歴史はヒーローになれるのか   作:おたま

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格好から入るってのも大切な事だぜ少年少女!!自覚するのだ!!今日から自分は…ヒーローなんだと!!さあ!!始めようか有精卵共!!

オールマイト


少年は決心した

戦いは終わった。

 

もう夕方だ。

 

先生方に、こっぴどくしかられ反省したが、体育の教師の言葉には、反感しか持てなかった。

 

周りには、救急車や、警察の車両ばかりだ。ヴィランはしっかりと確保され、今は護送車の中だ。

 

大歴と轟は一緒にいる。大歴は、たいしたケガはしていない。首を絞められて穴に投げ込まれただけだ。

 

轟のほうは、バッタのような足で、腹を蹴られたのだ。打撲だけですんだのは、ラッキーだった。

 

「少年たち!無事でよかったな。だがもうあんな無茶をしてはいけない!特に大歴少年!ヴィランに捕まった時の行動。あれは非常に危険だ!!これからはやめなさい。」

 

「はい・・・すみません・・・。」

 

「だが、あの行動のおかげで私はヴィランを倒すことができた。・・・ありがとう。」

 

「いえ、そんな・・・。僕は何もできませんでした。」

 

「そんなことはないよ。大歴少年。君はまだ10歳だ。ここまでできる子供はそうはいなだろう。自信を持ちたまえ。」

 

「はい・・・。ありがとうございます。」

 

「それに、轟少年。君は大歴少年を助けようとしたらしいな!素晴らしいじゃないか!!持つべきものは友人だね!!!」

 

「はあ・・・。ありがとうございます。」

 

「OK,OK.It's COOL!!HAHAHAHA!・・・そういえば、君はエンデヴァーの息子さんなんだって。」

 

「まあ、一応。」

 

「じゃあ君は将来、ヒーローになるのかな?」

 

「あいつからはそう言われました。ヒーローになれって。」

 

「そ、そうなんだ・・・。(父親の事をあいつ呼ばわり・・・?)」

 

オールマイトは咳をした。

 

「大歴少年!君はヒーローになりたいとは、思わないのかい?」

 

「なりたいと思います。ですが・・・。」

 

「ですが、何かね?」

 

「オールマイトの個性は、如何にもヒーローって感じですが、僕のは全く違います。僕の個性は、正直、悪者の個性です。銃を取り出して撃ったり、人を召喚して、簡単に人を殺める事ができてしまいます・・・。そんな個性を持っているのに、ヒーローになれるのでしょうか・・・。」

 

そうだ。その通りだ。彼は彼自身の個性をよく理解していた。

 

伝馬の個性。其れは歴史である。

 

彼の個性には条件がある。召喚される人は、もう死んでいて、しっかりとその生涯や人格が表記されており、写真がある。写真は鮮明に人物の顔が写っており、何よりも全身が写っていなければならない。

その条件が合うのは、1900年からの人々であろう。

 

その時代の著名な人物。文化人では、チャップリンやココシャネルなどがいるが、その世紀で活躍した人物のほとんどが、政治家か、軍人であろう。

 

1900年は20世紀である。

 

20世紀は戦争の世紀と呼ばれている。私は異論はない。みんなが納得するであろう。

前半は、二つの世界大戦が起こり、その後も、冷戦が行われた。ソビエトが崩壊し冷戦が終わったのは、1991年である。

何度も、世界崩壊の危機があったのだ。

何度も、文明破壊の危機がありながら、人類はそれを乗り越えた。

 

だが、沢山の人が死んだのだ。

 

第一次世界大戦では、戦死者1600万人。二次大戦では、8500万人と言われているのだ。

 

伝馬は、死ね。と命令をした人々を召喚できる。

それは、10歳の子にはどれだけ重荷であろうか。

彼は、彼の一言で、何百万の兵士を呼び出し、人を殺せるのだ。

何千万も。

 

彼はヒーローの道をあきらめていた。こんな個性がなっていい職業だとは、とても思わなかったのだ。

 

彼は怖いのだ。自らの技量が。自らの個性が。堪らなく、恐ろしいのである。

 

だからこそ、チャーチルとヒトラーは彼を政治家か、軍人にさせようとしたのだ。

そうすれば、彼は、きっと適任だと思うだろうと。そう彼らは思ったのだ。

 

優しさである。

 

だが、優しさだけではない。彼らは彼のおじさんである前に、政治家なのだ。

自分のイデオロギーを信仰している。

だからこそ、彼らは伝馬にイデオロギーを教え、政治家か、軍人にさせ、自分たちの理想の国を形成させようとしているのだ。

 

 

オールマイトは、人を召喚する。という所に引っかかったが、聞かなかった。空気を読んだのである。

 

「大歴少年。私の個性だって、すぐに人を殺せるんだ。それに、どんな個性をしていても夢はでっかくだ!!それに君は、まだ何にでもなれるんだ!!夢をでっかく持ちたまえ!!」

 

「君は・・・ヒーローになれる!!!!

 

 

 

 

ヒーローになれる!!!!

 

衝撃だった。こんな個性を持っている僕も、ヒーローになれるのか。

歴史という。この正義にも悪にもなれる個性。

何万人殺したと思っているのだ。

僕に様々なことを教えてくれるおじさん達は、いったい何万人殺したと思っているんだ。

 

戦争だったのだ。仕方がないだろう。

だが、人を殺しているのだ。ヴィランなんかよりも沢山。

 

それに僕は、彼らに命令を与える個性だ。

彼らは一体、何万人の兵士を率いることができるんだ。

 

僕が命令するだけで、全世界と戦争できる個性だぞ。

僕は、僕は・・・本当にいいのか?なれるのか?ヒーローに・・・。

 

オールマイトが、肩をつかむ。そして抱きしめながらやさしく話してくれた。

 

「大丈夫さ。もし君がヴィランになっても私が止めに行くよ。大丈夫だ。だから、君は君の夢を貫けばいいんだ。」

 

泣きそうだ。今までたまっていた何かが、吐き出されそうだ。

 

「僕は。僕は、ヒーローになりたいです。諦めていた夢だけど、僕は、ヒーローになりたい!!」

 

「そうか!!良かった!!!じゃあ雄英高校に行きなさい。そこでなら、ヒーローとしての基礎をしっかりと、教えてもらえるよ!!」

 

それに、私の母校だしね。と言いながらオールマイトは笑った。

 

オールマイトの笑い。何故かとても安心できる。

 

「轟少年!!君も、ヒーローになりたいと思っていたら、是非とも、雄英高校にいきなさい!!歓迎してくれるよ。」

 

「考えておきます。」

 

「FO~ 手厳しいねぇ!!」

 

 

 

その後、雄英でまた会うことを約束し、轟の父である、エンデヴァーが迎えに来て帰っていった。

 

 

 

その後、伝馬の両親が迎えに来た。すごく怒られた。だが、にやけ顔で聞いていた。

 

なんでそんな危ないことをしてしまったの!と母が聞くと「考えるよりも先に、体が動いていたんだ。」と答え

 

父には、なんでそんなに笑顔なんだ?と聞かれた。

伝馬は答える。

 

「夢ができたんだ。」

 

「何の夢だ?」

 

 

 

ヒーローに僕はなりたい!!

 

 

 

どうやら、チャーチルとヒトラーの野望は、砕かれたようだ。

 




新しい人材を育てたい。退廃と堕落がはびこる時代から、我々ドイツ民族の未来を救うために、未来のドイツを担うものは、しなやかであらねばならない。しなやかさと、鋼の強さを

アドルフ・ヒトラー

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