後、森川の特典は?という意見がありましたが、私が把握しきれていないので、向こう作者のシャト6さんに教えていただき、そこからセレクトして使っています。
今回の時間軸は共闘した時から次世代の花組が集まり始めた三ヶ月後の時間軸ですが、この事件は本編のサブストーリーだと思ってください。
サブストーリー 観音と黄龍
朝6時、珍しく二人の男がシンクロしたのかのように布団から起き上がった。
一人は商売である店の仕込みを始め、もう一人は日課となっているのか木刀を手に素振りを行っている。
「ふぅ・・・こんなもんか。そういえばアイツが朝食メニューを食いに来るって言ってたな」
「997・・・998・・・999・・・1000!!はぁ・・はぁ、さて、シャワーを浴びて朝食を食いに行くか」
店側の男の名は森川大輔、「オアシス」という名の店をやっており、帝劇の近くにあるという事もあって花組のメンバー達もよく通っている。
もう一人の男は狛江梨 直仁。帝国華撃団・花組の体験入隊を経て、海軍士官学校へ入学したが、卒業間近での繰り上げ卒業となり、任務の為に召集された二人目の男性隊員である。魔神器の回収任務と同時に魔界王と呼ばれる降魔とはまた別の驚異を退けた人間でもある。最も彼の偉業は世間には知られていない。
「森川さん!」
「おう、直仁か。開店と同時ってのは早すぎやしねえか?まぁ、今日はお前に手伝ってもらわなきゃならねえ事があるけどよ」
「貴方の裏側の手伝いとか、俺は本来できないんですけどねえ?」
「仕方ねえだろ、かつて正規軍から離脱してクーデターを起こした元陸軍の残党共の掃除。ゴロツキ共を引き入れたのか数が多すぎて洒落にならねえ、おまけに降魔の形をした兵器まで出てきてるからな。すみれに頼んだらお前を派遣するって言われたからよ。更には天宮を人質に帝劇の閉鎖を要求してきやがったんだからな」
「やれやれ・・・帝劇の閉鎖を訴える奴は仕方ないにしても降魔の形をした兵器・・・。確か、降魔兵器でしたね・・・降魔の死体を使って兵器にした物と。全て壊されたと聞いていましたが」
「ああ、情報によれば復元したバカがいたらしい、それと」
「ええ、天宮の奴が人質になっているせいで新聞各社も誠十郎や花組の奴等も大騒ぎです。それに俺は陸軍にはあまり顔が割れてませんけど・・・一応、海軍に籍を置いていた身ですから下手な事は出来ませんよ?」
「安心しろ、そこはなんとかなる。顔を変えれば大丈夫だ(モンタージュバケツがあるからな・・・)」
「顔を変えるって・・・簡単に言うなぁ」
朝食を取った後に準備があるからと、待ち合わせは夜になった。夜には初穂などに怪しまれたが何とか抜け出す事が出来た。
「待ち合わせにはこれたな」
「ええ、刀は持ってくるなって言われたので身一つですよ」
「よし、じゃあ先ずはこれを使うぞ。『きせかえカメラ』と『モンタージュバケツ』~」
「な、なんですか?それ」
「まぁ、見てろって。とりあえす肌着姿になれ」
「え?はい」
森川はきせかえカメラにスーツ(龍が如く0の錦山が着ていた物)の写真をセットし、その間に直仁は肌着姿になった。写真を撮るように直仁を映すとスーツ姿になった。
「うぇっ!?なんですかこれ!?俺、スーツ姿なんですけど!?」
「落ち着け、次は俺だ。お前が撮れ」
「わ、わかりました」
写真(桐生一馬が着ているスーツ)がセットされたきせかえカメラを森川に向けてシャッターを切る。すると森川もスーツ姿になった。
「あ、あの・・・これ、どう見てもゴロツキの幹部みたいな格好ですよね?」
「その方が都合が良いんだよ。ゴロツキ同士の争いなら俺達に疑いは向かねえ」
「まぁ・・・そうですけど」
「次はモンタージュバケツで顔を変えるぞ」
「え、ちょっ!」
有無を言わさずモンタージュバケツから繋がっているリングを直仁の首に着け、顔のパーツを検索し、映込んでしまう。無論、森川は直仁の顔のパーツを覚えているので問題ない。
「よし出来た」
「ほ、ほんとに顔が変わってる・・・いかつくなってるし」
鏡を見てみろと言われ、鏡に映った顔を見て自分の顔が変わっていることに驚きを隠せない直仁だが、一つの不安もあった。
「これ、元に戻るんですよね?」
「ああ、ちゃんと戻るから安心しろ。次は俺だな」
森川自身も顔を変えてスーツをしっかり着こなすと、どう見ても某ゲームの極道の二人組にしか見えない。
「後は・・・大丈夫だな」
「ええ、大丈夫ですよ」
「そろそろ向かう時間だ。声くらい演技で変えられるだろ?」
「勉強してたのバレてる・・・」
二人はスーツを着直すと、残党やゴロツキ達が集まっているであろう埠頭へと車で向かっていった。
◇
「良いか!我々は京極様の遺志を継ぎ、新たな日本を作るのだ!」
「「「おおおお!」」」」
「おいおい、俺達は軍隊じゃねえんだぜ?」
「うるさい!我々の命に従ってろ!」
「はいはい、軍の方々は生真面目だねえ。悪いな嬢ちゃん?我慢してくれや」
「ん~んん~!!」
ゴロツキの幹部は天宮に猿轡をし、縄で縛っている以外に何もしていない。この場で手を出せば生き恥を晒すくらいならと間違いなく自殺するからだ。人質というのは生きているからこそ価値が有る。死んでしまえばそれはもう邪魔な物体に成り果ててしまうのだから。
天宮が攫われてしまったのは私用で買い物をしている時に、いきなり人気のない所へ連れて行かれ拉致されてしまったのだ。助けを呼ぼうにも猿轡をすぐにさせられ、縄で縛られてしまった為に助けを求める事が出来なかったのだ。彼女は落ちぶれているとはいえ、大帝国劇場の女優である交渉材料としての面も考えられていたのだろう。
「これより、大帝国劇場及び神崎重工を制圧する!」
「「「おおおお!」」」」
◇
進軍しようとした矢先、先頭を歩いていた組が車で吹き飛ばされた。中から出てきたのはいかにも極道と言わんばかりの格好をした二人組。
「何者だ!?」
「お前らのような奴等に名乗る名前はねえ」
「人質になっている嬢ちゃんを返してもらおうか・・・それが俺等の頼まれごとでな」
「なにぃ?」
二人のゴロツキは其の辺のチンピラとは違った風格を漂わせている。二人共、馬鹿正直に己を信じて付く進むタイプのようだ。
「陸軍から離れた奴らってのは、チンピラとも手を組むほど人手不足なのか?」
「き、貴様等・・・我々を侮辱する気か!?」
「侮辱も何も大義と銘うって、人質取っていきがってる様にしか見えねえけどな?」
「ぐ、ぐぬぬ!」
「(何が、ぐぬぬだ!)そういう訳だ、俺達としても手荒な真似はあまりしたくねえ」
「(此処まで変えなくても良いと思うけどな)とはいえ、俺等もただで殺られるわけ無いだろ?」
この極道の二人、何を隠そう森川と直仁の二人である。森川の持つ不思議な道具で風貌、顔などを変えてここに来ているのだ。
「全員、構えろ!」
陸軍崩れの人間達は刀や銃を構え、二人を囲んだ。愚直なまでの信心は人を歪ませてしまう。京極が提唱した表側の理想はそれ程までに根深く根付いていたのだ。
「お前達には此処で死んでもらう!我らの理想のために!!」
「理想か・・・お前達は自分で物事を考えられない馬鹿に見えるぜ?」
「何!?」
「本当にな、他人の考えが自分の理想と勘違いして、滑稽な話だ」
「だが、喧嘩を売られたのなら仕方ねえ」
そう言って白いスーツの上半身を脱ぎ捨て、生身になる。その身体は料理人とは思えないほどだ。
「この喧嘩・・・俺も買わせてもらう・・・!!」
もう一人の男も上半身の服を脱ぎ捨て、生身になった。その背中からは青白い何かが出ている。
二人の背中を見て、軍人崩れではないゴロツキの部下達は膝が笑ってしまっていた。二人の背中にある二つの姿。それは観音、そして四神の長、黄龍・・・二人をの背中を見て一人のチンピラが口を開いた。
「か・・観音と・・・黄龍・・だと!?なんでこの二人の背中からそんなもんが見えるんだよ!?」
「暴れてやろうぜ・・・兄弟!」
「ああ、行くぞぉ!!」
◇
今の二人からは霊力も気力も最大限に上がっており、高揚している。背中の絵は力の象徴なのだろう。二人は背中合わせになると同時にそれぞれの反対方向へと突進していった。銃を撃っても刀で切りつけようとしても直ぐに殴られ、倒されてしまう。
「うらぁ!(久々にコイツで行くか、周りには壊して構わなそうなもんがあるしな)」
森川はいつもとは違い、動きが遅いが、パワーがあり力で押していく「壊し屋」に戦い方を切り替え、物を持っては周りの人間をぶん殴っていくが、途中途中で様々な戦い方に切り替えていく。スピードのある「連打型」、オールマイティーかつゴロツキのような荒々しい戦い方をする「喧嘩屋」など独自の戦い方だ。
「ふんっ!!」
「軌道が分かり易いな・・・!ほいっ、と」
「????ぐぼっ!?」
直仁は殴りかかってきた相手の軸足をしゃがみこんで押し込んだり、相手へ力を返すように投げ飛ばしている。自身が得意とする武術の合気道を実戦向けにした技術だ。天宮はそれを目撃しているが、まるで魔法でも見ているかのように相手が勝手に倒れていく。
「・・・(すごい)」
「合気も飽きたな。久々に戻るか・・・」
「よそ見してんじゃねええ!」
「!」
次に直仁は襲いかかってきたチンピラのパンチを軽くいなすと、臀部を蹴り飛ばし、回転してバランスを崩したチンピラに廻し蹴りの応用で、かかと落としのように足を上げその顔面を踏み抜いた。
「オラァ!」
「ぐべぇっ!?」
これは森川が時々見せてきた物や武器などを応用させる技の一つである。「極み技」と森川が言っていた事から、先ほど直仁が披露したのは己が見取って、会得し昇華させた「受け流しの極み」と言えるものであった。
「こいつううう!」
「ん!?」
森川へ襲いかかってきた軍人崩れは、そのまま突進してきたタイミングを逃さず、彼は軍人崩れの腹部にストレートパンチを打ち込んだ。
「はあっ!!」
「げふうう!?」
「うおおおああ!!」
怯んでいる間に足の間と襟元を掴むとそのまま地面へと投げつけた。この一撃で軍人崩れは気を失ってしまった。
「古牧流無手返しの一つ、玄武砕きだ・・・!」
「『見させて』貰った・・・その技!」
二人はいつの間にか距離が近くなっており、その二人向かっていくチンピラの一人が居た。テレフォンパンチで殴りかかってきており、誰もがそのパンチは決まったと思っていた。
「おっ・・と!」
「なっ!?」
そのパンチを止めたのが直仁であった。森川は驚いた顔をしていたがすぐに笑みを浮かべた。まさか、自分が助けられるとは思わなかったのだろう。
「ありがとよ!」
「ふっ・・らぁ!」
そのパンチを振り解くと同時に相手がふらつく、その一瞬の隙を逃さず二人は同時に殴りかかった。
「「オラアアア!」」
「ぶぐあああ!」
琉球空手仕込みの拳と音を置き去りにする程の極みに達した拳、二つの拳を受けたチンピラは歯を折られ、倒れた。
「ノってきたな・・・!」
「ああ、このまま行くぜ!」
「お前達!これが見えないか!」
司令塔である軍人崩れのリーダーは天宮に拳銃の銃口を向けていた。それを見た二人は怒り以上に頭から血が下がり、逆に冷静になっていた。ゴロツキのリーダーは逃走しようとしたようだが、軍人崩れのリーダーに捕まってしまったのだろう。
「この娘の命が惜しかったら、そのままジッとしていろ!」
「(直仁・・・!)」
「(ええ・・!)」
二人は言われた通りにおとなしくしている。軍人崩れのリーダーは天宮を連れて逃走する気だ。だが、二人がそんな事を許すはずがない。直仁と森川は互いに目で合図し、拾っていた石を掌の中に入れた。
「!何をしている!?」
「あー、その手に虫がな」
「何!?ぐわぁあああ!?」
「痛っだああああ!?」
直仁が気を逸らし、森川から離れた瞬間、リーダーの手にはまるで銃弾を受けたような穴が空いていた。ゴロツキのリーダーも太ももに銃弾のような穴が二つ空いている。謎の弾丸の正体は先ほど拾った石である、それを森川が親指で弾いたのだ。所謂「指弾」と呼ばれる技の一つである。
「こんなもんか?」
「流石・・・!天宮!こっちへ来い!走れ!」
「!」
直仁の声に反応した天宮は直仁達の所へ向かって全速力で駆け抜けた。縛られた手や猿轡が動きを阻害してきたが、なんとか直仁の下にたどり着き、縄と猿轡を外してもらえた。
「怖かった・・・怖かったよおおお!」
「あー、よしよし。少し離れてろ天宮」
天宮は直仁に抱きついて泣き出したが、それを頭を撫でて慰めると森川と協力して痛みから気絶した軍人崩れとゴロツキのリーダー二人を縛り上げた。
「で、どうするんだ?コイツら」
「ウチの女優を人質にしましたからね・・・軍と警察、愚連隊とかに情報を流しましょう。「花屋」の力を借りて」
「今回は俺が依頼人だからな・・・情報料は俺の店に還元してくれ」
「わかりました」
この後、再びクーデターを起こそうとした軍人崩れのリーダー、それに賛同した人間達、ゴロツキ達も全員がお縄になった。この事は新聞にも載り、話題になった。手下達は「観音が・・・・龍が・・・背中に・・・」とうわ言のようにつぶやいていると書かれている。
小さいながらもこの組織を壊滅させた二人に関しては不明。背中に観音と龍の絵があるという証言以外を得られていないため、目下調査中である。
ラジヲにおいても、この二人をモデルにしたラジヲドラマが制作された位の知名度だ。題名は「観音と黄龍」。
このラジヲドラマを苦笑しながら聞きつつ珍しく、森川と直仁が店じまいした「オアシス」で酒を酌み交わしていた。量は飲まず、ただ楽しむ事を念頭にして。森川は用意した二つの器に酒を注いだ。
「これは、兄弟の盃だな」
「親友って意味で?」
「ああ」
二人はお互いに笑いあった後、酒の入った器で乾杯し同時に酒を煽るのだった。
サブストーリーです。何度も言いますがサブストーリーです!
サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)
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倫敦華撃団 副隊長 ランスロット
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上海華撃団 ホワン・ユイ
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新・帝国華撃団の誰か
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風組or月組メンバー