※帝劇三人娘では、かすみさん推しです。
あれから、隊員達から剣術、薙刀術、射撃、霊力、科学技術、空手と筋力トレーニングといった花組隊員が得意とする武道などで特訓してくれる事になった。
初めは何も出来ずに終わっていたが、直仁は見取り稽古をお願いしたいとそれぞれの隊員にお願いした。
科学技術と霊力に関しては見取り稽古はほとんど意味はない、これだけは己の勉強と集中力のみが鍛錬になるからだ。
そんな中、直仁にもモギリをしろと米田支配人から命令された。流石に手が余っているのだから利用しない方がおかしいだろう。
「大神さん」
「直仁くん、頼むよ」
「はい!」
公演が始まり、お客様のチケットを次々にちぎっていく。大神はその手際の良さに驚きを隠せなかったが、自分も笑顔で対応する。
「いらっしゃいませー、ようこそ帝劇へ」
「いらっしゃいませ、本日の公演をこころゆくまでお楽しみください。はい、チケットをお預かりします。列は乱さないようお願いしまーす」
飲食業でアルバイトをしていた直仁は、混雑時の客の乱れをスムーズに解決していた。お土産の宣伝も忘れず、売店への案内、場所が分からなくなったお客への受付への案内も果敢に行っている。
「おう、新しい兄ちゃん!ナイスなスマイルだな!」
「ありがとうございます!」
「直人くん、手馴れているな。何かやっていたのかい?」
「そうよ、私達だって手を焼くお客様の列を直しちゃったんだもの!」
ある程度まで、お客を会場入りさせ余裕が出来た為に大神が直仁に話しかける。そこへ帝劇三人娘のひとりである榊原由里も入って来た。
「ええ、煉瓦亭ではないですけど・・・別の洋食のお店でアルバイトをしていたので」
「だから手際が良かったのね。もしかして人気店?」
「一応ですけどね。カレーとかオムライスが人気でしたよ」
「へぇ、お店の名前はどんな名前だい?」
「航味屋ですけど?」
「ええーー!?航味屋って言ったら煉瓦亭と並ぶ大人気のお店じゃない!」
ミーハーな由里らしく人気のお店はチェックしているようだ。そこでアルバイトをしていたのだから手際がいいはずだと納得する。
「航味屋のピークは丁度、帝劇さんの会場入りのお客様よりも規模は小さいですけど、流れは変わりませんからね」
「人気店でアルバイトしていたのなら、手際良いはずよね!あ、私、もう戻るわね!」
「相変わらずだなぁ、由里さんは」
「そうだね、直仁くん。事務所の仕事もあるから行こうか」
「はい(なんだか、大神さんと全く同じ仕事をさせられているような気がする・・・。)」
◇
事務所に移ると今度は伝票整理の仕事を任された。大神も苦戦しているようだが、直仁は計算が間違っていないかのチェックをメインに行っている。
「由里さん、ここの合計金額、最前列と最後尾が間違ってますよ」
「ええ!?ちょっとくらい・・・」
「ダメですよ、売り上げに響くならちゃんとしておかないと。後、かすみさん此処なんですけどね。立ち見席の人数が二回の客席前列と入れ替わってますよ」
「あ、本当だわ。ごめんなさい」
「早めに見つかってよかったです」
「ふふ、ありがとうございます。直仁さん」
「あ、いえ・・・」
直仁は帝劇三人娘の中で年上かつ、最も大人の雰囲気を持っている藤井かすみに笑顔でお礼を言われ、顔を赤くしてしまった。その様子を見た由里が意地悪な笑みを浮かべている。
「おや~?直仁くんってば、かすみにデレデレしちゃって、気があるの~?」
「な、仕事中に変な事を言わないでくださいよ!そりゃあ、かすみさんはお淑やかな女性ですから・・・男としては気にしちゃいますよ・・・」
「あら、ありがとうございます」
「直仁く~ん?生意気いう口はこれかー!」
「いふぁい!いふぁいれふ、ゆふぃふぁん!」
直仁の頬を笑顔で怒りながら由里は引っ張っていた。それを苦笑しながら見ている大神と楽しそうに笑っている、かすみであったが・・・・。
「由里、それまでにしておきなさい?直仁くんは午後の訓練の時間になりますよ」
「え?」
「痛たたた、あ・・・本当だ。今日はカンナさんとの稽古だった。それじゃ、後はお願いしますね」
「あ、こーら!」
直仁は訓練室に行くと、カンナが待ってくれていた。手には空手で使う道着を持っている。それを投げ渡された。
「カンナさん、稽古をお願いします」
「おう、今日からは筋力トレーニングから空手の修行になるぜ?ビシバシ行くから覚悟しろよ?その前に道着に着替えて来てくれ」
「はい!」
それから、午後の稽古は充実したものになった。はじめはカンナに打ち込んでいたが、軽くあしらわれてしまった。
だが、直人は小休止時にカンナが空手の型をやっているのを「見取り稽古」で見取ると、基本の型をその場で再現したのだ。それを見たカンナは軽く口笛を鳴らすと驚いたような声で話してくる。
「直仁、あたいの演武を再現したのか?荒削りだけどさ」
「ええ、見取り稽古は得意なので」
「(さくらやすみれも言ってたな。直仁は動きを荒削りながらも再現しちまうって)」
カンナは直仁の「見取り」の才能にいち早く気づいた。それは琉球空手桐島流二十八代目継承者の武闘家としての観察眼のおかげであった。同時にカンナは直仁の見取りを再現する理解力にも舌を巻いていた。
演武とはいえど、型を見取り、荒削りながらも再現するなど、並大抵の事ではない。どんなに見取りが上手くともそれを理解できる一瞬の理解力がなければならないのだから。
「・・・直仁、訓練を組手と基本に切り替えるぜ?本数も増やす、良いか?」
「構いませんよ」
「よし、早速稽古するぜ。行くぞ!」
「はい!」
実践を取り入れた稽古は直仁の理解力を信じての事だ。カンナは武闘家としての観察眼で内に眠る力を見抜き、それを覚醒させようとしていたのだった。
◇
そして日曜日、この日は直仁の歓迎会として楽屋で、飲み会にも近いパーティが行われた。今は帝国華撃団でなはく、帝国歌劇団としてこの場をみんな楽しんでいる。
「ちい兄ちゃん」
「ん?どうしたんだい?アイリス」
パーティの中で最年少であるアイリスが珍しく、直仁に話しかけてきた。全隊員中、最も霊力の高い彼女は心の内を読む事もできる。
「ちい兄ちゃん、訓練が厳しいって感じてるでしょ?」
「え?ああ・・・そうだね。なんの訓練もせずに勉強してばかりだったから」
嘘を吐かずに正直に心の内を話す。下手に嘘をつけば、アイリスには簡単にバレてしまうからだ。
「なら、アイリスがおまじないしてあげるね?イリス・マリヨネーット」
小声でアイリスが霊力を使い、直仁を癒した。見た目には変わっていないが内面、つまり細胞組織などが癒されているのを実感する。
「アイリス、今のは・・・?」
「ふふ、アイリスとの訓練の時に教えてあげる。お兄ちゃんにも内緒のアイリスとちい兄ちゃんの秘密だよ!」
そう言って、アイリスはウインクした後、大神とさくらの近くへと行ってしまった。
「さっきのが・・・霊力?」
頭上にハテナマークが浮かんでそうな顔をしつつ、パーティが盛り上がっている中、突然警報が鳴り響いた。
「警報!?」
それにいち早く気づいたのが大神であったが、ふざけていた米田が司令官の顔つきになった。
「あやめくん!至急、状況を確認するんだ!」
「はい!」
「全員、作戦司令室に集合せよ!」
「「「「「了解!」」」」」」
雰囲気が変わった事についていけない直仁は呆気に取られていたが、なんとか持ち直し、喝を入れる為に自分の頬を軽く叩いた。
「大神さん!僕もですか!?」
「ああ、急いで来てくれ!」
「了解!!」
他の隊員と同じ返事をし、大神の後に走って着いて行くと、そこには飛び込み式のシューターらしき扉があり、それが三ヶ所開いた。一つには、さくらが飛び込み、右側には大神、直仁は体験入隊者と書かれた場所に飛び込んだ。
下へ向かっていく間に直仁の服装がモギリ服から、帝国華撃団が身に纏う戦闘服へと変わっていく。最も、隊長である大神が身に付けている戦闘服を少しだけ形を変え、色を付け加えたものではあるが、戦闘服には変わらない。
「よっ・・と!」
「おう、来たな直仁。なかなか似合ってるじゃねえか」
「っ・・・もしかして、これが?」
「そうだ、これが帝都防衛を任されている帝国華撃団の真の姿だ」
米田の説明と戦闘服を身につけた歌劇団の女優達、そしてモギリだった大神は一転して隊長としての顔つきになっており、雰囲気が変わっていた。
「今回は実戦だ。気を引き締めて挑め」
「はい!」
「よし。あやめくん、状況は?」
「現在、上野公園に正体不明の機体が出現したの報告が入っています」
「まさか、黒之巣会が?」
「いえ、違うわ。上野公園に現れた正体不明機、データから推測して99パーセント光武よ」
どうやら正体不明とされる機体が上野公園に出現し、暴れているようだ。人的被害も建物の被害も出ていない様だが、由々しき事態だろう。
「なんだと?」
「あ!」
「どうしたの?紅蘭」
光武の技術者であり、隊員でもある紅蘭がいきなり声を上げた。何か思い当たる事を思い出したのだろう。
「あやめはん・・・もしかしてその光武?」
「ええ・・・」
「おいおい、分かるように説明してくれよ」
「今度、実験機を1機ここに配備する話は知っているわよね?」
「え、ええ。神崎重工の方で新システムを搭載した機体だと・・・まさか!」
「そのまさか、上野公園で暴れとるのはその実験機や!」
直仁を含めた花組メンバーは全員が出撃する事になった。だが、直仁の機体は準備されておらず、唯一カンナ機の予備のみがあった為にそれに搭乗し、試作されていた光武専用の小太刀を装備して出撃した。
「みんな、配置についたな。各員、その場で待機せよ。直仁くんは俺の傍にいるんだ」
「わかりました。でも、自衛はしますからね」
「それで、構わない。己の身を守る事に専念してくれ」
「隊長、問題の光武を発見しました!」
「わかった!」
大神が突撃すると、直仁も続き。マリア、すみれ、紅蘭の光武が実験機に攻撃を仕掛けようとしたが、何かの異変に気づく。
「なんや?様子がおかしいで?」
「これは、止まっているようですわね?」
「隊長、どうやら機体は活動を停止しているようです」
「中には誰も乗っていないのか?」
「反応はありません。逃走した後かと・・・」
「そうか・・」
「これより、機体の回収にかかります」
先行した三機が光武実験機を回収し、運んでいく。そんな中、直仁だけは違和感を払拭できないでいた。
「(光武を動かすには霊力が必要だって資料にあった・・・悪戯に動かせる物じゃないはず)」
「直仁くん?どうした?」
「(神崎重工からの配備されると言っていたから、推理しても結局は勘になる。けど、恐らくは機械的に動く何かがあるんじゃ)」
「直仁くん!」
「へ?ああ、大神さん?どうしました?」
「どうしたはこっちのセリフだよ。何か考えていたのかい?」
「ええ、まぁ・・・」
「戦闘が終わっても、気を抜いていちゃダメだぞ」
「はい」
「それじゃ、帰投しよう」
帝国華撃団は帝劇に帰投し、作戦司令室に集まる。今回の件、特に光武である為に全員が意見を出し合い、原因を推理する。
「ふむ、妙な話だな」
「神崎重工の報告によると、こちらへ輸送する途中に突然起動したそうです」
「誰かが、勝手に操縦して・・・そして乗り捨てて行ったか・・・?」
「悪戯にしては度が過ぎていますね・・」
「直仁、お前はどう思う?」
米田からの言葉に腕組みして考えていた直仁は、視線を向けると口を開いた。
「光武が勝手に動いたとか?」
自分の推理と勘による意見だが、それを聞いた大神が苦笑しかねない顔になっていた。
「おいおい、流石にそれはないだろう?」
「ハハハ、いや面白い意見だ。お前センスあるな!という訳だ、今後、光武の輸送には十分に注意する事だな。神崎重工には厳重に注意しておいてくれ」
「・・・・」
大神が困惑し、米田が直仁の意見を笑っている中、あやめだけが何かを言いづらそうな表情をしていた。
「ん?どうした?あやめくん」
「いえ、了解しました・・・」
「よし、では解散!」
米田を始めとし、隊長である大神や隊員達はそれぞれ戻り、直仁も着替えを済ませて自室に戻っていった。
その途中で、あやめは調べたい事があるからと、一人、作戦司令室に残った。
「直仁くん、彼は当てずっぽうで見抜いたというの?いえ・・・彼はシステムの事は何も知らない様子だった」
あやめは、あの場で直仁の推理力と勘の良さに気づき、驚きを表情に出さないようにしていたのだ。
「おそらくは光武の資料から霊力が必要な事、一般人には動かそうにも霊力の高い人間は限られているというのを覚えていたのね。状況を推理し、全てが分からなくても一般人に動かせる可能性は低いと踏んだ」
あやめ自身も言い出せなかった責任はあるが、光武実験機のシステムに肉薄していた推理力は素直に感服した。
「直仁くん、成長しているようね。でも、それだけでは・・まだ隊長にはなれないわよ」
本人を賞賛したかったが、証拠もないのに褒める訳にはいかない。賞賛は部屋の中へと溶けていき、届くことは無かった。
次回は直仁くんの霊力が目覚めます。日数はかなり進み、わらしべイベントを二つクリアした事になります。
※ゲーム本編では二つをクリアする事は不可能ではないですが、かなり難しいです。
そして、大神さんや隊員も驚くあの技を繰り出します。
次回『暴走!実験機!』
大正桜に浪曼の嵐!
「さくらさん、見ていてください!」
サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)
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