歴史はヒーローになれるのか   作:おたま

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アンケートは、10月6日の23時で終了し、結果は追加しない。に決定しました。125人の方々。誠にありがとうございました。これからもこの小説を宜しくお願いします!!

不利は一方の側にだけあるものではない。

ウィンストン・チャーチル


青年はテストを受ける 

「最下位除籍って…?入学初日ですよ!?いや初日じゃなくても…。理不尽すぎる!!」

 

麗日お茶子が必死に反論を言う。

 

「自然災害・・・、大事故・・・、身勝手なヴィランたち・・・。いつどこから来るか渡らない厄災。日本は理不尽(ピンチ)にまみれてる。」

 

相澤が優しく諭すように答える。

 

「そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。”Plus Ultra”さ。」

 

「全力で乗り越えてこい。」

 

相澤の演説は、彼らにとって、大きな意味となった。今自分の不幸を悲観している暇はない。目の前の障害を乗り越えようとしている。

 

 

 

 

第1種目:50m走

 

因みにちゃんと番号順で行われる。

 

1番:青山優雅。2番:芦戸三奈。

 

チャーチルは困惑している。

金髪の彼は一体何をしているのだ。彼の隣の女子はトーマス・パークが使用した、クラウチングスタートしている。個性が、役に立たないのであれば最適解だ。だが、彼はどうだ。ゴールに背を向けている。いったい何をするのだろうか。

 

「フフ・・・。皆工夫が足りないよ。」

 

相澤が合図を言う。いや、そのまま走るのか。それじゃあ、まるで映画のチャップリンみたいだ。

 

「”個性"を使っていいってのは、こういう事さ!!

 

合図とともに、金髪の彼が装着している、ベルトからビームが出たではないか。

だが、すぐに彼は落ちた。落ちたそしてまたビームを出す。

一体何をしたいんだ。

 

「5秒43!!」

 

「5秒51!!」

中々に速いではないか。

 

「一秒以上射出するとおなか。壊しちゃうんだよね。」

 

そ、そうか。

 

 

3番:蛙吹梅雨。4番:飯田天哉。

 

「3秒04!」

 

ほう。とても速いな。開始してすぐではないか。

ふくらはぎから、炎が出ていた。彼の個性はエンジンか?なんだか、管がレシプロエンジンの様だ。

 

「5秒58。」

 

あのカエルの女子もなかなかではないか。彼の記録で、目移りしてしまうが。

 

5番:麗日お茶子。6番:大歴伝馬。

 

伝馬は隣の彼女と話しているぞ。いけ、口説け。

話し終わったら彼女は靴や服を故意的に触っている。伝馬が何か粗相をしたのだろうか。

 

だめだぞ伝馬。

ジョン・ブルたる者。いかなる時も優雅たれだ。

 

 

 

私は、今50m走を走るためにいる。そうしていたら隣の彼女は、私へ話しかけてきた。

 

「デク君と一緒にいた人だよね。私、麗日お茶子。よろしく!!」

 

「ああ。私は大歴伝馬だ。これからよろしく頼むよ。」

 

「うん!よろしくね!!」

 

やはり、とても明るい子だな。私にもそれぐらいの明るさが欲しい。

 

さあ。走るか。

 

 

 

スタート!と言う言葉と共に二人は同時に走る。麗日はさっき靴や、服を触り、重さをなくしている。

 

だが、最初から速さが全く違う。伝馬のほうが圧倒的に速いのだ。麗日との差を大きく広げた。

 

「5秒79!!」

 

「7秒15!!」

 

伝馬は5秒79だ。

彼は何も個性を使っていない。彼は無個性の人類の中では、トップクラスの脚力を持っているのだ。

 

その後、着々と続いて、行われてる。

 

第二種目:握力

 

伝馬の握力は、64Kgwだった。

 

「540キロて!!あんたゴリラ!?タコか!!」

「タコってエロイよね・・・。」

などと、隣では言っている。思春期である。

 

第三種目、4種目と着々と過ぎていった。

 

因みに、立ち幅跳びは313cm。反復横跳びは74回だった。

 

 

チャーチルが笑顔で、相澤に話しかけた。

 

「やあ、先生。今更だが、伝馬の事を宜しく頼むよ。」

 

「それは、私の生徒なので、ちゃんと指導しますよ。まあ、此処で居なくなるかもしれませんが。」

 

「いや、誰もいなくならないね。東條が言っていたが、君は、合理主義者ではないか。そんな君が入学初日で、落とす訳がない。」

 

「はあ、何故そんな確信があるのですか。」

 

「だって君は合理主義者ではないか。そんな君が、良く分らない生徒を我武者羅に退学させるわけがない。それに、君には、我々と同じ匂いがする。扇動者の匂いがする。」

 

「何を言っているか分りませんね。まあ、見ていてください。貴方の勘が本当か、試してあげますよ。」

 

「ああ、宜しく頼むよ。君。」

 

チャーチルは少しにやけている。彼の反応を楽しんでいる様子だ。相澤は無表情だが。

 

 

第5種目:ボール投げ。

 

伝馬の記録は、74mだった。去年よりも伸びたようだ。

 

麗日は、”セイ!!”と軽い掛け声と共に、投げる。すぐに落ち来ると思ったが、フワ~~と中々に落ちない。皆が眺めるていると、計測器から、結果が出ていた。

 

「∞」だ。

 

「∞!!?すげぇ!!無限が出たぞーー!!!」

 

クラスの皆が歓声を上げる。

 

だが。一人ドキドキハラハラしている生徒がいた。

 

”緑谷出久”である。

 

彼は、今まで突出した記録を残していない。なので最下位の可能性が最も高いのは彼だ。

 

伝馬もこの体育測定では、無個性みたいなものだが素の能力が高い為、常に10位前後を記録している。

 

(ダメだこれ!すぐ出来るような簡単な話じゃない!皆・・・一つは大記録を出しているのに・・・!!残りは持久走、上体起こし、長座体前屈・・・。もう後がない・・・。)

 

(このままだと・・・。僕が最下位・・・。)

 

 

 

私は、飯田君と麗日君ともにボール投げを見ている。

 

確か、麗日君は体育測定前に、パンチが凄かったと言っていたが、彼は、大丈夫なのだろうか。

 

「緑谷君はこのままだとマズいぞ・・・。」

飯田君が心配そうに言う。

 

「ったりめーだ。無個性のザコだぞ!」

爆豪君が、大声で言う。

 

「無個性!?彼が入学式に何をなしたか知らんのか!?」

 

「は?」「そうだ。緑谷君は何をしたんだ。教えてくれないか?」

爆豪君と被ってしまった。

 

「おい!この野郎!!被せてくんじゃねえ!!!」

 

「まあまあ、落ち着いてくれよ。他意はないんだ。」

「あぁ!!!?」

 

「大歴君。彼は、」

緑谷君が投げようとする。

 

「一撃で0p仮想敵を倒したんだ。」

 

「46m。」

相澤先生の声が聞こえる。

 

何やら、緑谷君が手を見ている。個性が発動しなかったのだろうか。

 

「”個性”を消した。つくづくあの入試は・・・、合理性に欠くよ。おまえのような奴も入学できてしまう。」

成程。あの時にやったように個性を消したのか。

 

緑谷君は目を見開き驚いている。

「消した・・・!!あのゴーグル・・・。そうか・・・!」

 

「視ただけで人の”個性”を抹消する”個性”!!抹消ヒーローイレイザー・ヘッド!!!」

 

凄いな。私は、雄英に来た時に初めて知ったぞ。

 

周りの人たちも、ざわざわ知っているか、話し合っているようだ。

 

相澤先生が緑谷をマフラーのようなもので、引き寄せコソコソ話している。

一体何を話しているのだろうか。

 

「彼が心配?僕はね・・・。全っ然。」

「指導を受けていたようだが。」

「除籍宣告だろ。」

などと、様々な憶測が飛び交っている。一人毛色が違うが。

 

緑谷君がSMASH!!を言いながら、ボールを投げた。

飛ぶ距離は、さっきの爆豪君に匹敵する。すごいな。確かに0pの仮想敵を倒したというのは信じていなかったわけではないが、本当の様だ。

 

相澤先生の計測器には、705.3mと記されている。

 

「先生・・・。まだ・・・。動けます。」

 

 

彼の退学はありえなさそうだ。




昔、暑苦しいヒーローが、大災害から一人で千人以上を救い出すという伝説を創った。同じ蛮勇でも…おまえのは一人を救けて木偶の坊になるだけ。緑谷出久、おまえの“力”じゃヒーローにはなれないよ

相澤消太

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