サクラ大戦~もう一つの視点   作:アマゾンズ

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IF回です。三華撃団が復活した設定です。

思いついた短編のIFストーリーです。ある作品のシーンを使ってます。

直仁が次世代に託して死にます。

オリジナルの上級降魔の戦士が出てきます。

本編とは繋がりません、あくまでも「もしも」の話です。

エリスとは恋人として付き合っている設定です。


短編IF編 次世代へ託す人間の魂

降魔の策略によって幻都から開放された降魔皇は後に、人間全てに復讐すると言って呪われた大地と化した大和を大気圏外ギリギリに浮上させ、そこへ居城し力を蓄えると宣言した。

 

降魔皇の開放によって、三つの華撃団が帰ってくる事も出来たが、やはりという状態が起こった。

 

世界中で結成された華撃団と次世代の帝国華撃団、そして伝説とされた旧・帝国華撃団、巴里華撃団、紐育華撃団、全ての華撃団でのいがみ合いが起こってしまったのだ。

 

それを止めたのが支え続けてきた直仁と影で支えていた森川であった。二人は同時に一括し、いがみ合いを収めた。

 

降魔皇を倒すには破邪の力、そして地脈の龍の力が必要だという事がわかった。光武二式も改修され、霊子戦闘機と同格の戦闘力を持つに至り、全華撃団の力も互いに訓練し合うことで向上した。

 

大気圏ギリギリに位置している大和への突入にはミカサが用いられる案が決定した。そしてその決戦前夜。

 

「・・・・」

 

「・・・・直仁?」

 

そこへ来たのはエリスだった。直仁は夜のテラスで街の風景を眺めている。だが、そんな彼を見てエリスは自分の胸の中で嫌な予感が渦巻いた。もう二度と彼に逢う事が出来ない、そんな予感が。

 

「!」

 

「・・・っ」

 

エリスは意識が街に向いている直仁の背中へと抱きついた。突然の重みに直仁は首を後ろに向け、振り返るとエリスが抱きつき震えているのに気づいた。

 

「エリス?」

 

「怖い・・・」

 

「え?」

 

「怖いんです・・・・この決戦が始まったら、もう二度と貴方に会えないような気がしてならない・・!」

 

いくら軍人のように気丈に振舞っていても、エリスは十代後半の女の子だ。怖いという感情は分かるが二度と逢えないというのは高い霊力による予測なのだろうか?

 

「・・・前にも言っただろ?命を懸けるが、捨てる気はないって」

 

「・・・それでも、私は!わたし・・は・・・!」

 

直仁はエリスを引き離すと、正面から抱きしめた。その温もりがエリスを落ち着かせていく。

 

「命を捨ていくんじゃない・・・帝都を・・・規模が大きいが地球を守るためにだろ?」

 

「・・・・」

 

二人は恋人同士になってから、恋人らしい事は極力控えていたが忍んでデートを何度か重ねていき手を繋ぐ事とこうして抱きしめ合う事、男女として繋がった事もある。それだけ二人は隠れて愛し合っていた。

 

「俺も命を懸ける覚悟をしていただけだ。それだけなんだよ」

 

「本当・・・に?」

 

「ああ」

 

「・・・信じます。その言葉」

 

二人はお互いに離れ、エリスは敬礼をした後、内部へ戻っていった。直仁はそれを見送った後、テラスの縁を手で握りこんだ。

 

「ぐ・・・ぐううう!」

 

自分の中にある地脈の龍に喰われた証である痣が、右手の手の甲に浮き出ていた。これは侵食が再開していた事を意味している。

 

「俺の時間は・・・後どのくらいだろうな」

 

 

 

 

 

大和改め降魔皇城と命名された敵の本拠地へ全華撃団と、未曾有の危機にいてもたっても居られなかった森川が乗り込んでいった。そして、華撃団はいくつかのチームに別け、華撃団の復活によってトラウマを乗り越え光武二式の操縦者に復帰した狛江梨直仁、次世代花組隊長の神山誠十郎、伯林華撃団隊長エリス、そして途中で合流した森川大輔の四人。

 

先行して進んだのは直仁であり、光武一機分の通り道を通った後に入口が塞がれてしまう。

 

「!歓迎はしてくれるようだな」

 

「お前が龍脈の御子か」

 

「・・・・そうだと言ったら?」

 

相手は上級降魔のようだが、今までの降魔とは違い戦士としての威厳と信念を持っているようにも見える。

 

「名乗ろう。我は降魔・・・無明(むみょう)!上級の降魔にして、剣に生きる鬼なり・・・!」

 

「降魔でありながら名乗りを上げるとは・・・!」

 

名乗りを上げた降魔・無明、その姿は礼節を重んじている侍そのものだが、相手は降魔であり人間の礼節を真似しているだけなのかもしれない。直仁は愛刀であるダマスカスの太刀を鞘に収め、礼節を重んじる返しを行う。

 

「帝国華撃団・・・花組!狛江梨直仁・・・!そなたの剣に応える者なり!」

 

互いに名乗りを上げ、無明は薄く笑みを浮かべた後、魔装機兵・深淵を召喚し乗り込んだ。基本形状は闘神威と似ているが、細かいパーツや色が黒ずんだ青になっているなど全くの別物だといえる機体になっている。

 

「我が剣とお前の剣・・・いざ!!」

 

「尋常に!」

 

「「勝負!!」」

 

その掛け声によって二人の間に剣撃が走り始める。柳生新陰流と降魔独自の刀による剣術、その二つがぶつかり合っている。互いの剣は一歩も譲らず、退く事もない。

 

「惜しい・・実に惜しいぞ。お前が御子でなければ・・・勧誘したものを」

 

「ああ・・・俺もだ。降魔として出会わなければ、違った出会い方をしていれば剣友になれたのに」

 

互いの剣を交わす度に嬉しさではなく、虚しさが支配していた。降魔と人間、決して相容れる事も共に並んで歩く事も無い出会い。それが虚しさを味あわせてくる。

 

「我は退けぬ!降魔皇様の為に!」

 

「俺も退けない!帝都を、世界を守る為に!!」

 

 

 

 

 

直仁が通った入口を何とか開通させようと、森川や誠十郎、エリスが協力して攻撃を重ねるが何十にも張られた魔の結界がそれを拒んでいた。霊力を込めた弾丸、斬撃、森川に至ってはあらゆる攻撃系特典をぶつけ続けるも、まるでサメの歯のように新しく結界が貼られ続けるのだ。

 

「くっ!何故だ!壊れているはずなのに!!」

 

「壊しても壊しても、新しい結界が張られ続けてる!」

 

「根元を断たねえと復活する仕組みってことか!」

 

三人が協力し強力な一撃を放ったが、嘲笑うかのように結界は貼られ続けている。三人は諦めず、何度も何度も結界へ攻撃し続けた。

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・」

 

「この戦い、終わる事が惜しい・・・だが、決着をつけねばならない」

 

降魔・無明と直仁の戦いは互角同士の戦いだった。だが、ほんの一瞬の攻防が直仁と無明の実力の天秤を傾けた。二人はお互いに光武と魔装機兵から降りて、生身で戦っていた。

 

直仁が横薙ぎの斬撃を大振りにした事、それが分かれ目であった。無明が刺突として繰り出した刃は直仁へ刃を向けた状態で繰り出されていた。結果、そのまま刃が横薙ぎの攻撃となり、直仁の上腕部分を深く斬り裂いたのだ。更には

 

「魔風暴破!!」

 

「ぐああああ!!」

 

無明の刀から放たれた魔力の渦が直仁を包むようにして吹き飛ばし、全身に深い傷を負わせ倒れさせた。それでも、直仁は気力を奮い立たせ、フラフラになりながらも刀を手に無明へ向かっていく。

 

「うおおお・・・」

 

「もはや、霊力を込める余力すらあるまい。我の魔風暴破を受けたその身体ではな」

 

直仁の全身は無明が繰り出す最速の剣技によって切り刻まれ、全身の切り傷から血が噴き出していく。それでも直仁は力の無い刀を振り、無明を斬りつける。

 

「ぐ・・がはぁ!ぐ・・あ・・あっ・・・」

 

「止めるが良い・・・今のお前は動けば苦しむだけだ。死の影が濃くなるだけよ」

 

無明は直仁の愛刀、村正を優しく人混みを掻き分けるような仕草でその刃を逸らし、自分の刀を収め背を向けて立ち去ろうとする。

 

その瞬間、直仁の目に光が宿り無明へと飛びかかる。その気配に気づいた無明は振り返るが瞬間、無明の持っている五輪を模した首飾りを直仁は毟り取った。

 

「何!?五つの鍵を・・・!何故そこまで・・・!人間は我ら以上に欲深く、身勝手で目を背ける存在であるのに!何故、そこまでして!」

 

「ただ・・死ぬ・・のは・・・・・怖くは・・ない・・が、何も・・・託せず・・・死ぬのは・・・ゴメン・・だ・・・降・・魔の・・お前に・・・言っても・・理解・・できないだろう・・が・・ゴフッ!!」

 

直仁は吐血し、全身の傷からの出血も止まらず流れ続けている。直仁は今は宇宙に近い上を見上げて、思い返す。

 

「(米田さんは・・・俺をまるで息子のように厳しく、優しく成長させ次世代に繋ぐ大切さを教えてくれた・・・対降魔部隊の山崎さん・・・あやめさん・・一馬さんも・・・守るべき存在や愛する者の為に己の命をかけて未来への礎になった・・・)俺だって・・・次世代に託す事をしなきゃ・・このままじゃ・・・カッコ悪くて・・・顔向け出来ねえ・・よ。(ああ・・・でも・・・最後の未練は・・・エリス・・・お前の傍に居られなくなっちまった事だ・・・)」

 

直仁は無明から奪った五輪の首飾りを両手で包むようにして握り込み、無明へ向かって声を上げた。

 

「最後に俺が見せるのは代々、受け継がれてきた守護者の魂だ!人間の心だ!」

 

霊力を凝縮し、龍の巻き付いた姿の光弾を作り出すとその中に五輪を模した首飾りを閉じ込め、直仁は大声で叫んだ。

 

「誠十郎ォォォーーーー!!!俺の最後の霊気だーーー!!!受け取ってくれーーーッ!!」

 

入口の結界に攻撃し続けていた三人はその時、確かに直仁の声が聞こえた気がした。

 

『受け取ってくれーーーッ!!』

 

「はっ!?今の声、聞こえましたか!?まさか直仁さんの!」

 

「間違いなく、今の声は直仁!」

 

「直仁ォォーーーー!」

 

大声での叫びを最後に直仁は、自らの光武の近くにおいて激闘で崩れかけていた天井の瓦礫に巻き込まれていった。

 

それを見届けていた無明は直仁の居た場所に浮かんでいた霊光玉を見つめ、その場所に歩いて近づいていく。

 

「あやつの霊力が凝縮された球か・・・最後の力を振り絞って作り出したようだが」

 

無明は刀を鞘から抜き、それを斬ろうと刃を振り下ろそうとして止めた。刀を鞘に収め光玉を背に奥へと歩いていく。

 

「くれてやろう・・・・。我は人間の感情が理解できぬ。だが、我と死合える者こそ尊敬する者であった・・・この戦いで我は消滅したとしてもお前の名を魂に刻んだ・・・。狛江梨直仁、龍の如く天に昇りし男よ・・・」

 

 

 

 

 

結界が消え、入口を破壊して侵入した三人はこの部屋で凄まじい戦いがあった事を物語る瓦礫を見て驚愕した。

 

「この戦いの跡は!?」

 

「待て、あれを見ろ!」

 

森川が指を指したその先には青く輝く光玉が停滞しており、それが少しずつ誠十郎へ近づいて来る。

 

「これは・・・霊気の・・球?龍が・・・巻き付いて・・・それにこれは!」

 

思わず無限から降り、その光玉の中を見る。その中には華撃団が手に入れるべきものがあった。

 

「五輪!五輪の鍵が、この中に!!!」

 

「何!?」

 

光玉が誠十郎の指先に当たり、それを思わず両手で包み込む。それと同時に誠十郎の中に自分にとっては莫大とも言える霊力が流れ込んでくる。

 

「うああっ!?こ、この霊気の感覚!そ、そんなぁ!!あ・・・ぐ・・うう・・あああ」

 

龍脈の力が混じり合った霊力を誠十郎へ託した光玉は消えてしまい、誠十郎はその場で崩れ落ちた。まるで何かを察してしまったのかのように。

 

「何があった・・・!神山」

 

「誠十郎!」

 

「俺は・・・俺は直仁さんが此処で必ず勝っていると思って、呼びかけをしませんでした。でも・・・さっきの光玉に触れて全てが分かってしまった・・・直仁さんは・・・今さっき、此処で死んだんです・・・!」

 

「!!」

 

「直仁の野郎・・・カッコつけやがって・・・!だが、これで先へ進める。行くぞ・・・二人共、俺達は先に進まなきゃならねえんだ」

 

「マスター・・・・貴方は!」

 

「森川さん・・・!はっ・・・!?」

 

誠十郎は森川の全身が震えている事に気づき、もう一つ動揺している証拠に気がついた。森川へ掴みかかろうとしたエリスを誠十郎が止め、たった一つの動揺を指摘した。

 

「神山・・・!?」

 

「っ・・・森川さん・・・煙草の向きが・・・逆ですよ」

 

「!・・・っ」

 

森川は火を着けようとした煙草を口から離して、握り潰した。この場で最も冷酷になれるのが森川だけだ。頭脳が優れているからこそ、感情的になってはならない・・・それが理解出来てしまったからだ。エリスも誠十郎の指摘で森川もワザと冷酷になっている事に気づいた。敵地である以上、下手な動揺は隙につながる、だからこそ森川は突き放した言葉を言ったのだ。

 

「直仁さん・・・貴方が俺に託してくれたこの力、無駄には絶対にしません!必ず、降魔皇を倒し封印します!」

 

誠十郎が決意の言葉を言った瞬間、近くの瓦礫から鋒が折れた刀がエリスの足元に転がって来た。そこへ三人が視線を向けると人間の鮮血が瓦礫の中から流れ出ている。エリスは転がってきた折れた刀、村正を手にするが抜け殻のようで何の影響もなかった。

 

「!血が・・・流れて来て・・・」

 

「直仁さんが・・・そこに・・・」

 

「その瓦礫に・・・潰されてんの・・か?」

 

三人はその瓦礫を観察すると、直仁の光武の片腕がまるで死体のように垂れ下がっているのを発見した。掘り起こそうと考えたが、死体は恐らくミンチのようになっており、目にしたくはないレベルになっているだろう。発見と同時に青い龍の姿をした光がエリスの腹部へと入っていき、消えた。

 

「あ・・・・ああっ・・・直仁・・・何故・・・何故ぇぇーーーッ!!!」

 

「直仁さぁぁぁぁん!うわあああああーーーーーッ!」

 

「ぐ・・・く・・・バカ野郎があああああ!!」

 

三人は直仁の名を呼び続けるが返事は返ってこない。返ってくるのはただの静寂のみ、敵地であるにも関わらず、エリスは流した。愛した者を失った事への悲しみの涙を、誠十郎は泣きながら叫んだ、尊敬していた男の名を。森川は悲しみの怒りをぶつけた、最高の友であった男へと。

 

それでも、直仁は託したのだ。誠十郎へ次世代へ繋げていく事を、そしてエリスにも。

 

 

 

 

 

 

 

その後、第二次降魔大戦と呼ばれたこの戦いは、降魔皇を異空間の狭間に弱体化させた状態で封印され、終幕した。

 

たった一人・・・龍のように舞い、龍の如く天へと昇っていった男を除いて。

 

華撃団の信念であった「かならず全員、生きて帰る」という約束は地脈という名の神器によって成り立たなかったのであった。




この話は「もしも」の話であり、何度でも言いますが本編とは繋がりません。

所謂、分岐した世界の一つです。その為、直仁の戦闘時間の制限もなくなっています。

エリスと直仁、全華撃団にとっては勝利を得たバッドエンドルートだと考えてください。

エリスの腹部へ龍が宿った理由?それは一つしかありませんよ。

結婚ネタは少しお待ちくださいませ(汗)

サクラ大戦と言えばヒロイン別ルート!※やはりヒロイン別ルートが必須かと思い次のルートは誰が良いかアンケートします(正ヒロインはエリスですが)

  • 倫敦華撃団 副隊長 ランスロット
  • 上海華撃団 ホワン・ユイ
  • 新・帝国華撃団の誰か
  • 風組or月組メンバー
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