●最適な所作
激戦を終えた一同は、次なる戦いに向けて調整に入った。
先の大規模戦闘で見えた欠点を洗い出し、マイナスを減らしプラスを増やしていく地味な作業だ。
「お姉さま。捕まえられるものなら、どうぞ捕まえてごらんなさいまし!」
「ふふふ。これは手厳しい。君の踊りは軽やかで素敵だ。しかも抱きしめれば折れてしまうのだから、この身の不甲斐なさが悲しいよ」
高機動で逃走するヅダを追いかけて、ゲー・ドライが飛ぶ。
そしてマザー・ファンネルから射出された無数のファンネルが展開される。
だが逃げる逃げる。
高速なだけでなく、最低限の動きまで身に着けたヅダは時に素早く時に軽やかにビームの嵐を掻い潜る。
「……お前のねーちゃん。いつも
「ああ。いつの間にかオレのガールフレンドはねーちゃんに夢中になるんだ。まあいいけどさ」
その姿を見ながら剣戟が交わされる。
サンドロックに似せた陸戦ガンダムとV2ガンダムをベースにしたバアルは、それぞれショーテルやビームサーベルのモーションを確認していた。
一見ただの一騎打ちに見えるが、ソード・アクションを繰り返して所作を見る。
未設定だと10のフレーム(小間割り)で構成される斬撃であるとしたら、これを8くらいまで減らせばかなり変わって来る。。もちろん機体を変更した反動で10が12になっているとしたら、もはや20%どころか半分の速度で攻撃できると言っても良いだろう。
「問題なのは偶に夢中になるやつが居るんだよな。ねーちゃんも断らねーし、浮気性って名前の不治の病さ」
「そのうち刺されるんじゃねーか? ……次行くぞ」
くだらない話を入れながらソード・アクション以外のモーションを確認。
バアルの変形合体中にサンドロックが割り込んで攻撃。邪魔された状態での高速立て直しを測る為、合体モーションを幾つか登録しているのだ。
プラモの位置を画像で記録して、そのフレーム単位で並べ直しておく。
不要な画像を取り払ったり、逆に付け足して回避しつつ合体するモーションを作成するのだ。もちろん介入で跳ね飛ばされた画像を編集して、そこから立て直すモーションも作る予定だ。
「うおっと。テイルブレードにも追加したのかよ」
「おう。まさかブレードが居残ってるとは思わなかったろ? そいつをどうするかも考えときな。もっとも慣れで済ませて、モーション作らないのもアリだけどな」
サンドロックには蠍をイメージしてテイルブレードを追加している。
この先もショーテル状なのでシールドを迂回できるし、今回みたいに尻尾が猫の様に揺れるモーションで、攻撃を継続することもできる。
「慣れで済ませる?」
「そういう攻撃で邪魔されると判ってたら、マニュアル操作を準備しとけばいいんだよ。お前のねーちゃんもファンネルやフラッシュシステムの位置を調整してたろ?」
モーションを作っておけばボタン操作で済ませられる。
だがボタン操作自体の切り替えも面倒だ。それこそ合体ボタンのABCという三つの動作があって、Bが最適だとしたら最低でも二度は操作が必要。もちろんボタンを全て覚えるのは前提になって来る。
「介入されると分かったら起動して、後は指でやるなり、視点ポインタで操作するなり好きなので調整するんだ」
「あー。あれ面倒なんだよな。とはいえモーション増やすの好きじゃないし、考えてみるよ」
マニュアル操作には幾つかの方法がある。
指でドラッグしてその動きをトレースさせることもできるし、視点ポインタでおおよその軌道をトレースさせても良い。もちろんレバー操作やキーボード入力も基本的なマニュアル操縦の一つだ。
合体・変形などは手足が外れて妙な位置に移動するなど、特殊な動きがなければモーションは登録不要ともいえる。
だがファンネルなどはこの手の操作やモーションの追加は必須になって来る。何も登録していないと相手の背後に弧を描くようにして死角を突くだけだ。迎撃に慣れれば対処もし易い部類でしかない。
しかし脇から移動したり足元だったり、モーションを登録しておけば簡単には見切れない。
加えて視点ポインタで動かしたり指先で動かせば、その複雑な動きも可能なのだ。一流のファンネル使いは自作のファンネルを作るだけではなく、複数の作業の中から最適なパターンで攻めるのだという。
「これが終わったらみんな集めて合体技をやるか相談するぞ」
「合体技? 電影弾みたいなやつ? 別に今でなくても適当なミッションで練習しながらでも良いと思うけど」
今はモーション登録や見直しの話をしているのに、唐突な話が出た。
最初はそう思ったのだが、どうも違うらしい。
「モーション登録すると位置を変更したり、特定のパターンにできるだろ? ってことは、特定の位置にインコムやリフレクターを設定できるわけだ。お前のバアルがそれを利用するとしたらどうよ?」
判り易い話でリフレクタービットを例に取ろう。
この兵装は相手のビーム攻撃を逸らす防御や、跳ね返すカウンター攻撃を行う事が可能だ。それとは別に、自分の攻撃を跳ね返して死角から攻撃したり、遠距離への到達も可能になる。
「あ、そっか。一人のリフレクターをみんなで使ったりできるのか。オレのバアルにビーム砲はないけど……いや、待てよ……」
空に浮かんだリフレクタービットを狙って撃つのは簡単だが、上手く跳ね返せるわけではない。
だがモーションとして登録しておけば、それも不可能ではない。先ほど言った余計な操作が増える他、プログラムできる数は有限なので相談が必要にはなるのだが……。
もう一つ、遥かに重要なメリットがあった。
「もしかしてみんなのビームを借りて、斬艦刀みたいなのができる?」
「そういうことさ。もちろんスーパーモードを登録した機体がメインになる必要があるけど、デカブツを背負うよりは楽になるぜ」
数機のビーム攻撃を特定の位置に調整。
そのエネルギーを束ねることで、これまでよりも強大なビームサーベルを作ることができる。一撃では倒せなかった敵も倒せるかもしれない。
仮に闘気のような攻撃でなければ駄目だという設定があったとしても、みんなの力を借りるというのは定番だろう。
シャッフル同盟拳のような、すごい必殺技ができるかもしれないのだ。
という訳で今回はパワーアップ回です。
良くある斬撃速度を向上する修行とか、必殺技を会得する感じ。
ビルドダイバーズ初期に出て来た個人データ登録の為のアレとかに、色々登録できるのでは?
格好良い攻撃なだけとか、スキルとしての必殺技以外にも、色々可能なんじゃない?
そんな感じのイメージです。