歴史はヒーローになれるのか   作:おたま

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われらここに励みて国安らかなり。

陸上自衛隊 第七師団


青年は敵と戦う

「やはり、先日のはクソ共の仕業だったか。」

 

実は午前中に、なんと不法侵入が起こったのである。オールマイトを取材したいマスコミの暴走であったが、普通は侵入しようとしてもできないのである。

何故か?それは雄英セキュリティーは世界トップレベルだからだ。学生所や、通行許可IDがないと、センサーが作動し雄英から問答無用に追い出されるのだ。

 

どんな者でも決して入れないのだが、しかし彼らは入れた。許可証があったのでは?とまず最初に思うのだが、もしそうだったらセンサーは反応しないであろう。

 

(ヴィラン)ンン!?バカだろ!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎりぞ!」

切島が驚いたように言う。

そりゃそうだ、雄英はヒーローの卵を養育する学校である。

そんなところに殴り込みに来る(ヴィラン)は本気で卵を殺そうとしているか、只の脳無しであろう。

 

「先生、侵入者用センサーは!」

八百万が言う。前述のセンサーの事を言っているのだろう。何故、あの敵《ヴィラン》達は引っ掛からないのだろうか。

 

「もちろんありますが・・・。」

 

「ふむ・・・、センサーが反応しないと言う事ならば、敵側にそういう個性持ちがいるのか。他の所にも(ヴィラン)がいるのだろうかどちらにせよ、校舎から離れているここで、小人数(クラス)の時間割、計画的な犯行だ。用意周到に画策された奇襲だ。目的はなんだ・・・?」

伝馬がそういった。

 

「今はそれを考えている時間はない!13号は避難開始!学校に連絡を試せ!センサーの対策も頭にある敵《ヴィラン》だ。電波系の"個性(ヤツ)"が妨害している可能性もある。上鳴、おまえも”個性”で連絡試せ。伝馬も無線機とかでも通信を試みろ。」

 

相澤が出した指示に”ッス!””了解”と答える。

 

そして、相澤が彼の武器である、包帯を首に巻いている。どうやら戦いに行くようだ。

 

「相澤先生。機関銃の援護を必要でありますか。」

東條が言う。

 

「いいですけど、殺しては絶対にダメですよ。牽制だけです。」

 

”分かっているとも。”と東條が言い、山下が手を挙げた瞬間カチッと、機関銃群の安全装置を外す音がした。

 

「先生は!?一人で戦うんですか!?あの数じゃいくら”個性”を消すって言っても!!イレイザーヘッドの戦闘スタイルは敵の個性を消してからの捕縛だ。正面戦闘は・・・。」

と、緑谷が声を荒げて相澤を止めに行くが、それを遮るように言った。

 

「一芸だけじゃヒーローは務まらん。13号!任せたぞ。」

 

そう相澤、いやイレイザーヘッドが言った瞬間、飛び出した。

 

「射撃隊いくぞぉ!」

「情報じゃ、13号とオールマイトだけじゃなかったか!?ありゃあ誰だ!?」

「知らねぇ!!が、一人で正面突っ込んでくるとは」

 

「大まぬけ!!!」

 

と、(ヴィラン)がイレイザーヘッドに向けて、個性で射撃をしようとする。だが、弾が出ない、イレイザーヘッドの”個性”抹消の効果である。

 

「あれ?出ね・・・」

と間抜けな事を発した瞬間、彼らの周りを白い包帯が包囲した。

彼らがそれを視認した瞬間、隣の(ヴィラン)とまるで巴の様に頭を強烈に合わせ、意識が沈んだ。

 

「ばかやろう!!あいつは見ただけで”個性”を消すっつう、イレイザーヘッドだ!!」

 

「消す~!?へっへっへ、俺らみてえな異形型のも消してくれるのかぁ!?」

と言いながら走ってくるのは、四つ腕があり、肌が石の様に凝り固まっている(ヴィラン)だ。

 

「いや、無理だ。発動系や変形系に限る。」

そう言いながらイレイザーヘッドが四つ腕の(ヴィラン)の連打を全て避けながら、顔面を殴る。

 

殴られ、体制が崩れた四つ腕の(ヴィラン)の足を包帯で掴む。

「おまえらみたいな奴のうまみは統計的に」

 

そして、後ろから、奇襲をしに来た覆面の(ヴィラン)を避け、すぐに蹴りを放った。

覆面の(ヴィラン)が後ろにいる(ヴィラン)の所まで後ずさる。

「近接戦闘で発揮される事が多い。」

 

そう言った瞬間、イレイザーヘッドが包帯で掴んでいた四つ腕の(ヴィラン)を覆面の(ヴィラン)がいるところに投げた。

 

「だから、その辺の()()はしている。」

 

イレイザーヘッドの後ろでは、(ヴィラン)が四つ腕の(ヴィラン)の下敷きになっている。

 

未だ沢山の敵《ヴィラン》が健在だ。イレイザーヘッドを包囲し出方を窺っている。

 

そして、イレイザーヘッドの周りにはダダダダダダ・・・ダダダダダダという音と共に、オレンジの線が迸った。

 

機関銃である。

敵《ヴィラン》達を牽制するように、イレイザーヘッドを守るように円を描いている。

 

だが機関銃は必ずしも円を描くわけではない。まるで視力検査の円の様に一部が抜けている。

イレイザーヘッドはその抜けているところから(ヴィラン)を攻撃している。

息ぴったりだ。

 

敵《ヴィラン》達はイレイザーヘッドの個性と目線がどこを向いているか分からないように作られたゴーグル、そして日本軍の機関銃牽制で近づけない。

完全にヒーローが優勢である。

 

 

そして1-Aでは避難する準備を進めている。

 

「すごい・・・・。初めて一緒に戦うのに息ぴったりじゃないか。多対一こそ先生の得意分野だったんだ。」

緑谷が感心したように言う。

 

「分析してる場合じゃない!早く避難を!!」

飯田が急かす。

 

「させませんよ。」

13号率いる1-Aの前に黒い霧が行方を遮った。

 

「初めまして、我々は(ヴィラン)連合。せんえつながら・・・この度ヒーローの巣窟、雄英高校に入らせていただたいたのは、平和の象徴、オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして。本来ならば、ここにオールマイトいらしゃっるハズ・・・ですが、何か変更あったのでしょうか?まあ・・・それとは関係なく・・・私の役目はコレ。」

 

と、言った瞬間、後ろから伝馬、切島と爆豪が飛び出て、後ろから霧に一〇〇式機関短銃を撃ち、硬化した腕で殴りに行き、大爆発が起きた。

 

BOOOOM!

 

「その前に俺たちにやられることは考えてなかったか!?」

と、切島が少し荒げて言う。

 

だが、効いていない。

「危ない、危ない・・・そう・・・生徒といえど、優秀な金の卵。」

 

「ダメだ!どきなさい、二人とも!」

人差し指をカポっと開け、何時でもブラックホールを出せる状態の13号が焦ったように言う。

 

そういった瞬間、黒い霧が1-Aの周りを包み込んだ。

 

「散らして」

すぐに察知して、後ろに避ける者

「嬲り」

一つに固まり、耐える者

「殺す。」

他のクラスメートを庇う者、抱え逃げる者

 

「皆!!」




敵機は目で見るんじゃありません。感じるもんです

岩本徹三

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