵里「そういうところよ」

 

ヨウタ「…うるせぇな…」

 

にこ「アンタ達、ちょっといい?」

 

ヨウタ「何だよ?まだあるんか?」

 

にこ「大アリよ!」

 

にこの声で空気が引き締まる

 

にこ「別にμ'sは恋愛禁止なんてしてないけど、立て続けに2組もカップルが出るってどうなの?アイドルとしての自覚、ちゃんとあるわけ?」

 

ヨウタ「…よく言うぜ」

 

にこ「はぁ?」

 

フミ「全くだ」

 

にこ「ちょ、ちょっとどういう意味よ?」

 

ヨウタ「マサって相手がいるのに、よくそんなこと言えるよな」

 

にこの顔が、みるみる真っ赤になる

 

にこ「なっ…!?マサはただの幼馴染みって言ってるでしょ!!」

 

ヨウタ「一番、動揺してるじゃねーか」

 

希「にこっち、分かりやす〜」

 

真姫「説得力、ゼロね」

 

にこ「ええーい!うるさーい!!話を逸らさないで!私はアイドルとしての話をしてるの!」

 

ヨウタ「んな事、言われてもなぁ〜」

 

フミ「説教する側の余裕じゃない」

 

にこ「…べ、別に良いじゃない。た、ただの幼馴染みなんだから!」

 

フミ「幼馴染みだからって毎度毎度、家に連れて来るのはどうなんだ?」

 

にこ「なっ…!?」

 

ヨウタ「週刊誌にすっぱ抜かれたらヤバいと思うぜ。『現役スクールアイドル、夜に男と密会』とか」

 

にこ「アレはマサから来るのよ!?」

 

真姫「その必死さが一番怪しいわよね」

 

希「これはもう、クロに近いグレーやねぇ」

 

にこ「グレーじゃない!ホワイトよ!!」

 

ヨウタ「まぁ、なんだ。アレだ。推しの子でもさ、アイは妊娠と出産を隠し通せたし」

 

にこ「はぁ!?」

 

ヨウタ「ワンチャン、イケるじゃね?気合と根性と周囲の全面協力があれば」

 

にこ「いけるわけないでしょ!!つーか、何の話してんのよアンタ!!」

 

ヤヨイ「比較対象が極端過ぎますね…」

 

シオン「現実的では無いよな」

 

ヨウタ「冗談だ。まぁ、そう真っ赤にすんな。血管に悪いぞ」

 

にこ「誰のせいだと思ってんのよ!!」

 

希「にこっち、完全にペース持ってかれてるなぁ」

 

真姫「自分で話振ったのにね」

 

にこ「……っ!!」

 

にこは悔しそうに唇を噛みしめる

 

にこ「と、とにかく!恋愛は自由でも節度は大事って話よ!」

 

ヨウタ「はいはい、アイドル様のご高説ありがとー」

 

フミ「説得力はさておきな」

 

にこ「さておくな!!」

 

ワーワー騒いでる中、希がふと海未の方を見ると、肩をすくめながらニマリと笑う

 

希「それにしてもやなぁ〜ことりちゃんも穂乃果ちゃんも恋人出来て、海未ちゃんは2人に先越されてもうたな〜?」

 

海未「……っ」

 

その言葉に一瞬、空気が止まるが海未は背筋を伸ばし、視線を前に戻す

 

海未「何を言っているのですか。学生の本分は勉強です。恋愛は二の次です!今は考える必要すらありません」

 

きっぱり言い切るが、どこか落ち着かない。その仕草だけで、希は海未の微妙な動揺を読み取った

 

希(まだ咲いてへんけど…芽は出とるな〜)

 

ヤヨイ「みなさん、祝福ムードも良いですがラブライブ決勝のことも考えないといけませんよ」

 

ヨウタ「そう言うけど、何を話すんだよ?」

 

花陽「色々とありますが、一番大切だと言われているのがキャッチフレーズです」

 

穂乃果「キャッチフレーズ?」

 

花陽「はい!出場グループはこのチーム紹介のページに自分達のキャッチフレーズを付けることができるんです」

 

シオン「なるほどな。キャッチフレーズでいかにグループを印象づけられるかで注目度が変わってくるということか」

 

ヨウタ「キャチフレーズね〜。例えるなら…笑いのニューウェーブとか?」

 

フミ「陣内智則じゃねーか!」

 

ヨウタ「じゃあ、コント仕掛けのスペシャリスト」

 

フミ「いや、アンジャッシュ!?」

 

ヨウタ「おお!ボリューム感の挟み撃ち」

 

フミ「サンドウィッチマン!つーかお前、エンタの神様大好きだな!?」

 

ヨウタ「爆笑レッドカーペットも行けるぞ。ちなみにカミナリのM-1キャッチフレーズはダークホースと進化のどつき漫才だ」

 

ヤヨイ「2人共、真面目にやって下さい」

 

シュウジ「時間もまだあるみたいだし、各々で考えてみる?」

 

つーわけで一旦、キャッチフレーズを決めるのは保留となった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果「μ’sを一言で表す…う~ん…」

 

穂乃果は帰り際に両腕を組んでキャッチフレーズのことで考えていると、何か思いついたのか話し出す

 

穂乃果「あっ!石鹸じゃない!」

 

海未「そんなの当たり前です!」

 

穂乃果「9人?」

 

海未「それも当たり前です!」

 

穂乃果「じゃあ海未ちゃんも何か考えてよ!」

 

海未「そんなのは分かっています!ですが…」

 

ことり「なかなか難しいよね。9人性格も違うし、1度に9人が集まったわけでもないし…」

 

フミ「確かにそうだよな」

 

穂乃果「でも優勝したいって気持ちは一緒だよ!」

 

海未「となると思いつくキャッチフレーズは…」

 

ヨウタ「シンプルに『ラブライブ優勝!』でよくね?」

 

海未「いや、何様のつもりですか!?」

 

俺達がキャッチフレーズであれこれ言い合っていると、ふと視界の端に動く影。信号が青に変わり、向かいの歩道からA-RISEのツバサがこちらに向かって歩いてくるのが見えた

 

ヨウタ「…ん、あれはツバサか?」

 

穂乃果「ツバサさん…」

 

ツバサ「高坂さん、それと彼とも話したい事があるの」

 

穂乃果「えっ?」

 

ヨウタ「俺もか?」

 

いや、何で俺も?正直気まずいんだが…みんなが行ってきて良いと言うので俺と穂乃果は少し離れた公園にツバサと向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

少し離れた公園に移動してきた俺達

 

 

ヨウタ(これ、俺いる?)

 

2人の間に流れる空気は、なんというか…重みがある。俺が言葉を挟む余地は俺にはない

 

ツバサ「どうぞ」

 

穂乃果「あ、ありがとうございます!」

 

2人はベンチに座り、穂乃果はツバサから奢ってもらった缶コーヒーをゆっくり飲む。俺は少し後ろで立ったまま、2人の会話を見守るしかなかった

 

ツバサ「ごめんなさいね。でもどうしてもリーダー同士で話したくてね」

 

穂乃果「いえ…。海未ちゃん達もきっと分かっていると思いますから…」

 

ツバサ「練習は頑張ってる?」

 

穂乃果「はい!本戦ではA-RISEに恥ずかしくないライブをしなきゃって、みんな気合い入ってます!」

 

ツバサ「そう…」

 

穂乃果「あの…A-RISEは…」

 

ツバサ「心配しないで、ちゃんと練習してる。ラブライブっていう目標がなくなってどうなるかって思ったけど、やっぱり私達…歌うことが好きなのよ」 

 

穂乃果「良かった…」

 

ツバサ「ただやっぱり、どうしてもちゃんと聞いておきたくて…私達A-RISEは最終予選…全てをぶつけて歌った。そして潔く負けた。その事に何の蟠りもない」

 

穂乃果は少し理解した様子で頷く

 

ツバサ「…と思ってたんだけどね」

 

穂乃果「えっ?」

 

ツバサ「ちょっとだけ引っかかってるの。何で負けたんだろうって…」

 

穂乃果「そう…なんですか…」

 

ツバサは缶コーヒーを自分の頬に当て、温めながら話す。その仕草さえ、なんとなく真剣で、俺は居心地が悪くなる

 

ツバサ「理由は分からないのよ。確かにあの時、μ’sは私達よりも多くのファンの心を掴んでいたし、パフォーマンスも素晴らしいライブだった。結果が出る前に私達は確信したわ…でも…なぜそれができたの?」

 

穂乃果「えっ?」

 

ツバサ「確かに努力はしたんだろうし、練習を積んできたのは分かる。チームワークだっていい。だけどそれは私たちだって一緒」

 

穂乃果「それは…」 

 

ツバサ「むしろ私達は、あなたたちよりも強くあろうとしてきた。それがA-RISEの誇り、スタイル。だから負けるはずがない…そう思ってた。けど負けた。私はその理由を知りたいの!」 

 

穂乃果「えっ?」

 

ツバサ「μ’sを突き動かしているのは何?あなたたちを支えているもの…原動力となる想い。それは何なの?」

 

穂乃果「えぇ!?えーっと…ごめんなさい!私、そういうのよく分かんなくて…」

 

穂乃果は答えられず、戸惑った顔のままツバサを見上げる。俺も立ったまま、どうすることも出来ないでいる

 

ヨウタ(あー色んな意味で気まずい…何で俺も呼んだんだよ…)

 

穂乃果は結局、答えを出せず少し浮かばれない表情のまま俯いたままだっが、その沈黙をツバサは無理に破ろうとはしなかった

 

ツバサ「ごめんなさいね。いきなり、こんな話をして…」

 

穂乃果「い、いえ…」

 

ツバサ「でも、話が出来てよかったわ。引き留めてしまって、本当にごめんなさい」 

 

そう言ってツバサは柔らかく微笑む。さっきまでの鋭さが嘘みたいに声のトーンは穏やかだった

 

ツバサ「……それと」

 

一拍、間を置いてから俺と穂乃果の顔をじっと見る 

 

ツバサ「貴方達、付き合っているの?」

 

穂乃果「えっ…!?」

 

唐突な問いに、穂乃果は目を丸くする。俺はというと心の中で思わずため息をついた

 

ヨウタ(ほら来た…やっぱ、それ聞くためだろ)

 

穂乃果は少し視線を泳がせた後、小さく頷く

 

穂乃果「は、はい…」

 

ツバサ「そう……」

 

ツバサは納得したように、ゆっくり息を吐く

 

ツバサ「ふふ、とてもお似合いよ。高坂さん」

 

穂乃果「そ、そんな…」

 

ツバサ「本当よ。貴方を選んだってことは…彼、なかなか見る目があるわね」

 

その言葉に今度は俺の方が微妙に居心地が悪くなる

ヨウタ(いや、そこで俺見るかね?)

 

ツバサは一瞬だけ、意味深な笑みを浮かべてから、何事もなかったかのように言う

 

ツバサ「今日はありがとう。貴方達と話せて、少しだけ答えに近づけた気がするわ」

 

穂乃果「…よかったです」

 

そう言って、穂乃果はほっとしたように笑う

 

穂乃果「じゃ、みんなの所に戻りますね。あんまり待たせると心配されちゃうので」

 

ツバサ「ええ。気をつけて」

 

穂乃果は俺の方をちらっと見て、ツバサに小さく会釈してから公園の出口へ向かう。その背中が遠ざかっていくのを俺は何となく見送った

 

ヨウタ(はい、残された)

 

穂乃果の姿が完全に見えなくなった所でツバサがゆっくりとこちらを向く。さっきまでの“リーダー同士”の空気とは違い、少し柔らかい目だった

 

ツバサ「…いい子ね」

 

ヨウタ「だろ」

 

ツバサ「貴方の事を好きになるなんて、見る目あるわよね」

 

ヨウタ「当たり前だろ?だって俺だぜ」

 

ツバサ「ふふ。正直、羨ましいわ」

 

ヨウタ「やめろ。あの時の話を広げる気はねぇぞ」

 

ツバサ「安心して。奪う気なんてないわ」

 

ヨウタ「最初からねぇだろ」

 

ツバサ「ええ。もう振られた側だもの」

 

そう言って、ツバサはわざとらしく小さく息を吐く

 

ツバサ「私の唇、奪っておいて」

 

ヨウタ「奪ってねぇ!つーかマウストゥーマウスじゃなかっただろ。頬だ、頬」 

 

ツバサ「細かいわね」

 

いや、誤解されたら大変なのは俺なんだよ

 

ツバサ「あれは私の自己満足よ。ちゃんと分かってる」

 

ヨウタ「なら蒸し返すな」

 

ツバサ「だって、少し悔しかったんだもの」 

 

その声には、もう未練はなかった。むしろ、吹っ切れた清々しさすらある

 

ツバサ「でも…彼女を選んだのは、間違いじゃないと思う」 

 

ヨウタ「間違いだと思った事ねぇよ」 

 

ツバサ「でしょうね」 

 

ツバサは一歩引いて、穂乃果が去った方向に視線を向ける

 

ツバサ「大事にしなさい。ああいう子は、守られると強くなるから」

 

ヨウタ「言われなくても分かってるよ」 

 

ツバサ「泣かせたら、今度こそ文句言いに行くわ」 

 

ヨウタ「その時は正面から受けて立ってやるよ」 

 

ツバサ「ふふ…男らしい」 

 

そう言って、ツバサは踵を返した 

 

ツバサ「じゃあ、次はステージで」 

 

ヨウタ「ああ…」 

 

背中を見送りながら、俺は小さく息を吐く

 

ヨウタ(…やっぱ俺、これ言われるために呼ばれたよな?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

公園を出ると少し先で穂乃果が立ち止まって待っていた

 

穂乃果「おかえり」

 

ヨウタ「悪い、待たせた」

 

穂乃果「ううん。そんなに」

 

そう言いながら、俺の顔をじっと見る。覗き込むってほど近くもないのに、妙に逃げ場がない

 

穂乃果「…何か話してた?」

 

ヨウタ「別に」

 

即答だった。考えたわけでもなく反射で出た言葉

 

穂乃果「え〜。その“別に”は絶対なんかあった時のやつだよ?」

 

ヨウタ「気のせいだ」

 

穂乃果「そっか。じゃあ聞かない」 

 

ヨウタ「助かる」

 

そう言って俺達は歩き出す。しばらく無言だったが穂乃果が口を開く

 

穂乃果「ねぇ?」

 

ヨウタ「ん?」

 

穂乃果「μ’sってさ…どうして、ここまで来たんだろうね」

 

ヨウタ「知らね」

 

穂乃果「即答!?」

 

ヨウタ「いや、マジで分かんねーし」

 

別に考えてないわけでは無いから、俺は言葉を続けた

 

ヨウタ「強いて言うならさ…お前が学校残すために作った船に、みんなが勝手に乗ってきたってだけだろ?」

 

穂乃果「船…?」

 

ヨウタ「しかも1人2人じゃねぇ。人も物も夢も、勝手に持ち込んで自分の場所足りねぇからって、他人のスペースにまで荷物置いてさ」

 

穂乃果は歩きながら、くすっと小さく笑う

 

ヨウタ「キチキチでパンパンで…どう見ても沈みそう。つーか、普通ならとっくに誰か降りてるわな」

 

俺は笑いがなら言う

 

ヨウタ「でも、誰も降りねぇ」

 

穂乃果「…うん」

 

ヨウタ「だから原動力とか言われてもさ…降りる気がないってだけじゃね?」

 

穂乃果は少し考えてから、見上げるように俺を見る

 

穂乃果「…よく分かんない」

 

ヨウタ「だろ?」

 

穂乃果「でもね…μ’sっぽいなって思った!」

 

ヨウタ「どこがだよ?」

 

穂乃果「ぎゅうぎゅうなとこ!」

 

ヨウタ「褒め言葉じゃねーだろ?」

 

穂乃果「褒めてるってば!」

 

屈託なく笑うその横顔を見て俺は小さく息を吐いた

 

ヨウタ「つーか、変な船だよな?」

 

穂乃果「うん。でも沈まないよ」

 

ヨウタ「そうだといいけどな」

 

すると、ふいにスマホの着信がなる。俺のではない。それに気付いた穂乃果は制服のポッケからスマホを取り出すと画面を見て「あっ」と声を漏らした

 

穂乃果「やばっ、大事なこと忘れてた!」

 

ヨウタ「今かよ」

 

穂乃果「ごめんヨウタ君!またねっ!」

 

それだけ言って、くるっと踵を返して走り出し、あっという間に人混みに消えていった

 

ヨウタ「おい、どこ行くんだよ」

 

穂乃果「ちょっと急用ー!」

 

忙しい奴だな。さっきまであんな話してたのに切り替えが早すぎるだろ

 

ヨウタ「船長が一番慌ただしいってどういうことだよ」

 

そう呟いて俺は帰宅した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、日曜日。世間は成人の日を挟み3連休の真ん中

 

シオン「朝から何をやるかと思えば…」

 

シュウジ「大体検討はつくな…」

 

凛「凛、分かっちゃった!多分、お餅つきをするんだニャ!」 

 

ヤヨイ「多分と言うよりも確定ですね」

 

そう。今、俺達は穂乃果の家の前に集まっており、目の前には杵と臼

 

穂乃果の母「はーい、お待たせ!もち米用意出来たわよ!」

 

穂乃果「ありがとうお母さん!」

 

穂乃果の母「ちゃんと出来るの穂乃果?」

 

穂乃果「お父さんに教えてもらっているから大丈夫だよ!」

 

ヨウタ「まぁ、でもこう言うのは男共がやるもんだろ?」

 

フミ「間違いないね」

 

シオン「いや、お前らは駄目だ」

 

ヨウタ「あぁん?何で?」

 

シオン「絶対にいらん事するからだ」

 

ヨウタ「何だよ。俺とフミをトラブルメーカーみたいに扱いやがって」

 

まぁ、クールポコかヨネダ2000をやりたかったんですがね。あれ?時系列的にヨネダ2000はデビューしてねーのか?まぁ、細かい事は置いといて…結局、穂乃果と海未がやる事になる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂乃果は杵を持ってもち米をついていくと、海未はもち米をひっくり返していくと、段々と餅に変わって行く

 

花陽「はぁ~!ご飯がキラキラしてたね!お餅だね!」

 

にこ「食べる気満々じゃない…」

 

穂乃果「凛ちゃんもやってみる?」

 

凛「うん!やるニャ!」

 

シオン「真姫もやるか?」

 

真姫「私はいいわよ…」

 

絵里「それよりも何で餅つきなのよ?」

 

希「在庫処分とか?」

 

穂乃果「違うよ。なんか考えてみたら学校のみんなに何のお礼もしてないなって…」

 

絵里「お礼…?」

 

穂乃果「うん!最終予選を突破出来たのってみんなのおかげでしょ?でも、あのまま冬休みに入っちゃってお正月になって…」

 

にこ「だからってお餅にする必要もないじゃない?」

 

穂乃果「だって、他に思いつかなかったんだもん!それに学校のみんなに会えば、キャッチフレーズが思いつきそうだなって…」

 

花陽「思いつく?」

 

にこ「お餅つきだけに!」

 

ヨウタ「出た。親父ギャグ」

 

フミ「山田君、座布団持って行って〜」

 

ヤヨイ「寒いですね」

 

シオン「一気に寒波が来たな」

 

にこ「悪かったわね!ついよ!つい!!」

 

シュウジ「とりあえず、仕切り直すか」

 

凛「よーし!じゃあ、餅を叩くにゃ!」

 

亜里沙「危なーい!!」

 

海未「うわっ!?」

 

どこからともなく絵里の妹である亜里沙が咄嗟に海未を庇う。そして、それを見た絵里が吹き出した。あーロシア人は知らないか。しゃーない

 

フミ「とりま、食べて見たら?」

 

そう言うって亜里沙に餅を渡す

 

亜里沙「お餅?スライム?」

 

花陽「食べてみて、ほっぺた落ちるから!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

穂むらの餅つきを始めてから数分後

 

ユウノスケ「おー、間に合ったか?」

 

マサ「すげぇな…普通に祭りじゃん」

 

穂乃果「へいらっしゃい!」

 

レン「どうも〜俺っちがレンレンなりよ〜」

 

フミ「お前は呼んでねーよ」

 

ヨウタ「そうだ。家に帰って断捨離でもしてろ」

 

レン「何それ酷くね?俺っちも手伝ったんだけど〜」

 

その後もぞろぞろと音ノ木坂のみんなと、まぁ…俺らの周りの連中がやって来る

 

ミカ「ごめーん、ちょい遅れたわ!」 

 

ユウヤ「お前が寄り道しただけだろ」

 

ミカ「だってコンビニあったし?しゃーなくね?」

 

ヨウタ「しゃーなくねぇよ」

 

フミ「安定の遅刻理由だな」

 

穂乃果「ミカちゃん!ユウヤ君!いらっしゃい!」

 

ミカ「お〜これが噂の餅つき?ガチじゃん」

 

ユウヤ「普通に本格的だな…」

 

マサ「だよな?ほぼ祭りだよ。これ」

 

ユウノスケ「もう食えるぞ」

 

ミカ「え、最高なんだけど」

 

ヨウタ「あれ?ナナは?」

 

ミカ「あー、ナナは後で来るって」

 

フミ「珍しいな。アイツが遅れるの」

 

ミカ「なんか用事あるっぽい。けど、すぐ来るって言ってたし」

 

ユウヤ「まぁ、そのうち来るだろ」

 

アイツらがガヤガヤと賑わう中、俺とシュウジが見慣れてる顔が近づいて来る

 

タクマ「お久しぶりです。シオンさん、シュウジさん」

 

シオン「タクマか。久しぶりって年始に会ったばっかだろ?」

 

シュウジ「記憶飛んでんのかお前」

 

タクマ「あれ、そうでしたっけ?あ、そう言えば」

 

シオン「どうした?」

 

タクマ「リョウヤさんも来てるみたいですよ」

 

シュウジ「…は?」

 

シオン「何でアイツが?」 

 

そして、その時

 

ナナ「お待たせ〜!」

 

ミカ「お、来たじゃんナナ〜」

 

ヨウタ「遅ぇよ」 

 

フミ「何してたんだよ」

 

ナナ「んー?ちょっとね〜」

 

その隣に、もう1人

 

リョウヤ「よ」 

 

タクマ「リョウヤさん!」

 

ユウノスケ「誰だ?」

 

マサ「なんか強そうだな…」

 

レン「彼はシオちゃんとシュウちゃんの族時代の副ヘッド。今はスポーツマンだね」

 

シオン「何で2人が一緒なんだ?」

 

シュウジ「お前ら…知り合いなのか?」

 

リョウヤ「知り合いってか…」

 

ナナ「彼女でーす♪」  

 

シオン「は?」

 

シュウジ「…はぁ!?」

 

ヤヨイ「お、お2人は恋人同士って事ですか?」

 

フミ「いや…?え?はぁ?」

 

ヨウタ「待て!待て!待て!」

 

ミカ「え、言ってなかったの?」

 

ナナ「言ってないよ〜」

 

レン「通りで初耳な訳ね〜」

 

シオン「何で言わなかったんだよ」 

 

リョウヤ「聞かれてねぇし」

 

シオン「そういう問題じゃねぇだろ!」

 

シュウジ「いやマジでびっくりするわ…」

 

ナナ「そんな驚く?」

 

ヨウタ「驚くだろ普通に」

 

フミ「むしろ驚かない要素あるか?」

 

シオン「リョウヤだぞ?」

 

ナナ「うん、リョウヤだけど?」

 

シオン「いや、だから——」

 

シュウジ「元族の副ヘッドだぞ?」

 

ナナ「知ってるし」

 

シオン「知ってて付き合ってんのかよ…」

 

リョウヤ「悪いか?」

 

シオン「悪いとかじゃなくてだな…」

 

シュウジ「いや、単純に意外なんだよ」

 

ナナ「え〜?そんなに変?」

 

シオン「変というか…何というか…」

 

ナナ「まぁまぁ、いいじゃん♪」

 

シオン「よくねぇよ!」

 

ことり「ねぇ?せっかくみんな集まってるんだし、まずはお餅食べよ?」

 

穂乃果「そうだよ!冷めちゃう前にさ!」

 

絵里「そうね。今はお祝いみたいなものなんだし、細かい話は後にしましょう」

 

シオン「…はぁ」

 

シュウジ「まぁ…そうだな」 

 

穂乃果「はい!ナナちゃんとリョウヤ君の分!」

 

ナナ「ありがと〜!」 

 

リョウヤ「…どうも」

 

ことり「はい、シオン君とシュウジ君も」 

 

シオン「サンキュ…」

 

シュウジ「悪いな」

 

絵里「ほら、他のみんなも。ちゃんと行き渡ってる?」

 

花陽「まだあるよぉ〜!」

 

凛「いっぱいあるにゃー!」

 

ヨウタ「結局食わせて解決かよ」 

 

ヤヨイ「これ以上は不毛な会話ですからね」

 

フミ「まぁ平和でいいじゃん」 

 

ナナ「いただきまーす♪」

 

リョウヤ「…うま」

 

ナナ「でしょ?」

 

そして、この後ここに来たみんなと何故か記念写真を撮り、お開きとなった

 

海未「みんな来てくれてよかったですね」

 

絵里「休みなのにずいぶん集まったわね」

 

凛「みんなそんなにお餅好きだったのかニャ?」

 

花陽「好きだよ!だって美味しいもん!」

 

ヨウタ「それでμ'sのキャッチフレーズは思いついたのか?」

 

穂乃果「んー…それなんだけど、ここまで出てるんだよね~!」

 

ヨウタ「意味ねーじゃねーか」

 

ヤヨイ「けど、時間はまだありますので今日は解散にしましょう」

 

フミ「んじゃ、俺らも帰るか?」 

 

シオン「おう」

 

シュウジ「じゃあな」 

 

絵里「気をつけて帰るのよ」 

 

にこ「穂乃果、戸締りはちゃんとしなさいよ」

 

穂乃果「もう、子供じゃないんだから!」

 

真姫「ならいいけど」

 

希「ほな、また」

 

凛「ばいばーい!」

 

花陽「またねぇ!」

 

ことり「またね〜」

 

海未「お疲れ様でした」

 

次々とみんなは帰路につく

 

ヨウタ「じゃあ、俺も行くわ」

 

穂乃果「…あ、ヨウタ君」

 

ヨウタ「ん?」

 

穂乃果「神田明神、行かない?」 

 

ヨウタ「…急だな」

 

穂乃果「なんとなく」

 

ヨウタ「別にいいけど」

 

穂乃果「ほんと?やった!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、俺と穂乃果は神田明神に到着する

 

ヨウタ「あー階段しんど…」

 

穂乃果「え、もうバテてるの?」

 

ヨウタ「お前が元気すぎんだよ…」

 

こっちは息上がってんのに、こいつはケロッとしてるのマジで意味わからん。けど、境内に出るとさっきまでの騒がしさが嘘みたいに静かで少し冷たい風が吹いていた

 

穂乃果「…あ」 

 

ヨウタ「ん?」

 

穂乃果の視線の先には絵馬が多く飾ってあった

 

ヨウタ「正月明け行った時よりも増えてるな」

 

穂乃果はそのまま歩いていって何枚か手に取る 

 

穂乃果「…これ、音ノ木坂の生徒のだ」

 

ヨウタ「こっちにもあるぞ」

 

絵馬を見てみるとμ'sの事を応援してる絵馬がチラホラあった。と言うかほぼじゃねーか?

 

ヨウタ「これ見てみ?」

 

穂乃果「“μ'sが遅刻しませんように”…雪穂だ」 

 

ヨウタ「やっぱり、そうか」

 

穂乃果「こっちは…“大会の日、晴れますように”」

 

ヨウタ「亜里沙か?」 

 

穂乃果「うん」

 

穂乃果「あ、これミカちゃんとナナちゃんだ」 

 

ヨウタ「何て書いてあんだ?」

 

穂乃果「“μ's優勝よゆーっしょ♡”」  

 

ヨウタ「軽っ」  

 

穂乃果「こっちは“絶対優勝させるんでよろ〜”だって」

 

ヨウタ「たく、アイツら…願い方が雑過ぎるだろ」

 

穂乃果「でも、ちゃんと応援してくれてる」 

 

ヨウタ「だな」

 

穂乃果「マサ君のもある。にこちゃんの事応援してる」  

 

ヨウタ「またピンポイントに書いてるな」

 

穂乃果「こっちは…」

 

ヨウタ「これはレンだな。"ラブライブ優勝"ってシンプルなのがアイツらしい」

 

穂乃果「ユウヤ君とユウノスケ君のもある…」

 

絵馬を見てる穂乃果の声が少しだけ柔らかくなる

 

穂乃果「みんな…こんなに応援してくれてるんだね」

 

ヨウタ「まぁ、何やかんやアイツらも色々世話になったな」

 

穂乃果「…やっぱりさ、1人じゃないんだよね」

 

ヨウタ「最初からそうだろ」

 

穂乃果「…ねぇ、ヨウタ君」

 

ヨウタ「どした?」

 

穂乃果「μ'sってさ、一生懸命頑張って、それでみんなが応援してくれて、その応援でまた頑張れて、一緒に成長していくんだと思う。一人じゃなくて、みんなで前に進んでいく感じ」

 

ヨウタ「そうだな」

 

穂乃果「これってさ、みんなで作って行ってるんだよね?」

 

ヨウタ「作るっていうか…」

 

俺は少しだけ言葉を選ぶ。“作る”って言葉は違う気がした。形を作るってより、もう少しバラバラで勝手でそれでも続いてる感じ

 

ヨウタ「叶えてく、だろ」

 

穂乃果「……!」

 

一瞬止まってから一気に穂乃果の表情が明るくなる

 

穂乃果「それだよ!?」

 

ヨウタ「何がだよ?」

 

穂乃果「μ’sのキャッチフレーズ!」

 

ヨウタ「はぁ?」

 

穂乃果「“みんなで叶える物語”!」

 

ヨウタ「みんなで叶える物語か…まぁ、悪くねーんじゃね?」

 

穂乃果「でしょ!」

 

穂乃果は揺れてる絵馬を見ていたかと思うと、ぱっと顔を上げる

 

穂乃果「ねぇ?私達も絵馬書こうよ!」

 

ヨウタ「今更かよ」

 

穂乃果「今更じゃないよ」

 

ヨウタ「まぁ…初詣の時、書いてねぇからな」

 

穂乃果「でしょ?だから今書こう!」

 

俺は半ば強引に腕を引かれ、絵馬を購入する事にかる

 

ヨウタ「こういうの、柄じゃねぇんだけどな〜」 

 

穂乃果「いいのいいの!思ったこと書けば!」

 

ヨウタ「思ったこと、ねぇ…」

 

横で穂乃果は迷いなくペンを走らせている。まぁ、こう言うのは勢いだよな

 

穂乃果「書けた?」

 

ヨウタ「まぁな」

 

穂乃果「え…これだけ?」

 

ヨウタ「悪いかよ」

 

穂乃果「もう、雑だよ!こういうのはちゃんと真面目に書かないと!」

 

ヨウタ「別にいいだろ」

 

穂乃果「よくないよ!」

 

ヨウタ「叶えば問題ないだろ?」

 

穂乃果(ほんと、この人は…)

 

絵馬に書かれた文字を見て少しだけ呆れてしまう。相変わらず不器用で真っ直ぐだけど、どこかズレてる

 

“みんなの願いを叶えてくれねーか?”

 

普通なら自分の願いを書く所なのに。この人は最初からそれを選ばない

 

穂乃果(そういう人なんだよね)

 

ぶっきらぼうで適当だけど、いつも大事なところだけは外さない

 

穂乃果(ちゃんと見てるんだよね)

 

みんなの事も頑張ってる事も願いも。それを自分のことみたいにまとめて背負おうとする

 

穂乃果(ズルいな…そういうとこ)

 

今みたいに隣にいるからこそ、ちゃんと分かる

 

穂乃果(だから…好きになったんだよね)

 

そう思って少しだけ息を吐く。言葉にはしないまま、そのまま2人で絵馬を結ぶ

 

ヨウタ「うし!帰るか」

 

それだけ言って、さっさと歩き出す

 

穂乃果「ちょ、ちょっと待ってよ〜!」

 

少し遅れて慌てて後を追う。すぐに追いついて隣に並ぶと、そっと手が伸ばす。その瞬間――

 

ヨウタ「っと」

 

軽くそれを避けるように手だけが振り払われる

 

ヨウタ「階段だと危ねぇだろ」

 

前を向いたまま、ぶっきらぼうに言葉だけ落としていく

 

ヨウタ「降りたら…その…繋いでやるよ」

 

その言葉に少しだけ笑いながら結局そのまま歩幅を合わせる

 

穂乃果「そういう所だよ」

 

ヨウタ「何がだよ?」

 

穂乃果「何でもない」

 

ヨウタ「あっそ」

 

ぶっきらぼうに返ってくる声も、いつも通りで。さっきまで絵馬に込められていた願いも、境内の静けさも、そのまま後ろに置いていくみたいに歩いていく。何でもない帰り道なのに少しだけいつもより軽く感じた

 

 

 

つづく




ヒフミトリオにミカっているんだな
オリキャラでミカってギャル出しちゃった
因みにミカとナナの名前の由来は
中島美嘉のミカと
中島美嘉主演の実写映画NANAから
ナナを取ったんだよね〜
確か一色とGLAMOROUS SKYは
NANA名義よね?
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