緑谷出久
「始めようか有精卵共!!!戦闘訓練のお時間だ!!!」
オールマイトが大きな声で言う。
皆、オールマイトの方向を見ており、考え深いそうな顔つきをしている。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
白いロボットの様なヒーロースーツを着ている飯田が質問する。
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内での
確かに屋内の戦闘では、元々いる防衛側のほうがはるかに有利だ。ゲリラやレジスタンスは常に屋内に隠れ、局所で攻撃している。
「君らにはこれから「
「基礎訓練もなしに?」
カエルの個性を持つ、蛙吹梅雨が言う。
「その基礎を知るための実践さ!ただし、今度はブッ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ。」
そう、オールマイトが言うと、生徒から授業への質問がなされる。
「勝敗のシステムはどうなります?」
落ち着いて質問を投げかける者。
「ブッ飛ばしてもいいんすか」
楽しそうに震えながら言う者。
「また、相澤先生みたいな除籍とかあるんですか・・・・?」
不安そうに言う者。
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいのですか」
しっかりとした口調で投げかける者。
「このマントヤバくない?」
キラキラしている者。
「んんん~~~~聖徳太子ィィ!!!」
「いいかい!?状況設定は、「
『設定アメリカンだな!』
「「ヒーロー」は制限時間内に「
「「
オールマイトがカンペを読みながら、説明をする。
「コンビ及び、対戦相手はくじだ!」
「適当なのですか!?」
飯田が驚く。
「プロは、他事務所のヒーローと急増チームとピックアップする事が多いし、そういう事じゃないかな・・・。」
「そうか・・・!先を見据えた計らい・・・。失礼いたしました!」
如何やら、緑谷の
「いいよ!!早くやろ!!」
因みに、オールマイトはそこまで考えていない。くじでいいか。という安価な考えである。
そして、くじの結果が下記である。
Aチーム:緑谷出久。麗日お茶子。
Bチーム:轟焦凍。障子目蔵。
Cチーム:八百万百。峰田実。
Dチーム:爆豪勝己。飯田天哉。
Eチーム:芦戸三奈。青山優雅。
Fチーム:口田甲司。砂藤力道。
Gチーム:上鳴電気。耳郎響香。
Hチーム:蛙吹梅雨。常闇踏陰。
Iチーム:尾白猿夫。葉隠透。
Jチーム:瀬呂範太。切島鋭児郎。
余り:大歴伝馬。
である。
悲しきかな。余ってしまった伝馬は少し悲しい気分になっている。
「大歴君。大丈夫だよ。お、落ち込まないで。それにメリットもちゃ、ちゃんとあるし!!」
緑谷が優しく慰める。
「ああ。大丈夫さ。これのおかげで皆の個性を把握し、運用ができるってものだ。」
元気よく言ってはいるが、なんかボッチという感覚があり、少し悲しい伝馬であった。
「続いて最初の対戦相手は、こいつらだ!!」
「Aコンビが「ヒーロー」!!Dコンビが、「
なんと、因縁の二人が闘うこととなった。
「先に
静かに彼らは、オールマイトの話を聞いている。友とは何か。試されるのかもしれない。
ビルの地下室には、モニタールームがある。そこで、訓練をみんなで見るのだ。声は聞こえないが。
「さぁ君たちも考えてみるんだぞ!」
そして、伝馬は見る。彼らの戦いを。
ヒーロー側である緑谷と、麗日は如何やら、窓からの侵入ルートのようだ。
そして、道を歩く。屋内なので、非常に死角が多い。
角を曲がろうとしたとき、爆豪が飛び出した。
「いきなり奇襲!!!」
頭が目立つ、峰田実が驚く。
そして、爆破。ビルの耐久なんぞ知らんと、ドでかい爆発をする。
緑谷のマスクの半分が、なくなっている。寸前で避けたのか、掠めたのか。
何れにせよ、直撃していたら、危なかった。
「いい判断だ。双方、しっかりと考えられている。」
伝馬が、感心したように言う。
「爆豪スッゲェ!!奇襲なんて、男らしくねえ!!」
赤ずくめの、男らしい青年。切島鋭児郎が興奮した様子で言う。
「奇襲も戦略!彼らは今、実戦の最中なんだぜ!」
オールマイトが、そう答える。
「緑君。良く避けられたな!」
左右を見渡しながら、ピンクの肌をしている、女子の芦戸三奈が言う。
「爆豪が行った!!」
金髪のチャラ男のような青年。上鳴電気が言う。
爆豪が走る。そして、右手でまた爆破をしようとした。
が、その右腕を緑谷がホールドし、見事な一本背負いをしたのである。ドッという、鈍い音が聞こえてくる様だ。
そして、緑谷が何かを叫び、爆豪がそれに対して、怒り狂っている。
「アイツなに話してんだ?定点カメラで音声がないとわかんねえな。」
そう切島が言うと、オールマイトがやはり答える。
「小型無線でコンビと話しているのさ!持ち物はプラス建物の見取り図。そして、この確保テープ!コレを相手に巻き付けた時点で、「捕らえた」証明となる!!」
「制限時間は15分以内で、「核」の場所は「ヒーロー」に知らされていなんですよね?」
「YES!」
「ヒーロー側が圧倒的に不利ですね、コレ。」
と、芦戸が言う。
「相澤君にも言われたろ?アレだよ。せーの!」
「Plus U「あ ムッシュ。爆豪が!」」
オールマイトは、言葉を発した青山を見る。なんだか不服そうだ。
そして、訓練は進んだ。
緑谷は身を隠した。
上では麗日と、飯田の一騎打ちが行われている。どちらも有効打がなく、膠着しているようだ。
そして、爆豪がヒーロースーツで増大した、爆破で緑谷を攻撃した。
当たったら、確実に死ぬ。そんな爆発であった。
ドオォォォ!!!!!
彼らは闘う。己のプライドの為に、憧れに勝つ為に。
双方、幼馴染に向かって拳を振り上げる。
彼らは、殴り合いをするのかと思ったが、違う。
緑谷が、爆豪に拳を当てずアッパーをして、衝撃破を作ったのだ。
上の階では、衝撃で床が壊れ、その瓦礫群を麗日が個性で軽々と持ち、飯田に浴びせた。
そして、飯田が瓦礫に引き付けられている間に、麗日が核に抱き着いて勝利条件は達成された。
「ヒーロー・・・、ヒーローチーム・・・。WI----N!!」
「負けたほうがほぼ無傷で、勝ったほうが倒れてら・・・。」
「勝負に負けて、試合に勝ったというところか。」
「訓練だけど。」
そして、戻ってきた彼らの講評が始まった。
「まあ、つっても。今戦のベストは飯田少年だけどな!!!」
「なな!!」
飯田が驚いている。
「勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
蛙吹が質問する。
「何故だろうな~~~?分かる人!!?」
「ハイ。オールマイト先生。」
「それは、飯田さんが一番状況設定に順応して居たから。爆豪さんの行動は、戦闘を見た限り私怨丸出しの独断。そして先程先生が言っていた通り、屋内での大規模攻撃は愚策。緑谷さんも同様の理由ですね。麗日さんは中盤の気のゆるみ。そして最後の攻撃が乱暴すぎたこと。ハリボテを「核」として扱っていたら、あんな危険な行為できませんわ。」
その通りだ。彼女が言っていることに私が付け足す事柄はない。
「相手への対策をこなし且つ、”「核」の争奪”をきちんと想定していたからこそ、打算は対応に遅れた。ヒーローチームの勝ちは「訓練」と言う甘えから生じた。反則のようなものですわ。」
飯田がジーンと、感激している。八百万への好感度爆上がりであろう。
彼女の評価を聞いて思ったのは、”「核」の争奪”が目的だが、安全なところにヒーローが核を送るにはヴィランを最初にどうにかするしかない。ビルを出るときの輸送中に教われたら元も子もないからだ。この訓練は、ヴィランを同じ場所に引き付け、捕まえるか、その一点であろう。と私は考えた。
そして、クラスのみんなはシーンとしている。
「ま・・・まあ、飯田少年もまた固すぎる節が有ったりするわけだが・・・、まあ・・・正解だよ。くぅ・・・。(思ったより言われた。)」
オールマイトが震えながら、サムズアップをする。
「常に、下学上達!一意専心に励まねば、トップヒーローに等なれませんので。」
きっぱりと言い張った彼女は、ポニーテールの大和撫子の八百万百。推薦入学者である。
因みに、下学上達とは、手近なところから学び始めて、次第に進歩向上してゆくこと。で、一意専心とはほかのことを考えずその事だけに心を集中すること。である。
見習いたいものである。
第二訓練は、ヒーロー側の轟焦凍と、障子目蔵のBチーム。
だが、この訓練は、すぐに終わった。なんと、轟の個性でビルごと凍らせたのだ。
そして、核に手を当て、Bチームの勝利に終わった。
そして、訓練は続く。各々が自らの個性を使い、勝利しようと一進一退の攻防を見せた。
最後の第5戦が終わった後、いよいよ伝馬の出番である。
「よし!大歴少年。君の出番だ。君は誰をペアとして選ぶんだね?」
「はい。私は葉隠さんをペアとして、選びます。」
葉隠は驚いている。
「分かった。じゃあ、Kチームは大歴伝馬。葉隠透ペアだ!!そして・・・。彼らと戦うペアは、Bチームだ!前回はヒーローチームだったので、今回はヴィランのほうに行ってもらうぞ!」
轟と、障子は驚いていない様子だ。自分たちがやると分かっていたのではないだろうか。
「轟少年!頼むから、あんなビル全体を凍らせないでくれ。寒くてたまらないよ・・・。」
「善処はします。」
「うん。さあ、Bチームは先に入ってセッティングをしてくれ。Kチームは5分後だぞ。」
4人は、”はい!”と返事をして、作戦会議をしていく。
「なんで私を選んだの?ほかに強い人は沢山いるけど・・・?」
葉隠が疑問をぶつける。
「いや。君じゃないと、ダメだ。君のおかげで戦いやすくなる。」
「?」
「まあ、見ておいてくれ。君を活躍させてやる。」
伝馬は三日月の様と笑う。少しだが、彼らの笑い方に似て来たのではではないだろうか。
彼らは、オールマイトに勧められこの雄英に来た。そして、今はオールマイトの指示で二人は闘う。はてさて、どうなるのか。
私ににも分からない。
俺はぁ…至極悪いぞぉお。
飯田天哉