歴史はヒーローになれるのか   作:おたま

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一人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計上の数字でしかない

ヨシフ・スターリン


少年は頑張っている。

戦いから、2年経った。

彼は、ヒーローになるため、今まで以上に頑張っている。

 

チャーチルとド・ゴールは、ヒーローになると伝馬の言葉を聞いた時、非常に驚いた。本当にいいのか?と心配した。だが、決意は固かった。

 

チャーチルとド・ゴールは納得し、彼らがヒーロになるために協力を惜しまないと、約束した。

 

三国協商である。

 

ヒトラーとムッソリーニは、ならそれでよい。と言っていた。だいぶ、あっさりしている。

それもそうだろう。

 

ヒトラーの目的は殆ど、達成されているのである。

一つ目は、ユダヤ人とスラブ人の、民族粛清である。

 

このままいけば、何時かは居なくなるであろう。

 

二つ目は、大ドイツ帝国の繁栄である。だが、その目的もほとんど達成されていた。

 

欧州連合はドイツ連邦が主導で、管理・運営している。

これは最早、ドイツ第四帝国であると、ヒトラーは思っていた。

 

ムッソリーニは、もともと伝馬を政治家の道に導くのは、反対であった。ムッソリーニは最後には、腹心や国民に裏切られてしまった人物である。

おじさんと慕ってくれていた、彼をいばらの道に引き込むのは抵抗感があった。

だからこそ、反対なのだ。

 

三国同盟である。

 

ベニート・ムッソリーニ。イタリアの政治家。

 

ムッソリーニは若い頃、スイスへ放浪。その時に、ウラジミール・レーニンや、レフ・トロツキーと出会い、様々な議論を行う。

 

この時、ムッソリーニの思想である、ファシズムの土台ができたといわれている。

その後、第一次世界大戦が勃発。第11狙撃兵連隊第33大隊に配属され、厳寒のアルプスで塹壕戦や山岳戦を経験した。

 

その後、自らで考えた、新主義である、ファシズムの政党であるファシスト党を興した。党の支持者が増えると、1921年ムッソリーニはローマ進軍を行い、イタリア連立政権を打倒。

 

その後、イタリア総帥となり、経済改革、警察国家化、ローマ法王との和睦。様々な改革を施した。

 

ナチス・ドイツと同盟。第二次世界大戦に参戦。

 

だが、負けてしまった。連合国が捕らえ、幽閉され、その後、救出された。

救出したのが、オットー・スコルツェニーである。

 

その後、パルチザンがムッソリーニを捕縛した後、ミラノで、愛人と一緒に吊られた。

 

個人的には、20世紀のなかでも屈指の政治家であり、軍人であった。

 

彼らも、ヒーロになるために協力を惜しまないと、約束した。

 

そしてヒトラーはヒーローになることを決めた伝馬に対して、あるノートを渡した。

ドイツ語で書かれたノートにはこう書かれていた。

 

『Heldennotizen für die Zukunft(将来のためのヒーローノート)』

である。

 

彼は、伝馬が5歳児の頃から、インターネットで探し、書き留めていた。

彼がヒーローになるときに参考になるように。

彼が、政治家や軍人になった時、しっかりとヒーローを利用できるように。

 

ようやく役に立つと言っていた。

 

だが、問題があった。

 

彼は召喚できた人とは、喋れる。

別の言語でも喋ることができるのだ。だが、文字はどうだろうか。

実は分からないのだ。

 

 

読めないのだ。

 

 

ヒトラーは、こけた。

 

 

 

大歴一家が、寝静まったころ、リビングだけは、電気がついていた。

 

椅子に座っているのは、スーツや軍服を着た男たちである。

 

ウィンストン・チャーチル、アドルフ・ヒトラー、シャルル・ド・ゴール、ムッソリーニ。

 

そしてこの二年で召喚された。ヨシフ・スターリンと東條英機。そしてフランクリン・ルーズベルトが、座っている。

 

ムッソリーニは、緑色の軍服を纏っており、腰には軍刀を差している。

軍帽をかぶっており、まるでコサックのような、長い軍帽だ。正面には金色の鷲の紋章が、デカデカと、ついている。顔は、ケツ顎で、ハゲだ。だが、侮ることなかれ。

目は、此処いる七人の中で、最も太陽のように輝いている。

 

シャルル・ド・ゴールは、193cmと言う、巨大な身長を誇っている。軍服は、オリーブのような色をしており、軍帽は、円筒形の胴に天井が水平なっている。ケピ帽という、奴だ。そして、植物の模様が施されている。

そして目は、たれ目だ。だが、しっかりと先を見据えている。

 

ヨシフ・スターリンは、白色の軍服を纏っている。右手には、常にたばこのパイプを持っている。顔は、筆髭がよく目立つ。

そして目は、非常にドロドロと黒々としていて、恐ろしい。まるで誰も信じてはいないような目だ。

 

東條英機は、緑の軍服を纏っており、胸には、数えきれないほどの勲章が、飾られている。そして、腰には彼が日本人と言う象徴。日本刀が差されており、軍帽をかぶっている。正面には、星が、施されている。

顔は、眼鏡をしており、髭を生やしている。眼鏡に隠れてよく見えないが、目はギラギラと、物事をよく観察している。彼の目を一言で表すのであれば”武人"であろう。

 

フランクリン・ルーズベルトは、青色のスーツ姿だ。そして、黒色の外套をかぶっている。そして、一番の特徴は、車イスな点であろう。だが、それでも誇り高く、前を見据えている。

目は青く輝いている。まるで自由の篝火のようだ。

 

そして、彼らの前にはホワイトボードがあり、こう書かれていた。

 

 

第32回 大歴伝馬の個性を使う戦い方。

 

と、日本語で書かれていた。

 

その下には、英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロシア語で書かれている。

 

だが、まず最初に、各国の総兵力を紹介せねば。

 

因みに、正確な数は、分からない。

私には把握ができないのだ。

 

これは、陸軍、海軍、空軍の総兵力である。

あと、軍艦、戦車、航空機などの火器備蓄は記載しない。

 

軍総兵力。

 

ドイツ軍:約700万。

 

アメリカ軍:約800万。

 

イギリス軍:約600万。

 

フランス軍:約550万。

 

イタリア軍:約350万。

 

赤軍(ソビエト軍):約2200万。

 

日本軍:約700万。

 

 

総兵力:約5900万人。

 

 

本当に世界と戦える戦力である。

 

因みに、此の兵力は亡くなった兵の方々が、志願した兵の総数である。

 

日本軍は多い理由は、単純に個性を持っている人間が、日本人だからであろう。

だが、ドイツ、アメリカ、ソビエトには負けている。恐ろしい国々である。

 

彼が召喚できる人数の合計は、多くても1万人が限界だ。

 

持続時間も1日が限界であろう。そして疲労して、すぐに寝てしまう。

 

其れでも凄まじい。

 

 

そして、ホワイトボードの下には、ドクトリンの選択と書いてある。

 

ドクトリンとは、軍隊の戦闘教義。

作戦・戦闘における軍隊部隊の基本的な運用思想である。

 

難しい話であるので、大まかに4つに分けて考えることにしよう。

 

機動戦、火力優勢、大規模戦闘計画、大量突撃に4つだ。

 

機動戦ドクトリン:戦車や自動車を使い、敵を短時間に包囲。殲滅するドクトリン。採用した国は、ナチス・ドイツ。

 

火力優勢ドクトリン:大規模な事前砲撃で、敵を粉砕するドクトリン。採用した国は、アメリカ合衆国。

 

大規模戦闘計画ドクトリン:念密な計画を立て、全て予定通りに敵を打倒するドクトリン。採用した国は、大英帝国、フランス国第三共和政、大日本帝国、イタリア王国である。

 

大量突撃ドクトリン:たくさんの兵を肉弾として敵を突破し、一気に撃滅するドクトリン。採用した国は、ソビエト連邦。

 

この中から決めることになる。

 

議論は、紛糾した。

 

スターリンが、「人が多いのだから、突撃でいいだろ。」と言えば、チャーチルが、「あの子の体を考えろ」と言う。

 

ルーズベルトが、「なら、事前砲撃で吹っ飛ばせばいい」と言ったら、ド・ゴールが、「周りの被害を考えろ。」と言う。

 

ムッソリーニが、「入念な準備をして、確実にヴィランを倒せばいいだろ。」と言えば、東條が、「ヴィランは局所的に表れる。いちいち準備してたら間に合わぬよ。」と言う。

 

ヒトラーが「戦車で、全てをひき殺せばいいのだ。」と言えば、全員で「殺してはダメだろう」と言う。

 

ヒトラーは激怒した。

 

 

今回も議論は決着がつかなかった。

 

正に、会議は踊る。されど進まず。

 

だが、新しい課題が見えた。

 

今更ではあるが、ヴィランを殺してはいけないのだ。

 

彼らは頭を抱える。一番の難題である。

 

 

まずは其れを第一に考えなくては。

 

 

 

彼らの心労は絶えない。




ある方法を選んで試すことは常識である。もし失敗しても素直に認めて別の方法を試そう。しかし何にもまして、何かをすることが大事だ。

フランクリン・ルーズベルト



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