アニメキャラを呼び出して戦わせるマスターに選ばれた件〜Second Bullet〜 作:100¥ライター
前作も一応ありますが、あれを遡ると80話以上あるので暇つぶしに困っている人以外は見なくても大丈夫です。
というか前作がグダってから結構時間が経っているので覚えている方はいないと思いますw
それでは、どうぞ!
ある日、日本にアニメキャラ達が襲来し、各地で戦いが勃発した。
彼、彼女らを率いる資格を有する者はマスターと呼ばれ、マスターが最後の一人になるまで日々争っていた。
最後のマスターとなったとある少年が長きに渡った戦いに終止符を打った。
…はずだった。
『俺の願いはただ一つ。ユウキ、お前を生き返らせてもらうことだ。俺の命と引き換えにな』
彼の名前は津島隼人。どこにでもいるオタク高校生だったが、オタク故にマスターとして選ばれ、この戦いに身を投じることになった。
彼の願いはただ一つ。病死したソードアート・オンラインのユウキを生き返らせることである。彼は終始このためだけに戦ってきた。
そのために今までの何倍もの漫画やライトノベル、アニメを漁り、確実に勝てる方法や編成を模索。
莫大な知識量や咄嗟の機転によりマスターとしての役目を充分に果たし、そして遂に隼人は優勝を手にした。
『嫌だ…嫌だよ!そんなの認めない!絶対ダメ!!』
『俺は今までこのためだけに戦ってきた。最初から…お前にこの命を捧げるために…だから頼む。俺の最期の願いを叶えさせてくれ。ここで死なせてくれ』
隼人はある日知ってしまった。彼女を生き返らせることは即ち確定した運命の流れに逆らうことであると。彼女が死んでしまったという運命に抗うにはこれしか手段はないと。
『ほ、他に何か方法があるはず!君が死なない方法が!』
『ない。折れた天鎖斬月が普通の方法じゃどうやっても直せなかったよーにな。もちろん過去のお前に干渉可能かも聞いたが、無理だった』
『…どうしても諦めるつもりはない?』
『ない』
隼人は自分なんかの死が辛かったにしても…ユウキがそれをなんてことなく乗り越えていける強さを持っていることをよく知っていた。だから…ユウキの実りある未来を…を願った。
『…』
『そうだな。それなら願いは…【俺とお前が戦い、俺が勝ったらさっき言ったユウキを生き返らせる願いを叶えてもらう。だが、お前が勝ったらお前の願いを叶えてもらう】。よし、これなら結果的に叶う願いは一つだ。問題ないはずだ。そうだろう?運営さん』
「うん、問題ないよ」
『…負けないから絶対』
『俺だって断じて負けるつもりはない。おれはお前と別れてから完璧な仲間を探した!色々な作品のキャラに勝ちまくるようなコンビネーションを探した!…そして今!おれは200人のマスターの頂点にいる!ユウキ!この意味が分かるな?』
『……………………分かった!教えてやる!』
『このおれさまが!世界で一番!強いってことなんだよ!』
隼人の一度言ってみたいセリフランキング第1位をリアルに言わせてもらえた上にシチュエーションも最高だと隼人の気分も高揚している。
「うん、完璧だよ。ただ…ごめんね、君達の戦いを観たい人が沢山いるからちょっと待ってね」
最悪のタイミングで邪魔が入り、隼人は肩を落とした。
〜
どうやら様々な世界の神やら天使やらが総動員されており、今もノーゲーム・ノーライフのテトがやってきた。そう、先程最後の戦いを止めた張本人だ。
「いやぁ、まさか愛する人を生き返らせるために自分の命を引き換えにするとは…ついさっき最後の戦いを終わらせたはずなのにまさかこんなにも早く最後の戦いをするなんてね」
「あいつが俺の願いを素直に聞き入れてくれたのならこうはなりませんでしたがね…」
まっ、100%天地がひっくり返ろうとあり得ないって最初から分かっていたんだけどな。
「はい、これルールブック!読んでおいてね」
「おっ、ありがとうございます」
ルールは基本的に天下一武道会ルールを採用。ただし、武器や防具の使用は全面的にOK。要するに神様連中を楽しませろってか?
「他の神や天使が君を注目する理由が分かった気がするよ」
「…注目されてたんです?」
「そりゃあ、もう。最初は少数派だったけど200人中残り80人になってから起きた3回目…最後のマスターサバイバルなんて特に面白かったよ。1回目と2回目の優勝者である君を注目しないわけないよ」
マスターサバイバルか。マスター全員が別空間に飛ばされ、呼び出したキャラの力ではなく、その場で会った即席の仲間と共に様々な戦いを繰り広げるマスター自身の力を試すってあれか。
試合の準備時間はかなりあるとのことだし、少しだけ昔話をするとしよう。
先程テトが言っていた3回目のマスターサバイバル。それは俺にとっては一番のターニングポイントでもあるからな。
〜回想
おかしい。俺はユウキや他の仲間達と共に誰一人として欠けることなく、沖縄での激戦を終えて自宅に着いて爆睡していたはずだ。
けど今いる部屋は辺り一面服しかない謎の場所。
あとは好きな服に着替えたらこの床を踏めと書いてある妙な張り紙があるだけ。 現状は分からないが、とりあえずは従うしかない。
「こ、これは…!!」
このすばの紅魔族が着ているような最高にイカした服だ…うん、絶対これしかない。早速紅魔族の服に着替え、指示された床を踏んだ。
「…ここは?」
今度は何かに乗っているような感覚がある。第一に現在地を把握しようと窓を覗き見たらそこにあった景色は雲一つない青空だった。
今度は飛行機の中に転移したのだろうか。
上空からではやはり具体的な場所の特定は困難を極めるだろう。他の客もいるし、そいつに聞くべきか。
「すみません、この飛行機はどこに向かっていますか?」
「いや、それがよ…俺もよく分から—」
「…あら?」
飛行機が…消えた?まるで最初から何もなかったかのように綺麗さっぱり。
ここは…遥か上空…安定して飛行していたし、周囲に山は見えない。飛行機が急にそのまま消えたと推測するなら大体高度1万メートルといったところだろうか。
「うおあああああああ!!」
いきなりパラシュート無しのスカイダイビングをさせられ、困惑していた所にとある男の声が聞こえた。
『これより、第三回マスターサバイバルを開始します!!まずは各々、空を飛べるキャラ。あるいは浮遊することが可能なキャラ等、現状を打破することが可能なキャラを1人思い浮かべてください!ただし、被り禁止の早い者勝ち!正解かつ被り無しの場合のみ!キャラが出現します!キャラを思い浮かべる数は何回でもOKですが、ここは高度1万メートル。普通に着地したら貴方達は確実に死にます!ですからそれまでに正解のキャラを思い浮かべてください。ここまで勝ち残った80人の猛者である貴方達なら余裕なはず!それでは!!』
「ルフィ!」
「出てこい、ヤムチャ!!」
「頼む、モブ!」
「シルバー・クロウ!」
…ったく、そういうことか。あんま呑気に考えている暇はなさそうだなっ!
「エルマだ。貴方の願いに応じ馳せ参じた。この状況から察するに貴方を乗せて、飛べばいいんだな?マスター!」
今喋ればほぼ確実に舌を噛むので無言で首を縦にブンブン振り、そして下を指差す
「そうか、無事下に着地できればいいのだな!では、行くぞ!」
よし、察しが早くて助かる!これで俺もクリアだ!
〜
無事に着陸したが、流石にここで脱落する者はいないのか。それもそうだよな。飛べるキャラと言えば羽があるやつは大抵そうだし、浮遊までいけばこのすばのアクアも正解だ。というか舞空術があるからとりあえずドラゴンボールのキャラを思い出せば余裕。舞空術はあっちの世界のやつらならヤムチャでも出来るからな。
流石に星の数ほどある正解を一つも導き出せない馬鹿はここにはいないってことか。
「あらよっと」
「ありがとう、エルマ!今度会ったらケーキでも奢るよ」
「あぁ、機会があればまた呼んでくれ」
そうしてエルマは光に包まれ、去っていった。今回は1回きりの召喚ってわけか。好き放題召喚できたらバランスが崩壊するし、妥当だな。
『やはり空を飛べるキャラ、あるいは浮遊が出来るキャラがパッと思いつかない…なんてレベルの低い人はもうここにはいないみたいですね』
ん?あのマイクにオールバックの金髪、そしてサングラス…
「あんた、天下一武道会の…」
『はい!僭越ながら私が務めさせていただきます!!』
『空を飛べる翼があって、更にマスターを運ぶ力があれば全員正解です!また、翼が無いキャラであれば我愛羅さんやお茶子さん、タツマキさんなども正解です!』
そうだよな。俺はたまたま思い浮かんだのがドラゴンのエルマだったが、浮遊魔法を覚えた魔法使いや足場を作れる能力者、あるいは落ちても死なない程の凄い肉体強度の持ち主に乗って、そのまま落ちる…なんかでもありだな。まぁ、最後のはカイドウぐらいしかいないと思うが。
『それでは、早速第一の試練へ行きましょう!』
〜第一の試練
Aブロック ミッション『弁当を入手せよ!』
辺りをざっと見渡すと20人といったところか。4ブロックに分割されたわけね。そんでもってミッションは弁当を入手しろ…?
何だよ、そんな意味の分からないこと…
『まずは弱いマスターを間引きさせていただきます!ここAブロックの貴方方には一人分の召喚権と1000円を差し上げます!キャラを呼び出し、弁当を手に入れてきてください!ただし、弁当は必ず!マスターが手にしてくださいね。そしてアニメキャラの皆さんはマスターの支援、あるいは敵マスターの妨害に専念してくださいね!』
あと実況者も変わったな。何故か妙に癪に触る女性の声だ。
…とにかくまずは召喚をしなければ何も始まらない。そこから作戦を立てよう。
『召喚ッ!』
俺の目の前に魔方陣が展開されるとそこから純白のローブに身を包んだ水色の髪をした少女と大きなバッグを携えているピンク髪の少女が現界した。
「…癒術師メディです。貴方が私達のマスターですか?」
「旅商人のポータです!非戦闘ですが、マスターさんのお役に立てるよう頑張ります!!」
今回召喚したのは通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?の二人か。お母さんが一緒にゲームの世界に転移してきてしまうという中々見ない変化球の極みのような作品だ。
殴りヒーラーのメディに非戦闘員ではあるものの、アイテムの鑑定やアイテムクリエイションといった支援でとても重要な役割を果たせるポータ。前者はALOアスナや春野サクラという強力なライバルがいるため差別化していくには多少コツが要るが、後者のような生産系をこなせるキャラは特に入手難易度が高いのでとても嬉しい。
ん?二人?どうして…ガッシュと清麿のような2人いなければ力がフルに引き出せないキャラのための例外的な措置を除けば基本は1回の召喚につき、1キャラというのが原則なはずだ。おまけにポータは先程言ったように非戦闘員。普通ならこの戦いからは外されて然るべきキャラだ。
「そちらはですね。ポータさんをどうしても参戦させたいという運営の意向から真人君と真々子さん、ワイズさん、私の中からいずれかを召喚した場合、そしてなおかつポータちゃんが召喚されていなければ同時に召喚されるというルールが付けられたのです」
つまり真々子さん一行の中から一番最初に召喚された人にポータちゃんがついてくるってわけね。すげぇ特権ルールだな。
この戦いにおいて基本全キャラ等しくルールに縛られてしまうのだが、一部ルールを無視出来るキャラや他のキャラには出来ない特別なことが出来るキャラがいる。
例えばソードアート・オンラインのキャラは一部例外を除けば流血しないというちょっとした補正から吉良吉影は一度だけ自分が負傷を全回復した後に川尻浩作となることが出来るという異議の一つでも申し立てたくなるようなものまで多種多様だ。
「あと自分は一切ダメージを与えられず、ダメージを受けない仕様になっています!そんな私にやれることはアイテムの鑑定やアイテムクリエイション、アイテム管理などといったアイテム関連のサポートぐらいしかできませんが、精一杯頑張ります!よろしくお願いします!」
いや、それ結構役割あるんじゃないか?そして何気なく言ったけど無害故に無敵とはスゲーな。
「そういや今もアイテムあんの?」
「はい!今まで使ったアイテムは大体中に入ってます!困ったら遠慮なく言ってくださいね!」
おぉ…そうと決まればあとは何が何でも弁当を手に入れるだけだ。
『それでは…始めっ!』
『スパーラ・ラ・マジーア・ペル・ミラーレ…
「サンキューな!早速第一試練クリアだ!!」
ナイス、転移魔法。…呼び出せたのがお前で本当に良かった。
さて、弁当の値段は…
「え?」
1080円、1200円、1500円…?待て、どれも1000円で買えないものばかり…どうすりゃいいんだ?俺と同じく瞬間移動なんかで来た人達も全員固まっている。
「ナイス、轟!」
「えぇ、これで第一試練クリアですわ!白井さん、感謝しますわ!」
「ほう!ここに来れば屈強な男共に揉みくちゃにされるというのは本当か!?マスター!」
白井黒子と轟か。空中を飛び、轟は氷の上を滑ってきたわけか。あとはダクネスが…うん、これはノーコメントで。
「うん、そーだよ。ダクネスー、がんばれー」
「マスター、褒めるのは後だ。見ろよ、この弁当の値段。普通じゃねぇぞ」
「マスターさん、問題はここからですの」
弁当の具体的な値段なんざ知らないし、特別興味もないが、スーパーの安いものならせいぜい500円かそこらあれば買えるだろうに。全てがお高い。
今からビジネスを始め、ポータの所持している商品を高額で売りつけるという策も無くはないが、流石に今お金を払うバカはいないだろう。却下。
「1000円じゃ何も買えません!」
「てことはつまり…アレをするしかねぇな」
「そうですね…」
残る選択肢と言えばこれしかないよな。
「割引シールが貼られるまで待ちましょう!」
『他の人から1000円札を奪いましょう』
『バレないように万引きするか』
『…え?』
…あー、割引シールね。辺りをよく見るとちゃんと店員がいる。俺は万引き防止だと思ったが、そうではなく、その中の誰かが割引シールを貼るってわけね。そしてそこからベン・トーが始まると。ちょっと懐かしいな。
「メディさん!マスターさん!自分、よく聴こえなかったのでもう一度言ってほしいです!」
「な、何でもありませんよ?ですよね、マスター」
「あぁ、何でもないよな?メディ」
『なお、他のマスターからお金を奪うことや万引きは反則です!まさかそんな外道な発想をした人がいるとは思えませんが!繰り返します、他のマスターからお金を奪うことや万引きは反則です!レジに並んでちゃんとお金を払ってください!ルールで購入なんて一言も言っていなかったからやっていいと思った。なんて言い訳はやめてください!』
『…』
「やれやれ…ガバガバルールにしやがって…ゲームってのはそういうルールの抜け穴を探すもんだろう?後から禁止ーとか言われるの萎えるわー」
そうやってため息をついていたら隣にもっと闇の深い女がいた。
「はぁ…それならもっと具体的に言えばいいじゃないですか。自身の不手際を棚に上げ、私達をなじるとかどういう神経してるんですか。最低ですよ。自身は顔出しすらもせず、画面越しで踏ん反り返って…良いご身分ですね、えぇ。所詮私達の戦いなど貴方方の娯楽、エンターテイメントの一つに過ぎない…なんて言いたいんですか?はははー…この戦いの主催者とやらは随分とおふざけが過ぎてますね…」
うん、やっぱり心の闇というものはすぐ無くなるものではないな。それもまたメディの個性だと割り切っていこう。まぁ、こうやって直でさらけ出してくる分には分かりやすくて良い。
だけど…壁を蹴るのは止めような。そして杖で殴るのはもっとダメ!
「すみませーん、ここに外道が二人もいまーす!」
流石に止めに入ろうとしたらツインテでよく魔法封印をくらって置物化するちょっと残念な真紅の賢者が現れた。
「あっ、ワイズさんも来ていたんですね!」
「あら、そこにいるのはワイズさんではありませんか」
攻撃魔法、回復魔法、補助魔法と沢山の魔法が使える賢者の癖に割と脳筋で攻撃魔法を撃つイメージがあるのはメディがいるからなのか本人の性格故か。
「いわゆる引力ってやつね。召喚されたキャラに引き寄せられて因縁なんかがあるキャラがちょっと召喚されやすくなるっていう…」
「あら、私に因縁とは…もしかして胸の話でしょうか。ワイズさん、いくら自分のものが貧相だからといって、私の豊満な胸に因縁をつけるのは止めていただけませんか」
「よし、分かったわ。あんたは必ず私が潰す。あんたの胸と一緒に」
「待て待て、とりあえずは大人しくアナウンスを聞こうぜ」
「あぁ、それが賢明だ。だから今は大人しく矛を収めてくれないと困る」
「ほら、ワイズのマスターもこう言ってるし…メディも今は引いてくれ、頼むから」
俺がそう懇願するとメディは仕方ないですね、となんとか引き下がってくれた。今は余計なトラブルは避けたい。
「ねぇ、これあんた達はどう攻略するの?」
「はぁ、敵に塩を送る人間がどこにいるんですか?ワイズさんじゃあるまいし」
「そういうのを止めろってさっき言っただろ!」
よし、少し距離を取って頭を冷静にさせよう。
〜
『既に金額を見た皆さんはお分かりですね?このままじゃ何も買えません!』
『ですからそのために店員がいます!店員が半額シールを張るのでそれから手に入れてください!』
『ただし、戦闘はもちろん神がいなくなってからでお願いします!』
どこまでもベン・トーってわけか。ただメディはあくまで支援職である。殴りヒーラーという珍しい部類ではあるものの、バフ込みでも超ハイレベルな強者共と真っ向勝負ができる実力はないと思う。
というかあれだ。勇者真人一行って真々子さんが無双しちゃうから真人、ワイズ、メディの3人は戦闘経験値が一般的なアニメキャラより低いっていう致命的な問題もある。
ヤバい、いつ半額シールが貼られるか睨み合っていたらもう後続連中がやってきたか。
「周りを見渡す限り明らかに格上連中が多いが、策がないわけじゃない。こちらの能力を無効化するやつもいないし、弁当争奪戦は俺とメディがどうにかする。ポータは…そうだな。一部アイテムを拝借したい。あと紙とペンはあるか?」
「はい!どうぞ!」
「えっとだな…こっちのコーナーを見てくれ。多分人もそんなにいない」
「え?ですが、ここら一帯は…」
「関係ないように見えるだろう。だが、もし関係あったのならそれは次の戦いで大いに役に立つ。任せてもいいか?」
「分かりました!頑張ります!」
「そしてメディ…お前の指示は多少多いが…」
「分かりました」
…よし、次の布石は充分。じゃあ、まず最初の試練を突破するか!
そう、意気込んでいた所に奴は現れた。半額シールを持った店員だ。
これが張られてから…
「よっしゃあ!貰ったぁぁぁぁぁぁ!!」
「乗るな、マスター!戻れ!!」
「…あ?」
「ちょ、おーまー!!」
…うん、急に地面に穴が開き、情けない声を出して落ちていった。おーまーとかきょうび聞かねぇな。半額シールを貼ってすぐ手に取って良いわけがないだろうに。さてはベン・トーを履修してないな?
『まだ半額シールを貼った店員が退場していません!反則です!!』
おっけおっけ…俺は耐えた。あとは…店員がいなくなったら!
「今だ!」
『スパーラ・ラ・マジーア・ペル・ミラーレ…
辺り一面を暗闇に!ルートは既に覚えている!あとは半額弁当を取って、メディの場所に戻るだけ!
「悪ィーけどよォォ〜マスターの分、頂いていくぜェ〜『ザ・ハンド』!!」
「あっ、お前!!」
億泰に半額弁当を取られた、恐らく既にマスターがキャッチしているか…こちらもまだなんとか半額弁当を持っているが…
「!?」
音も無く、一瞬で奪われた!?一体誰が…
「…」
暗闇から一転。明るくなったことで犯人が明らかになった。無言で…いや、実際には何かを言っているはずだがこちらにVサインをして、走り去る男がそこにはいた。コラソン!!お前の仕業か…
なんとかこの一つだけ残った半額弁当は死守しなければいけない…
メディはもうすぐ先だ。
『スパーラ・ラ・マジーア・ペル・ミラーレ…
「ぐっ…」
おいおい、二重で素早さダウンのデバフかけてくるとか…さては加減を知らないな…?
「ごめんなさいね?勝つのは私達よ。じゃあね、メディのマスターさん。ほら、今の内に取っちゃいなさい。マスター」
「そんな…ワイズさんごときに…!!」
「あんた私をそんな格下に見てたの!?…まぁ、良いわ。メディに一泡吹かせたし、私は満足よ」
「悪いな。この戦いは頭の良い奴が生き残り、馬鹿は無様に負けるのさ」
ワイズのマスターから弁当を取り返そうにも今は身体がほとんど動かない。動いたにせよ、既にメディには転移魔法を詠唱させている。
もうどちらも止めることはできない。だから今はメディと共に転移魔法で飛ばしてもらうしかない。
「…移送!」
〜
レジに一番乗りしたところ買い物カゴに水や缶詰を入れているポータと再会した。どうやらあっちは上手くやったらしい。
「こっちの目的は達成しましたよ!マスターさん!」
「…マスター、目的の品は買えましたか?」
「それがな…」
「大丈夫ですよ!まだ時間はあります!」
「すまん、しくじっちまった」
俺の目に写っているのは半額弁当ではなく、シールが張られていない弁当だ。おまけに1500円…クリアは不可能だ。
「そ、それじゃあクリアできません!」
「全く…くだらない三文芝居ですね」
「くだらなくて悪かったな」
弁当が540円の半額弁当に変わる…いや、戻ったというのが正しいだろうか。
「どうやら皆さん、私達の作戦に上手く引っかかってくれたようです」
「そういやあいつ…馬鹿は無様に負けるとか言ってたな」
「うわぁぁぁぁ!!」
「な、何だ!?急に爆発したぞ!!」
「メディ!あとで覚えてなさいよーー!!!」
「さっきポータから爆弾を沢山拝借しただろう?それを全部半額弁当に見えるように幻覚をかけてもらったのさ。そして俺のはシールが張られていなかった弁当に偽装した。万が一にも目をつけられんようにな」
全てのシールを貼り終わった時、あの場の誰もが店員に視線が釘付けだった。そりゃあ、いなくなってからがバトルスタートの合図だからな。だったら俺が取る予定の弁当の見た目がちょーっと変わってたとしても気づかないよなぁ?
「馬鹿は無様に負ける?お前のことじゃねぇか。自分をよく理解していらっしゃる」
『Aブロック No.7。メディのマスターさん。合格です!』
「どうも…よし!第一の試練は俺達の完全勝利だ!!」
三人でハイタッチ!よし、良い滑り出しだ。第二の試練も頑張—
「…ミスディレクションを利用した恐ろしく手際の良い幻覚魔法。オレでなきゃ見逃しちゃうね」
「…ッ!誰だ!?」
「ど、どうかしましたか?マスターさん!」
今、確かに誰かが後ろから俺に耳打ちをしたはずだ。だが、振り向いてもそんな人影はどこにもない。
「…全く、私達より速く合格した人なんていませんよ。私幻聴まではかけていませんよ?」
「あっ、いや…何でもない。第二の試練も頑張ろうな」
〜
「…って感じが第一の試練でしたね。ぶっちゃけあの時、ポータの割引きで普通の弁当を買うのはありだったんです?」
実はこの後、会計を通した時にポータの割引スキルの存在に気づいてしまったのだ。しかし、結果的に言うなら半額シールと割引きを合わせてちゃんと買っておいた方が後々得をしたから別に気にはしないけど…ちょっとした好奇心が抑えられなくてつい聞いてしまった。
「うーん、それは運営側が意図していないクリア方法だから場合によっては失格だったんじゃない?半額弁当を買うために争わなきゃベン・トーじゃない!とか言ってさ」
酷い。あんなガバガバなルール設計しておいてその仕打ちか。
「続く第二の試練はちょっと意地悪かったんじゃない?」
「そうでしたか?」
「うん、対戦相手を凄く精神的に追い詰めていたし」
「あれはメディとの共犯でしたし…」
確かにあれは酷かった。既に精神的に弱っている相手に追撃しまくったからなぁ…相手が少し気の毒だった。というかあいつ泣いてたな。
「君は一緒にいるキャラ次第で性格まで変わっちゃうの?」
「あはは…否定はしません」
…というかユウキと一緒にいた時はとにかく嫌われたくないという感情が先行していたからなあ。恐らくメディがそういうリミッターを盛大に外してきたせいだと思う。
「それじゃあ、次は第二の試練の話をしようか。えげつないドSコンビ誕生のせいで相手側は本当に不憫だったけどね」
「それじゃ、次の話ですね。第二の試練は…」
おまけコーナー
マスター津島隼人によるキャラ評価
基準
A:かなり強い
B:強い
C:普通
D:ちょっと苦手
E:凄く苦手
ー:評価不可
メディ(通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?)
パワー:A(ダークパワー込み)
サポート:B
スピード:C
体力:B
頭脳:A
将来性:A
心の闇が隠しきれない腹黒癒術師。かつて強要された母親による教育故か能力は比較的お高くまとまっており、底が知れないダークパワーにより大体のデバフを無効化する。上昇志向がかなり高いので性格さえ受け入れればムラのない安定したヒーラーとしてその強さを存分に発揮するだろう。
ポータ(通常攻撃が全体攻撃で二回攻撃のお母さんは好きですか?)
パワー:ー
サポート:A
スピード:E
体力:E
頭脳:C
将来性:A
とても愛らしい癒し系旅商人。戦闘には直接干渉不可能な分、サポートに関してはかなり役に立つ。あちらのゲーム世界には無かった現代科学、他作品の最先端科学やファンタジー世界の産物が追加されればされるほどサポート性能に磨きがかかるだろう。