直仁の隠していた秘密がバレてしまう。
※地下秘密格納庫は『ポップ地下室』によって作られています。広さはガンダムシリーズの工場レベルの広さです。自動整備と改修も道具によるもので作られ蒸気による物にしてあります。秘密地下室の入口は格納庫の神山機が置いてある部分にカムフラージュされています。
森川からの情報を記憶し、直仁は上海華撃団の拠点となっている。中華料理店「神龍軒」へと一人で趣いていた。
「アンタ・・私達に何の用?」
「俺達を冷やかしに来たのか?」
上海華撃団の二人は直仁に敵意を向けていた。だが、直仁はそんな事を気にもせず、用件を伝え頭を下げる。
「二人に話がある。帝劇に顔を出して欲しい、頼む!」
「「!?」」
二人は同時に驚くが、頭を下げるほどの要件というのが気になり話を聞くことにした。
「そこまでするなら聞くしかないな、幸いにも今日は店が休みだしな」
「うん・・・」
「じゃあ、一緒に来てくれ」
二人を帝劇の支配人室に案内すると、先客が待っていた。上海華撃団の二人は誰だ?と言いたげな顔をしている。直仁は仕事の切り替えに敬語となった。
「お待たせしました。森川さん」
「そんなに待ってねえさ。それで・・・この二人、次世代の奴らだな?」
「はい、解散宣言を受けた上海華撃団の二人です」
「アンタは!?あの時の!」
「よう、上海の小僧。いや・・・上海華撃団隊長ヤン・シャオロン。そちらはその隊員ホワン・ユイだな」
「!?なんで、私達の名前を!?」
「この人は帝都一の情報屋である『賽の華屋』の森川大輔さんだ。帝都の情報で知らない事はない」
「なんだって!あの賽の華屋!?」
「嘘!?」
シャオロンとユイの驚きは最もだろう。あらゆる情報を高値で売買しているという伝説の情報屋が目の前にいるのだから。
「そんなことは後回しだ。先ずは直仁の話を聞け」
「俺が二人を呼んだのは、上海華撃団が持つ霊子戦闘機『王龍』をこの帝劇の地下格納庫よりも更に下に建設予定の秘密格納庫に保管したいという事です」
「なんだと!?」
「ふざけないで!あの機体は上海華撃団の物よ!」
「最後まで話を聞け!直仁はお前達の機体が欲しい訳じゃねえんだよ」
「え?」
「済まない、落ち着いて話を聞いて欲しい。俺は裏でWOLFに関する情報を集めていたんです。華撃団大戦による解散ルールがきな臭く感じて。そして、森川さんに詳しく探ってもらった結果が此処にあります」
直仁は上海華撃団の二人に森川が纏めたWOLFに関する資料を見せた。それを見た二人は信じられない、信じたくないといった表情をしていた。
「こ、これは!?」
「嘘・・嘘でしょ!?」
「悪いが、情報屋の生命をかけてもいいと言えるくらいに俺は情報に関して嘘は言わねえ、その資料に書かれているのは全て事実だ」
「俺も目を疑いました・・・まさかWOLFが、とね」
「それで・・・お前は王龍をどうしたいんだ?」
「解体される前に回収し、秘密格納庫で整備させます。正直言って今の帝国華撃団は人数が足りない、貴方達に協力を要請しなければならない事案が必ず発生するでしょう」
「つまり、いつでも戦える状態にしておくって事?」
「その通り、プレジデントGの目的は恐らく・・・帝都の防衛力の弱体化。強いては華撃団全てを消滅させる事にある。そうなっては俺達に勝ち目はなくなってしまう」
シャオロンとユイは驚きつつも納得できていた。今の帝国華撃団は確かに自分達よりも強い。それでも人数という点だけは難しい問題なのだ。それを聞いた二人は・・。
「・・・上海華撃団隊長として頼みたい。俺達をもう一度、戦えるようにして欲しい!」
「私からもお願いします!もう一度、もう一度!上海だけじゃなく、この帝都を守りたいから!」
上海華撃団の二人はプライドを捨てて、直仁に頭を下げた。ユイは泣きながら頼んでおり、シャオロンも本心から頼み込んでいる。
「二人共、顔を上げてください。寧ろ、こちらから頼みたい程だった。上海の龍を眠らせる訳にはいかないのでね」
「じゃ、じゃあ!」
「無論、貴方達を再び復活させる事に協力は惜しみません。ですが、こちらからも頼みたい事が一つあります」
「なんだ?」
「手助けが必要になるその時まで、普段通りにしていて欲しい。『解散させられた華撃団は何の力も無くなった』という状態をWOLFへずっと見せつけて欲しいんです」
「なるほど・・・偽装にはピッタリだ」
「復活までは仕方ないという事だね!」
「その通り、もどかしいかもしれませんが」
「いや、構わない。上海華撃団が必ず復活出来ると、確証があるだけで充分すぎる!」
「うん、また・・・さくらと一緒に戦えるんだから!」
上海華撃団の二人は実に嬉しそうに直仁へ言葉を返していた。そんな二人を見て直仁も笑みを浮かべ、森川も笑っていた。
「二人へのお話はそれだけです。もう時間も遅いでしょう、帰宅して下さい」
「ああ、ありがとうな!直仁さんよ!」
「本当にありがとう!」
二人は帝劇から帰宅していき、今度は森川と話をする。森川も各国の華撃団解散を賭けた戦いに疑問を持っていた一人でもあるのだ。
「森川さん」
「分かってるよ。帝劇の更に地下への秘密格納庫の建設と自動整備機械は任せておけ。お前と俺、そしてすみれ以外は入れないようにしておく」
「お願いします」
「良いって、俺も次世代を失う訳にはいかねえしな」
「ええ、その通りですね」
こうして二人きりになるのは何時以来だろうか?夜叉に関して話した時以来だろうあの場にはすみれもいたが、同じ事だ。
「このWOLFに関する資料・・・解散宣言を受けた華撃団に見せるって話だが」
「ええ、何か?」
「言いたくはねえが、過去に優勝している伯林華撃団は見れるとは思わねえぞ」
「何故です?」
「伯林華撃団は華撃団大戦で過去連続優勝しているんだろう?お前が敵ならどうする?」
「・・・・人質、叶わないなら洗脳などを使って手駒にします」
「ご名答だな、もし・・・そうなったら。お前、戦えるか?」
「エリスの事ですか?今更ですよ」
「そうだったな。お前は大神の代わりにあやめを・・・」
「・・・・・」
森川はため息を一つ吐くと立ち上がった。今日はもう用はないといった感じで。
「そろそろ、帰るわ」
「はい、またお願いします」
森川は資料を手に、帰宅していった。その日の夜のうちに秘密格納庫と自動整備機械を完成させてしまったらしく、仕事が早いと直仁が感心していた時だった。
◇
帝劇の地下から爆発音が響き渡り、直仁は壁に掛けてある光刀無形と村正を手に急いで地下格納庫へと向かった。そこには以前出会った仮面の女がいた。
「夜叉か!」
「お久しぶりですね、直仁さん」
「てめえ・・・!」
「今、貴方に用はありません。帝剣は何処です?」
「さぁな、知りたきゃ自分で探すか。俺を殺してからにしたらどうだ?」
直仁は珍しく光刀無形と村正を手にした二刀流の構えを取った。それを見た夜叉はほんの少しだけ、怒気が出てくる。
「あの人の、真似ですか?」
「どうかな?」
「・・・はあっ!」
「むん!」
今、直仁が使っている二刀流の型は旧・帝国華撃団の隊長であり司令官であった大神一郎が使う二天一流の型であった。夜叉に対して最大の嫌味とも取れる行動だ。
「!・・・その型と技は!」
「知っているのか?知っていても誰が使っていたかは教えないけどよ!」
「くっ!ですが、此処での目的は既に果たしています」
「消えた?しまった・・!奴は劇場へ向かったか!」
直仁は急いで階段を駆け上がったが、既に遅く到着した時には劇場は破壊され夜叉と天宮が対峙しており、夜叉が妖力を集中していた。
「あれは・・・!ここからじゃ間に合わねえ、仕方ないか!」
「破邪剣征・・・」
「破邪剣征・・!」
「「桜花放神!!」」
夜叉が放った破邪剣征・桜花放神を直仁は光刀無形から同じ破邪剣征・桜花放神で天宮に当たる前に相殺し、天宮を守った。
「え、今のは!?」
「っ!」
「夜叉!!」
「支配人!?」
「ふふ、流石は龍脈の御子といった所ですね。ですが、その右腕は限界に来ているのでしょう?」
「ぐっ!」
足止めをしているうちに花組が全員揃うが、夜叉は直仁の右腕の袖を切り落としてしまった。
「つっ!」
「また会いましょう。龍脈の御子、最も貴方の身体が持てばの話ですがね」
そう言い残して、夜叉は消えてしまった。それと同時に直仁は刀を支えに片膝をついてしまう。
「支配人・・!」
「大丈夫・・・少し、疲れただけだ」
「直仁支配人・・・その右腕のアザは?」
「!夜叉の野郎・・・隠しておきたかった事を」
クラリス、初穂、あざみ、アナスタシアに見られてしまった以上、隠す事はできない。
直仁は観念して、全員を食堂に呼び、自身の事について話を始めた。
「誠十郎と天宮は知っているが、俺はサンダーボルト作戦において魔界王と戦った。その時に受けたのがこのアザだ。これは龍脈の加護と侵食の証」
「龍脈・・・地脈の道とも呼ばれる物だよな?」
「その通りだ・・・初穂。俺が霊子甲冑や戦闘機に制限時間があるのか?それは、このアザが原因だ。長時間乗っていると内部暴走が始まって動けなくなる。更には腕に痺れが走ってしまう・・・よって俺が動かせる時間は七分間が限界だ」
「だから、一緒に戦えないって強く念を押していたんだ・・・」
あざみの一言に全員が黙り込む、誠十郎と天宮は余計に何も言えない状態だ。
「どうして隠していたの?」
「言った所で解決できんのか?コイツは呪いみたいなもんだ、簡単に外れるもんじゃねえんだよ」
「っ・・・」
アナスタシアの質問に直仁は突き放すように答え、クラリスが不安そうに質問する。
「呪いという事は・・・支配人の命は」
「心配するな、黄金蒸気事件の時に侵食は止まってる。寿命は縮まってねえよ」
クラリスはほっとしたような表情を見せ、安心したようだ。直仁は次に問題を話した。
「だが、問題は夜叉が堂々と格納庫に入れた事だ。それによって天宮の無限が大破、修理不可能になっちまったらしい。整備班長である令士からの言葉だ」
「そ、そんな・・・それじゃ・・・私はもう、戦えない・・夜叉・・・・真宮寺さくら・・さん・・も・・・敵・・」
「(また現実に打ちのめされたか・・・!)」
「私・・もう戦えない・・・よ」
そういって天宮は劇場を飛び出してしまった。それを初穂達が追う。誠十郎は直仁に近寄ろうとしたが。
「俺の事はいい、天宮の所に行け」
「でも・・・」
「隊長なら俺よりも隊員を心配しろ。まだまだ未熟な奴に心配される程、ヤワになっちゃいねえよ」
「!すみません、行ってきます」
全員が居なくなったのを確認すると、直仁は椅子に背中を着けて座り込んだ。
「っはぁ・・流石に・・・強がっちゃみたが、ヤワに成りかけてたみてえだな」
直仁は夜叉との連戦と、破邪剣征・桜花放神を放った事で全身に凄まじい疲労が襲っていた。
それでも倒れなかったのは、毎日の鍛錬の賜物だろう。だが、年齢からの衰えだけは少しずつ肉体を蝕んでいたようだった。
◇
二日後、完成した地下秘密格納庫では上海華撃団から回収した『王龍』の整備、及び伝達系統の改修が始まっていた。この格納庫は帝国華撃団の人間をも入れる訳には行かないため、森川からの協力によってこの格納庫を作り、蒸気による自動整備及び自動改修が出来るようにしてある。
今、この格納庫に居るのは森川、直仁、そして案内されたすみれだけである。
「まさか、格納庫の更なる地下にこんな格納庫が作られていたなんて」
「この格納庫は完全に秘密ですからね。華撃団の皆や月組にも明かせないんです」
「各国の華撃団の霊子戦闘機を入れておく格納庫だからな、誰にも話す訳にも行かねえよ」
「解散宣言を受けた華撃団の機体を保管する事で、復活できるようにしておく事は盲点でしたわ。それに」
「WOLFが降魔達の組織、と言う点もでしょう?」
「ええ、もしやと思っていましたが」
「無理もねえわな、人間に化けていたなんざ・・・知る由もねえ」
「所で、天宮さんの件は?」
「その件は誠十郎に任せましたよ。俺や森川さんの声よりもアイツの方が良さそうですからね」
「ふふ、代理とはいえ支配人が板に着いてきたようですわね?直仁さん」
「止して下さいよ、たださえ一杯一杯なんですから・・・」
「オーッホホホ、ごめんなさいね」
「おめえら・・・昔に戻ってんじゃねえよ、ったく」
まるで10年前に戻った時のような会話に全員が笑っていた。あの時の頃へ帰りたいという気持ちもある表れでもあった。
友人がいて喧嘩もあったが、みんなで乗り越え、支え合い、恋もした。別れがあっても再会があり、新しい出会いもあった。時は忘却の彼方に・・・と言えるほど、忘れたくなくても、思い出せなくなってしまう事を恐れていた。
こんな会話の中でも三人は同じ考えを持っていた。それぞれが確信を得ながら。
「(アイツは必ず・・・ボロを出す)」
「(スパイがいるのは、確定ですわね)」
「(そろそろ、動き出すだろうな)」
胸の内を互いに明かすことはせず、ただ蒸気機械だけが動き続けていた。
次回はある人の裏切りに入ります。
そして、邪仙との戦いに直仁が月夜に出撃し伯林華撃団の彼女が死す!?
という感じです。
サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)
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倫敦華撃団 副隊長 ランスロット
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上海華撃団 ホワン・ユイ
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新・帝国華撃団の誰か
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風組or月組メンバー