落ち込む直仁。
龍と虎が覚醒し、合体。
直仁の怒りと悲しみが龍脈の御子としての力を暴走させ、地震を引き起こしていた。龍脈から気を引き出し使えるからこそ、暴走した時はその気脈を活性化させてしまう為にその影響が一気に地脈にのしかかってしまう。
帝劇まで撤退した花組もその揺れを感じ取っていた。作戦司令室に映された映像から、直仁の光武二式が輝いている事から、原因は直仁であると確認する事ができた。
「し、支配人!?直仁支配人がこの地震を引き起こしているのか!?」
「嘘だろ・・目に見えるレベルの霊力だぜ!?」
「こ、こんな力を制御していたんですか?支配人は」
「嘘ですよ・・ね?森川さん」
「残念ながら事実だ。ああ、それとアナスタシアは俺のオペレーターに運ばせた。治療はそこでする」
「ありがとうございます。森川さん・・・。とうとう暴走・・・してしまったのですね」
作戦司令室に入ってきたのはすみれであった。今現在は自分の実家である神崎重工の方に集中しており、直仁に支配人代理を極秘で頼んでもいた。
「すみれさん!支配人、いや・・直仁さんを止める方法はないんですか!?」
「今の彼はエリスさんを殺されたと思い込んで暴走していますわ。言葉は届かないでしょう。ですが、あれだけの霊力・・そろそろ力尽きてしまいますわ」
◇
「そろそろマズイかな?けど、降魔皇復活の為の呼び水には出来た。龍王機、虎王機よ!撤退せよ!そこの鉄の星の機体と彼女も連れてね」
「待ちやがれ!ぐ・・・!?」
「返して欲しければ、取りに来なよ。その間、彼女を愛でるのは僕だけどね」
「南峰ーーーーーっ!!」
「・・・」
「・・・」
龍王機、虎王機と呼ばれた二体は、エリスのアイゼンイェーガーをまるで獣が子供を運ぶように持ち上げるとそのまま消えていってしまった。
「ぐ・・・・・う・・・」
暴走していた影響で、光武二式が倒れると同時に直仁も倒れ、意識が薄らいでいく。
「エリ・・・・・ス・・・・・っ」
それと同時に地震も収まり、再出撃した帝国華撃団・花組によって直仁は光武二式ごと回収されていった。
◇
「う・・・?此処は?」
「目が覚めたか?」
「森川さん!?此処は何処ですか?」
「帝劇だ。宿直室だった部屋を片付けて掃除した後、此処に運んだ。花組の奴らはそれぞれ、部屋に戻って休んでいる」
「そうでしたか・・・」
直仁は起き上がれる様子でないようだ。何かをまた失ってしまったような、表情が抜け落ちたような顔をしていた。
「俺は・・・また、失った・・・大切な人を・・・」
「・・・・(あの時と同じ顔だな)」
森川はさくらの告白を受けた後、自棄になっていた直仁を思い出していた。彼は言った、異性を愛する事が怖いと。初恋は悲恋に終わり、新たに意識した相手は居なくなり、そして今、目の前で好き合った相手を殺された。
「俺は・・後、何回・・・大切な人を失えばいいんだ・・・」
目を腕で隠し、10年経って直仁は初めて涙を流した。此処まで弱気になった彼を見たのは森川自身も初めてだった。泣いたとしてもケジメをつけた時が多かっただけに、弱気の涙など想像できなかったからだ。
「・・・・まだ、分からねえぞ?」
「え?」
「あの機体・・・アイゼンイェーガーとか言ったか?あれを回収したって事はエリスが生きている可能性は充分にある。だが、あくまでも可能性だ」
「・・・・」
「信じてみろ。お前が惚れた女だろ?」
普通の男だったなら殴ってでも立ち直らせたかったが、直仁の恋や愛は常識では考えられない程に悲しみに落ちる事が多い。さくらとの出来事でそれを知っている森川は殴る事は出来なかった。自分も恋人を失ってはいるが死んだ訳ではない、解放される日は分からないが生きている事は確信を得ていた。それだけでも気持ちの持ちようは違うのだ。
◇
翌日に華撃団大戦の相手は伯林華撃団だと発表され、会場に待機しているそのメンバーの中にエリスは居ない。無限と桜武は回復こそしていたが、修理が必要で出撃が可能な状態ではない。
そんな中、プレジデントGはWOLF華撃団の設立を宣言し、南峰から手にした帝剣と会場に集まっていた観客達の魂をもって、幻都を開放してしまった。
龍王機、虎王機は富士山の地下から強引に連れ出され、更には南峰の特殊な術によって魂を封じられ操られていたが、直仁の暴走によって活性化した龍脈を利用し自意識だけは取り戻せてはいたのだが、術を破るまでには至っていない。
華撃団大戦の会場は巨大な降魔の拠点となっていた。作戦司令室に直仁も自ら出撃すると全員に宣言したが、強く反対された。
「無茶ですよ!そんな、心も身体もボロボロの状態なのに」
「さくらの言う通りです!支配人!」
「どうしてそこまで、するんですか?」
「そうだぜ、アタシ等に任せておけよ!そこまで信用できないのかよ!?」
「違う・・・今度こそ俺は取り戻さなきゃならないんだ。俺自身の手でな」
「こうなった直仁さんを止める事は出来ませんわよ?」
10年前から彼を知るすみれは直仁の性格を理解していた。彼は死ぬ事は考えない、そして死ぬつもりもない、だが自分を顧みずに大切なものを取り戻そうとするのだ。
「みんなの無限と桜武の修理も終わった。後は乗り込むだけだ・・・それと直仁支配人」
「ん?」
「そこの森川さんに協力してもらって光武二式・改の修理も終わりました。例の装置も組み込んであります・・・ですが」
「なんだ?ハッキリ言ってみろ」
「恐らく、今回の出撃で限界です・・破棄する事になるかと」
「そうか・・・」
己の半身と言って良い程の相棒であった光武二式が限界を迎えていた。それを整備班長である令士はハッキリと伝えてくれた。
「それでもいい、出撃は可能なんだな?」
「はい」
「分かった。誠十郎」
「は、はい!」
直仁は誠十郎に向き直ると海軍式の敬礼をし、真剣な表情で言葉を言った。
「申告します!帝国華撃団所属、狛江梨直仁!これより、帝国華撃団・花組への指揮下に入ります!隊長、復隊許可を」
「!・・・帝国華撃団所属、狛江梨直仁を、これより帝国華撃団・花組への復隊を許可する」
誠十郎も直仁と同じ敬礼をしていた。形式ではあるがこれは直仁なりのケジメであった、年上というものは年下の指揮下に入る事を極端に嫌う。だが、直仁はそんなプライドを簡単に捨てて、誠十郎の指揮下に入ったのだ。そして、上海・倫敦華撃団に連絡を取った。両華撃団、復活の時が来たと。
◇
指定の座標に機体を送ってあると直仁から情報を貰った上海華撃団と倫敦華撃団はそれぞれの場所で、それぞれの霊子戦闘機を受け取り、機体に搭乗した。
「なんだこりゃ?機体が・・・王龍が軽い!?」
「スゴい、以前は違和感が少しあったのにそれが解消されてる!」
簡単な拳と蹴りの動きをしただけだが、霊力伝達と反応の鈍さが解消されている事にシャオロンとユイは驚いていた。
直仁は回収した霊子戦闘機にWOLFの手が掛かっていないか徹底的に調査したのだ。その結果、霊気を伝達させる部分が意図的にほんの僅かだけ遮断させる装置があった。それを取り除き、各華撃団のクセに合わせた伝達装置に組み替えていた。
「剣が、動きが軽い・・・!」
「ああ、これならあの力を解放できる」
アーサーとランスロットも愛機であるブリドヴェンの負荷が無い事に驚きを隠せていなかった。
「聞こえるか!倫敦華撃団!!」
「上海華撃団かい?ああ、聞こえているよ」
「俺達が先行を務める。輸送艇へ乗せてもらえるか?」
「無論だよ。目的は一致しているからね」
「私達は・・・」
「帝国華撃団を援護する!」
二つの華撃団は目的が一致し、輸送艇によって華撃団大戦会場へと向かっていった。帝国華撃団が駆るミカサを援護し、先へと進ませ自分達の役目を託した。
◇
その後、奥へ進んでいくと伯林華撃団の面々が巨大な部屋に揃っていた。そこには白色のアイゼンイェーガーが中心に立っていた。おそらくは降魔側で修理されたのだろう。
「やはり来たね。直仁・・・そんなボロボロの機体で」
「南峰・・っ!」
「エリスさん!!マルガレーテさん!」
「戦闘開始・・・」
「・・・」
伯林華撃団は容赦なく戦闘を仕掛けてきた。直仁は先行し、エリス機と戦う。溢れ出る霊気の質から間違いなくエリスが生きていると確信した。
「エリス!」
「エリスさん!目を覚まして!直仁さんも待っています!」
「直・・・仁?うああああ!」
白色のアイゼンイェーガーは容赦なく、弾丸の雨と霊気の電撃を浴びせてくる。だが、怯まずに呼びかけ続けた。
マルガレーテは初穂達が抑え、倒す事で正気に戻したようだ。
「ここ・・は?」
「おのれ、帝国華撃団!マルガレーテをよくも!」
「エリス!目を覚ませ!ぐあっ!?」
「エリスを拐かす者は私が倒す!」
エリスを守るために来たのはグラーフであった。彼女の機体は重火力の武装が施されており、避けることで精一杯だ。そこへマルガレーテが声をかけた。
「エリス!目を覚まして!」
「ぐ・・・う・・・うう、直・・・仁」
「え?」
「助け・・・て・・・・直・・・・・・仁!」
それは他人に助けを一切求めなかったエリスからの必死の声だった。恋を知った事で弱くなってしまったのかと疑った事もあった。だが、惹かれた異性の為に強くあろうとした、その姿が美しいと言われたから。
「エリス・・・俺は此処だ!此処に居るぞ!帰って来い!」
光武二式が手を伸ばそうとした瞬間、何かが横切った。それは朱雀を模した機体、雀王機である。
「凛とした気を持つエリスは僕にこそふさわしい、君はお呼びでないよ」
「南峰!」
「彼女は実に美しい、強いて言うなら湖に浮かぶ純白の百合の花だ」
「だが、その湖には守護する龍王がいる!」
「なら、そろそろ・・・終わりにしようか」
「終わりにされてたまるか・・・!俺は、俺はもう二度と大切なものを失ってたまるか!」
「なら、行け。青龍よ。白虎、白色のアイゼンイェーガーを好きにするといい」
「ふざけ・・!っ!?な・・何!?光武が、動かない!?」
そう、既に直仁の光武二式・改は限界を迎えていた。龍王機は素早く翼を模した刃で光武二式を切り裂いた。
「ぐああああ!」
光武の腕は破壊され、火花も出ており立ち上がるのがやっとだった。虎王機は白色のアイゼンイェーガーに狙いを定め、素早く牙を突き立て、その衝撃で仮面が半分に割れてしまった。
「ぐあああ!ぐ・・わ、たしは・・」
「・・・」
瞬間、直仁に霊力を通じて何かを感じ取った。それは、初めて龍王機と対峙した時と似ていた。その念が強まってくる。
『吾・・・汝に問う。破邪強念で吾に触れたるは汝か?吾が名は龍王機・・・古より人界を守護する超機人なり』
「超機人?」
『吾の目覚めは、的殺の彼方から羅喉星の使者が迫る証とならん。然るに、吾が使命は羅喉星を退け人界を護ることなり』
『汝ら破邪強念を備え、吾らの主となる資格あり、吾の真なる覚醒…五行器の輪転には2人の強念者を要す』
「お前達を完全に覚醒させるには二人の霊力を持つ人間が必要って事か!?もう一人、ってまさか!?」
直仁には思い当たる事があった。虎王機と呼ばれている機体は執拗にエリスへ攻撃しているが。まるで仮面を割ろうとしているようだ、つまりもう一人の操縦者は一人しかいない。
『汝、人界の救済を望まば、吾、神体を以て汝の意を遂げん。唱えよ・・・必神火帝・天魔降伏・龍虎合体』
「龍虎合体だと?」
『さあ、唱えよ・・・・』
「・・・・分かった。お前達が力を貸してくれるというのなら、行くぞ!!!」
「必神火帝!天魔降伏!」
「龍虎合体!!」
『推奨BGMスーパーロボット大戦より[我ニ敵ナシ]』
瞬間、龍王機が直仁の光武二式・改を、虎王機はエリスのアイゼンイェーガーを取り込んでいく。その光景に南峰は笑みを浮かべて騒ぎ、花組や映像で見ている森川や上海、倫敦華撃団のメンバー達は目を見開いている。
「ついに覚醒したか!!」
「な、何だ!?何が起こっているんだ!?」
二機が札の中に閉じ込められ、龍王機はまるで人型の四肢の状態になり、虎王機は身を縮め、龍王機から放たれた接続紐が繋がり、合体する。五行器と呼ばれる動力炉が回転し、龍の口に当たる部分に人の顔が現れ、中からまるで殻を破るように出てくる。同時に巨大な御札を出現させ、それに対し印を結び、燃え上がらせ剣へと姿を変えた。
「我、無敵蒼龍!龍虎王!!見参!」
◇
「り、龍虎王だと!?まさか、アレが伝説の四神の超機人か!?」
「森川さん、あれをご存知なのですか!?」
「俺も古い文献や伝説を聞いた程度だ。懐疑的だったが・・・まさか本当に実在していたとは!」
存在自体が怪しいとされた伝説の超機人が現れた。森川は驚きを隠せないが、それ以上に驚いているのが花組のメンバーと助け出された伯林華撃団のメンバーだろう。
「誠十郎、そちらは大丈夫か!?」
「え、直仁さん!?その龍のような機体に乗っているのは、直仁さんなんですか!?」
「ああ、それと」
「マルガレーテ、心配をかけて済まなかった」
「エリス!?無事だったの!?」
「そうだ。私はこの虎王機に助けられたのだ。どうやらこのTigerは私を操縦者と認めているらしい」
仮面は完全に外され、元の凛々しく気高いエリスに戻っていた。二人はかつて帝国華撃団で開発された巳型霊子甲冑である双武と同じ状態なのだろう。
「エリス!一気に敵を殲滅する!!」
「わかった。だが、どうするのだ!?」
「龍虎王が教えてくれた、こうするんだ!炎の符水よ、敵を焼け!龍王炎符水!!」
印を結び、唱えると同時に炎が龍の姿を形作り、幻影の降魔が焼き尽くされていき南峰へと向かってく。南峰はそれを避けるとすぐに逃亡してしまった。
龍虎王、登場です。
この後は幻庵と戦いです。そろそろ、エリスルートも終わる頃かと。
ランスロットルートが終わったら、正式入隊時の過去編を書こうかなと思います。
サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)
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倫敦華撃団 副隊長 ランスロット
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上海華撃団 ホワン・ユイ
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新・帝国華撃団の誰か
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風組or月組メンバー