天宮の強くなるという目的。
※ランスロットルートを書く時、この話が馴れ初めの基になります。
原作風なら戦って、刃で競り合いをしている時にこれが出ます。
1・刃を弾く(他ヒロイン選択時、これ一択のみ)
2・デコピンする(信頼度アップかつ、ヒロインルート確定)
今はエリスがヒロインなので『刃を弾く』ルートになります。
この話を持ってアンケートを締め切ります。直仁は海外華撃団のメンバーがヒロインになる率が高い!?
上海華撃団に勝利した日から翌日、直仁は天宮に呼び出された。場所はサロンだが、天宮は明らかに不機嫌そうだ。
「どうした?天宮」
「どうしたじゃないです!」
「いや、いきなり怒鳴られてもな」
「どうして私に声をかけてくれなかったんですか!初穂やクラリスさんにはかけてくれたのに、誠十郎さんにだって!」
「ん?稽古の事を言ってるのか?」
「そうです!明らかに三人とも強くなっているじゃないですか!」
どうやら天宮の奴は周りから置いていかれる事を恐れているのだろう。初穂もクラリスも今は中庭で稽古しており、誠十郎も精神面を鍛えるため、中庭で座禅を組んでいる。
無論、女優としての稽古も忘れてはいない。日々忙しい毎日だが。それぞれが充実している中で天宮だけが周りに遅れを取っていると思っているようだ。
「じゃあ、聞くがお前は何の為に強くなりたいんだ?」
「え?」
「勘違いする前に言っておくが、誠十郎は己だけでは限界を感じて俺の所に来た。初穂とクラリスは得意な物を失った時の対策として武術を教えている。もう一度聞くぞ?お前は何の為に強くなりたいんだ?」
「わ、私は・・・」
「お前の剣の腕が優れているのは知っている・・・だが、現状で満足してたんじゃねえのか?もしくは、もう敵は居ないとか考えてたんじゃねえのか?」
「がう・・違う!」
「感情的になったって事は図星か。なら、お前には一度、本気の実力ってのを教えてやらねえとな。中庭に着いて来い」
直仁の雰囲気が変わり、天宮は一瞬たじろいだが着いていった。中庭には休憩している三人が居たが、気にせず場所を取ると置きっぱなしにしてあった模造刀を投げ渡した。
「今回は霊力を使おうが何をしようが構わずかかってこい!俺も基本に返って柳生新陰流で相手をしよう」
「!支配人、私怒りましたからね!やあああ!」
天宮は得意とする唐竹や横薙ぎなどを直仁は素直に躱していた。少し応用を利かせれば一撃を与えられるのだが、怒りで直仁に一撃を入れる事しか考えていない天宮はそこまで考えが回っていない。直仁は間合いを外すと、居合の構えを取った。それと同時に天宮も構えを直す。
「!」
「いざ。剣は生死の狭間にて大活し、禅は静思黙考の内大悟へ至る。我が剣に、お前は何れを見るものか」
「!?」
「新陰流・・・。これ即ち、向かいし境地は・・・剣禅一如、なり」
「え・・・がはっ!?」
直仁は一歩足を踏み込んだと同時に居合抜きを終えていた。瞬間移動をした訳でも、高速で移動した訳でもない。単純に剣禅一如の言葉に動揺した隙を突いて繰り出した一撃だったのだ。天宮は居合を受けた箇所を抑えて軽く蹲った。
「僅かな隙を見せたな、天宮…もしこれが真剣だったら胴体が真っ二つだぞ?」
「う・・・うう、どうして」
「お前の弱点は些細な事で動揺する点だ。自分の印象だけで事実だと決めつけてしまう。そんな事じゃこの先、戦いの足を引っ張るだけだぞ?」
「・・・っ」
「俺の先程の居合も完成していない・・・まだまだ剣禅一如と呼ばれる境地に達していない。この居合が完成していると思っていただろう」
「それは・・・」
「強くなりたいと思うのは誰だって考えることだ。俺はな・・理由を聞いているだけだ」
「・・・・」
天宮は答えられなかった。周りに置いていかれそうだという点も自分の印象だけで決めきってしまう悪癖も直仁に見抜かれている。それだけに答えを口にする事が出来なかった。
「今日一日、時間をやる。俺は少し頭を冷やしてくるからよ、誠十郎達も自分のキリが良い所で稽古を終わりにしてもいいぞ」
◇
直仁は中庭から去ると帯刀して、街へと繰り出した。温泉巡りが趣味の彼だが、ここ最近になって喫茶店系のカフェ廻りも楽しむようになっている。そんな中、西洋の菓子を売っている店に来た。
「へぇ・・・入ってみるか」
中へ入ると木の優しい香りが鼻をくすぐった。そんな中、一人の女の子がケェキと呼ばれる菓子で悩んでいる様子だ。偶然振り返ると直仁の事を見ている。
「うーん、これがいいかな?あれ?」
「・・・」
「・・・ん?んん?あれ?どこかで見たような・・無いような・・・あー!一年前に、私が剣を抜くのを止めた人じゃないの!」
「失礼、貴女は?」
「あ、そっか。あの時に名乗ってなかったものね。私はランスロット、円卓の騎士のランスロットよ」
「(なるほどな・・・今思い出したが、一年前のあの時に殺気を向けてきた奴だったか)」
「ねぇ・・・時間ある?少し着いてきて」
「?」
ランスロットに着いて行くと人通りの少ない、広場のような場所に案内された。ここでやる事といえば一つだろう。
「手合わせをお願いしたいんだ」
「その双剣・・・業物だな?西洋の剣には詳しくないがそれくらいはわかる」
「へぇ、なら・・・行くよ!」
ランスロットが突撃してくるのと同時に直仁も居合の構えで迎撃を試みる。だが、曲芸においてはランスロットが上だ。居合を外され、落下速度を利用した一撃を村正で受け止める。
「へぇ?自信のある一撃だったんだけどな?」
「ぐ・・・流石に応えるぞ」
ランスロットは着地すると、双剣を構え、直仁も構えを防御の型に変える。その型を見てもランスロットは笑みを浮かべたままだ。
「ふふっ・・・楽しい。楽しくって・・・時間を忘れちゃいそう!」
「狂犬のまんまかよ」
再び切り込んできたランスロットの刃を受けると同時に、直仁は双剣をランスロットの手から弾き返した。
宙に舞った二本の双剣は一本が地面に突き刺さり、一本はガシャン!と音を立てて転がった。
「やるね、私の剣を弾くだなんて」
「弾かなかったら何度も打ち込んできそうだったからな」
そういっている直仁の左頬から一筋の血が流れていた。カマイタチで切ったような軽いものだが、一撃に変わりはない。直仁は村正を鞘に収めた。
「ふふ、楽しかったよ。帝国華撃団の直仁さん。貴方は華撃団大戦に出るの?」
「残念だが、俺は出場出来ない身でな?稽古ぐらいなら帝劇に来れば付きやってやるよ」
「そっか、残念。私が勝ったら倫敦華撃団に来て欲しいくらいなのに」
「言っておくが、帝国華撃団と帝国歌劇団が今の俺の家でな。他へはまだ行けねえよ」
「ふーん・・・貴方が居るんだし、少しだけ期待しといてあげる。また戦ってね」
そういうとランスロットは自分の双剣を拾い上げ鞘に収め、元来た道を歩いて去っていった。
「倫敦華撃団のランスロット・・・か、アイツ等にとって手ごわい相手になりそうだな」
傷つけられた左頬をなぞりつつ、直仁も帝劇へと帰宅していった。
◇
その後、支配人室で仕事をしていると支配人室のドアがノックされた。それに気づき、ドアへと目を向ける。
「誰だ?」
「天宮です。支配人、お邪魔してよろしいでしょうか?」
「おう、入りな」
「失礼します」
「此処に来たって事は答えが出たって事か?それと済まなかったな、天宮」
「え?」
「俺も頭に血が上りすぎていた。すまん・・・!」
「い、いえ!大丈夫ですから!頭を上げてください!」
直仁が席から立ち、頭を下げた姿に天宮は両手を振って慌てていた。支配人代理という立場であっても相手と一人の人間として接し、自分が悪いと思うのなら年下であろうと頭を下げる事の出来る人間であるからこそ、信頼を勝ち得る。天宮は直仁が何故、信頼されているかの一片を知ることになった。
「そうか。なら、話を戻すがお前の答えを聞かせみろ」
「私は・・・支配人の言う通り、現状に満足していました。でも、そうじゃない・・・私も皆と一緒に先の未来を歩んで行きたいんです!」
「良い目だ・・・その目が見たかった。目の前で起こった事、特に辛い事を無かった事にするのは簡単だ。だが、心だけは現実を認めちまう・・・自分が嫌だと思ってもな。この言葉をしっかり覚えておけ」
「支配人・・・」
「お前の剣、整えてやろう。明日から中庭に来るといい」
「え、整えるって・・・私の剣は」
「まだ分かんねえのか?お前の剣は花弁が風に舞うような剣、即ち流れを見切った上でそれを利用する柔の剣術に近いものだ。それだけに自由が利き過ぎて扱いきれてねえだろう?」
「そ、それは・・・」
「自由ってのは解放されている分、己で見出さなきゃ意味はない。だからこそ、お前だけが扱える技術を見つけ出せ。それを手伝ってやるって言ってんだよ」
「は、はい!」
天宮も稽古に参加し、直仁からの厳しい指導に着いていった。その中で、直仁は天宮に対し憧れの相手である真宮寺さくらの型で稽古をする事にした。
「行くぞ、これがお前が憧れた人・・・真宮寺さくらさんの剣だ」
「はい」
直仁が構えを取ると同時に、天宮の目の前には二人のさくらが見え始めた。誠十郎、初穂、クラリスにもその幻影が見えている。
「し、真宮寺さくらさんが二人?」
天宮の目には見覚えのある私服の和服姿のさくらと戦闘服姿のさくらが同時に見えている。それが直仁と重なった瞬間、打ち込んでくる。
「いやあああ!」
「はっ!」
木刀がぶつかり合い、さくらの幻影と重なっている直仁、そしてそれを受けた天宮が競り合う。
「・・・」
「これが・・・真宮寺さくらさんの剣」
直仁が代理になっているが、天宮はさくらの剣の重さを実感していた。誰よりも真っ直ぐで誰よりも正義を示すそんな気持ちが伝わって来る。
「感動している場合か?容赦しねえぞ」
「あっ!」
「でええい!」
「きゃあ!?」
瞬間、天宮は押し込まれてしまいその場に座り込んでしまった。直仁は木刀に鋒を天宮の前に突きつけるがすぐに収める。
「憧れた人物の剣を知って、少しは自分な中で何か掴めたか?」
「まだ、分かりません・・・でも、憧れた人の剣を知れた事で何かを掴めそうな気がします!」
「そうか」
「?支配人、その頬の傷は?」
「ん?ああ、これか。大方、カマイタチにでもやられたんだろう。手当はしてあるから気にすんな」
「そうでしたか」
この時、誰もが帝劇を襲撃される事になるとは知らず、帝劇において誠十郎と天宮しか知らなかった直仁の秘密を誰もが知る事になってしまうとは思わなかったのだった。
次回は夜叉の襲撃から始まります。それと同時に夜叉は直仁の秘密をバラしてしまいます。
龍脈の御子という事を。
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