東條英機
翌日
1-Aでは学級委員長を決めており、当初は緑谷が委員長になったが、最終的には飯田がなった。
因みに、副委員長は八百万である。
後ろには、書記長が見ていた。
どうでもいいが、私は委員長というと、赤いアレを思い出す。歴史好きのダメなところである。
そして午後の授業、ヒーロー基礎学である。担任は相澤だ。
「今日はヒーロー基礎学だが・・・災害水難何でもござれ。
RESCUEと書かれているカードを持ちながら話す。
「レスキュー・・・今回も大変そうだな。」
「ねー!」
「バカおめー、これこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!!」
「水なら私の独壇場、ケロケロ。」
と、盛り上がっている。
「おい。まだ途中。」
シーーーン
「今回コスチュームの着用は各自の判断で構わない。中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな。訓練場は少し離れた場所にあるから、バスに乗っていく。以上、準備開始。」
救助、それが起きるのは災害である。災害は決して人力では止められない。母なる大地の大いなる試練だ。
だが、我々は無力ではない。対策をしていざと言うときには、人々が動く。災害時に動く人々でこの国でもっとも有名な人々は、自衛隊であろう。
軍隊は戦争をするものではあるが、その前に自国民を守り、国を守護する者達である。
軍隊の最も気高き姿は、軍事パレードをしている時であるが、最も輝いている姿は救助のときであろう。
そして、バスが来た。”飯田が番号順に二列で並ぼう!”と呼び掛けている。
委員長たる責任ゆえか。
だが、それは意味をなさない。何故なら、三方シートだったからである。
「こういうタイプだった。くそう!!!」
猛烈に悔やんでいる。椅子に座っているのに、体育座りの如くだ。
飯田の向こうには緑谷がいる。悔やんでいる飯田を見て、苦笑いだ。
そして、緑谷の隣にいる蛙吹が緑谷へ話しかけた。
「私思ったことを何でも言っちゃうの、緑谷ちゃん。」
「あ!?ハイ!?蛙吹さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで。あなたの”個性”オールマイトに似てる。」
「!!!! そそそそうかな!?いや、でも、僕はその、えー」
と、明らかに狼狽えている。何故なら、緑谷出久はオールマイトの”個性”である、ワン・フォー・オールの継承者なのである。
このことは、絶対に秘密とオールマイトから言われているので、彼は決してそれを、ばれてはいけないのである。だからこんなにも狼狽えるのだ。
そうして、狼狽えて居る緑谷に助け舟が出された。切島である。
「待てよ、梅雨ちゃん。オールマイトはケガしねえぞ。似て非なるあれだぜ。しかし、増強系のシンプルな”個性”はいいな!派手でできることが多い。」
「その通りだ。ヒーローはやはり、オールマイトの様な正々堂々なほうが格好いいからな。」
伝馬も切島の言葉に賛同する。
「そんなことないよ。二人ともすごいかっこいいよ。プロにも十分通用する”個性”だよ。」
緑谷が言う。
「プロなー!しかしやっぱヒーローも人気商売みてえなとこあるぜ!?」
「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み。」
「でもおなか壊しちゃのはヨクナイね!」
青山が言った瞬間に芦戸が肩を叩きながらそう言った。
青山は恨めしそうに芦戸を見る。
「派手で強えっつったら、やっぱ轟と爆豪。後、大歴もだな。」
「そうか。なんか照れるな。」
「爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなさそ。」
「んだとコラ出すわ!!」
と、爆豪が身を乗り出して怒った。蛙吹はそれを見ると”ホラ”と指を差した。
その間にいる切島はいつ爆破が飛んでくるか分からないので、冷や汗もんだ。
「この付き合いの浅さで、すでにクソを下水で煮込んだような性格と認識されてるってすげえよ。」
「てめぇのボキャブラリーは何だコラ!殺すぞ!!」
爆豪を煽る、上鳴とさらに怒る爆豪。
賑やかで高校生らしく、とても良い。
そんなこんなで訓練場に到着したのである。
「すっげー!!USJかよ!!?」
と、歓声が飛ぶ。そこは訓練場とは思えない。一種のテーマパークの様である。
そんなことを喋っていると、まるで、宇宙服のような服を着た人が話す。
「水難事故・土砂災害・家事・・・、etc。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も・・・
『USJだった!!』
「スペースヒーロー「13号」だ!災害救助で目覚ましい活躍をしている紳士的なヒーロー!」
と、緑谷が即座に解説する。
「わー!私好きなの13号!」
麗日がうれしそうに答える。
「13号。オールマイトは?ここで待ち合わせるはずだが。」
相澤が13号に小声で聞く。
「先輩、それが・・・、通勤時に制限ギリギリまで活動してしまったみたいで、仮眠室で休んでいます。」
そう、オールマイトの個性には、実は時間制限がある。最近、衰えた証拠でもある。だからこそ、継承者を探していたのだろう。
「不合理の極みだなオイ。(まあ・・・、念のための警戒態勢・・・。)仕方ない、始めるか。」
「えー、始める前にお小言を一つ、二つ・・・、三つ、四つ・・・。」
『増える・・・。』
「皆さんご存じだと思いますが、僕の”個性”は”ブラックホール”。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。」
「その“個性”で、どんな災害から人をを救い上げるんですよね。」
緑谷が言う。その隣で麗日が首が取れる勢いでコクコクと頷く。
「ええ・・・。しかし簡単に人を殺せる力です。皆の中にもそういう”個性”がいるがいるでしょう。超人社会は”個性”の使用を資格制にし、厳しく規制することで、一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば、容易に人を殺せる”いきすぎた個性”を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで、自身の力が秘めている可能性を知り、オールマイトの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。この授業では・・・心機一転!人命の為に”個性”をどう活用するかを学んでいきましょう。君たちの力は人を傷つけるためにあるのではない。助けるためにあるのだと、心得て帰ってくださいな。」
『13号!カッコイイ!!』
「以上!ご清聴ありがとうございました。」
と13号が礼をする。
”ステキ―!”や”ブラボ―!!ブラーボー!!”と歓声が聞こえ、拍手喝采である。
「そんじゃあ、まずは・・・」
と、相澤が指示を言おうとした瞬間、後ろから、ズ・・ズズ・・ズ・・、と音がする。
振り向いた瞬間災厄が訪れた。顔に手を付けている男。嫌、全身に手を付けている珍妙な男は、ズズと言っている黒い霧の様な物から出てきた。遠くからでもわかる。アイツは常人とは何かが違うと。目は何かを恨んでいるような、それでいて純粋でよく分からないからこそ恐ろしい。
「一かたまりになって動くな!13号!!生徒を守れ!」
”え?”と皆困惑している。
希しくも、命を救える訓練時間に彼らの前に現れた。
黒い靄から出てくるのは、マスクの男・皮を紡ぎ合わせて作った服を着た男・恐竜のような男、蛇のような女・脳が飛び出ている男。多種様々だ。
統一感がなく、それが逆に恐ろしい。
「なんだありゃ!?また入試ん時みたいな、もう始まってんぞパターン?」
切島が言った瞬間、相澤が戦闘用ゴーグルをかけながらこう言った。
「動くな!あれは、
彼らは今理解した。プロが何と戦っているのか。何と向き合っているのか。其れは、途方もない悪意。
敵を今知ったのだ。
「東條さん!!」
と、伝馬が叫んだ瞬間。
『応!!』と、声と共に後ろから前に出て、土嚢を積み、九九式軽機関銃を持ち陣地作成を始めたのは山下奉文率いる、第18師団、国軍最強の師団である。その中の精鋭50人が召喚された。
一触即発
終戦直後に、多くの日本軍将校が自決してしまったから、
誰かが責任をとって死刑にならないといかんのだろう。
山下奉文