サクラ大戦~もう一つの視点   作:アマゾンズ

12 / 45
直仁が自身のサビを落し、初恋が叶わなかった理由を話す。

残された森川の辛さ。



※この世界では森川さんと真宮寺さくらさんが恋人になっています。さんざん迷いましたが、直仁の初恋が成就しなかった理由になりましたので。

それと、セガで有名な「あのキャラ」が出ます。


第十話 復活への道筋

早朝五時、直仁は士官学校の教官と共に早朝ランニングを行っていた。すみれが呼んでくれた特別指導者の勉学と訓練を受けているのだ。

 

「はぁ・・はぁ・・・」

 

初めは簡単だった6キロのマラソンすら走り切る事が出来ない程に体力が落ちていた。筋力も日常生活で使う物しか動かしておらず、腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットこれらを100回×2セットをこなしただけで倒れてしまった。

 

「堕ちぶれ過ぎだ!狛江梨、今まで何をやっていた貴様!」

 

「すみ・・・ません・・・はぁ・・はぁ」

 

「もう一度走ってこい!」

 

「はっ!」

 

直仁は海軍士官学校時代、お世話になった教官に厳しい訓練を課せられている。当時の訓練と寸分違わず妥協を一切許さず、基礎訓練を一から徹底的に指導されていた。直仁は走り終えると、教官からの指示を待った。

 

「今日の基礎訓練は此処までだ!次は剣術の指導だ。しっかり錆を落とせ!」

 

「はい!」

 

教官と入れ替わるように今度は剣術の師範代が現れる。手には竹刀があり、それを直仁に手渡した。瞬間、直仁は急激な重さに体勢が崩れそうになる。

 

「ううっ!?これは」

 

「今のお前にはそれが一番相応しい物だろう・・・私からの指示は一つのみ、その竹刀で己の錆が取れるその時まで毎日、1000本の素振りをしろ。その後、己を見つめ直せるまで瞑想だ」

 

直仁が今、持っている竹刀は新陰流師範代自身が鍛錬の為に自ら制作したものだ。

 

竹刀の中に特別性の鋼鉄が仕込んであり、超重量級とも言われる薙刀や斬馬刀に匹敵する重さがこの竹刀にはあるのだ。

 

「分かりました・・・ぐっ!」

 

なんとか竹刀を構えるが腕に震えが走る。半年間の荒れくれた生活をしていたツケが肉体に出ていたのだ。それでも、素振りを始めるが竹刀を振るう度に地面に切っ先を着けてしまう。

 

「はぁ・・はぁ」

 

何度も何度も素振りし、1000本の素振りを終える頃には夕暮れ近くになっていた。

 

「うう・・・ぐ!」

 

竹刀を地面に落とし、直仁は自分の掌を見た。そこには血豆が出来上がっており、潰れた血豆もあった。

 

「なさけ・・ない・・な・・・はぁ・・・はぁ」

 

「ホホッ、やっておるのう。それだけ堕ちぶれれば、錆はなかなか取れんぞい」

 

「あ、師匠・・」

 

現れたのは合気の師匠であった。直仁を見るなり、師は直仁を乏した。今の彼は鍛えた技を素人レベルにまで錆びつかせてしまったが故だ。

 

「久々に立ち合ってみるか、来なさい」

 

「はい・・!」

 

師匠へ向かっていく直仁だが、拳の振り方、蹴りの速度、柔軟性、体幹の硬さといったあらゆる要素が素人同然にまで落ちている。攻撃が上手く出来るのは身体に染み込んだ琉球空手のおかげだろう。それを軽くいなすと師は直仁を地面に叩きつけた。受身だけは身体が覚えていた為に衝撃を緩和することができた。

 

「今のお前さんは詰まらんぞい、錆を落としたらまた来い。ホホッ」

 

「ぐ・・・ううう」

 

直仁は、自分の不甲斐なさと悔しさに悔し涙を流した。なぜ自分は、あんな無駄な時間を過ごしていたのだろうか?少しでも再会のために己を磨き、手段を考えれば良かった筈なのに、喪った現実から逃げ続けて、己を錆びつかせてしまった事を恥じ、何度も地面を叩いて泣き続けたのだった。

 

 

 

泣き続けた後、気持ちを切り替えて一人鍛錬をしていた時、何者かが鍛錬している直仁の前に現れた。その姿は柔道着姿で只者ではないオーラを放っている。

 

「え・・・だ、誰!?」

 

「せがた・・・。若者よ!真剣に取り組んでいるものがあるか!命懸けで打ち込んでいるものがあるか!」

 

「え?せがた・・・さん?」

 

「うおォォりあああ!」

 

「うわああああ!?」

 

いきなり柔道着の男に背負い投げされた直仁は、ギリギリで受身を取ったが体に響いた衝撃に呻いた。それでも立ち上がり、向かっていくが、しばらくの間、稽古のような形になってしまったが、立てなくなるまで直仁は投げ返されてしまったのだ。

 

「己を愛し、己を信じ、己に勝つ!遊びの道を極め頂点に達した男、それがせがた三四郎」

 

「うう・・せがた・・・三四郎?」

 

「咲いて散る、桜の花・・・サクラ大戦。セガサターン、シロ!指が折れるまで! 指が折れるまで!」

 

そう言って柔道着の男、せがた三四郎は去っていった。言葉の意味は分からなかったが、直仁は不思議と己の中にあった迷いが吹っ切れていたのを感じていた。せがた三四郎との稽古が迷いを切らせてくれたのだろうか。

 

「せがたさん・・・・ありがとうございました!」

 

 

 

 

 

 

 

 

武術面と同時に直仁はすみれが雇った講師達から、社会学、経営学、戦術学、語学などあらゆる学問を勉強し直していた。酒で鈍った頭脳を磨き直すのは容易ではない。

 

直仁はかつて大神と並んで戦った際に、二人を太陽と月という表現を米田からされた事があった。

 

『太陽は輝き照らす事で道を示す。月は太陽の輝きの力を借りて迷うものを導く』と。

 

大神の力が「触媒」であり、直仁の力は「加護」であったそうだ。それぞれ単体では役に立たない。触媒は反応させる要素が必要で、加護は守護する対象が必要になるからだ。

 

直仁自身の力である加護に守られた経験のあるすみれは、米田の言葉を詩的に表現したものだと解釈していた。

 

「(だからこそ、あの時の貴方に戻って欲しいのですわ)」

 

勉学に励む直仁を遠目から見ていたすみれは、心中でつぶやいていた。

 

 

 

 

 

 

「それから彼は一年以上かけて、己を磨き続け・・今の彼になったのですわ」

 

「・・・・っ」

 

直仁が今現在に至る自分を取り戻す為の鍛錬と勉学をしていた話を聞いて、誠十郎は息を飲んでいた。

 

努力の質と量が圧倒的に違いすぎるのだ。錆ついた己から錆を取り、磨き抜いた状態にする。その努力は並大抵ではない。半年も堕ちぶれていたのだから、それを一年以上もかけて取り戻したのは早いというよりも、どのような努力をしたのだろうという気持ちを抱いた。

 

「ここから先は俺が話しますよ。すみれさん・・・誠十郎、話が変わっちまうが男ってのは惚れた女がいれば必ず強くなれる。自分が思っている以上にな?俺は・・それが叶わなかった」

 

「どうしてです!?」

 

「相手がいたんだよ。さくらさんにはな・・・俺がそれを知ったのはサンダーボルト作戦の時の決戦でパートナーになってくれた時だった」

 

「あの時に・・・。そのお相手って?」

 

「俺の目の前にいるだろ?お前に美味い料理を作ってくれた相手がな」

 

「え・・・まさか!?」

 

「そうだ、さくらの相手は俺だよ・・・・俺も置いていかれた」

 

森川も作業をすべて終えたらしく、会話に入ってきた。悲しいような、申し訳ないような表情をしている。

 

「・・・・」

 

誠十郎はさらに開いた口が塞がらなかった。この三人は複雑な関係であったはずなのに、なぜここまで親しく出来ているのかと。

 

「森川さんも・・・降魔大戦の被害者だからな・・辛かったが、俺は糧にした」

 

「直仁、お前は良い男だ。だが、良すぎて並みの女じゃ釣り合わなくなってんだよ。釣り合うとしたら伯林華撃団の隊長か、倫敦華撃団の副隊長じゃねえか?」

 

「森川さん・・・それ、以前の華撃団大戦を見てたから言ってますよね?」

 

「バレたか。お前、あの前回の大戦の決勝戦に乱入したんだもんな。無茶しやがってよ」

 

「え・・・」

 

誠十郎は更に驚く事となる出来事を森川の口から聞く事になったのだった。




はい、ここまでです。次回は戦闘の回想になります。

それと恋人候補アンケを取りますので協力してくださいませ。

選んだ理由を活動報告のコメント欄に書いていただけると嬉しいです。

サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)

  • 倫敦華撃団 副隊長 ランスロット
  • 上海華撃団 ホワン・ユイ
  • 新・帝国華撃団の誰か
  • 風組or月組メンバー
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。