歴史はヒーローになれるのか   作:おたま

12 / 30
世の中で、最もよい組み合わせは力と慈悲、最も悪い組み合わせは弱さと争いである。

ウィンストン・チャーチル


少年は夢を見つけた

「 私 が 来 た ! ! 」

 

クソォ!!クソクソクソォ!!!

 

ナンで、オールマイトがココにいるんだよぉ!!

 

「何ンンンで、オールまイトがココにいるんダダダヨォ!!!」

 

「おいおい、私はヒーローだ。困った人がいたら助けるんだ!!それがヒーローだろ!!!」

 

チクショウ!!チクショウ!!!ヤるしかネエェ!!!!

 

 

 

 

 

拳が交差する。ヴィランと、ヒーローが殴り合っているのだ。

 

拳圧が凄まじく、あたりの木や草花は台風が来た様に揺らいでいる。

 

ヒーローとヴィランが殴り合っている。ヴィランの手の甲には、ハチの様な針があるのだ。

 

だが、ヒーローはその針に当たらないように、拳を合わしている。凄まじい技量だ。

 

もはや、視認ができない。誰にも見えないほどの速さ。凄まじいラッシュだ。

 

だが褒めるべきはヴィランであろう。

 

ヴィランは、自分の身体能力だけでヒーローと渡り合っているのだ。だが、それまでである。

 

殴り合いながらも、ヴィランの甲虫の鎧は、パキパキと割れ始めている。

 

衝撃に耐えられないのだ。ヒーローのパンチは甲虫の鎧を確実に蝕んでいった。

 

波状攻撃には耐えられないのだ。

 

ヴィランは焦っていた。ラッシュをしていれば、いずれ負ける。どうする。と考えていた。

 

そうだ。オールマイトはヒーローだ。そうヒーローなんだ。

弱きを助け強きを挫く。そおゆう生き方をずっとしてきた男だ。

 

人質だ。

 

人質がいれば、オールマイトは攻撃できないと考えた。

 

だから、満身の力を籠め、叫んだ。その声は非常に五月蠅く、思わずオールマイトは、耳を塞いでしまった。

 

その間に少年を一人、取った。

 

紅白ではない、もう一人のほうをだ。

 

そう。大歴 伝馬である。

 

伝馬を左手で抱え、右手の針でいつでも殺せるぞと、脅す。

 

ヴィランは言う。

 

「コのままオオ、オマエが、オレををを殴っテくるののデアレバ、コのガキをコロスゾ!!」

 

 

 

 

 

 

ん?なんだ、何があった?宙に浮いている?いや抱えられている?

 

あぁ、思い出した。

 

僕は死にそうなんだ。そうか。捕まっているんだ。

鋭く尖った針が目の前にある。なんだ?

あぁ、オールマイトだ。テレビで何度も見た。

 

ヒーローだ。

 

ヒトラーおじさんは、オールマイトは人類の希望だと言っていた。超人社会での国家以上の抑止力だと言っていた。言っている意味は分からないが。

 

まあいいや。今は脱出しなければ、オールマイトは僕のせいで動けていない。

 

どうやら1メートルくらいの後方には穴がある。

 

そこに轟君がいるだろう。

 

なら、やることは一つだ。

 

 

 

 

 

伝馬は、ころころと、何かを後ろに落とした。ヴィランの後ろである。

 

ヴィランは気づかない。それどころじゃないからだ。

 

後ろから、衝撃と爆発音がする。

 

何かの破片がパチパチと甲虫の鎧を叩く。

 

手榴弾を落としたのだ。

 

瞬間、彼はジャックナイフを個性で持ち出し、腕に刺した。

 

ヒビの間をナイフは突き抜けたのだ。

 

ヴィランはたまらず、伝馬を離す。

 

だが、伝馬はオールマイトの方向には走らない。

 

友人が居るからだ。穴の中に入り、轟を担ぎ上げ、逃げようとする。

 

だが、それをヴィランが見過すはずもなかった。

 

「ママママててテヤやこのクソガキィィ!!!!!」

 

ヴィランが肉薄する。

 

 

「行かせない!!!!!!」

 

オールマイトがそれを止める。

 

ヴィランがオールマイトを殴る。

 

だが、躱された。

 

オールマイトが、ヴィランを殴る。

 

ヴィランの体制が崩れた。

 

「残念だ!!!君くらいの個性なら、ヒーローになってもよかったのに!!!!」

オールマイトが、ヴィランを殴る殴る殴る。

 

何発撃ったのだろうか。もう100発入ったのかもしれない。

 

ヴィランの甲虫の鎧は沢山のヒビが入った。

 

オールマイトは笑顔で拳を握りしめる。

 

笑顔とは、ヒーローの象徴である。

 

希望を与える、温かい行為だ。

 

TEXAS・・・SMAAAAASH!!!!

 

ヴィランの鎧は砕かれ、吹っ飛んだ。

 

 

 

 

伝馬は理解した。

 

ヒトラーがオールマイトは人類の希望だと言っていた理由が分かった。

 

温かい。笑顔で安心できる。

 

ヒトラーの演説は、何かを下に下げ、あの人よりかはましと思わせる戦術が使われている。

 

だからこそ、人々は、ヒトラーを信じ、安心した。

 

だが、オールマイトはどうだろう。常にヒーロー然としていて、笑顔は安心できる。

国会で演説をし、ニュースで見るよりも、早く、何倍も安心できるのだ。

 

誰も卑下にしない。

 

公平なのだ。オールマイトは。

 

ヒーローは、抑止力である。素晴らしく温かい行為である。

 

伝馬は、尊敬した。そして、憧れた。

 

僕も、ヒーローになって、だれかを笑顔にしたいと、心の底から思ったのだ。

 

 

将来の道は決まった。

 

 

因みにその後、オールマイトに猛烈に怒られ、先生にも怒られ、両親にも怒られた。

 

だが、彼は嬉しそうであった。

 

だってそうだろう。

 

決して曲がらぬ、素晴らしく、温かいができたのだから。




人々が思考しないことは、政府にとっては幸いだ。

アドルフ・ヒトラー

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。